自動車関連税

政府は自動車税と健康の一体改革を行う。
表向きはEVや低燃費車などを考慮した税制と、EVインフラ整備用特定財源の確保としている。

従来から議論のあった自動車取得税はこれを廃止する事になった。
消費税の税率アップもあり、自動車業界から強い要望があったからだ。

重量税は暫定分をカットして本来の税率に戻すと共に、低公害車など一部で減額していたものも廃止する。
これは低燃費車などが特別なものとはいえなくなったからと言うのがその理由だ。
税額自体も変更され、おおむね1t以下の車重では減額、それ以上では増額になっている。

低燃費車優遇が終わった代わりに、非低燃費車増税が始まる。
これは従来のような同クラス平均と比較して燃費がどうかというものではなく、絶対燃費で税額が決まる。
今年度の燃費基準は20km/lで、これを越えるものは増額されない。
一方で20km/l未満の車両では税額が2倍、15km/l未満は3倍、10km/l未満にあっては4倍もの税額になる。

燃費テストモードはJC08-2013が使われる。
これは従来のJC08モードにEVやPHVの規定と基準を設けたもので、HVやPHVはガソリン換算燃費かkm/kWhを選択できる。
ちなみにプリウスPHVはガソリン換算燃費で25km/lとなる。

昨年から言われていた走行距離に応じた税を課する件も決められた。
乗車定員×年間1万kmあたり5千円がその税額だ。
定員5人の乗用車で年間5千キロ走る人は2.5万円の課税になる。
また定員の1/3以下の乗員での走行距離が全走行距離の1/3以上あった場合は、税額が5倍にされる。

この乗員数や走行距離を管理するために財団法人課税システム高度化推進機構(英文名称 Organization for Rude System Enhancement 【ORSE】（オルセ）)が設立される。
車両には乗車人員と走行距離を計測するElectronic TAX Collection System (ETC)を取り付けなければならない。
取り付けは指定の工場で、機器代と取り付け代はおおむね20万円だそうだ。
なおこのデータはVICSビーコンなどを利用して逐次吸い上げられ、不正発覚時には重い罰則が待っている。

この装置には乗員の体重を計測する機能があり、メタボ領域の人だと厚労省から保険代の割り増し請求が来る。
国交省と厚労省の天下り役人で構成された財団法人課税システム高度化推進機構は、行政の縦割り垣根を越えた自動車と健康の一体改革だと胸を張る。

乗車定員対策用の"置物"が早くもオークションに登場した。
ETCを誤魔化すために人間の動きと体温をシミュレートするこの人形は1体5万円だとか。
この一体改革に猛反対していたタクシー業界は、こぞってこの人形を買い入れたそうだ。
もっとも、その後Nシステムを使った人形検知システムを経産省が主体となって導入、財団法人課税システム高度化推進機構には経産省からも天下りを招き入れる事になる。