(こじ)さんからの投稿第4弾,今回はお料理じゃないよ!


デジタル腕時計を調整する


カシオの腕時計はどうも進む,と思っているのは私だけだろうか. 以前つかっていた SEIKO や ALBA に比べて進み方が激しいのである. カシオの腕時計は機能が豊富でいいのだけれど,時計としての基本性能がイマイチなんでないかという思いがある.いや,決して基本性能が悪いわけではない.実はその進み方が意外と安定しているからだ. カシオのテレメモ50の仕様書を引っ張り出してきて読んでみると,平均月差±15秒以内と書いてあるのだが,現物の感覚では,平均月差 +30±1秒以内ぐらいなのではなかろうかというぐらい正確に進むようだ. これじゃ完全にスペックオーバなのだけれど,秋葉のガード下のカシオ専門B級品店で買ったものだから,まあこんなもんか.ようするに調整がなっとらんのんのね.ま,遅れる時計よりは進む時計の方が良いということわざがあるので,カシオの時計は良い時計(?)ということになる.しかしどうも釈然としないので,F&F的解決方法がないかと,こんな実験をやってみた.

デジタル時計の調整工程はもちろんオートメーションで行っているのだが,時計のトリマコンデンサ(?)をロボットがまわす,という意外とローテクな調整方法に頼っているらしい.当然カシオの腕時計にもこのトリマは存在する.これを手動で調整してみようというわけ.私は何種類かの腕時計の調整をやったことがあるが,たいていの場合,トリマを右にまわすと進む トリマを左にまわすと遅れる ように作ってあるようである.(ALBA のに逆のが一個あった) だいたい角度で10度まわすと一日1秒ずれるというぐらいが目安のようだ. そこでこれを目安に調整開始ということになるわけだが,もちろん調整前に月差がどれくらいあるかを正確に記録しておくべきである. そして元のトリマの位置がどこにあったかはマジックかなにかでマーキングしておくべきである.そしていったん調整したらすぐに時計をNHKの時報に合わせ,統計を取り始めると良い.約10日の統計の結果から,さらに遅らせるべきか,逆に進めるべきかを判断し,次の調整サイクル を実行する.これでかなり正確な腕時計を作ることができるはずである.実際私の テレメモ50は月差 0〜+1秒ぐらいに押さえることができた.今は冬だから夏になればもう少し進むのかもしれないが,これは物理だから許すとしよう. これでCASIOも今日からSEIKOになる(苦しい).

F&F注:時計のトリマを調整しようとはF&Fでも思いつかなかった..と言うか、誤差を何日もかけて測定して収束させていくという根性係数?が不足していたという感じ。
しかし(こじ)さんのデータから「トリマを10度回すと一日一秒ずれる」と言うデータがあれば、意外と簡単に調整できるかも知れない。
周波数カウンタ(周期カウンタ)があれば調整は楽かも知れないが、この場合はくれぐれも周波数カウンタの精度に注意していただきたい。
ちゃんとした計測器以外のカウンタでは、腕時計の誤差よりカウンタの誤差の方が大きいと言うこともあり得るのだ。
(こじ)さんも触れている温度の問題,時計用のX-Y及びBTカットに類似の水晶振動子は温度対周波数特性カーブが2次曲線である。
周波数が最も高くなるのは20〜30℃あたり,それより温度が上がっても下がっても周波数は低くなる(時計は遅れる)