Panasonic Lumix FX7


小型デジカメOptioに関してはこちらを参照頂きたいが、これに代わる2代目としてLumixを購入したのでレポートしよう。
Optioは小型軽量コンパクトで使い勝手も悪くはなく、常時携帯していても邪魔にならないデジカメだ。
画質面ではスライディングレンズシステムの影響か、画面左側のフォーカスが甘くなる(流れる)点が×であったが、大きさを取るか性能を取るかという問題だからある程度は仕方がないのかも知れない。
Optioで唯一使い勝手が悪いと感じたのは、私の手の大きさで操作する場合にシャッタボタンが押しにくい点だ。
もう少しカメラの中央寄りにボタンが付いていれば良いのだが、現在の位置だとシャッタボタンを押す時にカメラを充分グリップ出来ないのだ。
今回購入したLumixは発売当初からその存在が気にはなっていたのだが、Optioに対して十分なアドバンテージがあるとも言えず、フォーカシング速度もOpti
に劣るとなるとどうかなぁと思っていた。
なのだが、Optioを子供に取られる羽目に陥ったので何か良いデジカメはないかと再物色。
やはり目が行くのはOptioの500万画素モデルであるOptio S5iなのだ。
これはS4iの画素数を上げたモデルと言うかS4iの後継モデルというか、そんな感じ。
やはり小型軽量という所に目が行くのである。
そしてS4iに大きな不満がなかったのも理由の一つだ。
だが同じものを買っても面白くないので、今回はLumi
にしてみた。
決め手は大型液晶と手ぶれ補正だ。
大型液晶搭載モデル&光学ファインダ無しは他メーカでも存在し、SONYのそれなどはなかなか格好良いのだが、SONYデジカメに余り良い印象を持っていない私は自然と敬遠する事になる。
光学ファインダーの有無は私には余り関係がない。
このクラスのデジカメの場合は液晶を見ながら撮る事が圧倒的に多いのと、光学ファインダでちゃんと取ろうとする時にはEOS KissDを使えばいいと言う割り切りがあるからだ。
手ぶれ補正は有り難い。
小型デジカメは小さいがゆえにグリップが安定せず、更に小型CCDは感度が低く、追い打ちをかけるようにレンズが暗いので、どうしても手ぶれという問題に直面してしまう。
Lumixの第一印象だが、「重い」「大きい」に尽きる。
これは全てOptioとの比較の話だが、Optioの120
に対してLumixの153gはやはり重い。
その差は高々30gなのだが、携帯電話を持って解るように100g程度の重さの2割りの違いというのは意外に大きいのである。
大きさ自体も出っ張りのないOptioと違って、Lumi
はレンズ部と液晶部が出っ張っている為に見た目以上に厚さがある。
これは携帯してみるとよく解るのだが、特に厚み方向はOptioの2倍近くあるのではないかと思わせるほどで、カタログは突起部を除いた数値として24mmであるが、松下に言わせるとレンズ部分は突起にあたるのか実測値は30mmに近い。
Optioのカタログ数値は20.5mmだが、こちらはボディーがほぼフラットなので実寸も薄く感じる。
気にせず携帯出来る大きさというとOptio程度が良い訳で、Lumixの大きさになると"持っていく"という意識が必要になってくる。
専用純正ケースに入れるとこんなに厚さが違う。


シャッタを押してみると「フォーカシングが遅い」事に気が付く。
撮影モードにもよるのだが、シャッタ半押しで再フォーカシングを行うというのが原因のようだ。
Optioの場合にはそのまま撮れる感じなのだがLumixはフォーカシングやり直しと思われる動作を行う事が多い。
フォーカシング精度というか確度というか、うまくフォーカスが合わない確率はLumixの方が高い。
Optioでは多少暗いところでもフォーカシングに失敗する事は余り無かったのだが、Lumixは補助光があるにも関わらず失敗する事がある。
このあたりはカメラ屋と電気屋のノウハウの違いなのかなぁと思ってみたり。
シャッタボタンの位置はLumixの方が適切で押しやすく、レバー式のズームコントロールも悪くない。
ちなみにどちらのモデルも連続ズームではなく、ステップ的に焦点距離が変わる。
液晶が大きい点も◎で、これはかなり見やすいと感じるのだが、日中光が当たっている所では(光学ファインダが無いので)少々辛い。
操作性自体は慣れの問題もあるのだろうが、モード切り替えレバーがダイアル式のLumixは直感的な操作が可能である。
総じてLumixの方がマンマシンインタフェースは良くできていると言えるだろう。
一方で充電等に関してはOptioに軍配が上がる。
クレードルに置くだけで充電が可能なOptioの楽さに慣れてしまうと、一々電池を外して充電しなければいけないLumixは面倒なのだ。
とは言ってもEOSだってそうなのだから良いではないか!なのだが、電池の持ちと充電頻度を考えればOptio方式の方が有り難い。
では実際に撮影した画像を見て頂こう。
Optioの時とほぼ同じアングルで撮っている。
リサイズソフトの関係か、輪郭強調過多のような気がするが、原寸写真は無加工である。
【ワイド端】クリックで原寸無加工画像

