サイバートラックは消えていくのか?(11/26)
◆ テスラのサイバートラックが売れていない。イーロンマスク氏は年間12万台以上を売るとしたが、その目標には遠く及ばない。テスラは販売台数を明らかにしていないが、登録台数などから予測した年間販売台数は2万台前後ではないかとCNNは書いた。
◆ EV全体が売れない現状でサイバートラックの販売も低迷しているわけだが、その落ち込み方は穏やかなものではない。こうした状況になればユーザの不満や扱いにくさが報道されるのが常だが、それは当初から分かっていたことであって急激な販売台数の落ち込みとは余り関係が無いようにも思える。
◆ 例えば航続距離が公称値の515kmに遠く及ばない320kmしかない事は、他のEVでも同じような使い方をすれば同じように減少する。車重が3tを超えて扱いづらいことだって、それは発売当初から分かっていたし、分かっていて購入者はサイバートラックを選んだ。トラブルやリコールの多さにしても、テスラ製なのだから当たり前である。信頼性を買いたかったら日本車を選べば良いし、サービスを体験したければフォードやGMを選べば良い。
◆ サイバートラックの販売が落ち込んだのは、目新しさが失われたことや需要が一巡したこと、テスラ派による宣伝活動?が裏目に出たみたいな話もある。そもそも奇抜なサイバートラックの需要自体が少なく、特定のユーザが購入したあとは需要がなくなってしまうと言うわけだ。それでも性能が高ければ実用車として?需要が起きたのかも知れないが、信頼性の低さや歩行者安全性能の低さで一般向けとはなれなかった。
◆ テスラ派によるICE搭載トラック攻撃という心理的な面での反発は少なくないと言われる。サイバートラックこそ最高であり、GMやフォードのトラックなど過去の遺物だ、みたいな書き込みが氾濫すると、ICE搭載トラックユーザは当然それに反発する。テスラ乗りは他車を馬鹿にすることしか出来ない人ばかりで、そんな奴らと一緒にされたくないとなる。このあたりの感情は昔のデリカ乗り、今はアルファード乗りを見る目と同じか。
◆ 実用面ではレンジエクステンダの販売が中止されたという話がある。レンジエクステンダは発電機ではなく、荷台に乗せる追加のバッテリーだ。このバッテリーを買えば公称航続距離は800kmを達成出来る。バッテリーの価格は250万円程度だったそうだが、突然中止がアナウンスされた。理由は不明だがサイバートラックの売れ残りが数千台を超え、その後処理を優先したいからだとも報じられた。
◆ テスラはより安価なRWDタイプのサイバートラックを発売したものの、これも売れ行きは芳しくない。いずれのサイバートラックも、多くの国での対人衝突安全性能を満たしていないので、公道走行が出来ない。もっとも米国製のトラックは車両サイズなどの問題もあり、輸出需要が限られるのも事実だ。
◆ 米国のテスラディーラはサイバートラックの下取りを中止している。新車も売れないのに下取った車が売れるわけはないと言うことで、まさに邪魔物扱いになっている。サイバートラックユーザは度重なる故障やリコールが続くことに腹を立て、欠陥車保護法の適用を求める動きがあるそうだ。
◆ 全米各地で起きているテスラ離れもサイバートラックにはマイナスだ。他のテスラのモデルはエンブレムデチューン?で、テスラエンブレムを他メーカのものに付け替えるドレスアップ?が流行っているという。しかしサイバートラックは独特のデザインにより、エンブレムデチューンが"効かない"。