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多値変調とマルチキャリア


  • Posted by: F&F
  • 2009年8月16日 11:07

auはRev.Aをマルチキャリア化して下り伝送速度を上げる。
この手法はPDCやPHSがスロットを束ねて伝送速度を上げ、さらにWILLCOMが束ねたスロットをさらに複数チャネルで使った8Xで実現している。

ようするに、単一通信チャネルを複数個使えば伝送速度が複数倍になると言うわかりやすい方式だ。
ただしこれは周波数利用効率を上げるものではないので伝送効率自体は上がらない。
また多値変調による伝送速度アップもある。
WILLCOMを例にすれば、当初はQPSK変調だったものを8PSK、QAMとなりXGPでは256QAMまでが規格化されている。
QPSKは2ビットを同時に伝送できるが256QAMだと8ビットが同時に伝送できる訳だから、その差は大きい。
勿論多値変調になると要求SN比が高くなるので、密なエリア設計がなければ実現しない。
この点でもマイクロセルを基本とするPHSやXGPは実現しやすいと言えるだろうが、しかし難しい技術なのだ。

DC-HSPAはEMが開始するが、これも似たようなものである。
二つのセルからの信号を受信することになっているが同一セルでも勿論かまわない。
HSPA+は多値変調を使ったもので、十分なSN(RSCP)が確保できるマイクロセル構成ならば現実的に使えるだろう。
いずれにしても速度アップは魔法のように出来るものではなく、それを活かす環境が必要だ。
基地局密度が低かったり穴があったりするエリア構成では、スポット的に速度を出すことは出来ても安定的に使うことは出来ない。

CDMA方式の良いところは混信の概念がない(FDMAで言うところのキャリアの重なりがない)事だが、コードの混信は常に発生している。
このコードの混信(ノイズレベルの上昇)はセル半径を狂わせてしまうわけで、CDMAの話は過去に雑記にも書いてあるので割愛するが、それを多値変調やMIMOで使うのは結構大変なことなのだ。
おそらくドコモがW-CDMAの拡張規格に余り興味を示さずにLTEへと進みたいのは、CDMA特許料問題もさることながらエリア設計の難しさも影響しているのではないだろうか。

日本は世界でもっとも基地局密度を上げる必要のある国だと言われている。
人口密度が高く携帯電話普及率が高くデータ通信比率が高いからだ。
海外の基地局ベンダが、東京のエリア設計は並ではないと言うのもそのあたりに原因がある。
単に基地局密度を上げれば干渉が起き、しかし密度を下げればパフォーマンスが出ない。
そこで複数キャリアを使うような、CDMAでありながらFDMA的なバンドの使い方をするが、そうするとソフトハンドオーバだけでは済まないのでハンドオーバ時に物理チャネル切り替えが生じる。

LTEでも複数の物理チャネルは使うのだが、チャネル幅が広い(恐らく電波法改正後は20MHz幅になるだろう)ので電気は食うが制御はむしろ楽になる。
OFDMAはFDMAの親戚なので、CDMAのように混信させながら使うものではない。
MIMOとの親和性も良く、モビリティの確保も出来るしマクロセル構成の遅延に対しても有利になる。
もう一つは4G(Generation)へシームレスに移行できることで、こうなるとより広いバンドを使った高速伝送が見えてくる。

既存のW-CDMAを拡張して骨までしゃぶるのも一つの方法だろうし、LTEに移行するのもまた方法だ。
ただ前述のようにW-CDMAを骨までしゃぶるためには、相応の基地局整備が必要になりコスト高になる可能性がある。
もちろんLTE化は制御機器や無線機の面で金がかかるのは事実なのだが、基地局密度的にはCDMA方式より楽かも知れない。

   

Comments:3

a&d 2009年8月16日 21:20

マルチキャストの場合、基地局が複数セクタの方が利用効率や通信速度って上がるのでしょうか?
初歩的かもしれませんが、ふと思った疑問であります。

F&F Author Profile Page 2009年8月16日 22:44

セクタ分割されていればセクタ内の収容加入者数が少なくできるので、平均スループットは上げられると思います。
理論最大速度は変わりませんが、マイクロセルかと似たようなことが起こると言うことで。

a&d 2009年8月16日 23:16

ご返答ありがとうございます。
じゃあauでもMCの効果ありそうですね。

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