- 2010年10月30日 20:05
盛岡までは50kmくらいなものだから、高速を使えば20分くらいだな。
保子を乗せて平泉のICに向かう途中に由美子から電話がかかってきた。
「もしもし、液体爆弾の事が分かったわよ」
俺はコンソールのハンズフリーボタンを押した。
あの爆弾って本物だった?
「ええ、本物だったわ。周囲の車まで吹き飛ばすくらいの威力があるそうよ」
そうか、本物だったのか。
「何故?本物ではないと思ったの?」
だってだよ、普通に考えてみろよ、いきなり爆弾に遭遇する確率がどの位あるかって。
「それには理由があって、あの爆弾はクライアントが置いたものだったの」
だから偽物じゃないかと思ったんだよ。
「あなた達を試したとクライアントは言っていたわ」
それなら余計に、偽物で良かったはずだ。
万一解体できなかったら木っ端微塵じゃないか。
俺は由美子に噛みついてみたが、由美子は何も答えなかった。
クライアントは俺たちをオモチャにしているだけ?その為に報酬を払ってハンティングでも楽しんでいるのか?
「ところで、どうしてあの爆弾を解体できたのかってクライアントが不思議そうに言っていたわ」
どうしてって、死にたくなければ解体しろ、だろ?
「信管の線が引きちぎられていたんだけど、あそこを壊すと爆発するはずだって」
さあ、運が良かったか爆弾が壊れていたんだろ。
俺は説明するのも面倒なので適当に答えることにした。
それで、次なる指令は何ですか?ボス
「未だ次の依頼は来ていないから、その辺りで遊んでいて頂戴。そうそう、保子も一緒?」
「ええ、助手席に乗せて貰ってドライブ中よ」
「あなたのケータイ、圏外なんだけど電源切れてるんじゃないの?」
「これ、5oftbankのだから圏外なのよ」
「連絡取れないと困るから何とかしてね」
「あとで契約し直してくるわ、番号変えないからこのままで」
爆弾でテストとはやってくれるじゃないか。
依頼人としてはそれなりの報酬を払っていると言うことだろうし、確かに5千万円をポンと持ってくるのだから危険性も納得しなければいけないか。
複雑な思いはあるが、片足突っ込んでしまった以上どうしようもない。
ところで保子、キミはこの仕事に係わっていて良いのか?
「係わってと言ったって、半ば無理矢理じゃない。仕方ないわよ」
意外と覚めてるんだな。
「それはお互い様ね」
まったく… 俺は言葉がなかった。
毎日のつまらない生活、時間が来たら起きて会社に行き、仕事が終わったら帰ってきて寝る。
25日になれば給料が振り込まれていて、それが毎月くり返されるだけだ。
確かに面白い仕事もあれば苦労もするのだが、まさに歯車の一つ、部品に過ぎない人生だなとは思っていた。
俺がいなくなったって会社は何も変わらない。
そう、変わるようでは安定した会社ではないと言うことになる。
※続編が書き溜められるまでしばらくお休みします※
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