広告事情(12/8)
◆ 山手線の新型車両は中吊り広告が廃されるのではないかとも言われていたが、根強い需要があったからなのか継続される事になった。中吊り広告自体の需要は年々低下していて、これはスマートフォンの普及などにより電車内を観て広告に目をやる人が減っているからだという。おそらく全路線平均ではないかと思うのだが中吊り広告の認知率は2割を下回っている。
◆ しかし山手線に限っては需要が大きく、今年度の広告枠は全て予約が決まっているという盛況ぶりだ。混雑時車両の多い山手線はスマホ利用率が低いのだろうか。
これと同じ事は地下鉄にも言える。今でこそ地下鉄トンネル内もエリア化されたのだが、景色も見られない地下鉄内での広告効果はそれなりにあったと思う。
◆ 中吊り広告広告料金は2週間で1,800万円だそうだが、これがあっという間に売り切れるのが山手線である。単体枠と呼ばれる広告は約600万円、安い方だと相模線が同14万円なのでその差が分かろうというものだ。
地下鉄系はメトロ全線が同500万円、私鉄では東急全線が約500万円で安いのは東武本線の10万円などだ。
◆ 最近の電車だと動画広告もよく見かける。こちらは15秒の動画掲載が13週間契約で3,800万円となっている。割高にはなるが1週間契約も可能、しかし他路線との抱き合わせだそうで人気は高くない。首都圏を走る山手線はともかくとして近郊連絡線や埼京線、南部線などでは広告効果が限られるというのがその理由だ。
◆ スマホ利用者は視線を広告に向けないが乗り降りする時だけは周囲を見渡す。この点から人気が出たのがドア付近の広告だという。
基本的に広告枠は首都圏の電車全てが一括となりドアの両側に2ドア分出す場合で広告枚数は約4万枚、広告費用は1週間で2千万円台だ。広告費用は高くなるが効果があると言う事で人気が高い。
◆ 過去には人気の広告が持ち去られると言う事もあった。広告主としては広告の話題性はうれしかったのだろうが、広告が失われてしまうと言う事にもなった。
逆に認知率が低いのは座席の上の天井近くの広告だ。着席時にスマホを使う人が多い事も広告効果の低下を招く。この為広告スペースの販売率も低下して空きが目立っている。
◆ JRは広告効果の調査を市場調査会社などを通じて行っている。中吊りや駅ナカ広告などの認識率や認知率を調査するが、広告の存在は認識していても何の広告かは良く覚えていない=内容にまで目を通していない傾向が増えているという。
◆ これもスマホを操作しながら視界に入ったレベルでしか観ていない人が増えた事を示している。若年齢層の人口減少やそれに伴う就業人口の減少は近郊連絡船の混雑が減少に転じている事からも明らかだ。Web広告やアプリ内広告、あるいは動画配信サイトにおける広告が伸びる中で物理媒体広告の限界なのだろうか。
◆ 新聞の折り込み広告にしても新聞購読者数が減少する中で、折り込み広告の半分以上は目を通されずに捨てられていくとも言われる。
マンションや自動車の広告は厚手の良い紙に印刷されているのでコストもかかっているだろう。行政や外郭団体が印刷物を沢山作ってはそのままゴミに出すのを思い出す。
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