狭間(4/2)
◆ ドコモもauも免許バンドの全てのLTE化が完了した事もあり、来年度以降は設備投資が少し楽になる。SBMのみはLTE化が遅れている。過去にも触れたのだがLTEは未だ金がかかるとか、当面3Gがメインになるとして900MHz帯や1.5GHz帯を3Gで整備した。
◆ 900MHz帯においては圏外対策のためには仕方なかったとも思えるが、その一方でSBMは2GHz帯の整備強化でドコモに劣らないネットワークになったと自慢していた。勿論これはお得意の口先戦法であり900MHz帯を得た現在でもドコモやauにはなかなか太刀打ち出来ない。特に地方部や観光地など、基地局の平均利用者数の少ない所はやる気がない。
◆ 1.5GHz帯は3Gの縮小が行われているのだが、これが単に経費制約によるものなのかLTE化の準備なのかは謎だ。ドコモやauと異なりAndroidスマートフォンが殆ど売れていないSBMにとって3Gしか使えない1.5GHz帯はお荷物となっている。現在はWi-Fiのエントランスに使うという、金が出て行くが金が稼げない用途がメインだ。
◆ ドコモやauに後れを取るSBMなのだが設備投資額はどんどん縮小している。金で加入者を買う事も出来なくなってしまった現状では設備投資に回す金は無いというわけだ。
ノロノロと900MHz帯や1.5GHz帯の整備を続けていると次世代通信方式への投資までそれが続いてしまう。償却期間に非常にシビアな孫さんなので価値があるものを廃棄はしたくない。
◆ ドコモにしてもKDDIにしても先行投資に近い形で次世代開発を行うのにはこうした事情もある。次にいつ何をどこから行うかが決まらない事には現世代への投資がどこまで必要かが見えてこないからだ。特に動きの遅いドコモなどは開始は早いが完了が遅いみたいな事になる。
◆ 大規模基地局のみではなく屋内局やリピータにかかる費用も無視は出来ない。大規模商業施設があればそこをエリア化する必要が出てくるし、商業施設などは人口密度が上がるのでキャパシティも要る。
◆ 最近のドコモレピータはフィルタのシェープファクタが良くなり、SBMなどの帯域は漏洩してこない。従来機の場合はフィルタの事情もありドコモレピータのおこぼれでSBMも何とか圏内になるケースも多々あった。ドコモの設備なのだからドコモの帯域外を増幅するのは良くない事であるし、そのセル内利用者が増えれば送信電力もそれに比例して増える事になるので他事業者の増幅をするのは避けるべきだ。
◆ 設計数以上の利用者があれば歪み余裕度が減少するし、特にCDMA方式の場合は利用者数が増えやすいので困る。従来のレピータはCDMAを基本として開発されていたもので、周波数が同一なのでLTEも扱えるのだがバックオフの関係で難しい所があったと思われる。
おそらくはそれをLTE用に設計し直す時にフィルタを変えたのだろう。
◆ こうした整備が落ち着くのがここから数年、その先には5Gへの開発や商業化が待っているというわけだ。PDCからFOMAの時も、FOMAからLTEの時もなかなか全世代を超えられなかった。それは現世代はエリアにしても制御にしても相当な最適化が進むからで、新方式ではノウハウなどの不足もあってなかなか思うようなエリア展開が出来ない。
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