VC

過去の雑記置き場


産業(3/1)
パワー計(3/2)
中華エンジン(3/3)
OTL(3/4)
(3/5)
真空管(3/6)
テストオシレータ(3/7)
同軸コネクタ(3/8)
トランジスタ(3/9)
観測(3/10)
3.11(3/11)
分け合い(3/12)
VoLTE(3/13)
パワー計(3/14)
技適とは(3/15)
EME(3/16)
アニメ(3/17)
RoHS(3/18)
はんだ(3/19)
パワー計(3/20)
パワー計(3/21)
レンジ(3/22)
SSB(3/23)
CA(3/24)
サイクロン(3/25)
抵抗計(3/26)
発電(3/27)
CA(3/28)
外食産業(3/29)
JARL(3/30)
SONY(3/31)


SONY(3/31)
◆ トランジスタを量産しトランジスタラジオを作ったSONY、CCDの量産工場を作りシェアを獲得したSONYであるが失敗も数多い。VHS対βのビデオ方式争いを覚えている方も少なくなったとは思うが、良いものが売れるわけではなく売れたものが良いものだと示した見本でもある。

◆ 次なるSONYの功績は3.5インチのフロッピィだろう。これに気をよくしたのかどうかは知らないがMD-DATAを作って大失敗している。
MDの方は最初の頃こそ流行らなかったがライセンス供与で取り扱いメーカが増えて息を吹き返した感じだった。ただし半導体メモリオーディオプレーヤ全盛となり姿を消す事になる。

◆ まあ失敗を上げたらキリがない。LカセットはSONYだったかな、Panasonicは何だっけDCCいや、違ったか。こうして出ては消える様々なものが氾濫している時代でもあった。メモリスティックも同様で、オープンライセンスにすればメモステがスタンダードにになっただろうに、SONYにだけは金を払いたくないと考える企業が多かった事もあり廃れた。
CDはSONYの大成功である。ただしコピープロテクトに熱心になったのは大失敗だった。
さらにはDVDへの移行が遅れたのも失敗であり、BDの件でもゴタゴタになってしまった。

◆ オーディオ以外ではPLAYSTATIONが思い出される。家庭用ゲーム機時代の幕開けでPSが売れに売れた時代だった。但しそれも長くは続かずに廃れるわけだが、PS-Xだったかなぁ仕様は立派でも売れなかったのは。
vaioだって売れた時代があった。売れた時代はあったのだが先が続かなかった。それは信頼性なのかも知れないし性能だったのかも知れない。

◆ スマートフォン事業も価格競争にあえいでいる。モデルサイクルを考えるなども必要だろうし低価格競争をどう見ていくのかも重要になる。モデルチェンジを繰り返して成長するのは日本のやり方でもある。自動車にしても電化製品にしても改善を加えながら新製品を発売してリプレイスして貰う。しかし製品が安定してくるとそれは開発費負担になってくる。

◆ 代替需要がどの位になるのかは景気にも左右されるしPCやゲーム機同様に人気だとか価格だとかにも敏感になる。
SONY製品は私もいくつか使った事があるが性能が云々とは余り思った事はない。デザイン性だとか奇抜?性だとかは認める所もあり、それが好みに合えば買う。

◆ 製品の出始め過渡期に強いSONYは低価格量産が始まると勝てなくなるような気がする。量産化技術であればSONYより例えばPanasonicやシャープの方が鍛えられているし得意なのだ。
そう考えるとSONYのライセンス商売は良いようにも思えるのだが、必須特許などそうそう取れるものでは無いばかりかライセンス問題があるなら使わないよとそっぽを向かれてしまう。

◆ 独占販売で利益が上がる期間はきわめて短い。
ゲーム機などではソフトと一体となっての面があるので有利だが、そのソフトがヒットしない事にはどうにもならない。Appleにしても同様で独占状態にあれば大きな利益が見込めるのだがMAC VS Windowsと同様な競争状態になってくると1社独占はメリットではなくなってしまい多勢に無勢になってくる。それでもAppleはブランド力を武器に頑張ってはいるのだが、未来が明るいとは誰も考えていないだろう。


JARL(3/30)
◆ JARLとは日本アマチュア無線連盟であり、アマチュア無線の発展と…(中略)…のために1926年に設立された。JARLは有料会員制になっていてアマチュア無線を始めると何となく会員になったというか、会員にならなければいけないのかな?みたいな雰囲気だった。

◆ 会員はQSLカード(交信証明書)の転送などを行って貰えたのだが、私はQSLカードを出していた時も郵送していたので余り恩恵は感じられなかった。で、やめた。
それから何年かして永久会員制度みたいなものが始まって少し話題になった。何万円か払うと年会費を納めることなくずっと会員でいられますよみたいな制度で、これで一気に金を集めてJARL解散かみたいな話しすら出た記憶がある。

◆ その永久会員制度は後にも残っていたそうなのだが永久会員になるための費用が値上げされたり、永久(終身)と言っておきながらも永久ではなくすとか何とか。終身会員費の最初は1万円、それが5万、8万、20万円と値上げされた。終身会員制度は最初にお金を沢山払うと、その運用利回りで終身会員になれますよ、でも途中で無線をやめたりしてもお金は返しませんよという制度だ。

◆ 所が財政難を理由に終身制度を見直し、さらには既に終身会員となっている人からも金を取るという話も出てきたのだが、当然のことながら猛反発を食らう。
終身会員になった人には終身会員ですよとの会員証が発行されているのだから、それを途中で破棄する事は(普通は)出来ないだろう。そもそも終身会員数なんて余り多くないわけで、それで財政云々というのもおかしい。

◆ 最終的には終身会員制度そのものをやめる(新規募集しない)事、終身会員は終身会員ではあるが別途費用の発生するサービスはその都度払えみたいな格好となったようだ。
これだって相当横暴な改悪であり、さらには月刊紙が季刊紙になったりWebサイト問題があったりとガタガタである。

◆ この手の団体は聡明機にこそ様々な苦労やあるいは発展を助けるための活動を行ってきたと思うのだが、安定期に入ると役割の大部分を終えたようになってしまう。しかもクローズな団体と言う事で会長は延々とその椅子に座り続け(前会長は30年以上)、どんどん金を使うようになる。会の運営はその幹部自身が行うのでまさに好き放題、これは度々問題にされるが外部からの新しい風の流入を強固に阻止する事で守りに入った。

◆ 目的を失った団体は悪へと進む。
この先JARLがどうなるのかは分からないが、会員制団体の多くが似たような道をたどる。
個人向けの団体でなく企業や関連事業者で構成される団体にしても目的が曖昧になると会費の無駄遣いが始まり、金が足りなくなると会費の値上げが待っている。

◆ JA問題なども昨今取り上げられているが、これも同じようなものだ。今や農業関係者のための団体ではなく金融事業がメインとなっていて農業関係者にとっては邪魔なものでしかないみたいに言われる。しかし改革を行おうとしても強固な守りで外敵を阻止する。内部のカネは外部に出さずファミリー間で消費するなど徹底している。


外食産業(3/29)
◆ 異物混入などもありマクドナルドが不況に陥っている。マクドナルドはこれまでに何度も売り上げ低下を経験しており、そのたびに格安メニューなどを展開するなどして客足を呼び戻していた。
マクドナルドはこのてのチェーン店では珍しく店舗によって商品価格が異なっている。
店舗コストや地域の物価に合わせてと言うわけで、その品物が高いのか安いのかよく分からないみたいな感じだ。

◆ おそらく景気が良ければ少々の価格の違いは気にしないという客も増えるのだろうが、学生や昼間の主婦層が中心となると価格にはシビアに反応する。分かりにくい価格系が吉と出るのかどうか、また全国統一価格に戻す日が来るのかどうか。
客数が減少し、客単価も減少するというダブルパンチを、マクドナルドはいかにして跳ね返すのだろうか。

◆ もう一つの低迷店はワタミだ。一時期にはかなりの売り上げを上げた同チェーンは、モンテローザに店ごと真似をされるなどする模範店の様相さえ見せていた。私も何度か和民に行った事があるのだが、最近はアルバイトの質が悪いなと思う事もあった。
ブラック企業の代名詞となったワタミに優秀な人材が集まらないのがその一端とも言える。

◆ 優秀でない人材でも優秀なリーダがいれば店全体のレベルは上がる。しかしその優秀なリーダだが不在とあってはどうにもならない。
起死回生とばかりに一新したメニューにも問題がありそうで、味に拘り店で作るという数々の品物は出来上がりが遅い。
客足が遠退いた事により作り置きが出来なくなり、都度最初から作り始めるので出来上がりが遅いのだ。

◆ 価格が高いのもマイナスで、確かに味は悪くないのかも知れないが一つの品物の価格が高い。安価なものを色々頼むという居酒屋的な感じではなく、1つか2つ頼むとお腹いっぱいみたいな。高価格メニューはそれなりの素材と量があるからだとワタミは言うかも知れないが、ちょっとピントがボケている。

◆ ワタミは渡辺社長の情熱が維持していたとも言えるグループであり、その渡辺氏は過去に「飽きられる事が一番の恐怖だ」と語っていた。しかし実際には渡辺氏自身がワタミに飽きてしまったのではないのか。本社には渡辺記念館的なものまであるというのだが、その渡辺氏は政治に興味を奪われている。

◆ カリスマとも言われた経営者が、自分の後釜を育てられぬまま事業から遠ざかると悲劇が待っている。これはその経営者が有能であればあるほどインパクトが大きい。後継者不足に悩む名人などでも同じなのだが、自らの持つ能力が大きいが故に後継者を是としない。

◆ 後継者の育成を宣伝にも使ったソフトバンクも同様だしジャパネットたかたにも後継者の壁がある。たかた社長は、何故(自分に出来る事が他の者に)出来ないのかとイライラの連続だとか。誰にでも出来る事ではない能力を持っていたからこそジャパネットは大きくなった。

◆ ソフトバンクの真相は不明だが、孫さんがモバイル事業に興味を失ったのは事実だろう。だから業績が悪化したのか、それとも業績が悪化したから会長に退いたのか。もっともヤフーなどは孫さんの力が及ばない方が上手く行くなんて陰口すらささやかれる。


CA(3/28)
◆ auに続いてドコモもCAを開始した。シングルバンドで20MHz幅を取るのとマルチバンドの合計で20MHz幅とするのでは、ピーク速度ではシングルバンドの方が速度が出やすいが、平均速度という点ではCAの方が有利になる。

◆ LTEで問題視されるセルエッジの問題もCAでカバー出来る場合もあり、移動時などの通信安定性でもメリットはある。但しそれはそれ相応の制御がなされている場合で、非CAのマルチバンドの使い方などドコモはどうも下手な感じがする。
これはCDMAやそれ以前にPDCの場合にも言えるのだが、トラフィックの分散第一みたいな所があるからだ。

◆ 複数の物理チャネルを使ったCDMA通信でも、ドコモの場合は物理チャネルの切り替えを結構頻繁に行うので都度時間がかかる。LTEの場合はバンド内のチャネル切り替えの概念は無いというかバンド丸ごと受信しているので切り替えに時間はかからないが、バンド間のチャネル切り替えは時間がかかる。

◆ 無線機が一台の機器の場合は他のバンドを受信するためには現バンドの通信をいったん保留にする必要がある。無線機が2台だと通信状態を維持したまま他のバンドの様子を見る事が出来る。
TDMAの場合は通信に使用しているスロット以外で他の周波数の様子を見る事が出来るのだが、それには高速での周波数切り替えが必要だ。

◆ 高速周波数切り替えはフラクショナルPLLによって可能になるが、それにしても切り替え時間ゼロというわけにはいかない。ただし高速切り替えPLLによって、それまで複数のVCOとPLLが必要だったものが単一VCOで行けるようになった意味は大きい。

◆ 基地局の場合は物理サイズにも電力にも余裕があるのでかなりの事が出来る。通信相手も分かるしセル内の利用者数も分かる。スクランブルだって当然解く事が出来るので混信除去も出来る。混信問題はFDMA方式では常に問題になる。相手が移動しているので混信の状況は刻一刻と変化する。どこまでの混信を許容し、どこからそれを排除するか。混信がこの先多くなるのかそれとも少なくなるのか。

◆ CDMA方式ではRSCPの低下がセル内利用者数に応じて起きたわけだが、LTEでは混信問題が起きる。そこでパワーコントロールは通信状態の良い局優先になるように行われる(FPC)のだがそれはセルエッジ問題の解決にはならない。
セル内利用者数やセル外利用者数が少なければ良いのだが、そうでないと厳しくなる。

