- 2010年6月12日 13:00
HSPA+やDC-HSPAはLTEよりお得なのか記事にして欲しいとmailを頂いた。
LTE関連は過去に何度か書いているのだが、簡単に繰り返してみようか。
なおKDDIの試算によればLTEの高い周波数利用効率により、現行方式に比較してビット単価は5倍のメリットがあるという。
5倍お得かどうかは計算方法にもよるだろうが、少なくともHSPAやHSPA+よりお得なことに違いはない。
つまり同じ量の通信をさせた場合、CDMA方式よりLTEの方が事業者のコスト負担が少なくなるわけだ。
HSPA+は現行CDMA方式の発展型というか何というかで、HSPAを多値変調にしたものである。
HSPAが16QAMを最高とするのに対し、HSPA+では64QAMを採用して伝送速度を稼ぐ。
しかし多値変調は充分なS/N比(RSCP)が無いとエラーレートが上がってしまうので、セクタ半径は小さくなる。
またS/N比を上げようとして送信電力を増やす傾向にあるので、セル内のRSCP低下をもたらす。
確かに収容加入者数が少ない状態、例えばマイクロセル構成の基地局配置であればHSPA+が充分なパフォーマンスを発揮するが、マクロセルやら中継器やらでセル半径を広げてしまったセルではパフォーマンスが上がらない。
日本の場合は世界有数の混雑具合であり、都市部でのセル内収容者数やトラフィックはどんどん増加する。
セル内収容者数が少なければ多値変調でもMIMOでも使えるのだが、混雑した中においてこれらは拡散符号との干渉を引き起こす。
ドコモがHSPA+的なものとW-CDMA+MIMOの実験をしながらもLTEへのシフトを決めたのはこんな事情があったわけだ。
HSDPAの最大規格速度が14Mbps、これに対してHSPA+は21Mbpsを謳う。
共に理論最高速度なので実際にはサービスしても意味が無く、HSDPAの実質最大が7.2MbpsであるとすればHSPA+は14Mbpsとなる。
DC-HSPAはマルチキャリアのようなもので、2つの基地局から異なるチャネルで信号を送出して合成しようとするもの。
単純に倍の帯域を使うので、単純に倍のパフォーマンスが得られる。
ただしこれもセル内が混雑しているとダメであるのは当然だし、2つの基地局と安定に通信を行わなければいけないので密な基地局配置が必要になる。
SBMがHSPA+を採用しようとするのは、SBMが言うとおり「LTEは高くて手が出せない」事も勿論あるだろう。
また最近の局であればファームの入れ替えでHSPA→HSPA+に変更できる可能性もある。
PAPRなどが異なるので設備によっては無理は出るだろうが、出来ない話ではない。
もう一つは松本氏の影響も大きいのではないだろうか。
彼はご存じの通りクアルコムと未だ関係が深い。
CDMA方式からの脱却はクアルコムへの特許料支払い低減につながり、だからこそクアルコムは様々な悪あがきをしているわけだ。
多くは書かないがクアルコム関連の事情もあると言うことで。
SBMは当初の予定を大幅に遅らせ、1.5GHz帯でのサービスはHSDPAで行うとした。
最初の、元気の良い頃はHSPA+だDC-HSPAだと言っていたのだが、周波数が確保出来るやいなや1.5GHz帯は2011年からHSPAでと言い始めた。
最初の予定だと今頃にはHSPA+でサービスが開始されているはずだったのに、結局口先だけだったわけだ。
http://www.itmedia.co.jp/promobile/articles/0906/10/news095.html
HSPA+を採用するからドコモより先を行けるなどと希望的想像をしていた人もいたようだが、希望は希望に過ぎなかったのである。
現実にはドコモのLTEサービスが開始された数ヶ月後(あくまで予定)に7.2Mbpsでのサービスが行われることになるのかな。
HSPA+の電波が吹かれるのはそのもっと先、もしかしたら世の中がLTE色にすっかり変わった頃なのかも知れない。
- Newer: トップページが更新されました
- Older: N-04B(13)
コメント投稿には JavaScript が必要です。ブラウザのJavaScript 機能を有効にしてください。
サインインしなくてもコメントの投稿は出来ます。
サインインしている場合はお名前などを入力せずに、そのまま投稿できます。
登録は簡単&それによって何かが起きるわけではないのでお気軽にどうぞ。
登録ページ書き込み→確認メール送信→確認メールのURLクリックで承認、の手順です。
確認メールに書かれたURLにアクセスしないと登録は完了せず、正しいログイン状態に移行できません。
コメント投稿完了までには少し時間がかかります。
二重投稿にご注意下さい。