FDMA(2/27)
◆ アナログ携帯電話はFDMA、PDCもFDMA、3GはCDMA、LTEはOFDMA、これはマルチアクセスの方式だ。PHSもFDMA、TD-LTEはOFDMAだがTDDになっている。TDDとは時間を区切って上りと下りの通信を行うもの。そうすると自分が使える、つまり自分が送信する時間が減ってしまうので音声を蓄えた後高速にして送信する。送信と受信を交互に行うと送信時間は全時間の半分しかないから、音声を2倍に"早口"にして送らないとつじつまが合わない。
◆ TDDやFDDはデュープレクス方式でTDDは時分割多重でFDDは周波数分割多重となる。
マルチアクセス方式の話に戻そう。一つの基地局なり帯域なりを利用して複数の人と通信するにはマルチアクセスの仕組みが必要だ。FDMAは最も簡単で分かりやすい方式で、使われていない周波数を通信に使うだけ。携帯電話系ではどの基地局でどの周波数が使われているのか、対応移動機がどのあたりにいるのかが把握できるので離れた基地局は同じ周波数を繰り返し使える。電波が届かなければ混信にならないからだ。
◆ CDMAはもっと複雑なのだが、理屈は以前に何度か書いている。これは全ての局が同一周波数を使うので混信という概念がない。正確には混信しながら使っているのだがシステムは混信とは気づかない。混信が増えても電波が弱くなっても同じように通信品質が劣化する。これがセルシュリンクなどと呼ばれる現象を起こす訳で、セル内利用者数が増えると混信レベルが増大して目的信号が相対的に弱くなってしまう。つまりは電界強度が落ちるのと同じ事が発生し、結果としてサービスエリア半径が減少する。なおFDMA/OFDMA方式でセルシュリンクは発生しない。
◆ どこかの事業者のようにセル設計をおろそかにして中継器などを乱立させるとこの混信度が上がってくる。それでも加入者数が少なければいいのだが、加入者数=利用者数の増大でパフォーマンスは一気に低下する。何しろ制御チャネルも通話チャネルも同じ物理チャネル内にあるので、そこの混信レベルが上がると着信や発信も出来なくなってしまう。CDMA方式は便利ではあるが、これらの点から移動体通信には不向きとされていた。
◆ FDMA/OFDMAは他局が使っていない周波数を使う原則なので混信は起きない。とは言っても限られた周波数帯故に、移動体通信であるが故に混信が実際には起きてしまう。
なので、混信状態を検出したら通信周波数を変えるなどの制御が必要だし、周波数が空いていなければ通信を切断するしか無くなる。FDMA方式では単一周波数で通信していたので空きチャネルがなければ通信が成立しなくなるが、OFDM方式の場合は多数のサブキャリアをまとめて使っているので、使いたい局が現れたら双方協議の上(実際には協議させるのではなく基地局側が独裁的に判定する)周波数を分け合って使う。分け合いも出来れば合成も出来るのでCAなども可能になるのだ。
◆ この分け合い方式がFDMAの頭にくっついたOなのかというとこれは違う。Oは直行させてますよと言う意味で、隣のチャネルに極近い周波数を使っても混信しませんよと言う意味だ。アナログテレビのチャネルが、東京エリアだと4,6,8,10,12と飛んでいたのは、4,5,6と使うと混信の可能性があったからだ。これがOFDMならば4,5,6と使っていっても混信しない。
何故ならば4チャネルを使っている局には5チャネルの電波は見えないからなのだ。横縞のスリットで縦の線を見れば縞が遮られるので明確に分かる。しかし横の線を見ると縞と同化してしまって見えにくい。まあ、そんな感じだと思えばいいだろう。
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