生活保護は誰のため?(7/5)
◆ ある老人が病気になった。その方は親族名義のアパートに、その親族の方と住んでいる。親族名義なのは高齢者は賃貸契約を断られるからだ。その親族の方も高齢で、アルバイト収入と老人の年金で暮らしている状態だった。しかし老人が病気になり入院すると様々な付帯的費用がかかってくる。入院費自体は高額療養費制度によって安価に抑えられるのだが、付帯的費用は対象外だ。

◆ 病気が長引くと老人の身の回りのものを届けたり、或いは持ち帰って洗濯をしたりで同居親族の方も実質的に働けなくなってくる。そこで老人の生活保護を申請しようと区役所に向かったそうだ。

◆ そこで言われたのは、生活保護は世帯単位であり個人単位ではないと言うこと。つまり老人と親族が合わせて生活保護を受給すれば良いが、それ以外は申請出来ないという事だ。では世帯ごと申請出来るかというと、親族の方は働いている実績があるので申請は受け付けられないと言われる。

◆ だったら世帯を分離すればいい話なので、住所の得られる施設(東京都だと自立支援センター的な所)に引っ越せば良いことになる。実際には入院しているのでその施設に入ることはないが、住所は得られる。規則がとか決まりがと言うのであれば、それを回避すれば理屈の上では大丈夫なはずだ。

◆ と言う話をすると、今度は住所問題には触れずにその親族が面倒を見れば良いという方向になったそうだ。住所を移せば良いのかどうかに関しては、現在同居しているのだから住所を移したところで(実質的な)状態は同じでしょう、とか何とか言われたそうだ。

◆ そもそも面倒が見られるのなら見るのだけれど、限られた収入の中でそれが無理だから相談に来ている、100%生活保護費を寄こせというのではなく、年金収入が多少はあるのだから何とかならないかと言っているが、申請要件を満たしていないと言うばかりで話も聞いてくれなかった。

◆ 生活保護対象になると医療費や税金が無料になるので、年金から天引きされるものもなくなるか軽減されるのかな、それと高額療養費も免除になり、その辺りの何万円かが大きな違いになるそうだ。

◆ まるでウソのような冷たい扱いなので、伊豆市にも聞いてみることにした。生活保護を受けたい人がいるのだが同居親族が居るのでダメと言われている。そこで私の家に老人を下宿させることにして住所を移せば、伊豆市から生活保護は受けられるのかと。伊豆市の福祉は、私とその老人の関係は何だと聞いてきたが、家主と賃借人の関係ですと答えた。

◆ 伊豆市の見解としては、法的な申請基準はクリアするので申請することは出来る。ただし親族に援助をお願いするなど、そうした事は当たり前ながら起きますよと。親族などに連絡を取って援助出来ないかとうるさく言われるのは日本人、親族ごと生活保護費を貰えるのが中国人と相場は決まっていて過去にはこんな事も起きている。

◆ とにかく住所さえ何とかすれば申請は出来る状態になる事は分かった。なので入院が長引くようであれば、まずは住所を移すことで申請が可能になる。住所を移すのであれば現在済んでいる区以外(区の福祉事務所には相談記録が残っているため)が良いよと言っておいた。