充電(3/8)
◆ USB端子からの供給電流は元々は500mAだった。ノートPCなどでは500mAがギリギリで電圧降下を起こすものなども過去にはあった。
◆ USB接続型のモバイルルータなどがPCによってはリセットしてしまうという事態が起きた。PHS方式のデータ通信機でもピーク電流は500mA近くになり、その時にPC側の電圧が落ちるのでリセットしてしまうのだ。シングルスロットで通信するものならば電流的には大丈夫なのだが、4スロットで128kbps通信を行うものやQAM変調方式を使うものだとダメになる。
◆ スマートフォンへの電源供給や充電が一般的となってmicroUSB端子の規格自体も大電流対応品が増えた。ケーブルには2A対応や2.4A対応と謳われているものもある。以前にもmicroUSBコネクタの耐電流に関して書いた事があるが、その頃よりも進んで現在では3A対応品がある。
接触抵抗の最大値は30mΩだそうだ。
◆ このタイプでも3A対応とされるプラグを使用したときのみ3Aを流す事が可能で、一般的なプラグの場合の最大電流は1.8Aになっている。
3A対応とするために複数接点を設けていて、専用プラグの場合はこれが有効に使われるとの事だ。
◆ 実はmicroUSBコネクタの大電流対応化は進むもののスタンダードAの耐電流は余り上げられていないらしい。抜き差し回数もmicroUSBの5千〜1万回に対してスタンダードAの場合は1500回程度が多い。おそらくUSB充電器のコネクタは2A対応品などが使われているのではないかと思うのだが、100円ショップのUSB-microUSBケーブルのコネクタがどうなっているのかは不明だ。
コネクタには通電時の温度上昇も規定されているがスタンダードA/Bに3Aの電流を流すと発熱で溶けてしまうと言う話もある。
◆ こうした中でより多くの電力を供給しようとする試みの中からクアルコムはQuickCharge規格を作った。従来の5Vの電圧を9V〜20Vに上げる事で大電力送電を可能にしようというわけだ。ようするに送電線の高圧送電のようなもので、電圧を上げる事によって電力を増やすわけである。
◆ ネゴシエーションに関してはblogのコメント欄にも書いたのだがD+/D-端子を使った簡単なロジックレベルで信号やりとりの後、同じくD+/D-端子の電圧レベルで供給電圧を変えるようになっている。電圧を上げるためには最小で1251msかかる事になっているのは安全性の確保だろうか。
実際の充電器で見てみると、確かに5V→9Vに上がる方向では時間がかかるが下がる方は一瞬である。
◆ 信号のやりとりは簡単なものなので「たまたま」そうなってしまう事が絶対にゼロであるとは言い切れないと思う。シーケンスとしてはD+に0.6Vを1250ms加え、D-を1msの間GNDに落とした後でD+/D-に設定した電圧を加える。この0.6Vと言う電圧は電圧の設定信号としても使われる。
5V時はD+ 0.6V/D- GND、9V時はD+ 0.6V/D- 0.6V、12V時はD+ 3.3V/D- 0.6V、20V時はD+ 3.3V/D-3.3Vを加える事になっている。
◆ QC2.0対応充電器にはQC2.0対応器機以外は接続しない方が、特にQC規格制定前の器機などはつながない方が安全だと言える。D+/D-端子電圧は確かiPhoneでも別途独自に決められていたような気がするが、それがQC企画とあっているか否かは確認していない。
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