- 2009年11月22日 11:07
EMは行っている。
SBMはやるとは言っているが当初の予定より1年以上遅れるようで、具体的日程は孫さんも「様子を見ながら」としか言わなかった。
その次世代投資の遅れをカバーするためのWiFiだが、メディアは設備投資の招いたツケだとしている。
マスコミも認めた5.8万基地局は今や色あせ、NIKKEIもSBMの基地局は3.9万であると"正式に"(あえて)認めている。
記事では、回線の逼迫、投資の遅れから安易な代替策であるWiFiに走ったと辛辣だ。
考えてみればケータイWiFiはドコモ版のサブセットであるに過ぎない。
元祖ドコモが叩かれなかったのは以前に書いたとおり、それをメインにしなかったからだろう。
勿論機能的にはドコモの方が数倍も上で、そっくり3G回線の代替にも出来るほどだがやらなかった。
http://www.fnf.jp/blog/2009/11/fnfblog2466.html
正常進化なら3.9GのLTEに、資産償却の終わっていないEMは苦肉の策で3.5G+とも言えるHSPA+に行く。
SBMは主に資金的問題からLTE投資はまだ先になるとしているが、HSPA+はSBMに取って二重投資に違いない。
http://www.fnf.jp/blog/2009/04/fnfblog1252.html
HSPA+は現状の16QAMを64QAMにする事によって伝送速度を1.5倍にするものだ。
従ってEMは最大速度21Mbpsと宣伝している。
待てよ、HSDPAの最大伝送速度は14Mbpsであって、だからこそその1.5倍が21Mbpsになるわけだ。
ならば1.5倍しない、14Mbpsのサービスがあっても良いはずなのに見あたらない。
そう、規格上は14Mbpsが可能でも実際には余り意味のない数字なのだ。
セル半径が余程小さく、いわゆるフェムトセルなら14Mbpsも可能だろうが一般の公衆基地局では3.5Mbps出すのも大変だと思う。
現状は7.2Mbpsのサービスなのでセル内同時利用者は2名を許容し、実測3.5Mbpsでは4名の同時利用者を許容する。
ではHSPA+にするとどうなるかと言えば、3.5Mbpsの1.5倍にはなる。
多値変調の利用は周波数利用効率を上げるからだが、その代償として高いS/N比が要求される。
ただ多値変調になるほど誤りが起きやすくなり、誤り訂正用の上長部分が長くなると結局はペイロード部分を圧迫する。
これはXGP(256QAM)でも言えるのだが基地局からの距離が離れた場合は256QAM+誤り訂正よりも16QAMを生で通した方がお得みたいな事にもなりうる。
全ては基地局配置、セル設計、セクタ設計の善し悪しによる。
DC-HSPAはHSDPAを2チャネルを束ねて使うと思えばわかりやすい。
MIMOは空間多重を行うがDCはそうではないので周波数利用効率は上がらない。
孫さんはDC-HSPAで42Mbpsだと言っていたが、これは可能なのだろうか。
DCはDualCellなので(DBはDualBand)周波数利用効率は半分に下がってしまう。
ようするにauのRev.Aのマルチキャリアと似たものだと思えばいいだろう。
もしも現状の混雑度合いをそのままにDC-HSPA化すると仮定すると、3.5MbpsのHSDPAがHSPA+で1.5倍の5.3Mbpsになり、それがDCで10Mbpsになる…
はずが、実際はセル半径が2倍になってしまうのでそうは行かない。
結局半分にしかならないのでDC効果はゼロになってしまう。
そればかりか現在のSBMの基地局配置では64QAMとDC両方を使うことが出来ない恐れがある。
64QAMは基地局の近く、S/Nの良いエリアでしか使えず、DCは隣の基地局とのオーバラップエリアでしか使えない。
つまり多値変調を使うかDCを使うかの選択になってしまって両方を使った場合の理論最高速度は夢の又夢になってしまうのだ。
そこで1.5GHz帯の利用を考える。
中継器などで汚れておらず利用者も少ない1.5GHz帯で、更にDCが使える程度に基地局配置を考えるとかインチキ2Xで1つのBSの2つの物理チャネルを使ってしまう方法で速度をたたき出すことは不可能ではない。
2つのセル内に利用者が1人ならば42Mbpsの速度が出せるのだ。
こう考えると42Mbpsが理論上の最高速度でしかないことが解ると思うし、HSDPAで14Mbpsのサービスを行っても意味がないことも解るだろう。
HSPA+は所詮次世代までのつなぎでしかなく、特にDCなどは混雑環境である日本の都市部には似合わない。
これはLTEでも同じ事なのだが、LTEはMIMOなどの空間多重で周波数利用効率を高めている。
W-CDMAでもMIMOの概念の取り入れられた規格があるが、OFDM同様の効率にしにくい点もあるのでどうだろうか。
結局の所どんなに高速通信規格を作ったところで周波数利用効率を上げない限りそれは活かせず、活かすにはマイクロセル以外にはないのだ。
何度も書いているがSBMは中継器を使ってマクロセル化を推進してしまった。
それによって周波数利用効率が悪化し、総務省の定める帯域あたり加入者数に達していないにもかかわらずトラフィック規制せざるを得ないほど混雑してしまった。
もちろんコスト最優先でセクタ分割しない基地局を導入したのもデメリットでしかなかった。
安物買いの銭失いを実行してしまったのだ。
ちなみにLTEは5MHz幅で2MIMOにより約38Mbpsの伝送速度になる。
LTEの場合はMIMOが必須なので実装することが必要であり、規格では20MHz幅で300Mbpsを実現するとなっている。
CDMA方式とOFDMA方式では少し違うところもある(OFDMの方が空間多重を利用しやすい)のだが、いずれにしても最高速度を加入者一人が独占できるわけではないのがセル方式移動体通信の常だ。
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