深海探査艇(11/3)
◆ 日本は世界に誇れる造船国であった。周囲を海や海溝に囲まれている事などもあり、海洋開発や造船技術には自ずと力が入ったからだ。深海探査の世界も同様に古くから研究や実験が重ねられた。
深海艇開発は昭和50年とかその前後ではないかと思うのだが、日本(三菱)が開発したしんかい2000が運用を開始した当時、米国ではすでに4,000m級の深度を誇る友人探査艇が出来ていたはずだ。その後日本はしんかい2000を改良してしんかい6500を作る。6500mまで潜れれば世界の海の97%の海底を見る事ができるのだそうだ。そしてこのしんかい6500は長期にわたって世界でもっとも深く潜れる、そして信頼性の高い深海探査艇だった。しんかい6500の前に作られたしんかい2000は現在は運用停止らしいが、しんかい6500は1,000回以上の運用に耐えている。
◆ 中国でも海洋資源開発や軍事利用などのための深海艇の開発が進められていて、それは2007年頃から公になっていた。今年になってその深海艇が完成し7,000mの海底まで潜れるのだと発表された。これによって世界の海の99.8%の海底に到達する事が出来るという。なお実用的ではない第一世代の有人深海探査艇?としては米国のトリエステがあり、1万メートルの海底に到達している。当時は浮力材として比重の比較的軽いガソリンが使われており、潜水艇の自重の20倍にも及ぶ重量の浮力材を必要とする構造だった。現在ではガラスコート系の樹脂素材みたいなものが使われているそうで、ガソリンよりも比重が軽いので浮力材質量を低減できるし船体容積の上でもメリットがある。
◆ 6,000m級の探査艇は日本の他にフランスやロシアも持っていて、特にロシア製の深海艇はペイロードが250kgと日本のものより100kgも余計に積める。
深海艇は電力で動くわけだが、現在では多くの船がLi系のバッテリを積んでいる。中国の新造艇は110V/800AHの酸化銀-亜鉛電池だそうで、設計時点が古いのかも知れない。確かこの酸化銀-亜鉛電池はホンダがソーラカーレースに参戦した時に使われていたもので、当時かなり特殊なものだったはずだ。他のチームなどからはホンダはカネに任せて何でもやると言われた。キャノピーにだって防熱処理のために純金蒸着を行ったくらいで、ではなぜLi系のバッテリを使わなかったかというと、当時はまだ信頼性の面で不安があったのだろう。
◆ 現在の技術からすると有人潜水艇ではなく、リモート制御可能な無人ロボット艇でも良いという話もある。しかし実際に何かの作業を伴う事を考えると有人の方が確かであり、中国などは海底ケーブルに盗聴器を仕掛けるとか何とかとも言っているので有人の方が確実なのかも知れない。海底開発や宇宙開発にしてもそうなのだが、中国は力を付けている。近隣諸国などはこれら中国の動きを快くは思っていない。北朝鮮的な危険思想とまでは言えないまでも、決して安定で友好的というわけでもない。
◆ その中国は人口増と経済発展によってあらゆる資源が不足してきている。ガス田開発にしてもそうだが、とにかくそこにあるものは掘り尽くしてしまうと言うのが彼らの理論であり、それは先進諸国はすでに何十年も前からそうしてきたではないかと。まさに800MHz帯寄こせ理論と相通じる感じがする。
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