- 2010年7月29日 12:00
LTEの話でKDDIは中野区の全世帯に30Mbpsでのサービスを行うと、48.8GHzの帯域を必要すると語った。
計算がどうなっているのか分からないが、これって「地球上の全生物が一斉に息を吸い込むと気圧が下がるかも」みたいなものだろうか。
ちなみに中野区の世帯数は184,290となっている。
これに単純に30Mbpsを乗ずると、約5.5Tbpsになる。
中野区内にKDDIの800MHz帯基地局は37、2GHz帯局は34ある。
この合計71で伝送速度を割ってみると、基地局あたり約78Gbpsだ。
LTEで2×2 MIMOを行うと周波数利用効率は6倍くらいになるので、78Gbpsを6で割ってみると12GHzとなりKDDIの主張と合わない。
じゃあ逆に、78Gbpsを48.8GHzで割ってみると1.5倍となり周波数利用効率が悪すぎる。
ちなみに800MHz帯局と2GHz帯局が同じ場所に設置されていると仮定するとその数は37(多い方を取った)だ。
これで計算すると約3倍となり、現在のRev.Aの周波数利用効率に合致する。
しかし実際にはセクタ制御されており、基地局の数は6倍程度に見えているはずだ。
どうもおかしい。
それに30Mbpsを連続してすべての世帯が使うなどという事はあり得ない訳で、もしそうだとしたら有線ブロードバンドの基幹線はいったいどれだけの帯域が必要になるのか。
SBMは従来の主張と変わらず、カネがないからLTEは後回しと述べた。
1.5GHz帯はHSPA+を使い、その理由は「速度面ではほとんどLTEと一緒で従来技術の延長線上にあり、端末価格は安く音声サービスもできる」なのだそうだ。
HSPA+とDCを組み合わせた最高速度は42Mbpsとなるが、もちろんこの速度でサービスが出来る訳ではない。
さらに多値変調によるセル半径の縮小など、抱える問題は少なくないはずだし多値変調と拡散符号との干渉も問題になる。
もう一つ、SBMがLTEに行けない理由としてiPhoneがあるのではないだろうか。
ドコモなどの場合はLTE化の開始とともに高トラフィックなPC接続などをLTEに誘導していけるが、現時点でLTEへの対応も1.5GHz帯への対応も"不明"なiPhoneでは予定も立てられない。
こうなると、LTE化によってW-CDMA帯域が狭くなりトラフィックを裁ききれなくなる可能性がある。
そうか!
SBMな人はこの問題点をドコモにい置き換えて言っていたのか。
つまり、2GHz帯でLTEを開始するとW-CDMA帯域を圧迫してパフォーマンスの低下が起きる、と。
しかしドコモの場合は高トラフィックなものからLTEに逃がすので結果としてW-CDMA帯域のトラフィックは低下する。
LTEはHSPAの2倍以上の帯域利用効率があるからだ。
何とも浅はかなSBMな人の主張だが、ご本人としては笑えない深刻な問題で、それを他社も同じだと思いたくて仕方がなかったのだろう。
EMはCDMA方式にMIMOを組み合わせれば速度向上は可能とした。
実はこれは数年前からドコモがさんざんやっていたのだが、結果として効率改善の可能性は低いと判断されたものだ。
理論最大速度が上がるというのと、理論最大速度に近いパフォーマンスが出せるのかという点には大きな違いがある。
特にセル内利用者が増えてくると急速に状態が悪くなってしまうのがドコモは許容できなかったようだ。
そのドコモはLTE前倒しで進んでいる。
ドコモが言うようにW-CDMAのセル効率には限界があり、特に加入者増による効率低下は無視できないレベルになっている。
高トラフィックと高速伝送を両立させるには、もはやOFDMAしか無いのだろうか。
WiMAX勢はWiMAX2で300Mbpsだとか言っているようだが、これには広帯域を必要とする。
http://www.ieee802.org/16/tgm/contrib/C80216m-07_007.pdf
そもそも一部WiMAX事業者はTD-LTEに吸収されそうになっているのに、UQは頑張るなぁ。
BWA会議などでも、高速化だ高速化だと叫ぶのは日本に事業者だけだと少々しらけた目で見られているというのに。
WiMAXは無線LANのオヤブンであり、呼制御もそれに準じている。
ハンドオーバなどの制御にしてもスロットを落としても何ら文句は言われない。
しかし音声通信から発展した来たLTEなどは通話品質確保のためにかなり厳しく厳密な制御が要求される。
こうした品質や信頼性、遅延なども含めて考えなければいけないと思う。
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