添加剤値下げの理由(12/25)
◆ FUEL1はワコーズの燃料添加剤で、PEAを主成分としたものだ。PEAは難燃性の清浄成分で、従来はハイオクガソリンにも含まれていた。現在のハイオクガソリンにはPEAは含まれていないか、殆ど含まれていない。

◆ PEAの清浄作用はオカルトではないので、これを主成分としたガソリン添加剤がいくつか存在する。その添加剤のワコーズ版がFUEL1で、これまでに2回値上げされている。最初に発売されたときは内容量が300mlだったが、モデルチェンジで200mlに減らされ値上げされた。そして2回目は内容量が150mlに減らされ少し定価が下げられた。ワコーズは一時期Youtuberにプロモーションさせるようなスタイルで販売量を増やした頃が最初の値上げ時期に一致する。

◆ PEA系添加剤の名が知れると、他のメーカも販売に力を入れるようになる。こうなると比較テストなども行われるわけだが、そもそも主成分はPEAで同じなので大きな差は出ない。差が出ないのなら安い方がお得という事で、FUEL1の販売量が減少したらしい。そこでワコーズは内容量を減らして価格を下げ、ステルス値上げという形にした。

◆ パッケージは従来同様ながら"PEA高純度No.1"の表記は消えた。従来はウチが一番だウチが一番だと複数社が宣伝していたが、ワコーズはいち早くこの濃度競争から下りたことになる。PEA濃度は分析すればすぐに分かってしまうので、あまり適当なことは書かない方が良いとの判断か。テスト動画によるとPEA特有の不燃成分がピストン上部に残っていないので、PEA濃度そのものが少なくなった可能性がある。

◆ 濃度の濃いものは添加量が少なくて済むので経済的になる。液体添加剤は重さで輸送コストが決まるので、高濃度のものほど流通コストが削れるわけだ。FUEL1が2度目の値上げを行った頃からAZはFCR-062のプロモーションに力を入れ、FUEL1と変わらないのならFCR-062の方が安価で良いと言う評判が広まる。

◆ ワコーズはFUEL2を発売するのだが、FUEL1が下火になったこともあって今ひとつ流行らない。またFUEL1とFUEL2の使い分けとか効果の違いが曖昧だったこと、両方入れるとなると更にコストが上がることもあって余り話題にはならなかった。

◆ 効果の曖昧さはガソリン添加剤でもオイル添加剤でも同じように中々具体的な表記は出来ない。PEA添加剤に関しては清浄作用は謳えるが、それだけでは他社製品と差別化が出来ない。しかし燃費改善などと謳うと法律に引っかかる。ちなみに初期の頃のFUEL1は燃費改善が謳われていたのだが、規制強化と共にその文言は消えた。

◆ Youtuberを上手く使えば売り上げを伸ばせるが、下手をすると真実が暴かれてしまう。再生数の多いYoutuberはカネを持っているので、怪しい能書きの商品だとすぐに検証や分析をされてしまう。整備工場系Youtuberは商売絡みなのでワコーズの製品を尊重せざるを得ない場合もあるのだが、商売的しがらみの少ない人はワコーズよりも再生数の方に目が行く。

◆ 以前にキャットフードの値上げと最近の値下げに関して書いたのだが、添加剤も同じような道をたどっているのか。ワコーズは値下げの理由や内容量が減ったことを整備工場やショップに説明しているそうだが、それは公開禁止だとか。添加量は値上げ前のものがガソリン20リットル〜60リットルに対して1本(200ml)、現行品は15リットル〜45リットルに対して1本(150ml)なので、添加率は変わっていないようだ。新たな成分を加えたみたいな話もあるが、単なる値上げではないのかな。