高速撮影(11/28)
◆ デバイス技術の発達は従来では考えられなかったような、高速の撮影を可能とした。少し前までは1万FPS(10kFPS)でも相当高速だったのだが、今や20MFPSのカメラもある。20MFPSのカメラは未だ特殊な分野に入ると思うが、1MFPSのカメラなら扱いもそう難しくはない。

◆ 1MFPSだとシャッタ速度の最大長さが1μsしかないので、相当高感度な撮像素子が必要だ。素子自体の反応速度だとかメモリへの伝送は電気の世界なのでまあ良いとして、光電変換の感度はかなり頑張らなくてはいけない。

◆ 20MFPSだと50nsごとに1フレームを撮影することになる。VGA解像度×8Bitだったとしても50nsごとに256kバイトのデータが出てくるので、10秒間撮影するためには5TBのメモリが必要だ。なので現状のカメラとしては256枚しか撮影出来ない。(島津製作所のHPV-X3の場合)256枚、つまり30FPS換算で8.5秒分しか撮影が出来ないので、外部からトリガをかけたり遅延を適切に設定する必要がある。

◆ 何かの事象を捉えようとした場合は、それが256枚の画の中に収まるように調整する必要がある。連続した事象の一部を捉えるのは簡単だが、単発の現象を捉えるのは難しい。この辺りは高速のディジタルストレージオシロと同様だ。しかし適切なトリガが得られれば、音速さえも難なく記録する事が出来る。

◆ 高速で変化する物理現象などを捉えると、フレーム間隔の時間が正確なので現象の進行を正確な時間軸で捉えることが出来る。Youtubeでは島津製作所のカメラを使ってピストルやライフルの弾丸を撮影しているものがあるが、物体に衝突したときの衝撃波も捉えられている。

◆ 高速なオシロスコープが高速回路の開発の力になったように、断層撮影が医療の現場で役に立っているように、高速撮影が可能なカメラによって解析される現象は少なくないだろう。今までは何が起きているのかを想像するしかなかったことが、今はそれを動画で捉えることが出来る。

◆ エンジンにおける火炎伝播を撮影する動画はあるが、100kFPS位のカメラでもかなり詳細な観測が出来る。100kFPSのカメラは10年ほど前にはかなり入手しやすくなっていたので、筒内直噴エンジンやディーゼルエンジンの燃焼状態の解析などが進んだのではないかと思う。

◆ ディジタルストレージオシロが高額だった頃、シリアル通信のデータ解析にそれを使ったことがある。ディジタルストレージオシロ自体はいくつかのメーカから出ていたが、数十キロバイトのメモリを積んだ(積める)モデルは少なかった。増設メモリ代だけで一戸建てが買えるなんて言われた位で、高速なメモリが当時は高価だったのだ。

◆ サンプリング速度が100Gspsを超えたのが10年くらい前ではないかと思うので、従来であれ ば周波数ドメインでなければ観測出来なかった信号が、時間ドメインで観測出来るようになった訳だ。

◆ ディジタルオシロの場合はアナログオシロ的なリアルタイム性がないので、フロントエンドさえ高速ならいくらでも時間分解能を上げられる。アナログオシロで1GHzを見ようとしたら、掃引時間を10GHz位にしなければいけないのでブラウン管方式が成立しなくなる。高速偏向が例え可能だったとしても、連続波形でなければ電子が蛍光体に当たる時間が短くて発光しない。