◆ WiMAXが3つのセクタで異なる周波数を使ってエリア構築したのもそのような理由からだろうが、これとて反射や不確定な伝搬の上では決定打とならなかった。混信の可能性を低くするには利用者数に対するバンド幅を広くすれば良い。
それはマイクロセル化を推し進める事になるが、通常マイクロセルはマクロセル内におかれる。
するとマクロセルとマイクロセルの混信が起きる。

◆ 利用周波数が異なりセル半径が異なると周波数ごとにセルエッジの場所が変わる。但しそれを行うにはそれ用のセル設計が必要になる。マルチバンドCAはこうしたセルエッジ問題や混信問題を、シングルバンドの時よりも柔軟に解決出来る可能性がある。


発電(3/27)
◆ 太陽光発電などの電力買い取り価格の値下がりや買い取り中止などが増えてきている。原発を稼働させるためには電力が不足している必要がある。再生可能エネルギ発電は電力量が不安定な事もあって嫌われる。
太陽光や風力発電は安定供給にはほど遠いが、地熱やバイオ燃料発電などは火力発電に近い。しかし政府はこうしたエネルギすらも買い取りを抑制しようとしている。

◆ 現在は太陽光発電電力などを高い価格で買い取って貰っているのだが、この辺りは相場が立っても良いと思う。電力が不足すれば買い取り価格が高くなり、要らない時には安くなる。こうなると不安定発電設備にバッファを設けるようなビジネスも可能になる。天気の良い日にためた電力を、天気が悪く買い取り価格の高い日に放出する。

◆ もう一つ進めば、安い電力を買えた場合は消費者への電気代そのものも安くなればなお良い。電力の完全自由化によってこの辺りも変わってくればいいと思う。原発で作る電力が安いのか高いのか、数字として表れてくる事になる。

◆ 例え高額でも再生可能エネルギを買う人が居るかも知れないし、何が何でも安い電気が良いという人も居るだろう。小規模(あくまでも電力会社比で)な電力供給屋が出てくると競争も促進される。
日本は島国なので海外から電量を買う事は現実的ではないが、超伝導送電などが実用化されると海外から安い電力を買う事も可能になる。

◆ 携帯電話と固定回線に加えて電力もセット割り、みたいな事も出てくるだろう。現状ドコモのセット割りはISPを選ばなかったというかNTT系のISPはあってもドコモ直属のISPはないから仕方ない。ソフトバンクはYahoo固定だったかな。現状のYahooのイメージからすると設備が弱くてトラブル頻発みたいな感じを受ける。

◆ セット割りはケータイを解約すると一緒に固定回線も解約されてしまう。これに電力が加わると送電契約も解約されてしまって困るというか囲い込み効果抜群というか、そんな事が起きたりして。まあ何日も送電が止まる事はないにしても何時間かは不便な思いをするだろう。
電力会社によって信頼性と価格に違いが出てくる可能性もある。停電は多いけれど安いですよとかで、電力会社から買う以外に電力を使う手があるならそんな電力会社の電気でも良い。

◆ 電力のみではなくガスも自由化される見込みだ。エネルギの自由化が起きるとガス会社も電気会社も無くなる感じもする。電力会社はそれでもオール電化を売るのだろうか。
災害時などのリスク回避という点ではエネルギの1本化は避けた方が良い。太陽電池や燃料電池で自室発電出来ればリスク回避が出来る。
燃料電池って停電時の自律運転は出来るのだろうか。電力がないと起動しないかも。

◆ 太陽電池板は夜間は駄目だが、曇りの日でも昼間ならば多少の電力は生み出してくれる。EVでもあればそこそこの電力が使える。それこそ夜間電力でバッテリを充電して、それを日中使う事も可能だ。
来たるべく地震に備えるのに発発があれば心強い。ただガソリンの管理だとか発電機自体のメンテも必要なので手間はかかる。


抵抗計(3/26)
◆ バッテリの内部抵抗を測った時に、手持ちのDMMでは分解能が不足する事態となった。もっと大きな電流を流すか、あるいはもっと高感度の電圧計が必要になる。
世の中にはミリオームメータみたいなものがあってμΩの分解能があったりする。この抵抗値を測るには抵抗の両端電圧を増幅する必要があるのでDC測定は難しい。

◆ DCのハイゲインアンプではオフセットなどの問題が無視出来ないのに対してACアンプであればノイズの面だけに注意すればいい。
ノイズに関しても測定周波数が分かっているので狭帯域フィルタを通す事が出来る。後は正確なゲインのアンプが有れば良いわけで、これは使うパーツの温度特性などに注意すれば実現出来る。

◆ 多くのミリオームメータは1KHz程度の交流で抵抗値を測定する。測定器によっては抵抗値とリアクタンス成分を別々に表示してくれるものもあるし、インピーダンスとしてまとめて表示するものもある。
インピーダンスとして表示するタイプだとコイルの抵抗を測る事が出来ない。

◆ AC計測のミリオームメータはDC重畳のデバイスの抵抗値も測る事が出来るので、バッテリの内部抵抗の交流測定もそのまま出来る。ヤフオクなどに出ているミリオームメータは、安価なものだと2千円くらいで買える。その程度の価格であれば一台あっても良いかなと思うが、Agilentの中古で20万円と言われると使い道に困ったり。

◆ ミリオームメータはいわゆる4線式の測定をするのだが、そのプローブ部分も注意して扱わないと誤差になる。中古測定器の多くにはプローブが付いていないので自作する事になるが、接触部あたりの構造は結構難しかったりする。

◆ バッテリの内部抵抗だけなら交流の定電流源とバッテリの両端電圧を40dB位増幅するアンプをちょこっと組めば済んでしまう。定電流源と言ったって測定物の抵抗値がミリオーム台なのだから定電圧出力に抵抗を直列に入れた程度でも良い。なので高額なミリオームメータは、私にとっては使い道が無くなってしまう。

◆ 一般的にはどんな用途に使うかと言えばスイッチやリレー、コネクタなどの接触抵抗を測ったりする。いずれもミリオーム台の抵抗値だから、それを正確に再現性良く測定する必要がある。
端子台などを使う時にネジの締め付けトルクが規定以下だと接触抵抗が増えるとか、半田付け部分の抵抗がどの程度だとかもミリオームメータがあれば精度良く測れる。

◆ 以前にも書いたが半田は意外と抵抗値が高い。大電流の流れる所を半田で付けておくと、その抵抗で自己発熱してはんだが溶けて外れてしまう。
圧着端子はそんな事はないので大電流の流れる部分は圧着で接続すべきだ。
更に端子台などではその金属材質やメッキなどによっても抵抗値が異なる。

◆ 私は強電の方は得意ではないのだが何十キロアンペアも流れるような所では、たとえ0.1μΩの抵抗だったとしてもそこにはワット級の発熱が表れる。大電流が流れる場所は物理サイズが大きいので多少の発熱は吸収されてしまうだろうけど。そうそう、送電線から電力を取る時に送電線自体の電圧降下が使えると聞いた事がある。
何メートルか何十メートルか分からないが、その2点間の電圧降下分だけでそこそこの電圧になるのだとか。


サイクロン(3/25)
◆ サイクロン方式の掃除機、代表格はダイソンである。サイクロン掃除機は私も使った事があるがロクなものではなかった。
空気中に漂うようなゴミを吸い込む分には良いのだが、床やカーペットに吸い込み口を当てると吸い込み空気量が減少して渦が弱くなり、渦が弱くなるのでそれまでに吸い込んだ埃の類が一気にフィルタに張り付く。
フィルタに張り付くとフィルタの通気抵抗が増えるので更に渦が出来にくくなる。

◆ ダイソン創業者がサイクロン方式に目を付けたのは粉体分流機を見た事がきっかけだったそうだ。但しその方式の掃除機はなかなか陽の目を見る事がなかった。何故なら性能が低かったからである。

◆ そこでダイソンは遠心分離器を多重にするなどの改良を加えて現在に至っている。日本と異なり靴のまま床に上がる欧米では砂埃を吸い込む必要性があり、日本の家屋の埃に比較するとずっと重いそれらのゴミは遠心分離しやすい。

◆ サイクロン方式には構造的欠陥が存在する。
つまり空気を吸い込まなければ渦が出来ない事で、掃除機の吸い込み口が塞がれるような事があれば渦は消失してゴミは送風機に吸い込まれてしまう。吸い込むためには負圧が必要だが、渦を作るためにはその負圧さえも邪魔になる。

◆ 渦を作るための空気をゴミ吸い込み口以外から吸い込む方式にしたものもあるが、これなどはゴミを吸うためのエネルギの一部を渦を作るためだけに使ってしまっている例だ。それが厳密に制御されていればまだしも、重いゴミを吸い込もうとして抵抗が発生すると渦作成用空気取り入れ口の方からのみどんどんエアを吸ってしまう事にもなる。

◆ サイクロン方式の掃除機では、送風機のエネルギの多くが渦を作るために使われる。消費電力1kWを超えるダイソン掃除機の吸い込み仕事量が200Wにも満たないのは、残りのエネルギで一生懸命渦を作っているからだ。それでもダイソンは高効率モータなどを使って多少でも効率を上げようとしている。

◆ 遠心粉体分流装置は、その方法でなければならないからそれが使われる。他に分離方法があればもっと効率の高い方式を使うと言われるわけで、遠心分離の効率は余り良く無い。
それは遠心分離するために大きなエネルギを粉体に与えなければならないからである。

◆ 国産のサイクロン掃除機に比較するとゴミ分離能力に優れたダイソン製だが、分離しきれないゴミをフィルタで回収している。だったらフィルタ方式で良いではないかとなりそうだがフィルタの掃除インターバルは欧米で2〜3週間、日本ではもう少し長くなるので楽と言えば楽かも知れない。

◆ そのフィルタ前後の内部にゴミが付着すると渦の出来具合が悪くなる。従って半年から1年程度使ったら分解掃除をした方が良いと言われる。渦発生部などは意外に微妙な気流状態が必要なのでゴミなどが付着して空気の流れが変わったり、空気抵抗が増えると渦の状態が悪くなる。

◆ 渦の状態が悪化するとゴミが分離出来なくなって更にゴミだらけになるのは国産掃除機と同じだ。国産サイクロン掃除機ではフィルタに付いた汚れを落とすための工夫がなされているものが多い。だったらフィルタ方式で良いではないかと、ここでも思ってしまう。


CA(3/24)
◆ ドコモのCAがいよいよ開始される。WiMAXやXGPでもCAが行われているが、これは同一バンドをつなげるだけのものなので単に広帯域通信を行うのと余り違いはない。
FDDバンドでは異なる周波数を束ねるので伝搬特性の違いなどを上手く吸収出来る可能性がある。

◆ 実際の通信では色々と面倒な処理や手続きが交わされながらとなる訳だが、使う側としてみれば平均通信速度の向上や通信安定性の向上となる。ドコモは来年度(今年)の早い段階でCA対応のスマートフォンを発売、16年度には300Mbpsを目指すという。TDD勢のUQはCA+MIMOで440Mbpsを謳うだろうが2.5GHz帯のみではどうしても穴が出来てしまう。FDD/TDDのCAが出来るようになると安定性とピーク速度の両方が手に入る。

◆ LTE化にしろCAにしろエリア拡充が進んでいるのはauだ。ドコモもLTEの穴埋めは進んでいるようだがなかなか実感として分からない。速度は、例えば横浜駅周辺などは比較的速度の出る場所もあるのだが、その一方で10Mbps前後という場所もある。なので最高速度が225Mbspだと言われても実感はわかない。

◆ SO-04Eは使い始めてもうすぐ2年が経過する。全てにおいて使いやすいとは言えないが、N-07Dに比較すれば相当マシなので我慢は出来る。2年を過ぎると割賦支払いが無くなるのだが、同時に肩代わり金もなくなるので何も変わらない。頭金相当分は様々な割引などでゼロ以下になっているはずだ。

◆ この夏モデルを買うとすればCAとVoLTEに対応したものになる。CPUの処理速度にしてもクロック周波数にしても向上しているわけだから、それなりに使い勝手も良くなっている事だろう。
だったら買い換えるかと行きたい所なのだが買い換えたとたんに新料金プランに移行しなければならなくなってしまう。ここが最大のネックなのだ。

