OneWeb(2/26)
◆ OneWebよりもARMの話しの方が先か。大きな数字の大好きな孫さんはARM買収で世界一になったと自慢した。まあこの程度で騙されてしまうのが投資家の哀しさだろう。部品やアーキテクチャレベルで世界一だ宇宙一だとはじめたら、世界一が山程出来る。
◆ 世界中が危惧するのはソフトバンクの力によってARMの開発力が低下するのではないかと言う事だ。設備投資や先行投資の嫌いな孫さんは開発投資も嫌いだ。以前には「技術がないのが強み」であり、技術など必要に応じて買ってくればいいと語った。
孫さんが形あるものを生み出さない事を認めないという考えを変えてくれればいいのだが。
◆ OneWebはイリジウム計画の拡張版のようなものである。イリジウムよりも低軌道で多くの衛星を周回させて通信を行おうとするものだ。衛星の軌道は1,200km内外と言われている。
低軌道衛星を多数飛ばす計画は過去にもあった。テレデシック社は840から288機(後に計画変更で数を減らした)の低軌道衛星で衛星コンスタレーションを作る計画だったが挫折した。
◆ 低軌道衛星は大気の影響を受けてやがて落ちてきてしまう。落ちてこないようにするには軌道修正を繰り返す以外にはない。高度1,000kmクラスの衛星の経済寿命は数年程度ではないだろうか。燃料を沢山積めば寿命は延ばせるが大型エンジンが必要になりコストが上がる。実用的には20年位飛ばしておく事も出来るようだが特殊だ。
◆ 衛星の数は700機以上と言われている。
衛星辺り200Mbpsしか帯域がないので地球上空まんべんなく配列していたとすると衛星1機あたりで約70万平方キロメートル以上をカバーしなければならない。これは日本上空に0.5個しか衛星が見えないのと同じになる
◆ 実際には地球上全てに人が居るわけではないので複数個見える衛星の空いているチャネルを使う事になるだろう。少しカネをかければ衛星にマルチビームのアンテナを積む事も出来る。
◆ 伝送速度を上げられないもう一つの要因に遅延がある。3,000kmを進むのに電波は10msもかかる。ウインドゥサイズ64kバイトのTCPで遅延が10msあると伝送速度は約50Mbps迄しか上がらない。
伝送速度は上がらないが音声通話に遅延の影響は殆ど無い。
◆ 通話・通信料金にもよるが用途としては山岳や海上など、あるいは航空機でのサービス用としての利用が考えられる。
災害などにも強いと思われるので非常用の通信手段としても使われるだろう。
静止衛星を使ったサービスは各社持っているのだが、伝送速度の問題や音声遅延もあるので決して使いやすいとは言えない。
◆ 孫さんはランニングコストが年間千億円だと言った。700機の衛星を使うとして年に70機は入れ替えが必要だろう。衛星と打ち上げのコストが50億円としても3500億円になってしまう。中国製格安衛星で20億円で上げられれば1400億円まで圧縮出来る。ランニングコストの1,000億円は地上系や人員コストだけで、衛星コストは入っていないのかも知れない。
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