進化(4/23)
◆ 一時期のCPUクロック周波数競争は凄いものがあった。いや、今でもクロックスピードは頭打ちの感もあるがパフォーマンス競争は行われている。CPUの処理能力が上がればOSが、アプリが巨大化し、それは更なるCPUパワーを求める事になる。やがてゲーム等々や一部のアプリ、シミュレータなどを除くとCPUパワーとOSやアプリの求める処理能力がバランスし、CPUのパフォーマンス競争は落ち着きを見せ始める。
◆ 2Gから3Gへの移行が順調に進んだ移動体通信の世界もこれと似たような状態にある。通信速度が速くなればコンテンツがリッチになり、より高速な通信速度を求める。PDCがそれまでの9.6Kbpsから3スロット利用の28.8Kbpsに移行したとき、その速さの違いはハッキリ実感できた。
そしてFOMAの公称384Kbpsになった時にも速さを感じることが出来た。こうなると着メロは着うたへと代わり、そのサイズも10Kバイトだったものが最大500Kバイトになった。パケット代負担は当然ながら増え、定額制が設定される。
◆ 夏頃にはHSDPAのカテゴリ6による最大3.6Mbpsの通信速度を誇る902iXが登場する。無骨なスタイルのこの移動機は、平均1.5Mbps程度の通信速度を発揮してくれるはずだ。現行FOMAの約5倍の通信速度は、動画のストリーミング再生などに威力を発揮するはずだ。地デジに消極的なドコモは、放送網による動画受信ではなく通信網によるそれを狙っているのか。HSDPA,HSUPAを3.5Gと位置づけ、更にOFDMを利用した3.9Gへと移行した後は4Gのサービスが始まる。実証実験では数百メガbpsの速度が出ているので、ハイビジョン放送だって難なく送れる。が、移動機の液晶解像度はVGAかSVGAに留まるだろう。何故ならば人間の目が精細化に追いつかないからだ。
◆ 確かにCPUパワーはあった方が良いし、通信速度は速い方が良い。が、不安定なOSは要らないしセキュリティホールのあるアプリも要らないように、au等に比較して劣っているとしか言いようのないiメールが変わらないとすれば、通信速度が上がったって使い勝手は悪いままになってしまうのかも。対するauは年内にもRev.Aでのサービスが始まりそうだ。QoSなどがサポートされるのでパケットベースでのTV電話も出来るようになるが、宣伝にはなっても実用的なサービスとは言い難いTV電話をauがやるかどうかだ。
いや、auがやればTV電話は今とは違う形で流行るのかも知れない。そしてRev.Bを経てウルトラ3G構想へと発展するのだが、ドコモのスーパー3Gとの違いは明確でFMCなどを含んだシステム全体としての(ドコモの場合は無線区間の速度向上のみを言っている)パフォーマンスアップ謳う。
◆ 自動車の近代化は自動化の波でもある。ABSやESPをはじめとする姿勢安定制御や、車車間レーダによる衝突回避などが運転をアシストする。つまり、機械が人間を助けてやらないといけない時代に突入したと言うことだ。この手のハイテクデバイスをもってアクティブセーフティと呼ぶには多少の抵抗を感じる。自動車としての基本性能を上げないままに、電子デバイスによって欠点を補うのは本質ではない。だがコストに縛られる国産各社、いや、今や世界中の自動車メーカが過剰にトヨタの真似をして基本品質を失いかけているのではないか。
移動体通信の世界も、PCや自動車の進化の道を辿っているに過ぎないような気もする。
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