◆ 契約期間からすると割引もあるのでそう大きな値上げになるとも思えないのだが、契約台数全ての分での計算はまだしていない。新料金プランであればFOMA契約を残す必要もないので解約してしまう事も出来る。だがそうすると番号が宙に浮いてしまう。単なる転送だけのサービスでもあればいいのだが、困る。

◆ MVNOの安価系への移行は今の所は考えていない。
データ使用量は少ないのでその点では何でも良いという感じだが契約内(家族内)の無料分が無くなってしまうと電話転送に金がかかる事になる。
2in1があれば1台の移動機に2番号が収容出来たのに、スマートフォン化と共にこれが無くなってしまい不便だ。電話がかかってくる度に自分の別の移動機に有料転送するというのは余りに馬鹿らしい。

◆ 旧料金プランの残るauに大移動というのもかなり大変である。MNPならば優遇措置は執られるだろうがタダになるのはiPhoneくらいかな。iPhoneでは不便すぎて役に立たないのでXperiaを選ぼうとするとタダではなくなりそうだ。転送元用に使っている機種だって必要になるのでそれなりの出費となる。

◆ だったら転送を諦めてMVNOの方が良いか。FOMA契約は機種変更せずに残しておけばいいのだが…2台の移動機を持ち歩くのは面倒なんだよなぁ。まあ、その面倒さで節約出来ると言ってしまえばそれまでなのだがしっくり来ない。


SSB(3/23)
◆ SSB(SingleSideBand)で通信を行いたいわけではなく、何となくSSB送信機を作ってみたいと思った。AM変調とは搬送波を振幅変調するものだ。SSBはAM変調から搬送波を取り除いて、さらに側波帯を片側だけにしたものである。

◆ まず搬送波は何故取り除いても良いかというと、搬送波周波数は分かっているものなので受信側でそれを付加すれば済むからである。片側の側波だけで通信が成立するのでAMよりも周波数利用効率が高まるし、両側波帯は別々の信号を伝送出来るのでAMと同じ帯域幅ならスレテオ送信が出来る。

◆ ディジタル変調も同様にIとQを別々に伝送するのも原理は同様だ。
搬送波を取り除くには平衡変調器を使えばいいので何と言う事はない。ようするに搬送波と変調波をかけ算するわけだ。そこから出てきたものは搬送波が取り除かれて両側波帯のある信号、すなわちDSB(DoubleSideBand)である。ここから片方のサイドバンドを取り除けばSSBになるので急峻な帯域通過フィルタを使って必要な側のサイドバンドだけを取り出す。

◆ 下側のサイドバンドを使うか上側を使うかは任意ではあるが決まりもある。SSBゼネレータがLSB(LowerSideBand)を発生するように作られている場合、逆へテロダインするとUSBに変換出来る。こうしたフィルタ方式のSSBゼネレータが全盛だったわけだが、それは(フィルタ代はかかるが)比較的安定にSSBが生成出来るからだ。

◆ しかし昨今ではディジタルIFを使った無線機が増えてきた事やDSPなどが手軽に使える事、ディジタル無線機などが一般的になってきた事でIQ変調器を使ったPSN方式も見直されている。
PSN方式とは直交変調器そのもので搬送波と信号波それぞれを90度位相差を設けた2つに分解して、それぞれをかけ算する。かけ算した出力同士を足し算すると搬送波のない片サイドバンドの出力が得られる。直交変調器はアナログ回路でも作れるしロジック演算でも勿論可能だ。

◆ 最近のディジタル変調対応SGならば立派な、つまりキャリアリークや位相差が十分にコントロールされているIQ変調器が搭載されている。このSGのIQ入力に90度の位相差を付けた変調信号を入れてやればSSBが出来上がる。
90度の位相器もいにしえの昔?にはCRでとトランジスタで組まれていたのだが、オーディオ周波数帯の全域にわたって90度の位相差を作らなければならないので回路規模が大きくなる。

◆ トランジスタ時代に代わってはオペアンプが使われるようになり、そしてDSPが登場する。DSPではFIRフィルタ(ヒルベルト変換)で正確な位相差信号を作り出す事が出来る。ADCやDACが必要なのだが、今はそれらも十分安価になっているので手軽に使う事が出来る。とりあえずであればPCのオーディオ入出力でも実現出来るに違いない。

◆ 簡単にはSGのIQ入力を使ってSSB送信機が出来るわけで、ならば作ってみようかなと思ったわけだ。PCのソフトで90度位相差を取り出せるものが有れば良いのだが、ちょっと探した限りでは見つからなかった。CRとオペアンプを並べて位相器を作る気もせず、Windows上で動くソフトを書く気(書ける気)もせずで止まっている。


レンジ(3/22)
◆ パワー計の続きである。センサによって測定可能範囲が異なる。精度良く測定するには測れれば良いというものではなく、保障されたパワーレンジを守らなければならない。
アジレントでダイナミックレンジの広いパワーセンサはダイオードセンサで、ローパワー測定用ダイオードとハイパワー測定用ダイオードが組み込まれた製品である。ハイパワー側はCWのみしか測れないのと、パルス波だとしても入力最大レンジをオーバすると壊れるが、-70dBmから+20dBmまで90dBmもの広いダイナミックレンジがある。

◆ 手元の熱電対センサは-30dBmから+20dBmまで測定可能、ノイズレベルは-50dBm前後なのだが保障されている下限は-30dBmである。
サーミスタセンサは直径400μmのサーミスタチップを使ったものでSWRは良いのだがダイナミックレンジは30dBしかない。
これら熱系センサはパルスであれば(センサにもよるが)+40dBm(10W)以上にも耐える。手元の熱電対センサは30W・mSつまり1mSのパルスなら30Wまで入れられる。

◆ アマチュア用としては1W以下から100W以上まで測れるものが多いが、0.1Wから100Wまでとしても30dBでしかない。下限はダイオードの接合部電圧で決まり、上限はダイオードの逆耐圧で制限される。より低い出力まで測定しようとすると(通過型電力計では)結合度を上げるしかないのだが、結合度を上げるとパワー計としての挿入損失が増える。

◆ 計測器としてのダイオードディテクタは2乗特性の部分を使う。当然それに対するリニアライザが組まれているのでパワーは直読出来る。アマチュア用としても簡易リニアライザで直線目盛に近づけたものがあるのだが、アナログ回路で構成されたものは温度特性がかなり怪しい。

◆ 電源を使って良いのであればCPUを積んで温度補償とリニアライズすればいいのだが面倒だ。
測定器としてもパワーメータはDCドリフトを避けるためにセンサをエレメントとしたブリッジは交流でドライブされている。たかがブリッジ駆動回路と電圧計とはいえ、そこそこ回路が押し込まれている。

◆ 広ダイナミックレンジならばLogアンプを使う手があるが、対数圧縮されるので精度が得られない。1Wなのか1.1Wなのかを見るにはリニアなパワーメータが必要というわけだ。
最近はアマチュアでも5GHz帯や10GHz帯あるいはそれ以上の周波数にチャレンジする方もいる。この周波数帯だとパワーディテクタも導波管タイプのものがある。

◆ 10GHz帯でも同軸ケーブルは使えるが損失はバカに出来ない。2GHz帯でさえ数十cmの同軸ケーブル(3D-2V相当)を使えば1dB程度はロスしてしまう。超高周波帯では送受信機とアンテナを一体として作るようにしないと、せっかく絞り出した高周波出力が同軸ケーブルを暖めるためだけに使われてしまう。

◆ コネクタや同軸ケーブルのロスも分解能の高いパワーメータがあれば測定は容易だ。パワー測定の分解能としては以前に書いたNFメータも使えるが確度はパワーメータには及ばない。
最近のSGは出力が安定しているが、製造ライン用や古いタイプだと出力変動がモロに見えてしまう。
パワーセンサにもドリフトがあり室温が変化すると読み値が0.05dB位狂う。仕様にも室温が5℃変化したら再キャリブレートしろとある。


パワー計(3/21)
◆ 今回は無線出力を測るお話である。パワー計の原理は以前に書いたとおり、サーミスタや熱電対あるいはダイオード検波器を用いたセンサを使って高周波パワーを直接測定する。
サーミスタやダイオードセンサは部品のばらつきや非線形特性があるが補正されている。

◆ アマチュア無線家がよく使うのは通過型電力計や終端型電力計だ。通過型電力計はディレクショナルカプラなどを使って電力の一部を取り出し、それをダイオードで検波する。ダイオードの非線形性はそのまま目盛の非直線としてメータに刻まれる。温度補償などもされていないし周波数ごとの違いもあるので凄く正確というわけではない。

◆ 測定器としてのパワー計は0.01dB以上の分解能がある。絶対誤差も測定器単体としては0.2%位まで管理されている。センサの誤差もパーセント単位であり、以前も書いたように最も大きな誤差が50Ωからずれる不整合誤差だ。
パワー計も昔はアナログメータだった。後にディジタル表示になるのだが、アナログメータというかラジケータみたいなものを付けたモデルもある。機器の調整などに使う場合はアナログ表示の方が見やすいからだ。

◆ その後グラフィック液晶が全盛となるとディジタル表示と共にバーグラフなどの直感的表示機能が加わる事になる。
パワー計で10dBのアッテネータの減衰量を測ってみた。このアッテネータは精密級のものでは無いので誤差が大きい。公称10dBだが実測値は9.477dBだった。

◆ アンリツの固定アッテネータで減衰量偏差は±0.5dB程度、アジレントの精密級だと0.08dB位まで小さくなる。減衰量偏差を追い込むとSWRが悪くなりやすいなど難しい問題もある。この辺りの素材というか材料に依存するデバイスに関しては日本のメーカは余り得意ではない。海外メーカはアッテネータの抵抗体から何から自社生産するので特性を出しやすいのだろう。

◆ パワー計が調整に使われなくなったのはスペアナなどの測定精度が上がった事もある。そのためパワー計は最終的な確認に使うとか精密測定をしたい用途に限られる傾向がある。SGの出力精度もかなり立派なもので、手元のESG-Dを各周波数で測ってみても設定値±0.2dB以内には軽く入っている。規格は±0.5dBだ。

◆ 電波法関係の強制規格の多くは規定出力に対する誤差が-50%から+20%と規定されている事が多い。上限が+20%なのでそれより1桁程度誤差の小さな測定器を使用する必要がある。
例えば1Wの出力は+30dBmだが上限の1.2Wは30.70dBmなのでdBで言うと0.7dBしかない。スペアナのレベル確度は良くても±0.5dB、周波数帯や設定によっては±1.5dB以上の誤差になる。

◆ 送信機テスタなどではそれなりの確度を持っているものもあるが、アンリツのMS8604A(送信機テスタ)はスペアナとパワー計が合体した構造だ。これは全く別のものを一つの筐体に入れたもので、メニューでパワー計とスペアナを切り替えて使う。この機械はスペアナとしての性能が多少低いので人気がないのだが、アマチュア無線家が0.1Wに拘るみたいな用途には良いのではないかと思う。


パワー計(3/20)
◆ パワー計と言っても今回は自動車のパワーを測るお話である。BOSCHのシャーシダイナモが登場した頃、日本は未だ景気が良かったのでこれを導入するチューニングショップも多かった。
仕組みとしては一定の慣性質量を持ったローラをタイヤの駆動力で回し、その回転速度の微分量から駆動力を計算する。

◆ 当時のシャーシダイナモには専用インタフェース付きのPCがセットされていて、DOSの上で専用ソフトが動いていた。ローラの質量は一定なのでパワーの小さな車に対しては負荷が重くなり、ハイパワーの車にとっては負荷が軽くなる。

◆ 駆動力を発電機やハイドロモータで吸収するパワー計もあったのだが高額だった。今でこそダイナパックなどが知られるようになったが、出力吸収負荷型のパワー計を持っている所は少なかった。
ローラタイプの場合は加速しきってしまうとそれ以上は負荷をかけられなくなるので、セッティングなどは何度も繰り返し行わなければならない。

◆ ターボ車などでは実走行よりも負荷が軽いので、特に大出力車だとブーストが上がりにくくなってしまう。こうしたシャーシダイナモの特性を考えながらセッティング出来る人ならばいいが、理屈の分かっていない人はおかしなセッティングを平気で行ってしまう。

◆ 今はカタログ値に近い出力が出せるようになったトヨタ車も過去にはカタログ馬力の8割くらいしか出ていないなんて事が良くあった。日産車は比較的カタログ値に近かったというか、カタログ値をオーバする車もあった。まあシャーシダイナモでのテストなので誤差もあるんだけど。

