各社の決算

移動体通信各社の決算が発表された。
ドコモは増収減益、KDDIも増収減益、ソフトバンクは増収増益だった。

ソフトバンクの連結経常利益は4658億円でKDDIのそれを初めて抜いた。
ただし移動体通信分野のみの数字ではなく、貢献度が大きかったのは固定系を黒字に持って行った事だろう。
また借金の金利負担や特別損失の計上額もウルトラ級であり、これを差し引いた純利益ではKDDIの半分以下、967億円となる。
ちなみにドコモの純利益は4.9％増の4948億円だった。

ソフトバンクの場合は、稼いでも稼いでも金利支払いや様々な損失に持って行かれる形だ。
純増数では勝っていても解約率が高止まりしている現状と似ている。
各社解約率はドコモが0.44%,KDDIが0,75%なのに対してSBMは1.02%だった。

ARPUはドコモとKDDIが減少傾向なのに対してSBMは増加した。
パケット定額のフラット化や有料メール送りつけ商法などが功を奏した形だ。
ただし増加と言っても大手二社に比較すればまだまだ低い。

SBM
音声：2,030円
データ：2,250円
総合：4,290円

KDDI
音声：2,860円
データ：2,300円
総合：5,160円

ドコモ
音声：2,680円
データ：2,510円
総合：5,190円

KDDIのパケットARPUが伸び悩んでいる。
厳しいパケット規制なども関係しているのではないだろうか。
SBMのようなあからさまな値上げに踏み切る訳にも行かず、苦しいところだろう。

そういえば孫さんはCM好感度自慢はしたのだろうか。
ドコモに負けていたし、ちょっと気になった。
孫さんの言い訳じみた部分は↓に譲る。
http://k-tai.impress.co.jp/docs/news/20100729_384235.html

フェムトセルの申込数が3万件だそうで、いかに弱電界で苦労している人が多いのかが思い知らされる。
それと同時に、この後少なくとも3万局の基地局免許増となる事が分かった訳だ。
なお設備投資額が予定より少ない件に関しては、いつも通りの言い訳に終始した。
iPhone販売時における不正なカネの流れ、頭金と称したカネを取った件とその返金問題に関しても問われたようだがハッキリとは答えていない。

ドコモはXi(クロッシィ(9641?))を発表した。
ロゴは悪くないが言いにくいというか覚えにくい感じもする。
もっとも、それが世間に広まるくらいでなければ駄目だとの思いがあるのかも知れない。
LTE音声移動機は来年末である事が明らかにされた。
当初は来年の夏モデル？みたいなニュアンスもあったのだが、やはり冬になるようだ。
エリアカバレッジなどを考えるとその1年後、12年の冬あたりからLTEシフトが目に見えてくるのかも知れない。

屋外エリアの37.5Mbpsは5MHz幅を使った場合の理論最大速度であり、18.75Mbpsの2×2MIMOである。
W-CDMAが5MHz(占有帯域幅としては約4MHz)で14.4Mbpsであり、OFDM(OBWは約4.5MHz)にしたからといって極端に周波数利用効率が上がる訳ではない事が分かる。
もちろんMIMOの分だけ、つまり2倍以上の周波数利用効率が得られるのは確実ではあり仕様上は8×8まで可能だったはずだ。
20MHz帯域で8×8のMIMOを使った場合の伝送速度は600Mbpsとなる。

松本氏はHSPA+もLTEもたいして変わらないと言っていたが正しくない。
HSPA+とDC-HSPAを組み合わせて42Mbpsの理論最大速度は得られるが、この場合の実質帯域は10MHz幅に相当する。
この時点でLTEの約半分の周波数利用効率になる事が分かるが、HSPA+では多値変調を使うためHSDPAに比較すると伝送誤りが多くなる。
当然高いS/N比も要求されるのでセル半径も縮小するが、それでも誤りは避けられない。
これを担保するために誤り訂正能力を上げ、これは冗長部が増える事になるのでペイロードが減少し実質伝送速度が遅くなるのだ。