SL500に乗る(高速など走ってみて)
市街地走行編
オンボード燃費計で見る燃料消費率は悪いと言うか、近郊を走っていていかに平均速度が低いのかを改めて感じると言った次第。
それでも、SL600に比較すると随分燃費は良いように感じる。
先日ははじめてワイパーを使った。
ワイパーは一般的なそれになり、ベンツ独特の1本ワイパーではなくなった。
フロントガラスの吹払面積としては1本ワイパーの方が広かったと思う。
このワイパーはブレード部が伸縮して、つまりガラスの角を拭く時にはアームが伸び、中央付近では縮むという動作でかなり広い面積を拭いてくれていた。
ただし1本で全面を拭き払わないといけないので、当然の事ながらアームの速度を早くしないといけない。
なので目障りなのも事実だし、横方向に雨滴が吹き飛ぶので歩行者に水をかけないように気を遣ったりもする。
それがR230では普通の2本アームになった。
従って助手席側の角部分には、普通の車と同じように拭き残し部が出来る。
ベンツが1本ワイパーにしたのは、2本ワイパーだと必要になるリンク機構の音を嫌った為だとも言われているが果たして。
ワイパーに関しては国産車より余程良く出来ている。
160Km/hを超える速度でも、ブレードが浮き上がることなく雨滴を廃してくれるのは有り難い。
ワイパーブレードは金属にゴムが付いているのではなく、ゴムそのものがアームにくっついているという感じに見える。
だから何となくフニャフニャなのだが、でもちゃんとガラスを拭いてくれる。
エンジンの方は、低速トルクは厚いが3000rpm辺りのトルクは明らかにSL600に劣る。
普通に乗っていて3000rpmを超える事はまず無いし、フルスロットルを与えるなどと言う事もない。
だから不満がないと言えばそうなのだが、パワーはあって邪魔になるものではないからね。
ATなのでレスポンス云々は余り関係ない。
シフトショックは日本車並みに少ないし、これは全く気にならない。
空ぶかしをすると回転落ちの悪さに気が付く。
が、もしかしたら排ガス対策の為にこの辺りを制御しているのかも知れない。
(ダッシュポット的に)実際の運転時と空ぶかしの時のスロットル制御が同じかどうか解らない(スロットルバイワイアで、運転状況に応じて特性が変わる)が、これもSL600や旧SL500のDOHCユニットには及ばない。
エンジンとサスペンションはBMWの方がずっとずっと良いと思っている。
単に静かに回ると言う事ではトヨタV8の方が上だろう。
エミッション低減に相当気を遣って作ったエンジンだとは言うが、BMWだって排ガス規制にはキッチリ適合しているわけだしね。
ダイムラークライスラーも価格競争に巻き込まれていて、その為にはコストダウンが必須になる。
だからDOHCよりSOHCにしたくなるわけだし、そうするとバルブタイミングの位相機構も付けられなくなる。
付けられなくはなるけれど、その分のコストは下がる。
これによって失ったものは5,000ccエンジンに於いて20馬力と言った所だから6%程度の話。
同様にV12の6,000ccエンジンでも8%程度はパワーを下げている。
極限追求型エンジンの数パーセントは大きいのかも知れないが、乗用車用ユニットにしてみたら微々たるものと言うことだろうか。
って事はだよ、パワーアップ&燃費節約用品の謳い文句である20%パワーアップがいかに大きいかという事である。
磁石一丁で20%もパワーが上がったら、SL500で60馬力以上も稼げる事になるし旧SL600だったら80馬力近くもパワーが増えるって事だ。
高速走行編
1000Km余りの高速走行レポートである。
100Km/h以上で走行して、まず感じるのは室内騒音の低さである。
R129に比較すると風切り音などが明らかに減少している。
太いタイヤ(フロント255/40-18,リア285/35-18)から発するパターンノイズは気になるが、それでもトータルとして静かだ。
およそ5Hzまでの振動やショックは油圧アクティブサスペンションが受け持ち、それ以上はコンベンショナルなシステムで吸収する。