【中央】

【テレ端】

【ワイド端】

【Optioで撮ったLED式クリスマスイルミネーション】

【手ぶれ補正を過信?して走行中の車から前車を撮ったもの】

撮影時の明るさも季節も違うのでOptioの画像とは単純に比較出来ないだろうが、Lumixの方は少なくともOptioのように片側だけが極端に(画像が)劣化するという事はないようなのだが、Optioよりも周辺のボケ具合の絶対値は大きいような気がする。
(特に右側)色収差はLumixの方が少ない。
画像周辺部の解像度の落ち込みもLumixの方が少ないようだが、これは画素数自体が違うので厳密な比較にはならない。
ノイズは一番下の写真の空の部分を見て解るようにLumixの方がザラザラ感が少ない。
と言ってもこのサイズの写真を原寸で見る事は滅多に無いだろうから、そう言う面ではどちらも大きくは変わらないと結論づけても差し支えないと思う。
無加工画像を見比べてみるとOptioの方がシャープネスが強い感じを受ける。
特に画像中央あたり、レンズが最もシャープな像を映し出す辺りを見ると違いが分かる。
そう言えば松下製のこれは輪郭強調が強かったな。
松下製カメラ付き携帯電話の初期のモデルも、もう見るに堪えないほどの輪郭強調だった。
輪郭強調なんてものは後で行えばいいのであって、デジカメは出来るだけそのままの画像を記録して貰いたいとは思うのだが、画面で見る場合には彩度とコントラストが高くシャープネスが効いていた方が綺麗に見えるのだから仕方ないか。
きっと輪郭強調のないデジカメの画像をにわか評論家が見ると「このデジカメは高機能が売りな割りに眠い画像になっている」なんて書くんだろうな。
空の青さはOptioの方が地味目な感じで、Lumi
はCoolpixに近いが、Optioが青が苦手かというとそうでもなく、むしろ若干青い位なのだが。
ちなみにOptioもLumixも特別な設定を行わないままの、いわばデフォルト状態で撮影している。
最近のデジカメは様々な設定、人物モードだとかスポーツ撮影モードだとか、色合い強調モードとかも実装されているので、これらに切り換えた場合は又違ってくるのは当然だ。
コンパクトカメラをコンパクトカメラとして、スナップ撮影などに使うと考えれば画質自体は両カメラ共に大きな違いはないと言えるだろう。
これ以上の性能を求めるならば、より大型のレンズや大型撮像素子が使われたデジカメを使うべきだと思う。
起動時間はLumixの方がかなり速いが、これはある意味見せかけであり、画像が表示されるのは速いのだがカメラとしての操作が可能になるまでの時間としてみるとOptioよりも遅い。
Optioも実際に使用するのに不便を感じるほどの起動時間ではないが、Lumixに比較すると遅い。
Optioはレンズが所定の位置に止まってから液晶に画像が映り始めるが、Lumixはレンズが動いている最中にも画像が出ている。
(でも操作は受けない)これは考え方の違いで、もしかしたら電気屋さんと光学屋さんの違いなのかも知れない。
フォーカシングは既に書いたとおりOptioの方が速いし解りやすい。
Optioはフォーカスの合致した部分にマークが出るので、画面のどこにピントが合っているのかが直感的に分かる。
Lumixも9点フォーカシングは行えてマークは出るがOptioほど直感的ではない。
細かなスペックを羅列してもしょうがないのだが、レンズはOptioの方が多少明るい。
35mmフィルムカメラ換算の焦点距離はどちらも同一だ。
CCDの大きさも同じ1/2.5だから画素あたりの面積はLumixの方が小さい事になる。
(Optio S5iだと同一)Optioには絞り機構は(たぶん)付いていないが、Lumixは2段切り替えになっている。
シャッタ速度の最高値は1/2000秒だが、Opti
はメカニカル併用と記されている。
大型液晶と手ぶれ補正が電力を食うのか、Lumi
はOptioより電池の持ちは悪い。
ちなみに電池は両方とも同容量の同形状だからたぶん互換性があると思う。
手ぶれ補正と大型液晶を取るならLumixが良く、小型軽量で携帯性を取るならばOptioという、ありふれた結論になるだろうか。