goo終了(11/24)
◆ gooは1997年に登場した検索サイトだ。当時はロボットによる自動収集型の検索サイトは一般的ではなく、Yahooなどは登録型のものだった。登録型検索サイトは登録フォームからURLやサイトの内容などを申請し、検索サイトがそれを反映していく方法だった。

◆ これに対してgooはサイトを巡回して情報を勝手に集める方法を採った。これにより登録型検索サイトでは検索出来なかったサイトの情報も網羅されることになり、まさにインターネットの世界が広がったのだった。当時は検索サイトによって検索内容の差も大きく、いくつかの検索サイトの情報をまとめて表示するサイトもあった。

◆ ではgooがロボット型検索システムの歴史を作ったかと言えばそうではなく、早稲田大学村岡研究室の学生が1994年に"千里眼"を作っている。これが日本初のロボット型検索エンジンシステムだと言われている。しかしロボット型検索システムは回線の帯域やサーバパワーが検索機能を決める的部分もあり、大資本ほど有利となる。

◆ ロボット型検索システムとしては米国のAltaVistaがよく使われていたような気がする。いずれにしても登録型の検索サイトからロボット型への移行期でもあり、そしてそれら検索サイト数が爆発的に増え始める時期でもあった。

◆ ロボット型検索サイトを使えば何でも検索出来る。そんなイメージすら抱かせてくれたのがgooだった。そんなgooも2000年以降に使われ始めるGoogleによって駆逐されてしまうことになる。当時のGoogleは今と違って検索語に忠実な検索が出来た。その辺りのアルゴリズムがgooより優れていることもあって、一気にシェアを拡大していくことになる。

◆ gooにしても改善を行えば良かったと思うのだが、何しろ動きの遅いNTT系企業がやっていることなので、日々改善などと言う概念はなかったのだろう。改善や機能向上がなければすぐに古びてしまうこの世界で、gooは徐々に下火になっていく。

◆ ロボット型検索エンジンはサイト内容を如何に正確に抽出するかが重要だ。ロボット型検索エンジンを騙す的なSEOというのかな、SEOと言うほどの事ではなく、サイト内容と関係のない文字列を埋め込むような商業サイトが山ほどあった。何で検索してもそのサイトにたどりつくような、今で言えば楽天然りであり、ちょっと怪しげなソフトウエア売りもその傾向だ。

◆ こうしたインチキSEOに対してGoogleは対策を講じ。より正確なサイト検索を可能にしたと謳った。当時のGoogleは商売よりも性能を重視していて、サイトランキング方式の導入などで新設サイトは評価が厳しい傾向にあった。これは詐欺サイトなどは頻繁にURLやサイト名を変更する傾向が見えていたからで、そうしたサイトは中々Googleの検索上位には出ない仕組みを採った。

◆ 今は利益優先でもないのだろうが、新設詐欺サイトも検索上位に現れる。要するに検索サイトのライバルが減ったので、性能より商売重視が成り立つ環境になったという事だ。孫さんの言う「シェアを取れば何でも出来る」理論だ。

◆ そして今は劣化したGoogle検索に代わってAIが主流になろうとしている。ChatGPT Atlasが話題になったが、Googleの敵は思わぬ方向からやって来たことになる。勿論GoogleもAIには力を入れているのだが、"頭の良さ"と言う点で他社に追いついていない。そしてgooのサービスが終了だ。一つの時代を作ったと言うほど長い間使われたわけではないし、近年は地味な存在ではあったが、役目を終えたという事になる。