- 2009年3月17日 10:36
昨日の情報通信審議会の話の続きである。
孫さんは例によって決算発表会風の泣き言と言い訳に満ちた演説を披露した。
所が相手は通信素人の経済アナリストではなく、見え透いたウソは通じなかったのである。
言い訳の基本は「800MHz帯がないから」で、これは何度となくくり返されている。
ようするに、800MHz帯を持っていないvodafoneを買ってしまった俺が馬鹿でしたと言っているようなものだ。
おそらく買収当時には、俺の力を持ってすれば800MHz帯をドコモから奪うことも出来ると半ば本当に思っていたのかも知れない。
これはまあ例えるとするならば、東京タワーのてっぺんに付いているNHKのアンテナは狡い。
公平な競争を促すためにてっぺんは俺が貰うから、NHKはテレビ東京か放送大学の下にでも据え付けろと言っているようなものだ。
以前の審議会で、では新たな新規参入者が800MHz帯を欲しいと言ったら再分割するのかと問われた孫さんは、他人にはやらない的な解答をしていた。
最近では少々言い方が変わってきて、800MHz帯を余り欲しがらなくなってきている。
これは800MHz帯を割り当てられたところで到底それを使いこなす技術もなければ設備投資するカネもないからだ。
2GHz帯や1.5GHz帯の鉄塔やパンザマストに大型の800MHz帯のアンテナを付けるには無理があり、エリア設計するにも800MHz帯のノウハウがない。
そこで出てきた言葉が「ドコモよ、オマエは俺たちに800MHz帯を貸さなければいけないのだ」である。
EMからHSDPAエリアを借りるようにドコモから800MHz帯のエリアを借りようというわけで、孫さん的には「それは加入者のためになる」とした。
すなわち、800MHz帯がないからエリア整備をしたくても出来ず、加入者はエリア面で不満を持っていると言うことだ。
あれ?孫さんは確かエリアカバレッジが99.9%を超えたからエリア整備は終了したと言っていなかったっけ?
vodafone買収当時にはエリア不満が多かったが、それを一気に解決したから今は大丈夫だと言っていなかったっけ?
端末買換年数が伸びているのに新周波数対応機など売れないのでは?
ドコモの山田社長はSBMは基地局が3.7万で中継局が5.5万だと言った。
SBMは基地局数を5.4万だと言っていたと思うので、数が異なる。
ドコモ的にはSBMの基地局や中継局のことなど調べ尽くしているだろうから、この5.5万の数字にはそれなりの意味があると思う。
もしもソフトバンクの「中継局数に個人宅のホームアンテナは含めない」が本当だとしたら、5.4万-3.7万=1.7万が中継局で、5.5万-1.7万=3.8万がホームアンテナか。
孫さんは中継局の多用により「格安で画期的なエリア増大方法を採用した」と自慢していた。
今まで誰も行わなかった画期的な手法だそうだが、そんなにローコストでエリア整備が出来るなら自分でやりなさいよと言うのがドコモの意見である。
余談になるがSBMな人に言わせると中継局は屋内に設置されているとのことだ。
これは屋外のエリア化を中継局に頼るとパフォーマンスが低下するのを(後になって)知ったための言い訳だと思う。
しかしSBMの宮川氏はメディアのインタビューの中で中継局多用によってパフォーマンスが低下してしまったことを認めている。
何故こんな見え透いた嘘をつくのだろう。
結局こうした中継局のばらまきなどでネットワークパフォーマンスは大きく低下し、それを改善するためのカネもない。
だとすると他社からネットワークを借りる以外に生き抜く道はないことになる。
そしてドコモとしては正当な申し込みがあればローミングを断れない訳で、孫さんはここまで読んでいるのだろう。
ドコモに責められると孫さんは話をauに向けて逃げた。
WILLCOM(DDIp)は当時800MHz/1.5GHzが移動体通信に使われていた中で、1.9GHz帯の低出力マイクロセルでサービスを開始した。
少なくとも私はWILLCOMが800MHz帯を寄越せと言ったのを聞いたことがない。
EMもそれまで移動体通信に利用されてこなかった1.7GHz帯でサービスを開始したが、800MHz帯がないから云々等という泣き言は聞いたことがない。
孫さんは移動体通信事業に飽きてしまったのだろう。
出来れば手放してしまいたいが借金のカタに取られているので身動きが出来ない。
或いはインフラ部分だけを売却か他社に分離、自分たちはMVNOが良いなと思っているのだと思う。
本題の接続料金に関しては例によって「自分たちがよく見える相手との比較」や、部分的な数字の比較に終始した。
これは「日本の携帯電話料金は高い」と2Gサービスの料金体系と比較してみたり、日本よりずっと安いパケット代でサービスしている国とは比べなかったりというあの手法だが、そもそも土壌が違うのだから比較には無理があると思う。
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/44525.html
この記事中の写真の、孫さんとドコモの社長の表情の差が事業余裕度の差みたいに見えて面白い。
孫さんは一人で勝手にエキサイトするが、他社は余裕の笑みを浮かべている…
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