エコ・バンドARを試す
ふとした事から、萩口キルト(株)さん発明の「エコ・バンドAR」を試用させて頂ける事になった。
萩口キルトさんには予め『私の車で有意な結果が出るか否かは不明だし、例え貴社の意に反する結果しか得られなくてもホームページで公開したい』旨を伝えた。
また吸排気抵抗軽減モノだとすれば、大排気量エンジンほど効果は出にくくなるはずである。
すなわち50馬力の軽自動車が5馬力を使用して巡航している場合は最大出力の10%を使用している事になり、最大出力時に合わせて設計された吸排気管容量の10%が使われている事になる。
一方で300馬力のSLが10馬力を使用して巡航している場合の比率は3%に過ぎない。
以上の事も含めて上記「私の車で効果が出るか否かが不明」としたのである。
それにもかかわらず萩口キルトさんは試用品を送って下さったわけで、私としても出来るだけ正確なデータを出すべく頑張ってみようと言うわけだ。
同社のページを見て解るとおり、オカルト系燃費向上グッズメーカにしてはマトモである。
宇宙パワー的な記述とか、念力だ波動だといった言葉がないだけでも好感が持てるではないか。
しかもこの手の商品にありがちな誇大な表現が余り無い。
霊感壺を売るような商売を目指すならば、ありとあらゆる、そう、その昔何にでも"NASAで認められた"と書かれていたような表現も必要なのではないかと思ってしまう。
このエコ・バンドもSEV同様に放射線系グッズで、同社ページによるとトリウムウラン系列の鉱石を配合したと書いてある。
ウラン系と言うことはγ線源なのだろう。
一般的にこの手のグッズは成分や内容を"企業秘密"とする傾向が強いのだが、元々同社は社名からも解るとおりキルト製品を扱っていた(いる)所であり、オカルト商売に染まっていない感もある。
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送られてきたものは吸気管用と排気管用各2枚だ。
予めV8エンジンで左右バンクの吸排気が独立(正確にはエアフロメータは1つなのだが、エアクリーナが2つになっている)している事を伝えておいたので、それに合わせてくれたのかも知れない。
触った感じはツルッとした布であり、一見無造作に裁断して周囲を解れないように縫っただけと言う感じで、いかにも手作りっぽい。
ただしこれ、排気管に使用できることからも解るように、高耐熱繊維なのだそうだ。
取り付けはエアクリーナへの入り口と、マフラーの最後端、つまりマフラーの出口付近に装着となっている。
吸気管用は長めのタイラップで固定するようになっており、排気管用は金属製のバンドで固定するようだ。
これもコストがかかっていそうな雰囲気で、ステンレスの針金でも良いような気がするのだが、メーカの拘りだろうか。
ホースバンドに価格表示シールの切れっ端が付いている所がご愛敬で、材料屋から仕入れているのではなく小売店などから買ってきているものと推測される。
ホースバンドは質感は高いしキッチリ締め付けられるような気はするが、車種によって排気管径は大きな差があるので、車種別構成が必要かも知れない。
またステンレス製のホースバンドは鉄系金属の排気管より熱膨張率が高く緩みやすい事も考慮すべき点だと思う。
だからといってバネ材入りのホースバンドなど高価で使えないだろうが。
排気管用エコバンドの難燃性テストも行った。
マフラー付近と言うことでさほど高温にはならないだろうが、燃えてしまっては困る。
テストは少々過酷だがガスの炎で焼いてみた。
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更に熱すると若干発煙し、赤熱する。
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燃えたのは周辺を縫ってある糸のようで、炭化して触るとポロポロ落ちてしまう。
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この状態でも本体(布状の部分)は殆ど変化が無く、見た目はガラス繊維のようだ。
このテストによって耐熱性も充分と判断したので、テスト時にはマフラー後端部に装着した。
ただし付属のホースバンドではSLの排気管にエコバンド排気用を止める事は出来なかった。
外周長が不足しているのである。
エコバンド自体も排気管の80%程しか覆う事は出来なかった。
固定方法は、写真撮影後にステンレスワイアを上から巻き付ける方法で行った。
なお排気管はV8エンジンの左右バンク独立なので、エコバンドも左右の排気管に取り付ける。
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吸気管用は充分な長さがあったので、付属のタイラップで固定した。
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エコバンドには表裏の指定がある。
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最初はスタティックなテストを行ってみた。
アイドル時のインジェクタ開弁時間の測定である。
まずはノーマル状態。
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約3.7mSである。
この時期殆どエアコン負荷は変わらない(コンプレッサは常に動いていて、設定温度によって仕事量が連続可変するタイプ)ので、比較的安定した波形が観測出来る。
次にインテーク側に2枚、エキゾーストに2枚のエコバンドを装着し30分ほどアイドリングを続けた後のパルス幅を観測した。
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変わっていない…なお、実走行テストはSEVと合わせて行ったので結果はこちらをご覧頂きたい。
また放射線量のテストは後日測定器を用意して行う予定である。
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