熱帯魚を飼う(124)
■ '04/2/14
底砂の掃除を行った。
ハゼ不在となって底砂は汚れる一方である。
定期的に汚れを吸い出して綺麗にする訳だが、同時にサンプ層の掃除も行うとすれば200リットル程度の換水にもなる。
底砂も薄くなってきたのでそろそろ補充しなければいけないだろう。
久しぶりに水質測定も行った。
データ的には…KH=8
Mg=1350mg/l
Ca=460mg/l
Sr=10mg/
で、これは納得出来る値である。
だがpHが高すぎる。
センサ校正を行ってみたが測定値に変化はない。
この値だとKHかCaかMgがもっと下がっても良いと思うのだが…ちなみにNaイオン量は、
妥当な値と言えよう。
pHは高すぎる気がするが、サンゴ達は元気である。
下の写真は光量が足りずに元気のなくなったもの。
写真手前が影になっていた部分である。
これでもずいぶん回復したのだが、まだまだポリプが出ていない。
深場系ミドリイシである。
一時期の流行は去った感もあるが、逆にそれが入手性を悪くしているとも言える。
深場ミドリイシは高光量飼育で色が変化しやすいと言われているが、過ぎたるは及ばざるがごとしで、高光量故に白化などが起きてしまうケースもあるようだ。
比較的デリケートな品種が多いので通販などで購入する場合には、信頼のおけるショップを選ぶべきである。
例えば浅場系のミドリイシを何度か購入し、梱包その他に対するショップの考え方を見極めてから、という具合だ。
ミドリイシは一般的に価格が上昇しているように思う。
販売量の低下で価格が上昇しているのか、それとも採取量が減っているのかは定かではないが、販売量が少なければショップで死んでしまうリスクは高くなる。
入荷してすぐに売れれば、例えそのサンゴが死期を迎えようとしていたとしても、白化するのはそれを買ったキーパの水槽で、だ。
ミドリイシ系は一旦調子を崩すと回復に時間がかかるものが多いと思う。
逆に調子が良い時にはどんどん成長する。
数年前までミドリイシが(日本的な狭い)水槽内で成長するなどあり得ないとまで言われていたのだが、ナチュラル方式全盛、照明器具の発達もあり長期飼育も決して難しいものではなくなっている。
ミドリイシや生体が死んでしまうのは、多くの場合キーパに原因がある。
実際、私にしても水槽が安定しているからと言って比重さえ測らずにいたら自動補水量の設定が合わずに1.03を超えてしまったという事もあった。
この比重上昇はきわめて遅い速度で起こったため大事には至らなかったが、その後給水量を増やして1週間ほどかけて1.023付近にまで落とした事がある。
デトリタスが目立っている。
ナマコとかエビ類も処理してくれるらしいし、砂中の小生物もこれらを分解してくれる。
だが現状はと言えば、底砂をちょっとかき回すと微細なデトリタスが舞ってしまってライブロックに積もってしまうと言う有様だ。
砂の表面にのみ堆積しているのなら掃除は簡単なのだが、砂と混じった状態で存在しているからタチが悪い。
■ '04/2/18
事件である。
いや、事故か。
水槽から水漏れが起きた。
この水槽は厚さ15mmの強化ガラスを黒色シリコンで接着したものだ。
使用年月と共にシリコンの端はめくれたようにはがれている場所もある。
が、シリコンの厚みはガラスと同等にある訳だから、少々シリコンのエッジがめくれても問題はないはずである。
なのだが、シリコンの中に気泡でも入っていたのだろうか。
それが外側に貫通して水漏れが起きた。
穴自体は非常に小さなものだと思われるが、何せ水圧が加わっているのだからチョロチョロと漏水する。
シリコンとガラス面に隙間がない状態では、水圧に押されてそのシリコンが隙間を塞いでいた。
だがそこに隙間を作ってしまった事でシリコンの膜を押す水圧はダイレクトに穴に向かったという訳だ。
水中エポキシでも使えば水を抜かずに"詰め物"をすることも出来ると思うが、残念ながらそれを買いに行く余裕はなく、水を1/3程度抜いてシリコンを詰めて修理した。
補修部は元からあるシリコンを一部カッタナイフではぎ取り、ある程度の隙間を作ってからシリコンを充填した。
シリコンは乾燥時間がかかるのでドライヤで加熱しながら表面を乾かし、手に付着しない程度まで固まった所で水を張った。
完全乾燥までには時間がかかると思うが、海水中でもちゃんと硬化する事は確認済みである。
