熱帯魚を飼う(27)
■ '99/08/19
今週は忙しい&水槽も安定しているので今日まで書くことがなかった。
って事は今日は書くことが出来たかと言えば、答えはイエスである。
実は水質改善用2426に再度アクアソイルとピートを入れたのだ。
水草水槽が弱酸性の軟水を好む(例外もある)というのは周知の事実だとして、この弱酸性と軟水をいかに作るかと言うことを考えてみたのだ。
軟水を作る方法としてはイオン交換やROによって純水にする方法、ピートなどを使用して軟水化する方法がある。
いずれにしても水中に溶けているカルシウムやマグネシウムを吸収するか別の物質に換えればいいわけだ。
弱酸性を作るには酸性のモノを水中に溶かせばいい。
例えばイオン交換樹脂で酸性を得ると、マグネシウムやカルシウムイオンが鉱酸(硝酸や塩酸、炭酸など)に変化する。
だからイオン交換で作った酸性水は鉱酸が多く含まれていると考えられる。
一方でピートで作った酸性水にはフミン酸などの有機酸が含まれていると考えられる。
同じ酸性でレモンもあれば青インクもあるのと同じ事。
気になるのはアクアソイルから何が溶けだしてくるのかと言うこと。
アクアソイルを見ると「関東ローム層」に代表されるような、粘土質の赤土である。
もし採集地が日本の山だとしたら、含まれる酸は硫酸かも知れない。
これは酸性雨の影響が出ていると考えて、だ。
魚や水草にとってはフミン酸などがベストだろう。
とすると、ピートと言うことになるわけだがピートは水槽水を茶色に染める。
セラ・ブラックピートは余り水に色が付かないが、それでも透明というわけには行かないから、水草水槽では照度低下の影響も考えなくてはいけない。
水槽が比較的安定している現状でアクアソイルとブラックピートを入れてみたのは、これらの出す酸によって水草の生長が変わるのかを調べたかったからだ。
アクアソイルもブラックピートも寿命は1ヶ月くらい(ブラックピートはもう少し持つかな)なので、9月下旬には変化が(出れば)面白いと思っている。
■ '99/08/20
60cm水槽のコリドラスが一匹死んだ。
原因は不明だ。
60cm水槽は水温が上がり気味ではあったが、それでも28℃を超えることは希だったから水温が原因ではないと信じたい。
コリドラスはアーリーに追いかけ回されることもなかったのに残念である。
さてイオン交換樹脂に関してmailを頂いた。
内容は「再生後の樹脂の状態は如何か?」と言う事だったが、実はアニオン樹脂は2回再生を行っている。
最初の再生時には新品とほぼ同じくらいの、0.5t程度のイオン交換能力があった。
これに気をよくして2回目の再生を行ったのだが、これは前回より念入りにNaOHにしばらく漬けておいたのだ。
これが良くなかったのかも知れないのだが、一見再生できたように見えた樹脂は100リットル程度の処理で再度寿命を迎えた。
これが何故なのか原因は良くわかっていない。
ここの所忙しくて樹脂再生実験に時間がとれないのだ。
9月になって帰国したらもう少しこの辺りを調べてみようとは思っている。
なおアニオン樹脂を使わなくても低硬度の水を作ることは出来る。
カチオン樹脂のみで酸性水を作り、そこに未処理水を混ぜれば未処理水中のKH(アルカリ度)がそれを中和してくれる。
この場合はKHは下がるがGHは下がらないと言うことになる。
もう一つはH型カチオン樹脂とNa型カチオン樹脂を組み合わせる方法だ。
Na型カチオン樹脂とは、普通に売られているカチオン樹脂を塩水で再生処理したモノである。
これだけを使用するとGHは低下するがpHとKHは落ちない。
そればかりかイオン交換されてNaCl(塩水)が出来ると思う。
水草水槽に塩水はまずいだろう。
だがこれとH型をい組み合わせればNaClも(Na型単体の時より)減るし、炭酸(H2CO3)を多く含んだ水が出来ると思われる。
先週は2日に1回ペースので水交換を行っていたわけだが、水中に浮遊?する濾過バクテリアはさほど多くないと思っている。
と言うのも、水槽を新規に立ち上げる際に水の出来上がった水槽から水だけを分け与えても、濾過バクテリアがうまく活動するまでにはそれなりの時間がかかることが経験的に解っているからだ。
むしろ底砂や濾材を少量でも分け与えた方が効果はすごく大きい。
水を換えることによって濾過バクテリアのエサになるアンモニアが減ってしまうと言う意見もあるが、そもそも水中にアンモニアが多量に残留している状態では濾過が出来ているとは言えない。
