- 2008年12月 2日 13:10
インプレスの調査結果は先日お伝えしたが、それに関して質問を頂いた。
すなわち無線回線の理論速度と実効速度の違いは単に混雑度合いだけなのかと言うことである。
各事業者共にデータ通信に関してはベストエフォートになっている。
つまり実効速度を保証はしませんよと言うことだ。
同じ基地局エリア内に多くの接続者がいれば当然速度が遅くなるし、空いていれば速くなる。
無線区間同様に地上区間も空いていれば速度が出るが混雑すれば遅くなる。
HSDPAは多値変調を使うので多少は電波利用効率が高まるが、その分大容量データの通信が増えるだろうから実際に余裕が出るtも思いにくい。
無線空間の混雑緩和にはマイクロセル化が有効になり、元々がマイクロセル設計であるPHSの伝送速度が落ちにくいのはこのためだ。
ドコモは都市部でマイクロセル化を進めている。
基地局の無線出力100mW〜10mWなどという小電力にしてセル半径を小さくする。
小さいセルなのでそのセル内利用者も限られるから速度が出る。
これと全く逆のことを行っているのがSBMだ。
中継局で圏外エリアを少なくしようとセル半径を広げた。
確かに加入者が少ない間はそれでも良かったのだと思うのだが、加入者が増えてくるととたんに破綻する。
私もたまに経験する発呼不良や、データを使っている人からの報告が増えているパケット通信のエラーなどがこれだ。
3G加入者数からすると例え中継局を使わなかったとしてもそろそろ混雑してくる感じなのに、中継局やホームアンテナで電波利用効率を下げてしまったから大変なのだ。
この回線混雑はホームアンテナや中継器をフェムトセルやナノセルに入れ替えていけば改善されると思う。
実はこれ、数年前からドコモがやっている手法だ。
従来は屋内のエリア化に中継装置を使っていたが、最近ではナノセルに置き換えられている。
ドコモは地上回線の増強に苦労していると話をしている。
各基地局から集められたデータを流すラインが詰まるというわけだ。
これは毎月のように増強や改善を行っているものの、なかなか余裕が出来ないという。
それほどデータトラフィックは多いのだ。
これと同じ事はSBMにも言えるが、幸いにしてHSDPAエリアが狭いので大きな問題にはなっていないのだろう。
このようにネットワークパフォーマンスを維持するには様々な技術的検討や対処が必要になる。
日々刻々と変わるトラフィック量や加入者数に応じた対策が行われなければ快適な通信は出来ない。
もうひとつは通信状態そのものによるエラーの差だ。
音声通話を行ってみると分かるのだがドコモに比較するとSBMの通話品質は悪い。
理由は様々なのだがドコモは送信ダイバシティを使用しているとか基地局密度が高いとかがある。
auは基地局も移動機も空間ダイバシティを使っている。
エラーが発生するとデータの再送が行われるので速度が落ちる。
通話であれば1/100のエラー(100bitに1ビットのエラー)程度でも何とかなるが、データ通信でこんなエラーが起きたら相当速度が落ちる。
通常のTCPに比較すればパケットサイズを小さくして最適化された通信方式を採るとは言え、やはり1/1万程度のエラー率でないと厳しいだろう。
エラーレートを下げるにはS/Nの確保やフェージングなどに対する処理が重要になり、特に多値変調ではこれらに敏感だ。
中継器とセルエッジの話はたまに書くのだが、タイムスロットで区切ってフルパワー送信するHSDPAと中継器の相性は良くない。
電波自体は通るのだが周辺局に与える影響などが大きく、つまり自分以外の局を妨害してしまうのだ。
すると妨害を受けた局のS/Nが下がってエラーレートが上がり通信速度が遅くなる。
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