◆ マニュアルミッション車は測りやすく、ATもコツを掴めばロックアップさせながら測る事が出来る。CVTでニュートラルに出来ない場合はロスが測れないのでエンジン出力換算が出来なくなり駆動輪出力が分かるのみだ。プリウスの測定データを見ると95〜102馬力くらいの間になるので、まあそんな感じかなと思う。エンジンが公称99馬力だったかな、それにモータの出力がプラスされてトヨタは136馬力と言っている。

◆ おそらくこれはエンジン出力とモータ出力を加算したものであって、THSのロスなどは考えられていない値だろう。フツーの車だってトランスミッションのロスは加味しない。THSの場合はエンジンで発電機を回してモータを回すという経路になるので、発電機の損失とモータの損失と駆動回路の損失が、ギアなどの損失に加えられる。従って単純なCVT車よりもずっと損失が大きくなる。

◆ 100馬力と測定されたのは99馬力のエンジンにモータの力が1馬力加わったのでは決してない。
136馬力相当が出ている状態で、36馬力分の損失があったという事だ。36馬力の損失は大きいと感じるかも知れないが小型FF車でも20馬力くらいは普通に損失する。ただプリウスはギアをニュートラルにするという概念がないので損失を測る事は出来ない。

◆ 負荷型のパワー計を使うとエンジンダイナモと同じような計測を行えるのだが、これを行うと殆どの車は油温や水温の上昇に悩まされる事になる。送風機を使ったとしても走行風に相当するような冷却風を入れる事が出来ないからだ。


はんだ(3/19)
◆ 昨日の話の続きでもないのだが、低温はんだと呼ばれるものがある。はんだとは言わずに金属接着剤みたいな呼び方もされる。
これらの低温融解合金は40℃〜70℃で液体化する。現在は様々な物質の使用制限などもあって60℃辺りで溶けるものが低温融解合金の一般的融解温度らしい。一般的というのは、より低温で溶ける合金はインジウムなどが含まれているので価格が上がる。70℃付近のものはビスマス、鉛、錫、カドミウムが一般的だが鉛とカドミウムを含まない(安全性が高い)ものもある。

◆ これを何に使うかというと錫や鉛あるいは共晶はんだのような合金で作られた鋳造物をくっつけるためだ。一般のはんだで付けようとすると鋳造物自体が溶けてしまうので都合が悪い。この低温融解合金を応用してQFPなどのファインピッチデバイスを取り外す事にも使われるという。

◆ 一般のはんだと混ぜるように低温融解金属を流すと、それがはんだと混じる形で合金となる。
はんだが混じるので融解温度は上がるが、それでも一般のはんだよりはかなり低い温度で溶けてくれる。低い温度で溶けるのでデバイスや基板にストレスを与えることなく基板からデバイスを外せるというわけだ。

◆ 私は何度もQFPデバイスを外したことがあるが、それを再使用したことはない。なのでカッタでQFPの足を切ってしまって普通のはんだごてで外していく。元のデバイスを生かして外したい時にはハロゲンヒータと送風機がセットになったような専用機器を使う。これは温風吹き出し口がQFPの足の部分だけを温めるようにX-Yに自動移動しながら全体を加熱してくれる。

◆ QFPならばこれで外すことが出来るがBGAは無理だ。BGAを外す時にはデバイス全体を温めてしまう以外にはなく、場合によってはデバイスに熱ストレスを与えてしまう。
低温融解合金を使う方法でもBGAは外すことが出来ない。低温融解合金は、元から付いているはんだと合金にしなければいけないので、いったんははんだの融解温度までは上げなければならないが、いったん合金になってしまえば100℃以下で液体化しているので外しやすくなる。

◆ 低温融解合金は粘りけが少ないのではんだの代用品として使うとクラックが入りやすくなる。
熱に弱いデバイスなど仕方がない所には使えないことはないが、信頼性などの点は注意しないと加震などで外れてしまう危険性がある。

◆ 40℃程度で融解する合金はインジウムなどを含んでいるので高額である。更に温度が低いものだと-19℃というものがあった。水銀の代用として使えるとのことだ。70℃程度の一般的なもので1g/10円くらい、40℃で溶けるものだと70円くらい(一般小売価格で)する。安価なものはPbやCdを含んでいるが、はんだとのなじみ性は良い。

◆ これが凄く高額な金属かというとそうでもなくて、一般的な糸はんだでも1kgで1万円以上するのではないだろうか。低温融解合金を使うと樹脂の型で鋳造物を作ることが出来る。樹脂の型は3Dプリンタで作ることが出来る。型ではなくそのものズバリを3Dプリンタで作り、そこから石膏などで型を取れば普通の金属で鋳造物を作れるのだが、錫でも300℃以上まで加熱しなければならないので炉が必要だ。低温融解金属であれば鍋に入れて火にかければさっと溶けてくれる。


RoHS(3/18)
◆ 現在製造されている民生機器の殆どは鉛入りのハンダは使われていないはずだ。金属として機器内に使用される鉛の有害性に関しては様々な意見があるし、無鉛はんだに使われる金属材料の方が有毒性が高いとの話しもある。
但し決まりとして鉛を使わないようにしましょうとされているので鉛入りのハンダが姿を消す。

◆ 現在では未だ鉛入りのハンダ(共晶はんだ)は売られているが、やがて貴重品になってしまうのかも知れない。無鉛はんだは大きく分けて3種類程度、成分の細かな部分で見ると数十種類があるが鉛入りのハンダに比較するとはんだ付け性がいまいち良くない。
無鉛はんだは濡れ性も余りよく無いしクラックが入るなど粘りけも足りない感じだ。

◆ 無鉛はんだ用には無鉛はんだ対応はんだごても必要になる。無鉛はんだ対応はんだごてはこて先の酸化防止などが強化はされているようだが、鉛が含まれていないはんだで使用するとこて先は急速に傷んでいく。
鉛が金属を守る… 有鉛ガソリンがバルブシートを守るのと同じような事なのかな。

◆ こて先の傷みやすい無鉛はんだなのだが酸化を防止するにはこて先を大気に触れさせなければいい。なので使い終わったらこて先に無鉛はんだを付けてコーティングしておく事が必要だ。なお鉛入りはんだと無鉛はんだではんだごてを共用する事は出来ない。
いったん鉛入りはんだを使ってしまうと、100%錫で溶解洗浄したとしてもこて先の鉛を完全には除去出来ずに無鉛はんだを使った機器を鉛汚染させてしまうからだ。

◆ 金属の食われは半田層でも大きな問題になる。
SUS304などステンレス素材の半田層に無鉛はんだを入れるとSUS304が食われて穴が開いてしまう。食われと言うとはんだ付けの際に銀メッキされた部品のその銀がはんだに溶け込んでしまう事もある。チップ部品などで端子に銀が使われている場合で、更にその銀の付着強度が弱いと駄目なのだ。

◆ 勿論アマチュアが機器を修理するために使うというのは(混在も)アリなのだが、機器メーカでは厳格な管理がされている。
ただしビスマス系の無鉛はんだが使われている所に有鉛はんだを使うとSn-Bi-Pb合金層が出来てしまうので駄目なのだ。ビスマス系のはんだは融点が低いので使いやすいとされたのだが有鉛はんだとの混合は出来ない。と言ってもビスマス系の無鉛はんだが使われているかどうかを確認する手はなく、アマチュア的にははんだ付け部分を鉛入りはんだで洗浄してしまう位が精一杯だ。

◆ 民生機器では無鉛はんだ使用率が100%だと思われるが産業用機器ではその限りでもない。
高信頼性機器などでは無鉛はんだの信頼性や耐久性が未知である事を理由に、実績のある鉛入りはんだを使う場合がある。
問題視されるのは部品と無鉛はんだの接合強度や信頼性で、部品側の全ての金属が使用する無鉛はんだと相性が良いかどうかは分からない。

◆ 一般的な抵抗などだと銅を主体とした金属で足が出来ている場合が多いが、小型ダイオードでは鉄系の金属に銅メッキのものもある。
銅は粘性があって加工性が余り良くないことから鉄や真鍮あるいは合金が使われている場合がある。それら全ての金属が無鉛はんだで十分な信頼性を以て付けられるのかは、今後起きるであろう様々なトラブルの中から学習していくしかない。


アニメ(3/17)
◆ アニメの中に登場する物体を考えてみる。と言っても魔女の宅急便に出てくるほうきが何故空を飛ぶのか、いやあればほうきが飛んでいるのではなくて魔女が… みたいな話は考える事すら不可能なマジックである。
ドラえもんの道具もマジックなのだが、アレはそこそこ考えられていたりする。以前にも書いたがドラえもんのタイムマシンは時間移動機能と空間移動機能が備わっている。時間と共に空間移動しないと地球の位置がずれるからだ。

◆ 名探偵コナンの乗り物は何度かモデルチェンジされている。最初はオーソドックスな「ターボエンジン付きスケートボード」だったのだが、後に太陽電池で動くモータ式になり、さらには夜間でも使えるようにバッテリ付きに改造された。ルパンVSではバック・トゥ・ザ・フューチャーに登場するようなホバーボード的になり水上を移動している。

◆ ただ陸上に上がった時にタイヤが自動出現しているのが不思議な所でもある。水上移動装置そのままで陸上も移動出来ると思うんだけど。水上移動が垂直噴射方式(実際には水がはねるだけで沈むと思うけど)だとすると、水上移動モードは多くのエネルギを使う設定なのかも。

◆ 初代スケートボードの時から思っていたのだが、あの小さなタイヤで高速走行は出来ないのではないかと。小さな石ころでもあればタイヤは回転しなくなってしまう。直径3cm位のタイヤにとっては小石といえども大きな障害物だ。
ローラースケートにしても小さな石を噛むと結構辛い目に遭ってしまう。なのであのサイズのタイヤにとっての小石は大問題だ。

◆ と思っていたのだが自転車などのダウンヒルに併走して映像を撮るカメラマンがスケートボードを使っているのを見た。自転車と違いカメラを持ったまま走行出来るからなのだろうが凄い技だ。スキーやスケートボードで併走撮影するカメラマンも凄いが、道路は狭いし障害物もある。なので小径タイヤでの高速走行が必ずしも不可能というわけではないようだ。

◆ コナン君のスケートボードに搭載されるエンジンはどの程度のものか。走行抵抗は意外に少ないと思うが空気抵抗は速度の上昇と共に大きくなる。おそらく80km/hで走行するためには1kW弱の出力が必要なのではないだろうか。推力にするとどうなるのだろう。空気抵抗が80km/h時に400N程度だとすると、これに釣り合う推力のジェットエンジンが必要だ。推力400Nのジェットエンジンは直径約15cm、長さ約35cm、質量約3.6kgとなる。燃料消費量は毎分約1kgだ。

◆ スケートボードを中空にすると3リットル程度の燃料は積めそうなので2分くらいはフルパワーで走行出来る。始動用や制御用のバッテリも必要なのだが、細かい事を言い始めると成立しなくなってしまう。コナン君のスケートボードは加速がかなり良いので電気モータ方式の方がそれっぽいのだが、始動時の音と排気はジェットエンジンだ。

◆ コナングッズの中では唯一実現出来そうなのがスケートボードで、探偵バッジは以前に検証したように現代技術ではちょっと不可能っぽい。
メガネもレーダ画像を映し出す事は出来るが望遠鏡機能はあの薄さの中では難しい。光学方式ではなくメガネフレームに埋め込まれた超望遠ズームレンズ付き小型カメラの映像を映し出すとしても大きさ的に厳しすぎる。


EME(3/16)
◆ EMEとは月面反射通信である。地球から月に向けて電波を発射し、反射してきた電波を受信する。何もそんな面倒な事をしなくても良いではないかと言ってもこれは趣味の世界なので誰にも止められない。それこそ何故山に登るのかと問うのと同じなのだ。

◆ なので通信を成立させる、遠方に情報を伝える事は目的のごく一部でしかない。それこそ短波帯を使えば簡単に地球の裏側と通信が出来るし、今ならIP通話をすれば何の苦労もない。わざわざ時間とカネをかけてチャレンジする事など無意味ではないかと思う人も多いだろう。

◆ 結局の所そんな無意味な事にチャレンジしたくなるのが趣味なのだ。EME通信に成功すればそれで満足し、次は他の周波数でとさらなる挑戦を続ける。より高い山に苦労して上ろうとするのと同じだ。日本は国土が狭く庭も小さな家が多いので巨大なアンテナを立てるのが難しい。海外のアマチュア無線局のように庭にずらりとアンテナを並べたり大きなパラボラアンテナをごろんと転がしておく事は不可能に近い。

