求職(1)(7/20)
◆ 若年層の生活保護受給が問題になっている件は過去にも書いた。生活保護費よりも多くの金を稼げるアルバイトの求人だって見かけるではないか。
勿論働いて金を得るか働かずに金を得るかの違いはあるのだが、では一体どのくらい稼げれば働いた方がお得になるかを考えてみよう。
◆ 東京都における生活保護費の月額は約14万円である。これが毎月貰えて、勿論税金はかからないし健康保険や年金を払う必要もない。保険に関しては国民健康保険を有するものと同等の医療が行われるとされていて、年金に関しては10年間の支払い猶予期間が設けられ、全額の1/2を支払ったものと見なされる。
◆ 東京都の最低賃金額は時給換算で837円である。最近ではアルバイト自体も減っているし時給も下落傾向で、おそらくはこの賃金ギリギリに設定されるのだろう。また8時間フルに働けるアルバイトも少ない。例え時給が千円でも3時間の忙しい時間帯だけでいいやと言われると稼ぎは少なくなる。
ここでは時給900円で7時間働いたと想定し、月間労働日数25日としてみる。労働日数が稼げるのは土日なども働く機会があるからだ。このペースで安定的に働くと月額約16万円を手にする事が出来る。
◆ 月額16万円分働いたとしてもそれを全て手に出来るわけではない。まずは所得税が3,200円(乙欄だと9,700円)引かれる。
住民税は翌年になるのだが月額換算約1万円が課税される。(横浜市の場合は所得額の10.025%+5,200円)他に国民健康保険税が取られるのだが、これは自治体によって税率というか計算方法が異なる。
納付金額はおおよそ1.7万円くらいになるだろう。年金は申請すると1/4免除が受けられると思うので、納付額は月額約1.2万円だ。これらを差し引いて手元に残るカネは13万円程度となるので生活保護を受けている状態に及ばない。2011年の国民生活基礎調査で生活が苦しいと答えた世帯が6割を超えたのも当然と言える。
◆ では月給20万円を手にしたらどうか。同じように計算していくと約16万円を手にする事が出来るので、生活保護を受けている場合と同等以上の生活が営める事になる。支払わなければならない金の中で節約というのはアレなのだが、支払わずに逃げる事が可能なのが国民年金と国民健康保険だ。
笑い話のようなのだが、年金と健保代を払ったら病院に行く金が無くなったみたいな。国民健保代は所得に比例して上がるのだが、まるで携帯電話事業者の二段階定額制のように急傾斜で上昇する。なお低所得者対策としての減免制度は各市区町村毎に異なるが、一般的には年々改悪されて支払額が低所得者にも及ぶ傾向にある。また計算方法変更による急激な国民健保代アップで支払いが困難になった人がかなりいるようで、自治体によっては一定の救済策を講じている。
◆ 以上は素人計算なので誤っているかも知れない。特に健康保険料は自治体によって計算方式も異なるので良く解らないが、横浜市の例だと住民税額の2.5倍+(年額)69,840円(40歳〜65歳の場合でそれ以外は住民税額の1.96倍+53,420円)だ。
つまり40歳未満で月収20万円、住民税額が月額換算約1.5万円の人の場合の国民健康保険料は月額換算33,851円になる。年収が低い場合は軽減措置が講じられるのだが、その年収が68万円を超える場合は軽減されない。そして年収69万円の人が払わなければならない国民健康保険の額は69,840円だ。
なお東京都区部では住民税のn倍ではなく、所得金額から算出する方法に変更された。
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