熱効率(6/13)
◆ 1年以内に登場すると見られる次期プリウスはエンジンの改良を重ねて最大熱効率40%を達成したそうだ。高速燃焼と大量EGR,それを実現するために気筒内の乱流発生や点火エネルギの拡大などを行ったとされる。
初代プリウスに搭載されたエンジンの熱効率が37%、現行プリウスが38.5%、そして次期プリウスが40%と言うわけだ。
◆ エンジン設計も他と同様でどこかの性能を上げようとすると他を実現しにくくなる。
このあたりをいかにバランスさせていくかが難しい所なのだが、プリウスという車両自体が燃費特化モデルなのでたとえば排気量あたりの出力などを追求していく必要はない。
◆ これがハイパフォーマンスを売りにするとなれば非出力も上げなければいけないし軽量化やトルク特性、高回転域に至るまでのフィールだって重視される。ハイパフォーマンスというわけではないがマツダロードスターなどは軽快感などの乗って楽しい車やエンジンを目指す事になるので方向性が異なる。
◆ そうはいっても現代の車だから燃費を犠牲にする訳にもいかない。様々な性能を実現するために重くなるのも嫌がられる。運動性能を向上させるには軽量化が必要で、ロードスターは1tを切るモデルがある。
燃費(熱効率)向上のために構造が複雑化したり、それに使うエネルギが増えるとエンジンの熱効率が上がったとしてもトータルとしての燃費が良くなりにくい。
◆ これまでにも生まれては消えていった様々な技術が生き残れなかったのもこうした問題があったからだ。
次期プリウスのエンジンでは点火出力を100Jにまで高める必要があるという。これは通常の点火装置の3倍近いエネルギになる。過去には日産がサニーで使った高出力点火装置がある。
◆ 日産が使ったのは高圧電源と従来型点火装置を組み合わせたようなもので、従来型点火装置で最初の火花を飛ばした後に高圧電源から電力を供給して連続放電させる。これは放電電流のピークを求めたものではなく放電時間を長くしてトータルエネルギを増やす作戦だ。
◆ 次期プリウスのエンジンは高速燃焼を行わせるようなので、大量EGRなどで火の付きにくい混合気に素早く大量の熱を供給する必要があるのだろう。火花エネルギを上昇させるとイグニションプラグのダメージも大きくなる。
日産は通常のプラグを使ったのではないかと思うのだが、プラグの摩耗が問題になったという話もある。
◆ プラチナ電極プラグを初採用したのはトヨタではなかったかと思う(記憶曖昧)が、新たなプラグの開発が行われたりして。イリジウムもトヨタだったかな。トヨタ初の12気筒エンジン(1Jを2つ組み合わせたような構造)の燃焼が思うように安定せず、様々な試行錯誤の中からイグニションプラグに目を向けたみたいな。
◆ サニーの例ではO2センサもリニアタイプが採用された。通常は理論空燃比付近で電圧が急変するセンサが使われるのだがサニーでは酸素ポンプ型のリニアセンサで空燃比を計った。たしかプリウスも同様な方式を採っていたと思うが、通常のO2センサも併用して理論空燃比付近の測定精度を上げていたような気がする。
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