探偵(6)

携帯電話が鳴った。
「もしもし、このアタッシュヤバいわ」
え？何がヤバイって？

「アタッシュを開けたら、これは爆発物で人感センサが付いているから離れたら爆発すると書いてあるのよ」
他にタイマとか、なんかそんなものは付いているのか？
「ディジタル時計が付いてる。アラームのセット時間は午前3時」
爆発物ってどんな、ダイナマイトみたいなものとか？どんな感じだ？
「褐色の液体の入った容器と、ディジタルのアラーム時計と、使い捨てカメラが見えるわ」
それって液体爆弾かも知れない。使い捨てカメラのストロボが起爆装置だ。
今そっちに行くから。
「ダメよ、来ないで。私が車に入った時に何かのスイッチが入ったから、又車のドアを開けたら危ないわよ。最初は緑のランプが点いていたのが、今は黄色が点滅していて、私がこのアタッシュから離れようとするとオレンジが点灯するのよ」
だって、何とかしないと爆発するぞ。
「この液体を流してしまうのは？」
いや、液体爆弾がどの位不安定なものか分からないけど、衝撃で爆発したら元も子もない
「じゃあどうするの？」
強気な保子だが声が震えている。
俺はタイムアウトまでは未だ時間があるからと言って保子を安心させたつもりだったが、爆発物のすぐ近くにいる保子にとっては気休めにすらならなかったかも知れない。

液体爆弾がキセノンフラッシュを起爆装置にしているのなら、その電極に接続されている線を切ることが出来ないだろうか？
保子に使い捨てカメラからの配線を見させると、電極に接続されている線などはまとめられて10本くらいの束になっているという。
おそらく特定の線を切れないようにするトラップなのだろう。
アタッシュ内部の写真をケータイで撮って送らせると、液体の入った容器はかなり大きな感じだ。
これが本物だとしたらかなり強力な爆発力になるだろう。
トラップかダミーか分からないが何本もの線や、光って映っているのは極細の電線だろうか？およそいじるのを拒否するかのような作りだ。