ZOZOTOWN(1/22)
◆ 衣料品は通販では売れないと言われていた、いわば常識を覆したのがZOZOTOWNである。実際のイメージが分かりやすいようにモデルの体系などを明記したり注釈を入れるなどして"伝える"努力を行った。同時に各大手ブランドなどとの協力体制で、双方が十分な利益を得られるような価格と販売方法を採った。
◆ こうした事もありZOZOTOWNは一定の成功を収めたと言って良い。株価も順調に推移して5,000円が見えてくる所までとなり、企業価値は1兆円を突破する。
しかし昨年末辺りから雲行きが怪しくなる。一体何が起こったのか。
◆ 事の発端はZOZOTOWNの有料会員による割引制度だ。有料会員になると常に割引価格で品物を購入することが出来る。
月間およそ5千円以上の買い物をする人ならば有料会員がお得だ。この値引き分はZOZOTOWNが負担し、仕入れ値を値切ると言うことはしないという。
◆ しかしオンワードなどはZOZOTOWNへの商品供給をやめた。他にもいくつかの大手ブランドが撤退を決めた。ZOZOTOWN側は仕入れ値を詰めるわけでは無い、今まで通りの取引なのだから良いだろうと考えた。しかしメーカ側の考えは違った。
いきなりの(有料会員限定)安売りではブランドイメージが保てない、実店舗との価格差が問題になるという。
◆ 元々アパレル業界は利益率の高い商売をしている。シーズンが終われば安売りされるが、それでも儲かる。或いは安売り用の品物も製造する。新作は高い価格が付けられているが、それはそれでも売れるからだ。その、高値で売れるものをいきなり値引きする必要は無いとメーカは考える。
◆ 値引きする必要が無いだけではない。値引きによるイメージダウンもある。顧客は定価で新作を購入してこそ満足感が得られるものであり、いきなり安売りでは新作の価値が半減する。ZOZOTOWNは価格が全てだと思っている。だがアパレルとはそんなに甘いものでは無いとメーカは言う。
◆ イメージ回復を狙ったのか、はたまた話題性が欲しかったのか、1億円をばらまいてみた。これも抽選であげるよと言う話では無くなり、気に入った人にあげるとなって躓いた。ただしTwitterのフォロワーやRT数は爆発的に増えて宣伝にはなった。
◆ ZOZOTOWNの場合に消費者は客である。
カネの流れから行けばメーカにとってはZOZOTOWNが客だし、ZOZOTOWN側もそう思っているに違いない。しかし現実にはメーカもZOZOTOWNの客のようなものであり、その機嫌を損ねると商品を回して貰えなくなる。
◆ 商社とはメーカにもメリットを与え、消費者にもメリットを与えなければならない、関係者全てが客である的な振る舞いをしなければならない。その、いわばセオリーを前澤社長が壊してしまった。それには自分は十分な成功を収めた人間であるという奢りがあったのだろう。
◆ 私もZOZOTOWNで買い物をする事はある。で、久しぶりにページを見てみると、なるほどオンワード系ブランドの名前が見当たらない。ピーク時の半分にまで下がった株価はどこまで持ち直せるのだろうか。
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