ジェイクブレーキ(2/14)
◆ ディーゼルエンジンはポンピングロスが殆ど無いのでエンジンブレーキが利きにくい。ちなみにBMWのバルブトロニックエンジンも、ミラーサイクル的なカムタイミングになるのでエンジンブレーキが余り利かない。
◆ トラックなど重量車でエンジンブレーキが利かないのは危険なので、排気ブレーキやリターダが使われる。排気ブレーキは排気管にシャッタバルブを設け、それを閉じてしまう。するとエンジンから出た空気の排出が阻害されて抵抗になる。ディーゼルエンジンにはスロットルバルブがないので、いわゆるエンジンブレーキ稼働時には、エンジンはエアコンプレッサのように動作する。
◆ これをもう少し工夫したのがジェイクブレーキだ。吸入行程で吸い込んだ空気を圧縮行程で圧縮するが、圧縮上死点付近で排気バルブを解放する。すると断熱圧縮された空気が排気管に流れて圧縮に要したパワーを一気に解放する。バルブの動作が通常のエンジンとしての動作時と異なるのでバルブ周りが複雑にはなるのだが、大型ディーゼルエンジンは最高回転数が低いので組み込みが出来る。
◆ 圧縮行程ではパワーを消費して断熱圧縮を行い、高温高圧の空気を一気に放出してパワーを捨てる。その後の本来は排気の工程になるところでは排気バルブを閉じて、今度はシリンダ内を負圧にする断熱膨張でパワーを使う。
◆ 更にバルブタイミングを工夫して4ストロークエンジンを2ストロークエンジン的に使うジェイクブレーキシステムもあるそうだ。ジェイクブレーキシステムは圧縮エアを一気に解放するので、排気騒音が問題になる事がある。通常の燃焼行程では爆発工程で発生したエネルギをクランクシャフトの回転力として吸収するが、ジェイクブレーキの場合は圧縮エアを一気に排出するので音が大きいわけだ。
◆ リターダはエンジンを使わないパワー吸収装置で、渦電流を使ったものや流体式などがある。渦電流方式は磁石とアルミや銅の円盤で構成されているので構造が簡単だが、吸収出来るトルクに限界がある。多段式や円盤の直径を大きくすれば吸収トルクは大きくなるが、重く大きなものは嫌われる。
◆ 流体式は小型で大トルクを吸収出来るが、システム自体は(放熱器なども必要なので)複雑になる。ただ大型トラックなどでは流体式のリターダが多いみたいな話を聞いた事がある。ドライバーにとってはリターダのパワー吸収特性(急激に効くかどうかとか、トルク吸収量が変動しないかなど)も気になるようで、どこそこのメーカのリターダが良いなどあるみたいだ。
◆ パワーを吸収して熱にしてしまうのなら、電力に変換してバッテリーを充電すれば良いじゃないかとなるのだが、デカい発電機とデカいバッテリーは重量とコストの点で中々受け入れられない。トラックは積載量を増やしたいわけだが、トラック自体が重くなると積載出来る荷物の重量が減ってしまう。なので昔はV8エンジンとかV10エンジンが主流だったトラックも、今はダウンサイジングターボなのだ。
◆ ハイブリッド化なども考えられるのだが、ハイブリッド化による重量増とコスト増を考えると、リターダやブレーキで熱にして放出してしまった方がお得なのだろう。そのブレーキも最近はディスクブレーキ化が進んでいる。これもコスト増になるとかパッドの寿命が短くなるなどの問題点はあるものの、フェードの心配が少ないメリットが受け入れられてきた。


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