この5Hz以下の部分が良く出来ていて、逆に振動周波数の高い方の減衰特性が悪く感じるほどだ。
なお今回は245/45-17サイズのスタッドレスタイヤを、前輪8Jリア8.5Jのホイールに装着してのデータである。
夏タイヤの適正サイズは255/45-17(17インチの場合)だが、実際の直径で見るとスタッドレスの場合は245/45-17がほぼ同じという感じだ。
もしかするとホイールサイズによるのかも知れないが。
冬タイヤのバランスが若干悪い事もあるだろうが、140Km/h前後で微振動(ザラッとした感じのノイズと言うべきか)を感じた。
ハンドリングは、R129に比較して固くなったサスペンションによって良好に保たれている。
油圧アクティブサスは車体をフラットに保とうとし、ロールなどは皆無と言っていい。
これが疲労軽減には大きく、姿勢を乱すことなくコーナを抜けていける。
高速道路2時間ほどの走行で平均速度148Km/h、燃費は10.2Km/lとオンボード燃費計には表示されていた。
速度を落としてオンボード燃費計をリセットし、再度計測したところ20分間の平均速度67Km/hで12.3Km/l、次の20分間の平均で速度が68Km/h、燃費が11.9Km/lだった。
燃費は加速の仕方や道路状況によって大きく異なるのは言うまでもない。
その時の気温や湿度にも影響を受けるだろうし、外気温の低い冬場(走行時の気温は1〜5℃程度)には燃費が悪くなるのではないかと思う。
これは空気密度が上がることによる空気抵抗の増加と、エンジン出力の上昇によってスロットル開度が低下することによるポンピングロスの増加だ。
このオンボード燃費計はリセットも好きなタイミングで出来るので、燃費改善用品テストなどの結果は解りやすいかも知れない。
ちなみに"アーシング"による変化が燃費計に現れるか否かをチェックしたが、全く変化がなかった。
(PA毎に付けたり外したりしたが上記誤差範囲を出るものではなかった)R129に比較して燃費が良いことは確かだが、パワーがないことも又事実である。
100Km/h走行時の回転数は2000rpmに満たないが、そこからの加速ではシフトダウンが起こることが明確に多い。
料金所からの加速や追い越し加速ではパワーの無さに不満を覚える。
確かにエンジンはレッドゾーンまでストレスも振動増加も無く回りきるが、今ひとつパワー感がない。
エンジンブレーキをかけた時のノイズはシャーッという感じである。
排気音は5000rpmを超えた辺りから音質を換えて雰囲気はそれっぽいが、でもパワーがない。
R129の500SL(326馬力)からSL600(396馬力)に乗り換えた時は、それほどパワーが違うという感じがしなかったのだが、R230のSL500(306馬力)に乗り換えるとパワー差は歴然という感じ。
この程度のパワーならESPを切って雨の日にアクセルを踏んづけても、コントロールを失うような事態にはならないような気がする。
R129のSL600はドライ路面でも、ESPを切って低ギアでアクセルを床まで踏みつければ、景気よく下品なスキール音を響かせながら加速していった。
復路も燃費を計測した。
速度の上がる場所では150Km/hを超え、その一方で渋滞にも巻き込まれた結果の平均速度は103Km/
だった。
(数キロの渋滞、料金所手前の断続渋滞などもあった)当然の事ながら高回転まで使用した加速回数も増えているわけだが、約2時間走行の平均燃費は10.3Km/hを示していた。
SL600は140Km/h前後が最も燃費が良いように感じたが、R230では80Km/h辺りにピークがある感じ。
これはエンジン自体のフリクションによるロスなどが関係しているのだろう。
何しろSL600はアイドリング時の燃料消費がすごく多かったから。
ここまでで1800Kmを走破し、そろそろオイル交換でもしようかと思っている。
メルセデスでは初回オイル交換を15,000Km時と指定しているが、初期の慣らし運転として指定されている1,500Kmも超えたところだし、フィルタと共にオイルを換えておいても良いだろう。