イリジウムプラグ


イリジウムプラグをテストする機会を得た。
交換したのはSL500とA160であり、SLはほぼ新品状態のプラグ(2,000Km程使用)からの交換であり、Aの方は1万Km以上使用した状態からの交換である。
下の写真は8,000Km程使用したSLのイリジウムプラグを一旦外したものである。
熱価が少し高いかなという感じだが、中心電極の状態はさほど悪くない。
イリジウムは耐熱性が高くて固い金属だが、燃焼ガスによる痩せが発生する。
しかしこの程度の使用距離ではそれも見られないし、接地電極側に付けられたプラチナチップも異常はない。

これが交換前、すなわち2,000Km程使用したノーマルプラグ。
接地電極は角を落とすようにカットされている。

こちらは1万Km以上使用したA160のプラグである。
日本車ではコストの関係からか殆ど見られない接地電極が3本のプラグだが、欧州車ではさほど珍しくない。

イリジウムプラグに変えて何が変わったかという問題だが、少なくともSLでは何ら変化が見られなかった。
もしかしたら多少のアイドル安定度向上や燃費向上があったのかも知れないが、何も言われなければ気が付かない範囲である。
SL500のエンジンは気筒辺り2プラグで、しかもシングルカムなのでプラグ穴はエキマニ側の奥の方に位置している。
バルブ数はインテークが2個でエキゾーストが1個なので、エキゾースト側のバルブ両側にプラグが付いていると思って頂きたい。
これを8気筒分、16本交換するのは結構辛い。
おそらくディーラにはSSTがあるのだとおもうが、私はユニバーサルジョイントを2つ付けたプラグレンチを使用し、イグナイタユニットを取り外して交換を行った。
こんなに苦労するなら、イリジウムより寿命の長いプラチナ(でも高価)プラグの方が良いのではないかと思ったくらいだ。
イリジウムプラグも最近は価格がだいぶ安くなっている(安く売られている)ので、交換用プラグの選択肢としては悪くはないと思うが、過度の期待をするとつまらない思いを味わう事になる。
ベンツのプラグは抵抗無しのタイプが使われている事が多く、抵抗入りのイリジウムプラグだと火花が弱くなると主張する人もいる。
しかし熱量や電流を計算してみれば解るとおり、この抵抗による影響は無視出来るものだと思う。
A160も方の印象はSLの場合と少々異なる。
元々のプラグが交換時期に達していた事もあり、アイドル安定性の向上が感じられた。
また高回転時の元気の良さが若干向上したようにも感じるが、明確な差となって体感出来るかといわれると疑問である。
しかし、これはイリジウムプラグでなくノーマルプラグの新品に交換しても同じ事が感じられた可能性は高い。
一般的に接地電極数を増やす事で着火性能は向上すると言われているから、少なくともイリジウムプラグはマルチ接地電極プラグと同等以上の着火性能を持っている事だけは事実である。
コストパフォーマンスを考えるとこちらで実験しているグリーンプラグも悪くないと思う。
もっともグリーンプラグが\400で、イリジウムが\700だとするとどちらを選ぶか迷うだろう。
SLに比較してAのプラグの(走行距離あたりの)摩耗が早いような気がするが、アンダーパワーのAは高回転領域を使う機会が多い事が影響しているためなのかも知れない。