高圧燃料ポンプの分解修理(2)(7/17)
◆ 第三世代のミニでは高圧燃料ポンプの故障は殆ど起きないようなのは、構造が異なるからだ。第二世代の高圧燃料ポンプはカム軸駆動なのだが、第三世代になると高圧燃料ポンプ駆動用のカム山で直接プランジャを押すような感じになった。
◆ 第二世代のミニやその他同様のポンプを持つ各メーカの各車両では、カム軸に結合されているポンプを簡単に取り外すことが出来る。取り外したポンプ単体を更に分解すると、スワッシュプレートとそれによって押されるプランジャが見えるのだが、これらがオイル漬けになっている。
◆ 机上でポンプを分解すると少なからずオイルが抜けてしまい、エアが入る。エア抜きのためには真空引き(シリンジでも出来るそうだ)が必要になる。真空チャンバにポンプごと入れて減圧してしまうのが、もっとも確実だと語られていた。
◆ もう一つは分解時にエアが入らないようにする方法で、オイルで満たされた容器の中にポンプを入れ、その中で分解作業を行うというもの。シールの交換をするなら机上での分解などの作業となるが、単にオイルの補充であればオイルを満たした容器の中で分解と再組み立てをすれば良い。
◆ オイルは昨日も少し書いたように諸説あり、作動油としてはATFやCVTF、パワステ用のオイルなどが使われる。他にはエンジンオイルやエンジンオイルにギアオイルを混ぜるのが良い(粘度調整?)とも言われる。特別負荷のかかる部分ではないので、ATF系のもので良いのではないだろうか。
◆ 内部のオイルが減っているかどうかは、温度補償用のアキュムレータのダイヤフラムの位置で分かるそうだ。ポンプに付いているアキュムレータの穴の深さ(ダイヤフラムの位置)をノギスで測り、冷間時18mm程度であればオイル量に異常はないらしい。オイル量が減るとダイヤフラムの位置が下がり、19mmとか20mmになり作動不良が起きる。
◆ 組み立て時にはオイルを満たすために、このダイヤフラムのスプリングを縮める必要がある。バネを(カギ状のもので引っかけて)引っ張る方法や、ダイヤフラムの大気側(ノギスを突っ込んで深さを測れる穴側)の穴にシリンジやバキュームポンプを接続し、減圧してしまう方法がある。
◆ オイルが減る原因はシャフトのシールらしいが、漏れたオイルはエンジン内に行くので漏れは分からない(外側には漏れてこない)そうだ。オイル補充用のニップル加工をしている人もいるが、オイルシールを交換した方が良いと思う。オイルシールがメーカ部品で出ることはないそうで、汎用のシール(ベアリングのシールみたいな感じ)が使える的な事なのだが、シール品番には触れられていなかった。
◆ 純正高圧燃料ポンプは10万円以上の価格なのだが、社外品(いわゆるOEMメーカ品ではないもの)が3万円位でも売られている。うまく行けば使えるけれど、ヘタをするとすぐ駄目になると言われる程度の信頼性だそうだが安いのは確かだ。では純正品やOEM品は信頼性が高いのかというとそうでもなくて、だから故障が多いという話である。
◆ 故障の原因の一説には温度のことが言われていて、温度補償アキュムレータの補償可能最大温度以上になると、内部圧力が高まってオイルが抜けてしまうという説だ。気温の高い地方や地域で故障が起きる(日本では故障例が多いらしい)原因だとか。