スーパーコンピュータ(12/5)
◆ 京は1,120億円をかけて2012年に作られたものだ。計算性能そのものでは世界トップではなかったのだが、性能対費用の点では圧倒的低価格で高性能だったと言える。
◆ CPUボードには2GHzで動作する8コアのSparcプロセッサが4個搭載される。
発熱量は58Wだそうで、CPUボードには6個の水枕が付いている。CPU以外の2つの水枕の下には4個のデバイスが鎮座している。CPUあたりのメモリ量は16Gバイト、CPUは全部で88,128個なのでメインプロセッサ用のメモリだけで1.4Pバイトになる。
◆ CPUがフルパワーで動作すると約5.1MWの電力を消費する。京は2012年から2019年の8月まで稼働した。今後は富岳に入れ替えられるそうで、CPUはARMベースの富士通製が搭載される。計算能力は京の100倍以上だそうだ。
◆ 京のラックは電子回路と言うよりも、太い配管など水冷関係の部品が目立っている。
ラックごとに水冷システムが完結しているような話があったのだが、どんな風になっているのだろう。富岳も水冷で、計算機室の床下には太い冷却水用のパイプが設置される。
◆ システムはLinuxだそうだが、その上でFortranが動くのだそうだ。Fortranかぁ、何か懐かしいなあ。FortranだけではなくCやC++のコンパイラも動くしjavaも使えると書かれている。
しかし10年で演算能力が100倍というのは凄い。
個々のプロセッサの能力は数倍くらい?メモリやインタフェース速度、バスの構成や速度も飛躍的に進化しているだろうから、システム全体としての性能は凄く上がる訳だ。
◆ 今年の世界ランキングトップは京の約14倍の演算能力を持つ米オークリッジ国立研究所のサミットだった。じゃあ富岳は100倍だから… と言うことではない。浮動小数点演算回数としてカウントすれば京の2〜3倍程度ではないかと言われる。しかしメモリ性能を向上させることによって実アプリケーションの実効速度を上げるのだそうだ。
◆ 浮動小数点演算競争に勝つには性能の高いプロセッサを多数並列に並べなければいけないが、メモリ性能はさほど重視されない。京のプロセッサあたりのメモリ量がさほど多くないのはその為だ。メモリを増やすのならば演算器を増やせと言うことだ。しかし現実のアプリケーションでは演算性能よりメモリ量が必要になるのだそうだ。
◆ そこで演算性能競争に勝つ為の設計より、使われるであろうアプリケーションの処理を高速化することに力を入れたと言われる。気象シミュレーションソフトでは京の100倍以上の高速性が得られたそうだ。消費電力は40MW程度らしいので、京の5倍くらいは電力を消費する。CPUコア辺りの性能は京の16GFlopsに対して、56GFlopsに向上している。京の82kノードは、富岳で150kノードに増えている。ピーク性能は405PFlopsでオークリッジ国立研究所のサミットの2倍になるそうだ。
◆ 更にノードを増やすことによって演算性能を高めることは出来るが、予算の問題と電力供給がネックだという。それでもARMベースCPUは演算性能に対して消費電力が小さく、特定アプリケーションを処理する為の電力はX86プロセッサの1/10程度だ。まあCPUなので得手不得手がある訳だが、ARMなのでLinuxでもWindowsでも動くよと富士通は言う。
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