GPSナビゲーションシステムをバラす




ソニーのGPSシステムを使っている。
(NVX−S1)これは2台目で、以前もソニーのものを使用していた。
理由は?TVやステレオとシステム化できるからだ。
(TVチューナなんか使い回してるゼ)また、1台目を購入する際にスクロールスピードのもっとも早いモデルを選択したらソニーになったわけ。
他のメーカのものは、想像を絶するほど遅かった。
特にケンウッドのヤツは壊れてるんじゃ無いか..って程ね。
Z80だか何だか、8ビットの低クロックCPUじゃ画像展開はムリでしょう。
今売ってるヤツはちゃんと速くなっているし、その他のメーカでもスクロール速度的に不満のあるものは少なくなった。
で、早速開けてみた。


本体中央部に陣取っているのはCDドライブ。
スクロール速度のネックは、CDの読みとり速度だ。
バッファ内に読み込まれている部分はスムーズにスクロールするが、CD読み込みとなると速度が低下する。
現在は2倍速らしいが、4倍速以上にして欲しいものだ。
地図データってのは意外とサイズの大きなものかも知れない。


CDドライブを外して裏返した図。
まあPC用のドライブと似たようなものだ。
もしかしてインタフェースがIDE互換だったりして..

本体側はこれ。
フラッシュROMやRAM,68020系CPUとカスタムゲートアレイが見える。
クロックアップの可能性は...無い。
全体の動作クロックを一つの水晶で行っているから、クロックを変えたらビデオ周波数が変動するだろうし、水晶には周波数調整用トリマが付いている位だから変えたら動かなくなるだろう。
GPS測位システムには正確なクロックが必要なのだ。
デバイスの詳細は次のとおり。
CPUは68020-16,たぶん上限クロック16MHzの物だろう。
マスクロムはμPD32c8000 品番からして8Mビット品かな?ソニーが盛んに言う「フラッシュの容量不足のため機能が限定されます」,の、フラッシュだが、29F400BAが2個乗っている。
たぶん総容量で1Mバイトだろう。
その他RAMらしき物はHM514260が2個,HM534253が4個乗っている。
μPD78054-33は未調査だが、品番からするとCPUかな?68020が画像処理で、コイツがプロトコル処理だったら結構恐い(笑)

こいつがジャイロユニット。
シールドケースは半田付けされていたので外さなかったが、圧電振動ジャイロとその増幅回路が入っているのだろう。
手前に見えるQFPは(たぶん)CPUだ。


マップマッチングとジャイロユニットのおかげで、以前のものよりだいぶ使えるようになった。
まあ、自動車メーカ純正品はステアリング角度などを見てより精密なナビゲーションをすると言うが。
たまに、ながーいトンネルの中で地中に穴掘って進むこともあるがトンネルの中で道に迷うことは少ないだろうから許している。
あと、Y字路はナビ泣かせだ。
よく間違えて、あわてて戻るケースがある。
中央分離帯を挟んでの道路等では、反対車線上を走り続けることも有るね。
地図上には一方通行マークが出ていても..だよ。
ナビの言うとおりに走っていたら..死ぬだろうな。


このNVX−S1,最近安売りしている。
VICSへの対応ユニットの発売が遅れているためだ。
どうやら年内ギリギリか?97年になる模様だ。
低価格カーナビの先駆者ソニーもVICSには手こずったかな?VICSは、ナビの技術って言うよりは通信の技術だからね。
分野が違うのか?文字放送受信ユニットは発売されているのに..今のところ、VICS対応を購入するなら通信機メーカ製にしよう。


システム解説
GPSとは、6軌道面それぞれ4個の衛星から発射される1575.42MHzの電波を受けて処理を行うシステムだ。
(CAコードと呼ばれる、民間に開放された周波数)24個の衛星は全て同じ周波数を使用している。
スペクトラム拡散だから混信はしないのだ。
衛星の高度は20200Km,従って周期は11時間58分となる。
拡散コードは1023ビットのPNコード、拡散周波数は1.023MHzだ。
従って、測距誤差はうまく作っても30m程度となるわけだ。
ちなみに、1227.6MHzのPコード(軍用)を受信すれば測距誤差は1/10程度まで押さえることが可能となる。
PN拡散された情報の中には、50bpsで変調されたメッセージデータが乗せられる。


(図中の”メッセージデータ50MHz”は、50Hzの誤り)

民間コードを使用して精密測距を行う為には..D−GPSと言うシステムがある。
地上に固定された点(建物のようなもの)でGPSからの電波を受信する。
位置が分かっているわけだから、衛星からの信号誤差が算出できる。
この誤差情報を地上送信局を使用して、移動体に知らせれば衛星からの信号誤差を補正して測距する事が出来る。


このように,DGPSを使用することによって、測距誤差を1m程度とすることが可能となる。
この誤差情報をFM放送に乗せて送信することも考えられているようだ。
(DARC)ただし、極正確な測距を行うにはこれでも不十分だ。
補正情報発信局からの距離に応じて、補正情報を乗せた地上からの電波到達速度分の誤差が発生するからだ。
GPS衛星からの電波を、RFレベルで位相検出する方法を使用するとミリメートルオーダの精度が得られるが..装置は非常に高価になる。


阪神大震災後の復興計画では、D−GPSによる測距実験が行われた。
地上基準局を置いて、その誤差信号と共に正確な位置測定を行ったわけだ。
カーナビ分野では、日本はもっとも進んでいる。
衛星を打ち上げた、本国アメリカでは民生用カーナビは最近発売されたばかりだ。
まあ、国土が広くて道路と標識がしっかり出来ていれば道に迷うことは少ない..かあ?サンフランシスコなんか迷いそうだなあ..どこ行っても同じ様な坂ばかりで。
アメリカで車中にカーナビ残して出かけたら、たぶん盗まれるだろうね。
カーステレオだって持ってっちゃう国だから。