海水水槽：白点病治療とオキシドール・オキシフルまとめ(5)

実験やデータによらない、感覚的なところも書いておきたい。
白点病の急激な蔓延で全滅かと思われたのだが、半数弱の魚は生き残った。

白点病のきっかけは炭素源である。
それまではバクトバランスを使っていたのだが、NO3が上昇したためNO3:PO4-Xを添加した。
これでNO3上昇は押さえ込めたが、更に減らすためにNO3:PO4-Xを増量した。
NO3濃度は測っていなかったのだが、おそらくゼロ近くまで減ったのだろう。
バクトバランス添加によるNO3の減少が穏やかなのは、バクトバランスはバクテリアとその餌の混合物(らしい)という話がある。
従って炭素源が過剰になる危険性が少ないと言える。
だがNO3:PO4-Xの効き目は急激であり、RedSeaが言うようにNO3を計測しながら添加しなければ危険がある。
嫌気バクテリアが消費しきれない炭素源は白点虫やその他悪玉菌を大増殖させた可能性がある。
白点だと思った翌日には何匹かの魚が死んでいくような、今回は急激な広がりを見せた。

前回の白点病発生時と異なり、今回は過酸化水素水(オキシドール)の添加量を増やして対処することにした。
放っておけば白点病で魚は全滅すると思い、それがオキシドールの大量添加を決意させた。
白点病で死ぬか、オキシドールの過剰添加で死ぬか、ならばオキシドールの効果の検証をした方が良いと考えた。
白点病は誰でも経験するが、ICHの添加量を超えてオキシドールを添加した記事が無かったこともある。
誰かが実験しなければ、ICHの添加量準拠が全てになる。
海外で販売されている過酸化水素水ベースの白点病治療薬は、100リットルあたり約26mlの添加量が指示されている(過酸化水素水濃度は不明)ので、ICHの規定添加量が全てではないとは思っていた。

6時間毎の添加ではなく毎日1回添加を、最初は0時頃に行った。
しかし21時頃に行った方が効果的に感じた。
魚体から白点虫が離れるのが夕方から夜らしいので、ここも狙うことが出来るのが21時頃なのかなと思った。
1回添加だと過酸化水素水濃度が数時間で下がってしまうので、添加時間が重要なのかも知れない。
過酸化水素水の自然分解はpHが高い方が早い。
水槽内での分解は、有機物と触れることによって起こる方が自然分解よりも多い筈だ。

海外の文献によると、400ppm濃度の過酸化水素水で薬浴するというものがあった。
100リットルの水に30mlのオキシドール(濃度3%)を入れると、その濃度は9ppmである。
トロントを1時間で死亡されるに必要な過酸化水素水濃度は25ppmであるとの記述もあるので、相当な濃度が必要だという事が分かる。
25ppm濃度にするためにはオキシドール(3%)を約83mlを入れなければいけない。
今回は1度の添加では最大60mlのオキシドールを入れているので、この時の濃度は18ppm位になったはずだ。

なお二酸化塩素の有効性に関しても書かれていた。
これは養殖現場でも使われているそうで、濃度100ppmで魚の死亡はないそうだ。
しかし400ppm濃度では24時間後に死亡する固体がみられた。
グリーンFクリアは二酸化塩素主体の淡水用治療薬だ。

メルク エムクァント分析用試験紙を使うと0.5ppm〜25ppmまでの過酸化水素水濃度を測定出来る。
100回分で4千円弱とリーズナブルなので、機会があれば水槽内の過酸化水素水濃度の変化を計測してみたい。

水槽や生体の状態は全て異なっていると言える。
ウチの水槽でうまく行ったからと言って他の水槽でも効果があるとは限らない。
ウチの生体に異常がなかったから他の水槽も同様だとは言えない。
例えばキイロハギのショック症状だ。
他の魚は何と言うことはないのに、キイロハギはリン酸塩の急減でショックに陥り死んでしまう。


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