ソフトバンク対策法(12/4)
◆ 移動体通信業界は比較的綺麗だった。元々は電電公社が始めたわけなので、お役所仕事みたいなものだったわけだ。その後いくつかの事業者が参入するも残ったのはドコモとKDDIだけであり、特別何という事も無く、ただしお役所仕事の考え方の抜けきらないドコモは常に鈍重だった。
◆ そんな業界にソフトバンクが参入して引っかき回し始める。ドコモなら安心、KDDIだから安心だと思っていた顧客には免疫力が無く、ソフトバンクにしてみればそんな客を(騙す)獲得するのは赤子の手をひねる、まあそんなものだったのだ。
◆ 孫さんは総務省に火を付けると言い、行政訴訟を起こしてドコモやKDDIを妨害し、総務省の推進する分離プランをぶっ壊した。その頃にソフトバンクが始めた、利用者の信用情報で金を集める作戦はよく考えられていた。
◆ ソフトバンクに信用はないが顧客は信用がある。だったら顧客に金を借りさせれば良いじゃないかと言うことで、加入者にローンを組ませる。加入者にはソフトバンクが肩代わり金を払って、実質的な支払額を少なくする。こうしてソフトバンクは経営危機を乗り切ったのである。
◆ しかしここでローン踏み倒しの損失が過大となってくる。悪い企業に悪い客が付いただけ、みたいに言われもしたが、ソフトバンクで1円のiPhoneを契約しローンも払わないまま売り飛ばしてしまう。ソフトバンクは支払いをクレジットカードに限定するなどしたが、貸倒損は増加する一方だった。
◆ そこでローンで販売したiPhoneのIMEIを管理し、支払いが滞ったらIMEIロックをかけて使えないようにしてしまった。ドコモやKDDIも割賦販売を開始しており、ソフトバンクのIMEIロック手法は各社共に行うようになった。ここで困るのが中古スマートフォン取扱業者だ。客が売りに来たスマートフォンのローンが完済しているのか否かが分かりにくかったからだが、後にIMEIによるチェックが簡単にできるようになった。ただしドコモ(だけだと思う)は連続的に番号紹介がしにくいサイト構成になっている。
◆ このIMEI問題なのだが、元はと言えばソフトバンクによる加入者の信用情報売りとiPhoneの1円販売から始まった。一方で中古スマートフォンを買った人は、突如IMEIロックがかかって使えなくなるリスクを背負った。何故元々の所有者の支払い遅延の責を中古で買った人が負わなければいけないのか?と言うことが議論されるようになり、中古スマートフォンを買った人の利用権を不当に制限しているとなってきた。
◆ だったらIMEI制限を禁止すれば良いんじゃないの?ローン販売の貸倒損は全ての物に当てはまるわけで、スマートフォンだけ制限するのは(最近では自動車にも、限定的ながらそうした機能はある)おかしいというわけだ。
◆ これは分離プランの値引き制限などを明確にしても、何だかんだと屁理屈を付けて安売り販売をやめないソフトバンクへの間接的制裁とも言える。さらに現在では楽天も参入して、悪の巣窟化が進んでいる。総務省としても早めに手を打っていかないと、第一次分離プランの時のような悪夢が訪れるかも知れない。
◆ 現在では残価設定ローンが一般的となり、単純な割賦販売よりもシステム的に複雑になっている。こうした部分で利用者が騙されるケースも増えているそうで、国民生活センタや総務省へのクレームも多いのだそうだ。