◆ 都市雑音などに関しても不利で、それこそ北海道の平原でもなければ良好な環境は得られない。しかし、そのような中でEMEにチャレンジするのも又面白いのだろう。私も過去にはEME計画を立てた事もあったが挫折している。ブーム長が7λ以上の八木アンテナを作ったが実働には至らなかった。

◆ 月面反射経路の減衰量は435MHzで260dB程度と言われている。帯域幅10Hzの受信機の理論感度が-160dBmとし、アンテナで20dB稼げたとしても60dBm(1kW)の送信出力がなければ信号を受信出来ない。但し現在ではディジタル通信で同期受信を行う事によってみかけの受信感度を上げられるのでウルトラハイパワーの出力が無くても通信が可能になっている。

◆ 一つは相手局に期待する事で、海外局などではブーム長10λのアンテナを8列×8段とかの凄い設備を持っている局もある。パラボラなどでも直径10mって、どれだけ巨大なんだみたいな設備を持っている。送信出力も500W以上が当たり前だ。相手の設備が良ければ通信が楽になるのははやぶさとの通信を考えた時と同じである。

◆ 自分で送信した電波が月に反射して戻ってくるものを受信するには自身の設備に頼るしかない。ただし送信タイミングが分かっているので"信号が来ているはずだ"として受信する事が出来る。

◆ いずれにしても簡単に出来てしまうと面白さも半減なわけで、アンテナも送受信機も全ての面を完璧にしないと成立しない通信だからこそチャレンジのし甲斐があるわけだ。
無線は通信の手段ではあるが、私としてはしゃべるよりも何かにチャレンジする方がが好きだ。他人にとっては簡単な事でも自分が気合いを入れられる対象となれば楽しみになる。

◆ 勿論現実問題としてEMEを考えるとアンテナの物理的サイズに制限を受けてしまうので実現は非常に難しい。田舎暮らしでも出来るものなら庭にアンテナを並べちゃったりするのだが、今はなかなかそうも行かない。EME通信を行っている方によっては車にアンテナを積んで広い場所に移動して組み立ててチェレンジする強者もいる。


技適とは(3/15)
◆ 電電公社が自動車電話サービスを開始した当時は技的なるものは存在しなかった。
なので移動機には無線局免許状が貼られていた。無線局免許状は一つの無線局に対して電波発射の許可を与える紙切れであり、(当時は)郵政大臣かなんかのハンコが押してあった。

◆ しかし無線局が多様となりその台数も増えてきた事から包括的免許の発行が必要とされて技適が生まれた。これはメーカが無線機を作った時に一定の基準を満たした同一の製品に対して一括で電波発射の許可を与えるものだ。
規定はそこそこ厳しく、例えば部品の変更や構造の変更を行った場合は再度審査を通過させなければならない。

◆ 技適審査は総務省などの天下り団体が引き受けていて、技適シールが高額で売られるが経費削減(利益増大)のために技適番号だけを売る方式もある。ちなみに私はこの審査基準策定委員をしていた事があるが審査会に出席すると日当が貰えて、下手なアルバイトよりずっと高額である。

◆ 無線機の規格はプロトコルなどのそれとは別に電波法で定められた強制規格がある。これは強制なのでいかなる民間用無線機(軍用を除く)もこれに反して電波を出す事は出来ない。
海外製のスマートフォンなどを国内で使う場合にも技適はネックとなり、使えるから使って良いかと言えば電波法上は駄目なのだ。

◆ しかし外国人旅行者が持ち込む通信機器の全てが技適適合とは限らないというか、殆どの海外製スマートフォンやタブレットは技適を通過していない。同じ事は日本製のスマートフォンを海外に持ち出した時にも言えるが、その国の電波法事情を理解して使うなどと言う事は殆ど無いはずだ。

◆ 総務省は外国人旅行者に限って技適非通過の無線機の国内利用を認める方針だ。外国人限定というのは法の下の平等を著しく逸脱している訳で、(技適の存在を)知らなければいいよと言っているようなものである。

◆ 現状の通信機器の多様化などを見ると国際統一的規格が必要だと思うのだが、電波法が各国により異なる部分で難しい。送信出力規定は(移動体通信機の多くは)基地局側からの指令で制御出来るが、スプリアス規定などはその限りではない。スプリアス規定も国内法の改正があったりして、昔の通信機は今はそれを満足していない可能性もある。
強制規格の厳しい国に合わせた国際規格制定は不可能ではないのだが、これは規定の甘い国や電波法に相当する規定のない国などからの反発が予想される。

◆ 法的面で言えば電波利用料も曖昧だ。確かに携帯電話の利用に関しては事業者が一括して支払っているわけだが利用台数の算出をどう経って行うのか。電波利用料に関してはその使途も問題視されている。電波利用料は電波利用税とも考える事が出来るが、税と異なり再分配されずに総務省の懐に入る。これにより総務省の福利厚生費になってしまった件で一時期問題になった。他には要らぬパンフレットの印刷代と、要らぬものだからと廃棄する廃棄代などにジャブジャブ使われて無くなってしまう。


パワー計(3/14)
◆ 以前にカロリーメータの話を書いた。食べ物の熱量を測るのではなく高周波出力を測る機械だ。いつ頃買ったのかも忘れてしまうほど昔の話なのだが、これって型番は何だったのだろうかと気になって調べた。

◆ と、その前にカロリーメータと呼ばれていた機械はどんなものなのか。今でも同じなのだが高周波出力を正確に測るには熱に換算するのが手っ取り早い。熱量であれば計算で求められるので、それと比較すればいい事になる。

◆ カロリーメータはHP434ACalorimetric Power Meterとして1958年のカタログに掲載されたものだそうだ。当時の価格が1千ドル以上と言う事なので日本円にすると4百万円もした高価な機械だ。大卒初任給が1.3万円の時代、25年のローンを組んでも買えないというシロモノだった。
※桁間違えました、USD1750なので63万円ですね。ご指摘有り難うございます。

◆ データを見るとフルスケール10mWから10Wまでが測定範囲で周波数はDC〜12.4KMCと書かれているから12.4GHzの事だ。
Calorimetric Power Meter measures powers between a few milliwatts and 10 watts at frequencies from DC to 12.4 kilomegacycles. Self-balancing type circuitry makes operationautomatic and gives reading in less than 5seconds. Instrument is provided with 50-ohm coaxialinput. (HP Journal August 1958)測定精度はフルスケールの5%とされている。
内部構造はシリコン系オイルを循環させる温度ブリッジみたいになっていて、入力電力で加熱される抵抗体と比較電力で加熱される抵抗体の温度平衡を取るようだ。

◆ ブリッジは交流でドライブされていて、おそらくこれはDCバランスやドリフトの影響を考えての事だろう。
当時内部も何度か見ているのだがオイル通路やそのオイルのクーリングファンがある事くらいしか覚えていない。が、内部写真を見ると真空管で構成されているようだ。

◆ オイルの入っていないカロリーメータを買ってきてHPから純正オイルを買った。製造から相当年月が経っていたにもかかわらずオイルが入手できたことは驚きだった。そしてそのオイルが高額な事にも又驚いた。
オイルを満たしてスイッチを入れると循環用のポンプが回り、冷却ファンが少しバランスを崩したような振動を伴いながら回った。

◆ 油温が安定するまで何度もゼロ点を調整し直す必要があった。パワー計にはキャリブレート出力があり、そこと入力を接続すると校正が出来たのだが良く覚えていない。もしかしたらキャリブレート出力が壊れていたのかも。
しかし送信機に接続して送信状態にするとメータは振れた。

◆ それが正確であったかどうかは他に測定器がないので分からなかったのだが、きっと正確に違いないと当時は考えた。
普段はSWR計などの通過型電力計で送信出力を測っていた訳で、しかしSWR計は負荷の状態によって指示値が異なる。ダミーロードなんてものは持ち合わせておらず、カロリメータとSWR計を直列に接続してSWRメータを校正した。

◆ このHP434Aはしばらく安アパートの畳の上に鎮座していたのだが、余り使わないまま(引っ越しの時に)捨ててしまったか誰かにあげてしまったように記憶している。
製造から50年以上も経った、しかもメカニカル部分のある機械など今はないだろうと検索したらeBayに出ていてちょっと驚きだった。


VoLTE(3/13)
◆ auはCSFB無しでのVoLTEサービスを開始した。SBMも何とか昨年内に一部エリアで開始出来たようなので3事業者全てがVoLTEでの通話をサポートすることとなった。
auはVoLTEを主体として展開するのでIP通話固有のデメリットは回避している。 SBMは緊急通話が出来ないなどの制限が付く。
ドコモはNTTなのでそんな事は承知だよ、か。

◆ 緊急通報が出来ないのはVoLTEのみならずIP電話でも多くの場合は駄目だ。日本の緊急通報は色々な仕組みあるので一般的IP通話では対応出来ない。例えば番号の通知非通知設定にかかわらず番号が通知されること、発信側が電話を切ったとしても110番側から切断要求を出すまで切れない事、携帯電話の場合は携帯電話利用者の設定如何に関わらず位置情報が取得出来るなどだ。

◆ IP通話で緊急通報が行えなくても、スマートフォンの場合は緊急通報のみは可能な仕組みが搭載されているのでかなり救済される。
VoLTEに関しては通話を3Gに落とせばいいので特別問題にはならない。auはVoLTEで緊急通報を可能としているが、必ずしも移動機に独自の仕組みを乗せなくてもある程度は行ける。

◆ 局の交換側で必要な情報を付加したり、端末側に情報を要求するなどすればいい。もしかすると完全な情報に至らないかも知れないのだが、例えば位置情報は基地局制御側で分かっている。GPSまでは使えなくても基地局側での位置情報は送出出来る。つまりSBMもやる気があればauと同様に出来る。

◆ ドコモは従来型ケータイやM2Mなどがかなりの数存在しているので3Gを停波するのは未だずっと先だろうが、VoLTE化はコストの問題も含めて推進していくはずだ。SBMはドコモやauがLTE投資をしている時ですら3G投資をしていたので当面は3G主体でサービスを行うはずだ。そう考えれば緊急通報をLTEで実現する必要性は低くなる。

◆ 特にSBMは3Gで出来るならそれで良いではないかと考えるだろう。わざわざ苦労して、カネをかけてVoLTEに注力することはない。VoLTE対応さえ宣言出来れば他社に遅れた事にはならない。演説会でもVoLTE対応率がどうのこうのと適当な数字を並べておけば投資家は納得する。これで良いのだ。

◆ auの場合は事情が異なっていて、出来ればcdma2000と早く縁を切りたい気持ちが強い。巻き取りまでには未だ時間はかかりそうだが、cdma2000の呪縛なしに全てのシステムが動くように考えていかなければいけない。既に古びてしまったcdma2000を残す限りクアルコム税も取られれば設備のメンテも行い続けなければならないからだ。

◆ auがcdma2000を切り離せたとすれば、国内初のLTE系オンリー事業者となる。KDDIはPDCやセルラーの終了、その前のアナログ携帯電話の巻き取りもあったし、旧800MHzオンリーの従来型ケータイ問題などを経験している。こうした経験からすればドコモやSBMより手慣れていると言える。

◆ IP電話などから緊急通報が出来ない事は仕方がないとされているが、緊急通報側の仕組みが変わる可能性もある。通話機能無しのMVNO SIMを使い050番号のIP通話を使っている場合などを想定すると緊急通報側が譲歩しなければならないとも考えられる。完全な情報付きの通話しか受けないよと言うのではなく、出来るだけ情報を下さいねでも良いと思う。


分け合い(3/12)
◆ ドコモの料金プランは無料通話分を使い切れないと繰り越しとなり、繰り越し上限を超えると契約グループ内で分け合える事になっている。しかしその繰り越し部分の廃止だそうだ。これは結構困る。現状ではスマートフォン契約とFOMA契約があり、FOMA契約の無料通話分をスマートフォン契約に分け与えている。
これにより各契約の通話は無料通話分である月間2,000円以内に収まっている。しかし分け合いが不可能になると、通話はFOMA契約機で行う以外になくなる。