ガラス面にマスキングテープを貼り、漏水部より十分広い範囲で補修を行った。
残念なのはブラックシリコンが入手できなかったこと。
黒に一番近いという事でグレーを選んだが、色の違いは一目瞭然である。
念のため外側からもシリコンを塗っておいたが、これは気休めに過ぎないだろう。
内側のシールが不十分で水圧が加われば、おそらく簡単にはがれてしまうと思う。
ヘラが隙間を作ってしまったのは、この面の上から下まで(えぐったのはおよそ4mm幅程度)なので、本来であれば上から下まで補修したい所だ。
だがそれには水を全部抜く必要があり、生体に対するダメージも大きくなってしまう。
どうせ水を抜くなら底砂も入れ替えたいし…などと大変な作業が頭をよぎる訳で、補修は不具合部分のみとしたのだ。
結局のべとすればずいぶん多くの海水交換をした事になる。
又人工海水の素を買ってこなければいけない訳だが、安売りしているViesal
はどんなものなのだろうか。
重金属中和剤なるものが付属していて、メーカ曰くRO水と同様のクリーンな水になるのだとか。
と言っても重金属が消える訳ではなく、何かと結合して水中には残るはず。
この手のもので思いつくのはキレート剤だ。
水中のイオンを取り込んで(錯結合)見えなくしてしまうと言うもの。
軟化剤として洗剤などにも配合されているし、食品添加物でもあるし、重金属中毒の治療としても使われている。
ものによってはリン酸が生成されたり塩素化合物に姿を変えるようなものも(キレート化合物)あるが、かなり多くの種類が出回っているので水質改善に適したものもあると思う。
このキレート剤で効果の大きいものはCaではないだろうか。
その他に鉄や銅などもつかみ込むが、カルシウムに比較すれば微々たるものだと思う。
カルシウムやマグネシウムなどを効果的に掴み込むキレート剤だから、海水水槽より水草水槽用の軟化剤として適していると思うのだがいかがなものだろうか。
様々なキレート剤はpHも色々で、酸性側はpH1.5程度からアルカリのものではpH11程度まである。
食品用、化粧品用等々用途ごとに別れて売られていたりするのだ。
水草水槽用水用途として考えるならば、換水時にこれらを添加して軟水化とpH調整をいっぺんに行うというのはどうだろう。
キレート剤として売られているものでなくとも、クエン酸ナトリウムなどで効果は薄いが同じように使用出来るはずなので機会あれば実験してみたいとも思っている。
いつになるか分からないけどね。
水草水槽であればリン酸値上昇は気にしなくて良いから、効率的に軟水化出来るキレート剤を使えばいい。
液体で軟水化という所つながりでもう一つ。
液体のリン酸除去剤なるものが売られている。
最近の私の水槽は魚に餌を与えなくなっているのでリン酸値は安定して下がっている。
だがリン酸値コントロールが液体で簡単に出来るのであれば、それは便利な事だ。
電気的にリン酸除去をする方法もあるが、海水でこれを行うと(電気分解だから)塩素が発生しそうである。
電気処理すると電極の鉄と酸素、それにリン酸が結合して沈殿する訳だが、これはスキマーで濾し取れるのかも知れない。
なお鉄と結合したリン酸は再分解しないそうだ。
PO43-+Fe3++O2=FePO4となる反応が起き、マイナス電極からは水素が発生する。
プラス電極からはFeが溶出するので痩せていく訳だが、電極に加える電流の向きを適宜制御する事によって連続的にリン酸除去が出来るらしい。
話しは戻ってデトリタスなのだが、とりあえずはナマコと微小生物による分解を試してみようかと思っている。
ナマコは死んだ時が問題なのだが、とりあえず3匹入れてみる。
ナマコは確かに働き者ではあるが、動きがのろいし砂の中にいてくれるとも限らず水槽面を這って上がってきたりする。
水槽内にポンプは設置していないので吸い込まれる危険性は少ないが、ライブロックに挟まれたりして死なれると厄介だ。
小生物に関してはゴカイが入手性や価格の点で有望なのだが、釣具屋さんで売っているヤツは海水水槽内で長生きはしてくれないのだとか。
水温の関係なのだろうか。
熱帯性ゴカイってヤツが居ればいいのに。
アサリなどの貝類もデトリタス分解には協力的なようだが、これも水槽内では長生きしないという話を聞いた。
私はそれでも1ヶ月位は(スーパーで買ってきた)アサリを飼っていた事があったのだが、確かイソギンの餌にしちゃったんだっけなぁ。