CDMA One端末を見る


98年7月からサービスが開始された、IS95準拠のCDMA移動体通信サービスのcdma One,さっそく端末を入手して中身を拝見した。
なお、現時点ではここ横浜ではサービスは行われていない。
端末は東芝のCD-10Tと呼ばれるモデルで、CDMAとTACSの両モードに対応している。

細部まで見えるようにスキャナで撮ってみた。
色がおかしいのは毎度のことなのでご勘弁を。
隣に並べたP205(DoCoMo)に比較すると随分大きい。
厚みもあるので、並べてみた以上の大きさを感じてしまう。
電池はリチウムイオンだが、P205の600mA/hに対して、CD-10Tは900mA/hもある。
この電池の重さは全体の重量増加の元になっている。
待ち受け時間が短いと言われているCDMAだが、電流を測ってみると通常待ち受け時には150mAほど食っている。
これが間欠受信になっており、平均消費電流は50mA前後になるのだろうか?消費電流の絶対値は(たぶん)PDCとさほど変わらないかも知れないが、どうやらシステム的に待ち受けデューティーを減らせないらしい。
送信時の電流は、フルパワー時には750mA程になる。
こちらもPDCとさほど変わらない,と言うか、PD
はモデルによっては1Aを突破するものも珍しくないのだ。
(cdma Oneは当然ながら連続送信)ただしPDCは(フルレートで)デューティが30%なので、平均消費電流は1/3,ハーフレートならほぼその半分になる。
電源投入から初期同期が行われるまでは、長くても30秒程度。
これは全く気にならない。
通話品質はPDCの比ではない,いや、PDCが電話として実用に耐えるレベルではないから、これと同じ程度だったら新技術投入の意味はないのだが。
通話品質がよいと言ってもPHS程ではない。
明らかに高圧縮された音だ。
帯域的にはPDCのフルレートと同程度だが、PDCのフルレートよりは遥かに良いことを付け加えておく。
音声伝達遅延に関してだが、これはほぼPHS程度という感じがした。
PHSが(良くできたもので)20〜30m
デキの悪いものだと40mS〜50mSの遅延があるわけだが、cdma Oneはほぼこの範囲という感じがする。
或いはもう少し長いのかも知れないが、PDCでの通話のような、一昔前の衛星回線による国際電話のような話にくさはない。
弱電界時の音質変化だが、PDCのように音質が悪化するタイプではなくPHSの感じで、プツプツ,パサパサとノイズが混じる。
通話品質悪化から無音に至る傾斜は急峻で、これもPHS的と言える。
残念ながら手持ちの基地局?の関係で、ハンドオーバ試験までには至らなかった..(注:私は現時点でARIB-T54を読んでいない。
従ってシステムを十分理解しているとは言えない)さて、内部拝見と行こうか。

内部は2枚の基板で構成されている。
ロジック部+無線部の構成は少し前のPDCと同じだ。
TACSとのデュアルモードが災いしてか、小型化を阻んでいるようである。

下がロジック部,上が無線部だ。
小型化の努力は見て取れるが、ロジック部中央のチップの大きさは一体..(Intel製) 無線部の方は特に変わった部品は見あたらないが、デュープレクサの大きさが目を引く。

これが反対側から見たものだ。
無線部左側の大きな部品が問題のデュープレクサ,Ccdma OneではCDM
/FDDなので、55MHz上に出る端末からの送信信号が回り込まないようにしなければいけない。
しかも周波数帯域が飛び飛びに与えられているので、フィルタを作る上での障害になることは間違いない。
今後PDCやTACS用の周波数が全てCDMAで使用できるようになれば、この辺りにも変化が出るだろう。

これが送信スペクトラムだ(基地局側)すそ野の方に3次歪みらしき盛り上がりがあるのはご愛敬という事で..