住み替えへの道(12)
横浜市では無料で家屋の耐震性のチェックを行ってくれる。
耐震基準が出来る以前の住宅では、筋交いすら入っていない木造住宅が多いのだとか。
木軸工法では耐震性を上げるために耐力壁を多く入れなくてはいけない。
しかし開口部の広い、例えばリビングなどでは部屋面積に比較して壁が少なくならざるを得ないので強度は低下する。
2×4などはモノコックそのものなので構造的に広い開口部が取れないが、木軸工法の場合だと増改築の時に壁を取ってしまうと言うことだってあり得る。
地震の時に柱や壁が歪まない強度を持っているとすると、基礎部から柱が抜けてしまうことがある。
木造3階建では基礎部と柱を金属金具で止めることが必要だが、2階建てではこれを付けなければいけないと言うこと(規則)はない。
金具には何種類かあるが、基礎に貫通させる形で取り付けるホールダウン金物が最も信頼性が高い。
ただしこれを使用した建物を私は見たことがない。
一般的には柱をつなぐ補強板的金具を使用する事が多いと思うが、これとて余り使われていないのでは無かろうか。
実際に南区角の家を見ても、基礎の上に乗った木材と柱は金物でつながれていない。
柱同士も金物で補強されても居ない。
3階建てになると基礎のコンクリートと垂直の柱をホールダウン金具(若干動くようになっている)でつなぐ必要があるから、地震の時に柱が抜けてしまう危険性は低下するというわけだ。
ただし正しく建築されたものに限って、だが。
鉄骨構造の場合には基礎のコンクリートの上に重量鉄骨が乗り、これと基礎はボルトで止められている。
水平の重量鉄骨と構造体である鉄骨パネルもボルト止めなので、このボルトが引きちぎれない限りは構造材が基礎から抜けると言うことは無さそうだ。
こうして強固に止めても、鉄骨構造の場合には鉄骨自体のたわみがあるので力を逃がすことが出来る。
それに元々柱の本数が非常に少ないので、部屋を仕切る壁は構造体としての意味を持っていない。
これをもっと進めた感じになるのがラーメン構造だろうか。
コイツは鉄骨同士の直角を規定するというか、そこで力を受ける構造なので筋交いも何も要らなくなる。
逆に鉄骨のたわみで力を逃がす構造は、それ自体の剛性低下を感じることがある。
以前住んでいたアパートは初期の鉄骨ラーメン構造だったのだが、6畳4部屋分の空間に柱が一本もなかった。
ここに重い書棚を置いたら床がたわんで引き戸が外れてしまった。
最初は引き戸と敷居の精度が悪くて外れたのかと思ったのだが、引っ越しの際に荷物を全部出したら引き戸は外れなくなった。
だからといって部屋を歩いたときに床の剛性がないような感じを受けるわけではないのだが、コスト削減の厳しいアパート用ラーメン構造は(少なくとも15年ほど前は)たわみを規制しにくかったらしい。
同じように2Fの床の振動を階下に伝えやすいのも鉄骨構造の欠点だ。
それを防止するために(今建築中の家は)4層構造の床を使ったりする。
大型住宅ではコンクリートパネルを使った(PC)家もあるが、これは重量が嵩むので地盤の弱いところには建てられない。
コンクリートパネル工法や鉄骨構造は高耐久と耐震性は得やすいが、全ての面で優れている訳ではない。
住む方としては火災保険料が安いのがメリットかな。
なお耐震基準に関して、今秋にも新たな基準が出来るそうである。
各住宅メーカはこの基準に基づく表示を行うための準備中だ。
耐震性と言っても破壊の仕方によって安全性は異なる。
鉄筋コンクリートの建物の階下を押しつぶすようにして壊れるものもあれば、木造住宅のように柱が外れてバラバラになるものもある。
地震で崩壊しない建物が良いに決まっているが、その壊れ方も重要なのではないだろうか。
さて、工事の方は順調に進んで予定引き渡し日の3月25日から大幅に繰り上げられて3月10日頃になる模様だ。
完成は3月5日頃と言うことなので、後2週間ほどという事になる。
日曜日には外構関係の打ち合わせをしてきた。
ハウスメーカ指定業者とハウスメーカを介さずに見積もりを交わす事になるが、価格的にどうなのだろうか。
ハウスメーカ指定?の業者は(ハウスメーカに安く使われているだろうに)一般的に仕事が丁寧である。
ま、他のハウスメーカの場合は良くわからないし、安く使われる分手を抜くという業者もあるが。
幸いにしてと言うか、今回工事して貰ったハウスメーカは管理が厳しい方らしくて現場がいつも整頓され、ゴミなどが散らかっていない事に仲介不動産屋が驚いていたくらいである。
以前掲示板の方で業者が吸うタバコの吸い殻の問題が書かれていたが、これに関しても外に吸い殻が捨てられていると言うことはない。
こういったある程度のレベルを維持する為には金もかかるだろうが、逆にこちらとしては安心できる。
今住んでいる家のクーラの引っ越しも、そう言うわけでハウスメーカ指定の電気屋に頼むことにした。
引っ越し屋でもやってくれるが、工事の品質等を疑問視する人も多いし引っ越し業界も値段競争なので電気屋に払う金も相当ケチっているに違いない。