即効性フラッシング剤の効果(7/7)
◆ フラッシング剤の効果を質問されることがあって、またまたフラッシング剤の話である。シビックType-Rを買った人がいて、エンジン内部の汚れが気になるという。で、タイプRはどんな車かと見てみたら、20年近くも前の車が300万円にもなっている。中には500万円を超える車もあるではないか。
◆ フラッシング剤の効果を検証した記事や動画は色々あり、検証の方法として多いのは使用していたエンジンオイルを排出し→新しいエンジンオイルを入れ→10分〜20分間アイドリングでエンジンを回し→エンジンオイルを排出する。これを2〜3回繰り返すとエンジンオイルが汚れなくなるので、次にフラッシング剤を混ぜたオイルに交換して同様に繰り返す。
◆ ここでエンジン内部の状態で結果が大きく異なる。オイル管理の悪いエンジンだと、フラッシング剤を入れたオイルにスラッジが溶け出し、5〜6回の交換を繰り返さないと綺麗にならない。一方で5000kmごとにオイル交換をしていたエンジンでは、フラッシング剤を入れても新油と変わらぬ色のオイルが抜けてくるだけでスラッジは混じっていない。さらに酷い状態のエンジンでは、スラッジすら溶けない!
◆ このあたりがフラッシング必要説と不要説に分かれるところで、普段のオイル管理が出来ているのであればフラッシングは必要ないと言われる所以だ。ここでオイル管理の善し悪しは何で決まるのかとか、5000kmごとに交換していれば万全なのかと言い始めるとキリが無い。
◆ 或いは5000kmごとにオイル交換をしていた車で5万km走行後はどうなのかとか、エンジンの使用状況は全ての車がそれぞれなので一概には判断出来ない。フラッシング剤の実験でオイルフィルタを換えずに行っているものがあるが、これだとオイルフィルタ内の汚れがフラッシング剤で溶け出すだけなので結果が正しくない。
◆ 5000kmごとにオイル交換をしている、走行距離10万km以上の軽自動車での検証があったが、フラッシング剤を入れても排出したオイルは黒くなっていなかった。カム部分などにはオイル焼けが見られたが、いわゆるスラッジは堆積していなかったことになる。もちろんピストンの裏側だとかリング溝の状態までは分からないが、エンジンオイルにとって過酷な条件になる軽自動車でもオイル管理が適切ならば綺麗な状態を保てるわけだ。
◆ 即効性エンジンフラッシング剤は安いもので、灯油とシンナー(トルエン)で出来ている。最近はシール類やゴムを傷めないと書かれているものもある。シール類やエンプラに対する攻撃力がどの程度かにもよるのだが、たまには(フラッシング剤を使っても)良いんじゃないかな、程度に思っている。
◆ ただフラッシング剤を入れれば綺麗になるかと言えばそうでもない。汚れた手を水で洗うと、水性の汚れが落ちてそれが洗った水を汚す。水が汚れなくなるまで手を洗っても、手は完全には綺麗にならずに汚れが残っている。その手を油性溶剤で洗うと洗い液が汚れて手が少し綺麗になる。繰り返し洗うと洗い液が汚れなくなるが、手には水にも油にも溶けない汚れが未だ付いている。これと同じように洗浄成分によって溶かせる汚れは違うが、溶けない汚れは落とせない。カムカバーを外してキャブクリーナでも吹きかければ結構綺麗になるんだけどねぇ、と言う話はまた後日。