◆ 従来型料金プランの解約無くして新プランへの移行無しと見ているのだろうが、移行するのは新プランではなく他事業者だったりして。
ドコモは完全通話定額プランへの移行が進んでいるから無料通話分の分け合いは意味がないとしているのだが、意味があるか無いかは事業者が決める事ではない。
収益率が悪いから廃止しますというのであれば仕方ないなとも思えるが、実際に分け合いを使っている人が居るにもかかわらず意味がないと言い切る辺りがいかにもドコモなのだ。

◆ ドコモのやる事は、嫌なら他の事業者に行きなさいみいな感じなのでそれら加入者が他の事業者に流出する。ドコモ的には収益減を食い止めたいのだから必死と言えばそうなる。だったらApple税をやめれば良いんじゃないの?しかしドコモはソフトバンクと違ってカネがある。
ライトユーザはMVNOやauに行けばいい話なのでドコモを選ぶ積極的理由は無い。

◆ MVNO事業者にドコモのFOMAプランそのもののような料金体系があれば良いのだが、無料通話分だとかグループ内の通話無料は直接的な収益率の減少をもたらすだけにMVNO事業者には荷が重い。特に無料通話分は、SBMがこれを廃して低価格路線を打ち出したようにARPUの底上げの意味はあるが得にはならない。ドコモのFOMAプランでも月額料金以上の無料通話分が付いてくる。

◆ ドコモの純増数の4割はMVNO事業者が稼ぎ出しているという。土管屋にはなりたくないと言ったドコモだが今は土管屋そのものだ。ドコモのコンテンツ類ではdビデオは見るのだがメニューが見にくくなったのでアクセス率は低下した。
他のdビデオ利用者にも聞いてみたがメニューは見にくく改悪されたねと言う。ドコモのやる事はこれだから駄目なのだ。自己満足を押しつけようとする以外にない。以前dビデオが上手く試聴出来ず問い合わせた回答も、全く的を射ないものだった。

◆ ドコモの失敗と言えばNOTTVも忘れてはいけない。別のチャネルを作るという話しもあったし既存のチャネル廃止論もあったはずだ。NOTTVは直接ドコモというわけではないのだが、NTTやドコモの精神が引き継がれている限り駄目である。先日はSONYの話を書いたがドコモがやるならソニー・ピクチャーズ・エンタテインメントが絡んだ方が余程良かったはずだ。

◆ 物販関係はSBMも真似し始めたがSBMのお得はインチキ臭いと各所で言われてしまった。月額料金を払ってまで何かを買う意味は無いと言う事だ。まあ(新横浜の)ラーメン博物館は入場料を払った上でラーメン代を払って食うわけなのだが、団体観光客に支えられている(団体は入場料がほぼ無料)。それでもラーメン博物館に入ってくれるラーメン店があるから良いが、SBMが客を集められなければシャッター商店街になってしまう。


3.11(3/11)
◆ あれから4年、早いと言えば早いと感じる。
復興は未だに進まず、それには様々な理由があるのだが、一つには人材不足とそれに伴う費用の高騰があげられる。競争入札でも入札額が高値安定状態になっており予算を執行出来ないケースもある。

◆ 予算規模が合わないからやらないよと放っておくあたりがいかにも役所だ。放っておいて価格が下がってくる事もあるかも知れないが、景気が好転すれば更に工事費は高騰する。
例えば10%予算をオーバしても即時工事を開始するのと、予算内に入れるためとして4年間放置するのとどちらが良い分かりそうなものだが公務員には分からない。自分の事ではないからである。

◆ 未だに処理が続いていてトラブルも起こしまくりなのが原発だ。隠蔽体質は相変わらずであり、それがバレると頭を下げる。頭を下げるのも慣れれば何と言う事はないよ、誰も責任を取らなくて良いんだしと東電は思っているだろう。金がかかろうが何しようがそれは国民が払ってくれるし、放射性物質だって徐々に流してしまえばばれないんだよ、みたいな。

◆ 原発周辺の放射性物質や汚染水以外に、日本各所に飛び散った放射性物質を含んだゴミの問題も解決していない。とりあえず空き地にでも積んでおきましょうねくらいの話であり、処理方法もなければ処理するつもりもなさそうだ。
そのまま放っておけばやがて放射線量は低くなるんだから、程度の事だろう。

◆ 安倍総理は放射性物質の問題にしろ汚染水問題にしろ放置しないと言っているのだが、今まで放置してきたのに今更そう言われてもなぁと思う。経済状況にしても明確な好転とはならずに企業の設備投資は減少している。株価だけは元気が良いのだがマインドが冷めているとでも言うのだろうか。

◆ そんな事をしているうちにまた地震が来るかも知れない。それは明日かも知れないし50年先かも知れない。そしてまたどこかで原発が壊れれば同じ事が起きる。原発は止まっていようが動いていようが同じように金を食う。止まっている原発は出力がゼロなのに金だけは消費する。そうした原発を維持する以外の金をカットすれば電気代は安くなるが、利権の塊なのでカット出来ない。

◆ 民間レベルではヒビの入った建物などの補修もかなり進んだ。工事業者の手が空いてきた事などもあり商業ビルやマンションなどでも補修工事が行われた。これによってどの程度の強度が確保出来るのか不明ながら、建物のヒビの中に充填剤が入ってさえいれば強度は破壊前にレベルに戻ると業者は言っている。接着剤は溶剤系のもので粘度は低そうなのだが細かなひび割れにも流れていくのだろうか。溶剤系だと、それが蒸発した時に体積が減るのではないだろうか。

◆ 地震が来れば交通は麻痺する。3.11の時だって酷い状況になった。何しろ首都高速から全ての車を下ろしてしまったのだから下道は酷い事になる。
首都高速は補強工事などがかなり進んでいて、工事には金はかかるけど壊れないんですよと言っていたのに。高速道路が壊れるのは橋脚などの強度も勿論あるのだが地盤の強度による所が大きいという。連続的構造物なので一部橋脚の地盤が弱かったりすると、そこから連鎖的に壊れてしまう。
耐震補強工事も橋脚は守れても地盤はどうしようもない。


観測(3/10)
◆ アマチュアの気象観測所が沢山あり、各地の気温や気圧その他のデータが公開されている。USB接続の温湿度計のデータだけの所もあれば気圧や日射量まで測っている所もある。気象計を扱っている企業はその気象計のリアルタイムデータを公開している。

◆ 10年以上にわたってDavis気象計のデータを公表し続けていたサイトが閉鎖されていた。閉鎖理由として「気象観測を行いそのデータを公表するためには、気象庁認定機器を使用しかつ気象庁長官にその旨を届け出なければならない」からだとしている。
これは確かにそうなのだが、アマチュアには適用されない。正確には「政府機関または地方公共団体が気象観測を行う場合(研究や教育のための観測を除く)、(略)」となっている。

◆ つまり信頼に足りると思われる機関が公表する場合には確度を保障せよみたいなものだ。何故こうなっているかというと、全てに適用させると店先に温度計を並べて売る事すら出来なくなってしまう。テレビ番組の中で「手元の温度計では…」と温度計を映すにも都度その機器と場所の申請が必要になる。毎回位置を変えて放送するような場合は例外事項の「臨時に行う気象の観測(一箇月を超える期間について行う観測であつて、地上の同一の場所で一箇月に一回以上行うものを除く。)」になるのかも。
◆ 某メーカが○○庁認定と書かれたシールを貼った機器を製造していた。某メーカの人は「この認定シールが一番高い部品なんだよ」と言っていた。確かに様々な機器では何らかの認定や検定を行わないと確度が保障されないみたいな所はある。

◆ 測定器などでは信頼出来るメーカの製品であれば確度が保障されているが、温度計などは様々なメーカが簡単に作る事が出来るのでいい加減なものもある。ちなみに信頼出来る測定器会社の作る温度計が必ずしも気象庁の認定機器ではない。認定機器は一定の確度を保障するかも知れないが、高確度を約束するものでは無い。

◆ アマチュアが自身やグループでの研究のために設置する気象観測機器は認定機器である必要はないわけだが、それを知ってか知らずかF&Fにもクレームメールが来た事がある。観測データの公開をやめたサイトももしかしたらそうした事があったのかも知れない。

◆ 公開中止の理由としてもう一つは、観測を開始した当時に比較すると気象情報を公開しているサイトも増えてアマチュアの出る幕が無くなったみたいな事も書かれていた。
確かにF&Fで気象観測を開始し始めた2004年当時とは世の中はずいぶん変わっている。

◆ F&Fでは観測データの公開を続けてはいるが気象計が壊れるなどした場合に更新するのかは未定である。確かに10年前は自分で観測する意味というか理由もあったのだが、今やスマートフォンでも自分のいるエリア近くの気温などが取得出来る。

◆ F&Fで使っているDavis気象計も調子が悪いというかUSB-Serialインタフェースがいけないのか、たまにロックしてしまう。新規に揃え直すと今はソフトが有料な事もあって結構な金がかかる。もう一つはそのソフトに合わせた色々やらなければならない点もあり、更新意欲がそがれるのだ。


トランジスタ(3/9)
◆ トランジスタが日本で量産開始されたのは1954年なのだそうだ。トランジスタを使用したトランジスタラジオは1955年にSONYから発売されている。松下もトランジスタラジオを発売するのだが、当時トランジスタの製造が立ち上がらずにSONY製を使ったとある。

◆ 半導体製造には純度の高いゲルマニウムやシリコンが必要になり、各企業共に素材レベルでの研究が盛んに行われた。
日本初のトランジスタラジオであるTR-55は5つのトランジスタが使われ5石(せき)と呼ばれたのは真空管→球(たま)に対してトランジスタが石(いし)と呼ばれたためである。

◆ TR-55はスーパへテロダイン方式になっていて中間周波数は455KHzだ。回路構成は局発兼ミキサ、中間周波増幅2段、低周波増幅2段のように見える。低周波増幅回路の段間結合のインピーダンス変換にトランスが使われている。低周波出力は10mWが仕様である。

◆ その後続々とトランジスタラジオが製品化されるがおおむね真空管式ポータブルラジオよりは高額だったとある。ただし電圧の低い電池が使えるのでランニングコストは安くなった。松下はトランジスタラジオ用として6Vの組電池を発売した。

◆ 当時のトランジスタラジオは6石とか8石となっていてトランジスタ数が多い。おそらく増幅度が低いなどの理由があって多段構成が必要になったためだろう。
1960年代のAM/FMラジオでは10石とか12石のラジオが増えている。1960年前後のトランジスタラジオ価格は1万円とか2万円、当時の大卒初任給を調べてみると1.6万円前後であり、つまり1ヶ月分の給料に相当する高価格品だったわけだ。

◆ サンヨーはカドニカ電池(Ni-cd二次電池)を1963年頃から発売開始し、トランジスタラジオにカドニカ電池を組み入れた製品を出荷している。しかし当初のカドニカ電池は現在のそれよりも信頼性に乏しく、液漏れなどでラジオ本体にまでダメージを与える事もあったとか。

◆ 電池の液漏れはマンガン電池でも同様で電池ボックスの電極を腐食させてしまう。一時期液漏れ補償電池が発売されたが、液漏れを防ぐ事が出来ずに姿を消した。最近では更に改良が進んで電池内部で発生する水素の量を減らす事で信頼性を増したものがあるが、液漏れ補償の規定は見直されて厳しくなった。

◆ トランジスタでは接合部電圧があるので機器電源を1.5Vとするには工夫が必要になる。その為初期のトランジスタ機器では9Vの電池や、1.5V電池を4〜6本くらい使うのが普通だった。
低電圧動作を可能にしたのはFETで、トランジスタラジオも高周波増幅段などにFETを使った事をカタログに謳った。

◆ 1951年に接合型トランジスタが発明され、1962年にはMOS型FETが発明されている。トランジスタが電流で動作する素子なのに対してFETは電圧で動作する事でハイインピーダンス機器などにも使われたし、真空管と置き換え可能な個体デバイスみたいなものがあったような… これは真空管ソケットに挿す事の出来るパッケージの中にFETやら何やらで等価的回路が組まれていたようなものだった。3極管をFETに置き換えて実験した方もいる。


同軸コネクタ(3/8)
◆ 世の中には様々な同軸コネクタがある。こいつらは結構高額なものなのだが、最近は中華製などが安価に出回っている。メーカ製とノーブランドの特性差はこちらが参考になるかも知れない。高周波機器をいじるにはコネクタは必須だし変換コネクタも必要だ。しかしこの変換コネクタの特性を測るのは意外と面倒である。

