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理論最大速度


  • Posted by: F&F
  • 2009年4月 6日 16:11

松本氏の持論として、理論最大速度が高くても実効速度は高まらないというものがある。
すなわちセル内で同時利用者数が一定割合いるのだから、いくらピーク速度を早くしても無意味だというのだ。

これは正しいとも言えるしそうでないとも言える。
現在の技術における周波数の利用効率はほぼ一定の水準まで来ており、それ以上にするのは難しい。
勿論空間多重などを使えば利用効率は上がるのだが、なので一般的議論の上では空間多重を使わない場合の周波数利用効率を語る場合が多い。
周波数利用効率が上がらない以上、残るパフォーマンスアップ策はマイクロセル化だ。
それこそ1人の加入者が1つの基地局を独占できる程度にまでマイクロセル化を進めると、理論伝送速度が実効速度とほぼ等しくなる可能性だってある。

http://agora-web.jp/archives/505500.html
松本氏はblogの中で、
> 東京都内のある地点から別の地点に車で行こうとしている場合、
> 「そうね、大体40分ぐらいじゃあないの。でも渋滞に引っかかったら
> 1時間ぐらいかかってしまうかも」と言うのが普通で、「深夜の3時に
> 信号無視で突っ走れば20分でいけます」などと言う人はいません。
>
としているのだが、理論最大速度とは制限速度を守って走った場合の最高速度になるはずだ。
従って信号無視をして制限速度以上をたたき出すような例はちょっと違うような気がする。

SBMの場合で考えると、中継局の多用でセル半径を大きくしてしまったのでセル内同時利用者数が増えてしまって実効速度が落ちた。
だからピーク速度を上げたところで実効速度は(セル内同時利用者数で制限されるので)余り変わらない。
実際7.2Mbpsのサービスをしていると謳うも、それを示すデータが出ていない。

私自身の考え方は松本氏とは少し異なる。
ピーク速度を上げた方が実使用時における快適性が向上すると考えるからだ。
例えば10Mバイトの動画をDLする場合にドコモネットワークだと20秒〜30秒を要する。
しかしもしこれが1秒で完了したとすれば待ち時間は1/20になる。
動画が5分間あったとすると、低速ネットワークでは20秒間ネットワークを使って5分休む(閲覧している時間)が、高速ネットワークならばネットワーク利用時間が1秒に短縮される。
1秒を実効平均速度と言ってしまうかどうかと言う面もあるのだが、これをピークと呼ぶならばピーク速度は充分使い勝手に貢献してくれるわけだ。

地図を見るにしても同じで、データのダウンロード時間は短い方が良い。
データのダウンロード時間が短縮されたところで地図を閲覧している時間は変わらない。
つまり平均速度の上昇よりもピーク速度の上昇の方が使用感に効いてくる筈なのだ。

   

Comments:5

Key 2009年4月11日 11:41

SBMの中継局の話が出ていますが、前にも指摘させてもらったようにSBMの中継局は屋内設置がほとんどでセル半径は増えていません。屋外は、例えば県内のかなりが山地で中継局が活躍しそうな群馬でも95%以上が通常のIMT局であることからも中継局はほとんど使われていないことが判ります。それに中継局がいくら増えようが、ユーザ数は自体は変わらないので、もとのIMT局当たりの負担が増える訳でもない。中継局により今まで使えなかった地点での接続が可能になった分は全体のトラフィックが増えるのは考えられますが、0コンマ何%以下のレベルでしょう。ドコモの例だと3万程度の基地局の時代から6万超えるようになっても音声のトラフィックをあらわすMOUはほぼ横ばいというか若干減少気味です。ソフトバンクが3.5万のIMT局に中継局を追加して基地局の数を5.4万にしようが、あるいはもっと中継局を増やして電波を改善しても、全体のトラフィックに影響があるわけではない。単に電波の穴が塞がって使い勝手が良くなるだけの話です。比較的最近になってドコモが、ソフトバンクを見習って中継局を1万2千局程度とソフトバンクに近いレベルまで増やしてきたのは、ソフトバンクが中継局を増やしたのを見て屋内や、屋外でもスポット的な電波の穴埋めには中継局が効果的であることに気がついたのでしょう。

