- 2012年5月19日 11:01
ピーク電流を抑えることを考える。
掲示板でも話が出ていたが、チョーク入力型整流回路的にコイルを入れてコンデンサのチャージを遅くするのも一案だ。
もっとも三田無線の場合はDC-DCコンバータを連続発振させると共に平滑コンデンサも入っている(回路の通り)ので、コイル無しでSCRがONすると平滑用コンデンサの電荷が全て無駄になる。
放電用コンデンサが3.2μFなのに対して平滑用コンデンサは33μFもあるので、コイル無しでは回路が成立しない。
そこでコイルを直列に入れてSCRがターンオンした時に急激に電流が流れないようにしている。
SCRがターンオフするとコイルにチャージされたエネルギが(昇圧レギュレータ同様に)、放電用コンデンサに移る。
SCRは少なくともイグニションコイルのインダクタンスをチャージして共振するまでターンオンしている訳で、DC-DCの出力に入れるコイルはイグニションコイルの10倍とか50倍くらいのインダクタンスが必要になる。
こんなに大きなしかも耐圧のあるコイルを入れる訳には行かないし、これだと高回転時のチャージが間に合わなくなる。
抵抗でも良いが、せっかく作った電力を熱に変えるにはもったいない。
もう一つはDC-DCの出力の整流回路のインピーダンスを上げる手だ。
倍電圧整流ならば整流回路のコンデンサ容量を小さくするのだが、結局チャージ時間が伸びるので高回転時のチャージが間に合わなくなる。
多少細工された自励式ならば負荷が重くなると発信周波数が下がって整流回路のインピーダンスはより高くできる。
今回製作したCDIでは一次側にピークカット回路を入れる事にした。
FETのドレイン電流を見て、4A位になったらDC-DCコンバータをごく短時間だけ止める。
インチキプッシュプルもやめてFET1個にした。
スマートに行くならば、やはりONデューティを短くしたい。
PWM制御をすればスロースタートでも何でも出来る。
でも面倒なので(こればっかり)トランジスタで細工した訳だ。
10Aも流れるのはほんの数百μS程度なので、この間制御がかかってNE555はバースト動作する。
CDI用の電源ラインも横着せずに別に引くことにした。
中華HIDキットに入っている電源リレーがそのまま使える。
入力の電解コンデンサも100μFを3パラにすると共にMKT(積層フィルムコンデンサ)も付けておいた。
ところでCDI、いやイグニションシステムとはどの程度の電力を消費するものなのか。
イグニションパワー150mJを得るとして、CDI自体の効率とイグニションコイルの効率をざっくり50%とすると300mJを作り出す必要がある。
エンジンが4000回転で回っていて4ストローク4気筒だと1分間に8000回のスパークになる。
0.3J×8000で2400Jの熱量が必要だ。
これは40Wになるので12V換算で3.3Aの消費電流だ。
CDI1号機は360度点火換算1万回転時に14Vで3Aを消費しているから2520Jだ。
つまりCDIの入力熱量としては252mJになり、火花エネルギとしては126mJ位ではないかと予想出来る。
これはノーマルイグニションシステムの2倍程度の熱量であり、それを表すようにイグニションコイルがかなり発熱する。
トリガ回路も多少変更した。
これまではノーマルイグニションコイルの逆起電圧(Hiレベル)を検出してSCRをターンオンさせていた。
具体的にはノーマルイグニションコイルのマイナス端子→5kΩ→2700μHのインダクタ→トリガ用微分回路等々と接続していた。
逆起電圧は抵抗とインダクタで適度に減衰されてトリガ回路に入る訳だ。
それを、イグニションコイルのマイナス端子がLowレベルでなくなったらトリガするようにした。
ノーマルイグニションコイルのマイナス端子→ダイオードのカソード→プルアップしてトリガ用微分回路等々に変更した。
この方がトリガ回路のインピーダンスを下げる事が出来るのでノイズなどには強くなると思うし、CDI単独使用でも複合使用でも共通に使える。
CDIの電源を切ればノーマル点火になり、ノーマルコイルの一次端子を外せばCDI点火になるという訳だ。
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