アンモニアの排出量は水の交換/不交換に関わらず、魚の量で決まる。
濾過が出来ていれば魚から排出されたアンモニアは素早く生物濾過によって亜硝酸塩に変化する。
魚の量に比較して濾材が多ければ、いわゆる空き部屋の多いアパートのようなもので魚を増やせば濾過バクテリアが増えて空き部屋が埋まる。
濾材の量が少なければバクテリアは十分に繁殖できないばかりか、少ない面積に多量のバクテリアが生息することになってバクテリアは酸欠に陥りやすくなる。
外部フィルタのフィルタ容量に応じて水量が違うのは、濾過バクテリアに十分な量の酸素を与えるために、十分な水量を確保しなければいけないからだ。
いくら濾過材が多くても(ドライ濾過は別として)流水量が少ないと、濾過バクテリアが次々に酸素を消費してしまって最後には濾過バクテリアが十分に活動できるだけの溶存酸素量が確保できなくなる。
これを逆に利用して嫌気性濾過(脱窒素)を行う手法もあるが、これをうまく働かせるには相当大変だと聞く。
例外的に底面吸い込み型濾過を使用した場合で、底砂の厚みが十分にあると(底面濾過は濾過面積が大きく、単位面積あたりの流水量が少ないため)底砂底部で嫌気性濾過が行われる場合もある。
だが水草水槽の場合には底床肥料なども使用するわけだし、底面濾過層を頻繁に掃除することも事実上不可能なのに加え、底面濾過槽に水草の根が絡みつくことは容易に想像できる。
底面濾過を行う(行える)水槽は水草水槽以外と言うことになるだろう。
■ '99/08/21
少し涼しくなったら底床リセットを行おうと思っているわけだが、底砂は何を使おうか迷っている。
現在使用しているセラミックで比重の軽いものは、通水性も良くて固まらないのでこの点では良いと思う。
欠点は形状が一定な為に自然観が失われると言うことだ。
今はグロッソを敷いているので底砂は見えないのだが、このグロッソってヤツは手入れが非常に大変なのだ。
とにかく良く育つので、放っておけばどんどん厚みを増してしまう。
厚みが増えると底部に光が当たらなくなって枯れ始める。
じゃあグロッソをやめたいのかと聞かれればYesとは言いにくい。
手入れは大変だけどそれなりの魅力も感じるというのが本音だろうか。
60cm水槽で使用しているセラミック砂は、90cm水槽のものと違って形状が一定ではない。
色も濃いめの茶色で良いとは思うのだが、比重の重い砂はどんどん締まって来る。
60cm水槽は底砂の厚みが薄いので締まるほどではないが、90cm水槽だとどうなるのか。
水草の根張りを考えれば、今使っている軽い砂が良いに決まっている。
逆に軽い砂で不便な点は、植えた水草が浮き上がりやすいと言うことだ。
トリミングしたりして根のない水草を軽い砂に刺しておいても、コリドラスやエビに掘り返されると簡単に浮いてくる。
この辺りも考えて底砂を変えるかどうか決めるとしよう。
伸びすぎて下の方が枯れるのはパールグラスも同じ事。
コイツもグングン伸びるので、先をカットしてトリミングしていると下の方は(古い茎がずっと残ることになって)葉が落ちてくる。
今日は思い切って2/3位抜いてしまった。
抜いた部分にはカットした茎を差し込んでおく。
すると結構な勢いでパールグラスの森が出来上がるというわけだ。
■ '99/08/22
来週は水交換が出来ないので、今日水を換えた。
イオン交換樹脂の方はカチオン−>アニオンの順に通したらpHが7.2程度になっていたので、樹脂再生に失敗しているわけでも無さそうである。
と言うことは樹脂の全てが再生されずに(ケースに入れたままだったからか?)有効な樹脂の容量が減っていると見るべきだろうか。
これは樹脂を一旦ケースから出して再生を試みる以外に分からないかも知れない。
来月になったらアニオン樹脂の1本をケースから出して試してみよう。
底砂の汚れに関してである。
今日はグロッソの葉の上からプロホースで汚れを取ってみた。
すると結構な泥水が取れるではないか。
どうやら汚れは砂の表面に積もっているらしい。
と言うことは汚れの原因はフィルタケースに入れたアクアソイルなのかも知れない。
バケツに排水した泥水の色は、まさにアクアソイルのそれである。
アクアソイルの粒だから汚れとは言えないかも知れないのだが、水草を植え替えて水槽水に(泥が)舞い上がるのはよろしくない。
90cm水槽でコリドラス一匹死亡..原因は不明だが、同時期に購入したコリドラスも60cm水槽で死んでいる。
コリドラスの寿命はもっと長いはずなのだが...