◆ 何かのコネクタとの比較をする事は出来るが、そもそも変換コネクタでコネクタ形状を変換してしまうので絶対的ロスを測る事が難しい。まあメーカを信じるしかないと言う事だ。

◆ コネクタで一般的なのはBNC型とかN型だと思う。BNCとはBAYONET NAVY(NEILL) CONNECTORの略でありバヨネット式の勘合になっている。このため余り高い周波数までは使えず1〜2GHzあたりが(整合を重視するなら)限界になる。

◆ NコネクタはPAULNEILL氏が考案した事でNと呼ばれるのだとか。Nコネクタはネジ勘合で強固であり、様々な改良によって10GHz以上でも良好な特性を示す。本物のNコネクタは厳密な規格化で管理されていて、安物Nコネクタとは精度が異なる。Nコネクタは特性は良好だがデカいので機器内接続に使うには邪魔になる。NコネクタのオスはBNCコネクタのメスに挿す事が出来るが、中心電極が傷むので非常時(!)以外はやってはいけない。

◆ SMA(OSM)コネクタは小型で機器内配線にも使われるが、SMAの他にSMBやSMCもある。A,B,Cサフィックスの前のSMは、SUB-MINIATUREの略だ。SMAコネクタは20GHz以上まで使用出来るのだが小型である事でNコネクタよりも物理的に弱い、太いケーブルに使えないなどがある。

◆ HP(Agilent)はAPCコネクタを独自に開発している。APC7はオスメスがない構造で計測器などに使われているが、結局の所変換コネクタで汎用コネクタに変換する必要があるので???でもある。
高周波まで使おうとするとコネクタを小さくしなければならない。これはフロッピィディスクを小型化すると記録密度が上がるみたいな話で機械的精度を出しやすくなるからだろう。ちなみに1mmと呼ばれるコネクタ、1.1mm(W)コネクタは100GHz以上の性能を保障している。

◆ パワーメータやNFメータなどなど0.01dB以上の分解能のある計器で測れば分かるが、コネクタの締め付けが不完全だとロスが増える。
というか締め付け具合でも微妙に変化する。なので正規にはトルクレンチでコネクタを締める事になっている。

◆ M型コネクタは安価で堅牢なためにアマチュア無線機器などでの使用例が多いが、インピーダンス整合が取れていない(50Ωに改良したものもある)ので100MHz辺りまでしか使えない。
安価なM型のメスコネクタは機械加工ではなく鋳造でネジをそのまま作ったものがあって驚いた。勘合がガタガタだったりきつくて入らなかったりのコネクタとは呼べないようなシロモノだった。

◆ M型コネクタを中空にして50Ωに近づけても根元部分の絶縁体や、そもそもオスコネクタの構造などがあるので完全な整合にはほど遠い。
今は無きパーソナル無線機にはN型コネクタが使われていて、民生用なのに高いコネクタを使うんだなと思ったが、さすがにコスト優先と考えても900MHz帯にM型コネクタは使えなかったわけだ。


テストオシレータ(3/7)
◆ 私は殆ど触れたことがないのだが、いわゆるシグナルゼネレータの簡易版みたいなテストオシレータと呼ばれるものがあった。
今で言うダイヤルでの連続周波数可変型オーディオゼネレータの高周波版みたいな感じ。
今時のオーディオゼネレータはオーディオ帯域のみではなく10MHz以上まで出力可能なものも多いが、簡易なRFテストオシレータは30MHzとか、その位が周波数範囲ではなかったかと思う。

◆ TRIOも製品を出していて、おそらくアマチュア無線家用ではなかったかと思うSG-402品番のものがあった。TRIOの製品はSINGNAL GENERATORと表示してある。テストオシレータは周波数確度も低いしレベルたるや半固定抵抗で設定するような感じでアッテネータ装備のものは少なかった。
当然シールドも不十分なのでアッテネータを付けた所で筐体輻射の方が強かったりして。

◆ これに対してSGは正確なレベルが得られる仕組みと保障された確度があった。ただTRIOの製品のようにテストオシレータレベルのものをSGと表しているものもあり、これに対して周波数やレベル確度の高いものをSSG(Standard Signal Generator)と区別していた。
ただし回路自体は(精度や構造は異なるが)同じようなL/C発振回路に違いはない。

◆ リーダーもテストオシレータを作っていたようで、こちらもシグナルゼネレータと表示されていたようだ。上でリンクしたページのLSG-11は真空管式で1960年代の製品らしい。上限周波数130MHz(MC)は当時としては十分に高い周波数だった筈だ。

◆ テスターのSANWAはテストオシレータと表示されていて300MHzまで出るのは凄い。内部の写真もあるがセレン整流器が使われている。セレン整流器の板1枚には耐圧があって、高圧用は板が沢山付いている。大電流用は板の面積が大きいのかな。セレン整流器はセレンなどを半導体として使ったショットキバリアダイオードの超大型版みたいな感じだ。

◆ セレン整流器はいかにも放熱が良いですよみたいな外観をしている。古いバイクなどにはこれが露出して付けられていたりするが、何と750kWのセレン整流器があったそうだ。このpdfを見ると24kAの整流器と言うより整流室みたいな写真も掲載されている。これに比較すると現在のシリコン整流器がいかに凄いものであるのかが分かる。

◆ TVのブラウン管用高圧整流には整流管が使われていた。整流管は単なる2極管だと思うが、高圧整流用に特化したのがこの1X2Bだった。高圧整流管ってX線が出るとかでないとかと聞いたことがある。

◆ 電源系の真空管で見たことがあるのはスタビロ、定電圧放電管である。放電管自体が定電圧特性なのでその特性を更に良くしたようなものだと思う。定電圧特性を示すので、半導体で言う所のツェナーダイオードと同じだ。

◆ 定電圧放電管は150Vだと思ったのでスクリーングリッドの電圧を安定化させるんだったかな。プレート電圧は真空管にもよるけれどもう少し高いのとシャントレギュレータなので電流の流れる回路には使えない。
テストオシレータはともかくとして真空管式のSGではこうした定電圧放電管も使われていたのではないかと思う。


真空管(3/6)
◆ 以前にBlogでも少し触れたがノリタケがVFDんぼ生産ラインで真空管を作るという話があった。真空管の構造や特性は分からないが、見栄え的にはVFDに近い平面のガラス封入となっている。足の数は10本で双極管の気がする。だとすると直熱式だとしても傍熱管だとしても4極管が構成出来る。

◆ 小型真空管というとニュービスタがある。ニュービスタは金属封入かあるいはガラスやセラミック管を金属で覆ったのかも知れないが、直径約10mm、高さ約20mmの超小型のものだ。動作プレート電圧は型番によっても異なるが6N-N7はEp=12V Ip=2.2mAが仕様だ。
よりパワーの大きな8382は250Vのプレート電圧でIp=25mAとなっている。

◆ ニュービスタが開発されたのは1950年代後半で、超小型高性能の真空管とされた。国産のニュービスタも1960年代に登場している。小型故に浮遊容量などの影響も受けにくく高周波特性も良好だと謳われた。当時はトランジスタも勿論あったのだが高周波増幅回路など、高周波用途としてのトランジスタは特性が十分とは言えなかった。今であれば小電力高周波増幅の世界で真空管がトランジスタに勝る事はあり得ないが、当時のトランジスタ性能は真空管に及ばなかった。

◆ ニュービスタ登場後に半導体技術が急速に発達した事もありTV受像器のチューナ部分や無線受信機の高周波増幅やミキサ段に使用されながらも静に消えていく運命だった。
しかし当時も真空管が使われなくなったわけではなく、大電力用途などには依然として使われ続けた。その代表格と言えるのがTV受像器の水平出力管で、これと高圧整流管が半導体に置き換えられるのには時間がかかった。

◆ 当時はトランジスタ式のテレビ受像器と真空管式のものが発売されていたが、大きく異なったのはその音である。トランジスタアンプで大出力を出す事が難しかったのか、大音量時の歪みなどの違いは"聞けば誰でも分かる"と言われた。
無線機などでもトランジスタ増幅器はリニアリティが悪く歪みが多かった。勿論大型のトランジスタを余裕を持って使えばいいのだが、そうしたトランジスタ自体がなかったのである。

◆ ノリタケ(伊勢電子といった方が通じるだろう)の真空管は出力管ではない。これまでにも真空管をプリアンプに使った機器はあり、PanasonicのCQ-TX5500Dは真空管を見えるようにレイアウトしたカーステレオである。CQ-TX5500DはDACの出力を3極管のカソードフォロワでバッファリングしたものだと思う。

◆ 真空管を介したから真空管の音なのか、真空管が見えるようにディスプレイされたデザインだから真空管の音なのか、他にも竹の繊維か何かを混ぜたというコンデンサが使われるなどして価格は10万円以上だった。
真空管を採用した事によって「まろやかで伸びのある高音、奥行き感のある豊かな低音」が実現されたという。

◆ 真空管を使いましたと謳うのならばカソードフォロワが良い。プレート側から出力を取ると後段との接続にレベルやインピーダンス変換が必要になる。勿論真空管の機能というか能力を使いたいのならばインピーダンス変換でも何でもやればいいのだが、コスト制約の中で真空管を使いましたとカタログに書くためには工夫が必要だ。


(3/5)
◆ 米の価格が下がっている。スーパーなどでも5kgで千円以下のものも見かけるし、10kgで買うと千円台のものが何種類もある。一昨年だと10kgで3千円位したと思うので7割位に下がっていると言える。米が高い時に安い米を買うと結構酷いよと言う話は以前レポートしたし、今は安い米でもそこそこ食べられるよとBlogでも過去に書いた。

◆ 安い米は粒が小さくて白くなった米粒が沢山混じっている。のだが、スーパーなどで安売りされている米を見るとさほど悪くない感じなのだ。となれば買って食べて試してみたいと思うのだが、あの安い米が不味かった思いが脳裏をよぎる… なので試してみるまでに散々迷ったわけだ。

◆ 現在は米の市場価格が下がっているので通販での価格も下がっているのだが今ひとつ下がり方が遅い。
これまで売れていた価格から改正せずにそのまま売っている店も多い感じだ。私は何度か買っている所は15%位の値下げにはなっているのだが今となっては割高感もある。
一昨年であれば10kg/3,800円は激安ではないがそんなものかなぁという感じ。今はその価格が3,200円に下げられてはいるが安いとは感じなくなっている。

◆ 米の研ぎ方も時代と共に変わっているそうで、今はゴシゴシごりごりやらないのだとか。まずは米に水を吸わせる工程から開始して、研ぎ自体は軽く済ませるという。ここで何回かき混ぜるとか云々と講釈されているのだが、米の量も違えば器の大きさも、手の大きさも違うので一概に何回かき混ぜろでもない気がする。

◆ こうして軽く研ぐのが今風なのだが長期保存米などでは米の表面に酸化皮膜が出来ているらしく、これをゴシゴシ取り去った方が良いとも書かれていた。さらには水の量や水に浸しておく時間なども米によって大きく異なる。

◆ 以前に実験した激安の米は標準水量だとかなり柔らかく炊けた。これがその米の特性なのか、それとも粒が小さいからなのかはよく分からない。米粒が小さいと体積に対する表面積が大きいわけだから体積あたりの水との接触面積が多くなる。つまり水を吸いやすい米というわけだ。
ただ水を吸いやすいから均一に芯が残らず炊けるかというとそうでもなくて、堅さを調整するために水量を減らすと芯が残る。

◆ 炊飯器を新調するとご飯が美味しくなる。炊飯器を買い換える度に感じることだ。炊飯器なんてさほど劣化する部分はないように思うしパッキン類は劣化すれば見て分かる。これは内部のマイコンにタイマがセットしてあって、徐々にご飯の味が落ちるように仕掛けてあるのではないか。そうしないと代替が促進されない。
なんて事はないと思うのだが、一体何が変わるのだろうか。

◆ 炊飯器というとIHが主流だが3合炊き以上の場合はヒータ式と大差ないのだとか。その理由は与えられる電力が1.5kWリミットなのでIHのパワーが活かせないらしい。これが3合炊き位だとIHの方がピークパワーが出せるので差が出る。また3合炊き位の場合は釜の周囲にコイルを作れるのだが、5合炊き以上では分割通電しないと許容電流量をオーバするとの事なので200V系が必要なのだろう。大型炊飯器がガス式なのも100V系の電力では限界があるからだと思う。