Key 2009年4月11日 11:43

長くなったので分けました。

ところで私は7.2Mbpsのトップ速度の高速化はそれなりに意味があると思っているので、どちらかといえばこの件ではややマスターよりですが、ネットを漁るとこんなのもありましたので、松本さんの言っているのもあながち間違いではないと思います。
遊手徒食: イー・モバイルのHSDPA 3.6Mbpsと7.2Mbpsに速度差なし
http://aquila.cocolog-nifty.com/diary/2009/03/hsdpa-36mbps72m.html
(無理に差がない例を探してきたのではなく7.2Mと3.6Mをおなじ条件で比較したのはこれしか見つからなかった)
この測定では1.6Mbpsと1.72Mbpsでほとんど差がありませんけど、同時に使っているユーザが少なくて、かつ電波の良い条件であれば、基地局の電波を良好な状態で独り占めして、トップ速度7.2Mbpsと3.6Mbpsでもう少し差のあるデータが取れるんじゃないですか

松本さんも、条件がよければ2割程度は増えることを認めています。
http://blog.livedoor.jp/matsumototetsuzo/archives/94832.html
>一つ卑近な例を挙げると、現在、ドコモやソフトバンク、イーアクセスなどが使っているHSDPAと呼ばれる3Gシステムには、ピークデータレートが3.6Mbpsのもの、7.2Mbpsのもの、14.4Mbpsのものがありますが、ピークデータレートが倍々で増えても、データスループットはせいぜい2割程度の比率でしか増えていきません。

松本さんの言いたいことは、要するにトップ速度だけで技術レベルを語るなということでしょう。
>技術のレベルについて話す時に、いつもピーク時のデータスピードだけが語られることも、私の懸念事項の一つです。一番重要なのは、「ユーザーが実感するスピード」と「コスト」なのですが、これを決めるのは、「一定周波数あたりのデータスループット」であり、ピーク時のデータスピードなどはあまり意味がないからです。

>技術者の多くが、例え腹の中で、「そんなものに投資しても、それに見合うメリットは出ない」と考えていても、「しかし、マーケティングの観点から言うと、我社もやらざるを得ないじゃあないか」と言われると、結局は、そのまま進めてしまうことが多いようです。無駄なことをやれば、結局コストアップにつながり、ユーザーの為にもならないのに、「マーケティング」の観点、つまり「一般の人に『進んだ技術を導入した』と思って貰いたい」という観点から、ついついやってしまうのです。

三太郎 2009年4月11日 12:42

長文で説明したいときはこちらを使ってくださいね。
http://mb1.net4u.org/bbs/index.php?usid=softbankey&mode=thread&id=108&page=1

ご自身でスレッドを建てていただいても結構ですよ。
このネタも荒れそうだな・・・スルーすることが大事です・・・
と、自分に言い聞かせてみる(^^;

F&F Author Profile Page 2009年4月11日 13:06

Keyさん
中継局の殆どが屋内設置である論はKeyさんの主張以外で聞いたことがありません。
そもそも中継局の総数すらハッキリしていないので、殆どが何局になるのかも分からないですけどね。
ただメディアの記事の中で宮川氏が中継局を基地局に、ホームアンテナをフェムトセルに入れ替えていかないとネットワークが厳しいと発言していた事は知っています。

Keyさんでしたか、ドコモが真似をしたと訴えていたのは。
これは別の記事で検証しているように基地局数に対する中継局数の割合が一定である他、ある時点(Keyさんの言うのはSBMが中継局を使い始めた時点だと思いますが)から急に増えたり減ったりしていないことは明らかです。
むしろ急激に増えたのはSBMの方で、これも事実です。
特にSBMは基地局数が殆ど増えていないので、その割合的にも通常では考えられないくらいの増え方をしました。

何を持ってドコモが真似をしたとこじつけたいのかは不明なのですが、実際に数字を検証した結果でKeyさんの論は完全に否定されてしまったのです。

a&d 2009年4月12日 15:22

ドコモがSBMの真似をして中継局多用の件。
同じ論理を2ちゃんねるのTCAスレで以前見かけました。
SBMな方だったとばかり思っていたのですが、それについてはKeyさんだったということですね。
なるほどぉ。あれこれ大丈夫かなぁ(笑)

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