キヤノンEOSの中身
EOS620を購入したのは10年ほど前だろうか?香港に行ったときに日本で買うより安かったので手に入れたのだ。
EOSシリーズになってからレンズマウントなどが変わり、それまでのレンズは使えなくなった。
ちなみに私のカメラ歴,メーカ不詳(忘れた)の1眼レフ−>キヤノンFTb(中古)−>キヤノンAE1−>EOS620−>EOS55 別にキヤノン党ではないのだが、1眼レフの場合はレンズが使い回せるので、どうしても同一メーカのものとなってしまう。
そのEOS620だが、電源スイッチを切っていても電池消耗が激しいという事態に陥った。
電源スイッチを切ると液晶表示は消えるのだが、電流が4mAも流れている。
実にこの電流,動作時と同じなのだ。
つまり、内部回路がスタンバイ状態に入らなくなったというわけだ。
これを修理に出すべくカメラ点に出向いた。
店員曰く「修理期間は1〜2ヶ月,修理費用は1〜2万円ではないか」とのこと。
いったんは修理に出すことを決意したものの、展示されている最新機種を手に取るうちに考えが揺らぐ。
実はヨドバシカードには長年?ため込んだ貯金が3.6万円ほどあるのだ。
これに2万円強をプラスするとEOS55が手に入る。
ここで迷ったあげく、修理に出すことを断念して(使えないわけではないし、カメラ本体機能に異常がないのだから)EOS55を購入することにした。
EOS55だが、色々と機能が増えている。
私としては正確な測光(中央重点で十分だと思っている)とAEB(自動的に露出を±に振りながら1アクションで3回シャッターを動作させる機能)があれば十分なのだが、パノラマ写真という、上下を切りつめただけの写真が撮れたり日付が写し込めたり..私にして見ればいらぬ機能なのだが、時代はそれを求めているという事か?AEBに関して、620だと撮影ごとに再設定を要する。
55は一度設定すれば解除するまで有効,これはちょっと便利。
通常リバーサルを使っているから、AEBで撮影するのがフツーになっているのだ。
その他の機能としては、視線位置でAFポイントを決める(ファインダー内の見ている位置の部分(3カ所だけど)にフォーカスが合う)機能とか、AEプログラムモードや測光モードの切り替えなど,取り説を無くしたら困りそうなほど機能満載だ。
基本機能としてはミラー動作音が静かになったとか、フィルム巻き上げ音も静かになっている。
ミラー動作音低減は動作時の振動低減にも貢献しているので、これはメリットだ。
新しいカメラが手に入って、EOS620を自力で修理できないかチャレンジしてみることにした。
以前に一度メカニカル一眼レフをバラして、組立に失敗した苦い経験があるのだが再度チャレンジするのだ。
とにかく最初はネジを外す。
ネジは数種類あるが、一体どれがどこに使用されているのか,メモしながらバラさないといけない..が、そんなことは面倒だからやらない。
約40本のネジを外すとフレキシブル基板などが見える状態になった。
カメラ下部には電源基板と思われるものと、5つのスイッチを読みとり処理するためのマイコン?が乗るフレキシブル基板がある。
他のチップはペンタプリズムの上に乗っている。
写真では見にくいが、フィルム巻き上げやミラー制御用モータは単三電池くらいの大きさだ。
これが上部の写真,写真左側に液晶が見える。
コイツにはELのバックライトがあるのだが、これはすでに点灯しなくなっている。
(ちなみにEOS55にはバックライトがない)写真右側にはフレキシブル基板やロータリスイッチが見える。
これは底部から見た図,写真右側には電源部,ELドライブ用のトランスなどがついている。
左側は電池ボックス(2CR5)だ。
電源基板にはディスクリートで組まれた回路があり、とても回路解析を行う気にならないほど取り外しにくい。
カメラというのは何故こんなに組み立て性が悪いのだろうか?電気製品並の組み立て性を手に入れたならば、カメラのコストは30%程も削減できると思う。
とにかくネジの本数や種類の多さには驚かされる。
組立に一体何時間かかるのだろう?当然半田付けも要求されるはずだ。
と..考えながら回路をちょっと見てみたが、残念ながら不良部分を見つけるに至らなかった。
何しろバラすのにかなりのパワーを使ってしまい、1日目はここでおしまい。
その後も半田付けを外しながらの電流チェックを行ったが、一体どの部分で制御しているのか?よく分からない状態..仕方ないので組み立てることにするが、このネジの本数,3本のバネ,多数の部品..すでにどの部品がどこに付いていたのか記憶を無くしている現在,組み立てようと思う心と裏腹に指先はドライバーを握ろうとしない。
そんな指先をなだめながら(え?)やっとの思いで組立を開始するが、種類の違うネジでも力を入れればネジ穴に入っていってしまうから、ネジを止めては外し,の繰り返し。
裏蓋ロック機構の部分を組み立てるのには1時間も要してしまった。
2日がかりで組立が完了し、驚くことに1本のネジも余らなかったという奇跡にプラスして、機能的にどこにも不具合が出ないと言う幸運を手に入れることが出来た。
(おおげさ?)
写真右側がEOS55,左が無事に組立を完了したEOS620だ。
カメラとしての基本機能はさほど変わらないが、それでもミラー作動音が静かになっている違いは大きい。