OTL(3/4)
◆ アウトプット・トランス・レスのお話である。今のトランジスタアンプはOTLが当たり前だが、昔のラジオなどにはトランスが使われていた。スピーカのインピーダンスは8Ω前後と低く、この低いインピーダンスをトランジスタで直接ドライブするには効率が悪かったからだ。

◆ トランジスタの場合はエミッタフォロワで電流増幅すればトランスレスも十分可能なのだが、これが真空管となると難しい。真空管の場合はプレート電圧が高く電流が小さい、つまりインピーダンスが高いからである。プレート電圧が300Vで電流が200mAだと(その時の)真空管の内部抵抗は1.5kΩになる。そこでトランスを使ってインピーダンス変換をする。

◆ しかし世の中には管球のOTLアンプも存在する。真空管の良さがトランスによってスポイルされない究極のアンプとも言われるが、それはミスマッチの塊のような乱暴な回路である。出力50Wのアンプのスピーカ端子の電圧と電流は、インピーダンス8Ωのスピーカと考えた場合は20Vの電圧と2.5Aの電流になる。

◆ 真空管のプレート電圧が200Vだろうと300Vだろうとスピーカ端子の電圧は20Vで、電流は2.5Aも流さなければならない。プレート電圧が200Vだとすると180V×2.5Aの450Wも損失させなければならないのだ。
このため管球OTLアンプの消費電力は1kWとか2kWなんて話になる。

◆ 真空管も1本では2.5Aも流せないので3パラとか4パラにする。4パラにすると1本あたりの電流は625mA、損失は112.5Wとなり大型の真空管なら許容出来るレベルになってくる。回路的にはSEPPになっていて片側はカソードフォロワで動作する。

◆ 使用される真空管は内部抵抗が低い、つまり耐電流の大きな電源用の真空管などが使われる。とは言ってもインピーダンスは100Ω前後になるので8Ωのスピーカをドライブするのは結構可哀想である。電源用真空管だとプレート電圧150V位でも動作するので真空管の損失を減らす事が出来る。それでも真空管からしてみれば出力をショートさせて動作しているようなものだ。

◆ 電流を多く流すので電源も大変だ。本来ならば定電圧電源化すべきなのだろうが、ここにトランジスタを使ってしまってはオール管球アンプではなくなるゼということで非安定化電源のものが多い。NFBをかけるのも大変で、スピーカ端子では電圧が低いのでGG(グリッド接地)でNFB用のアンプを組んだりする。

◆ 管球OTLアンプが無駄だ無謀だと言うつもりはない。私はずっと以前に12BY7Aを3本か4本並べて50MHz帯で10W以上出した事がある。12BY7AはTVにも使われていてジャンクが安かった。パワーが出るまでプレート電圧を上げる、そのうちプレートが赤くなり、下手するとガラスが溶けてしまうみたいな。ちなみに12BY7Aのプレート損失は3Wだそうだ。入力は整合が面倒だったので50Ωで終端してカソードに突っ込んだから接続としてはGGである。

◆ あとはTVの水平出力管、これは50MHzで使うには厳しすぎたがGGだと余り発振せずに増幅してくれたが、相当無理な使い方をしないと実用的ではなかった。


中華エンジン(3/3)
◆ ホンダのカブなどにポン付け出来る中華エンジンが安いと、かなり前に聞いていたがその実体がどのようなものかは知らなかった。
カブ乗りがエンジン不調を訴え、オーバホールするなら中華エンジンに載せ替えちゃと言う事で実行に移したという話を聞いた。

◆ 中華エンジンでも何種類かあるらしく、遠心クラッチ付きだったり違ったり、電装系もノーマルが使えるのものあれば配線が違うものもあるのだとか。
エンジンセットで買うとエンジンと電装品などがセットになっていて1万円くらいだと言うから破格である。

◆ 中華エンジンへの載せ替えを行ってくれるショップもあれば、そのショップが扱いやすいと思われるエンジンを売っている所もある。エンジンの載せ替え自体はスクータと違って簡単なものなのだが、細部のサイズだとか位置が微妙に違っていたりするので加工を要する部分もある。

◆ エンジン自体は安いが手間を考えるとどうかなぁと言うのが積み替え派のご意見だ。コピーエンジンなら完全にコピーしてくれればいいものを、なんで微妙に違うのか。完全コピーは高く付くからコストダウンのために変えちゃったとか?そもそもコピー品質が低いテキトーなものだとか?
◆ 微妙な違いは加工したりして吸収する必要があるそうで、しかし全く違うものでは無いのでねじ穴を広げるとかで対処出来るという。
中華コピーに完璧を求めてはいけないと、切った貼ったで上手く乗っけたそうだ。

◆ 排気量は公称110ccらしいのだが実際には105ccとか107ccらしい。まあ細かい事を言ったら中華エンジンなど使えないと言う事だ。エンジン始動までで面倒だったのは電機系の配線だったそうで、配線色が同じだからと言って(オリジナルエンジンと)同じ信号という保障はない。
セル付きエンジンであればセルを回して信号を確認するのが手っ取り早い。有名どころのエンジンであればネット上にも情報がある。

◆ コンプレッションがオリジナルエンジンより高そうだという話と、放熱性が良くない気がするとはいっていたが積んでしまえば普通に走ると喜んでいた。何しろその安さが魅力で、壊れたら積み替えると思えば品質も気にならないと。

◆ 中華エンジンが壊れる事があれば又話でも聞けそうで、本人にしても最初は耐久性は大丈夫かなと近場しか出かけなかったというか出かけられなかったと話す。でも普通に走れてしまうと壊れる事もないだろうと今は普通に使っているそうだ。

◆ しかしこれ、一体原価はいくらなのだろう。下手したら模型のエンジンよりも安いというその価格が謎である。エンジンという機械ものだけならともかく、CDIだとかレギュレータだとかも付属してくるしセルだって付いている。これじゃぁ日本の産業は駄目になるなと、いや、現段階ではコピー品質が低いのかも知れないがやがてはオリジナル以上の性能になるかも知れないではないか。

◆ 中華HIDの安さも驚異的だが中華エンジンも又驚異的である。もっとも中華HIDのバルブ(バーナ)が短命である事は身を以て体験しているが、安いから駄目になったら買い換えると考えれば良いだけの話だ。


パワー計(3/2)
◆ パワー計に関しては以前にも書いている。
カロリメータは私が最初に入手したパワー計、今は普通(?)のパワー計を使っている。
パワー計はパワーメータ部分とパワーセンサ部分に分かれている。パワーメータはブリッジやチョッパアンプなどで構成された単なるメータである。

◆ センサの方は高周波を整流して電圧とするダイオード系のセンサと、高周波を熱に変換して抵抗値変化として出力する温度系のセンサがある。温度系のセンサはサーミスタや熱電対などがある。

◆ 各センサにはそれぞれ特徴があるので各センサが販売されている。
測定の誤差要因の多くは不整合損失によるものだ。パワーセンサが正確な50Ωを示せば問題はないが実際はそうではない。
SWRの低いセンサはサーミスタなのだが、これは温度に対する抵抗値変化が非線形であると共に測定パワーレンジが狭い。同じく温度系の熱電対もサーミスタと似たような特性を示すが、サーミスタより少しSWRが高くて少しダイナミックレンジが広い。

◆ ダイオード系はワイドダイナミックレンジ品もあり90dBもの範囲の測定が出来たりする。なお温度系のセンサは大パワーのパルス波を測定出来る(平均出力がセンサの許容内であれば)が、ダイオード系は応答が速いのでパルスだろうが何だろうが規定以上のパワーを入れれば壊れる。

◆ サーミスタセンサのダイナミックレンジは30dB程度、熱電対が40dB、ダイオードが50dBという具合になっている。一方でSWRはサーミスタが1.1、熱電対が1.15、ダイオードが1.2を超えるがサーミスタセンサのSWRが低いレンジは0.1-1GHzと範囲が狭い。

◆ メータの方は最初はアナログ、そしてディジタル表示になったが最近は液晶画面にグラフィカルに表示するようになった。ディジタル表示型でもアナログメータが付いているものが多いのは、電力測定はアナログメータの方が直観的に判断しやすい事が理由だ。
しかしアナログメータの場合は読み取り精度の問題だとかレンジ切り替えの煩わしさがあった。

◆ パワーはスペアナで測れば良いではないか、ごもっともである。最近のスペアナは確度が上がったのでそこそこ正確に測定出来る。
ただし帯域幅には限界hがあるので広帯域に分布する信号を測定する事が出来ないのと、一般的なスペアナ(つまり、高確度を謳わないもの)では±1dB位の誤差がある。

◆ 0dBmの信号を±1dBmの確度で計ると約0.79mW〜1.26mW、つまり0.47mWの範囲になるので誤差の幅としては47%にもなってしまう。
一方パワー計では不整合損失を除くと±5%位に入る(不整合損失はスペアナでも同様)ので誤差は0.1mWだ。こうした確度の理由もあり無線機器の認定時測定法ではパワー計か、パワー計によって校正したスペアナで測れと書かれている場合が多い。ちなみに送信機テスタによってはスペアナとパワー計が同一筐体に入れられたものもある。
送信出力の規定は-50%〜+20%なので確度±1dBのスペアナによる測定では怪しい。

◆ パワー計をパワーメータ内蔵キャリブレーション出力で校正し、同一周波数の同一レベルをSGから出力して誤差を測ると、その差0.1dB以内だった。SGの出力レベル規格は±0.5dBである。


産業(3/1)
◆ 日本の物作りはもう駄目なのだろうか。基板や水晶振動子の所でも書いたのだが、少量生産を受けてくれる日本の企業は皆無となっている。水晶振動子は加工済みのブランク(振動子をカットしただけのもの)を買ってきて研磨と蒸着を行えば手作りが出来るが、そのブランクを売ってくれる所がない。

◆ 水晶メーカは統廃合によって巨大化し、人工水晶の製造からカット、振動子としての製品化まで全てを行うようになった。これはブランクの売買需要が消滅した事を示しているので零細水晶振動子屋が生きていこうとすれば海外からブランクを買ってくるしかない。

◆ 基板に関しても同様で量産ものしかやらないよという大手メーカ、しかし量産だったら海外の方が安いとなってしまう。一部メーカは層間スルーホールの特許で高精細基板の需要を引き受けているが、同様な加工が特許に抵触せずに出来たりあるいは設計でカバー出来るようになると特許の優位性も減少する。

◆ 金属加工にしてもプラスチック加工にしても同様で、試作品を手作業で削りだしていく工場は少なくなってしまった。3Dプリンタが活躍しているからと言う話ではなく、試作や実験を行い製品開発のベースを作ってきた中小あるいは零細企業自体が無くなってしまったのだ。

◆ 試作ばかりではなく少量生産品、例えば宇宙ものだとかレーダや軍事ものだとかを作るのにもそれを加工してくれる所がない。電気ものを作るにしてもディスクリートパーツの撤退が相次いで、海外製デバイスを使うしかない。
トランジスタにしてもICにしても、小型で高い信頼性を誇った日本の半導体も今や絶滅に向かっている。

◆ ディスクリート半導体が減るのは、価格競争などもあってLSIの中に出来るだけ取り込んでしまおうとする流れだ。そのLSIにしてもコストと納期の点で国内デバイスメーカは海外に勝てない。それこそ沖電気LSIの消滅やNEC,ルネサスを見ても厳しい現実が分かると思う。

◆ 日本は元々開発力という点で優れているとも思えない。今の中国と同じとまでは言わないが電化製品にしても自動車にしてもアメリカ製のコピーみたいなものを作っていた。トヨタにしても、マネシタ電器にしても同じである。そんな中から低価格で高信頼性の製造技術を習得すると共に経済成長期にはこれも現在の中国同様に人海戦術による設計のスピードアップと短いモデルサイクルによって製品のレベルを向上させた。

◆ 短いモデルサイクルは代替需要を掘り起こせるので売り上げにつながる。短寿命の製品を作っておけばいいので完成度が少々低くても市場に出せる。製品の信頼性は高いが設計の完成度は低い品物が街に溢れた。自動車にしても携帯電話にしても同じだが、しかし景気低迷期になり完成度の高い品物が好まれるようになるとものは売れなくなる。

◆ そんな不況の時代でもモデルチェンジを繰り返さなければならないのか。モデルサイクルを長くする事が売り上げ低下に直接つながってしまうのか。そんな悩みを抱えているのがSONYのスマートフォン部門だ。モデルサイクルを短くするとそれを設計するコストが必要になり、モデル辺りの販売台数が低下するので各費用の償却が厳しくなる。
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