熱帯魚を飼う(46)
■ '00/1/2
60cm水槽の水質測定を行った。
pH
7.9(だんだん下がってくる)硝酸塩:0(2種類の試験方法で、いずれもゼロ。
最小検出レベルは2.5ppm以下)リン酸:0.5ppm(吸着剤しか手はないのか)硝酸塩ゼロはちょっと意外だった。
デニボール効果と言うことだろう。
昨日は電気式反硝化装置を注文したのだが、デニボールの方が良かったかな。
反硝化がうまく行けばベルリンシステムにこだわる必要はない。
私の認識している範囲で(間違いもあるとは思うが)のベルリンシステムとは、1.アンモニアなどをプロテインスキマで濾し取る。
この結果として各種イオンも一緒に排出されて しまい、その分を添加剤で補う。
プロテインスキマは添加した微量元素と不要物質を排出する。
2.プロテインスキマで濾し取れなかったアンモニアはライブロックやライブサンドの弱い硝化作用 で硝酸塩に換え、それを底砂底部やライブロック深層部などで反硝化を行う。
3.高度に安定したシステムではプロテインスキマが不要になる場合もある。
(モナコになったって 事?)極端に考えれば、プロテインスキマがアンモニア(アンモニウムイオン)と、その元になるタンパク質を十分濾し取ってくれれば生物濾過はいらない(最小で良い)と言うことだろう。
ベルリンシステムでは、例えウールマットでも害になる(そこに濾過バクテリアが住み着く)と言う人もいる。
多少でも硝化が早くなると、それに反硝化が追いつかなくなると言うのがその理由だ。
所がベルリンシステムにしても硝酸塩濃度が一向に下がらないと言う例もあり、これはこれで難しいものなのだろう。
同じナチュラルリーフでもモナコシステムはもう少し理にかなっていて、硝化は底砂の表面近くで行われ反硝化は底砂の深い部分で行われるように工夫されたものである。
従ってプロテインスキマなどは使用せず、微量元素の添加も最小で良い。
ベルリンシステムを安定に維持するためには、プロテインスキマで濾し取られる以上の微量元素添加が必要になる。
点滴などでこれを行う方法もあるが、最終的にはドジングポンプを使うことになるだろう。
常に一定の元素比率を維持できなければ最良の状態とは言えないからだ。
特に無脊椎は微量元素添加を一度に行うと、かなりの衝撃を与えることになる。
pHを0.2程度変えるだけでも目に見える反応をするのだ。
しかもどの元素がどれだけ減って、どれだけ補充すればいいのかを測定によって求める必要がある。
が、全ての元素が精度良く測定できるわけではないところが辛い。
これ(各種元素の添加)が面倒なら、カルシウムとストロンチウムのみ添加して後は換水によって凌ぐ事になろうと思う。
この添加と排出のケンカをさせるというのがちょっと気に入らない。
気に入らないのだけれどやってみたくなる方式だから悩んでしまうのである。
濾材が要らなければコストも低減できるし..ナチュラルリーフの求めるところは、海水交換の手間を省いて「いい状態」を出来るだけ長く続けることだと思う。
ベルリンに関しては「何でも使って」水槽維持を行うやり方だと思う。
では「いい状態」とは一体何か。
これは硝酸塩濃度やリン酸濃度を低く保った上で、各種微量元素がバランス良く含まれた状態だろう。
プロテインスキマを使用せずにリン酸を物理濾過する方法があるのか否か解らないが、ベルリンシステムで水槽を管理している方でもリン酸吸着剤は使うそうなので、プロテインスキマが濾し取ってくれるリン酸量はさほど多くないのかも知れない。
ベルリンシステムを導入した方でも、これによって手間が省けたという人はかなりの経験者であり、それ以外の人は水質測定の手間と各種元素の添加を面倒だと感じているようだ。
換水頻度も1ヶ月〜3ヶ月くらいに半量以上というのが平均的だと思う。
これも各者マチマチで、一度に大量換水を行った方が調子がいい(微量元素のバランスが取れる?)と言う人もいれば、毎週少しずつ換水した方が良い(何のためのベルリン?)と言う人も。
従来濾過方式をベルリンシステムに変更してミドリイシなどが長期維持できるようになったとの報告もあるから、それなりに違いはあるのだとは思うが何が違うのかは良くわからない。
硝酸塩に関してはすでにデニボールで、これをゼロに下げることが出来ている。
デニボールの寿命も水槽によって様々だが、短いケースでも2ヶ月程度は効果が続くそうだ。
そこで次なるシステムを考えた。
基本的にはドライ&ウエット濾過である。
(ハードウエアだけは従来濾過も考慮しておく方が良いかな、と言う感じ。
最初からベルリンシステム用に作ってしまうと濾過槽を後から付けるのは大変)ドライ濾過はドライタワー(25cm×25cm×100cm)で、ウエット部は2250で行えばいいだろう。
2222は2段接続でカルシウムリアクタを構成する。
1段目がカルシウムリアクタそのもので、循環回路によって内部のpHは6.5程度にする。
2段目は溶け残りを処理するためで、ここにも循環回路を設ける。
最後はエアレーションで曝気して水中の炭酸ガスレベルを下げようと言うもの。
この曝気にプロテインスキマ(上部のカップは外して、スキマとしての動作はさせない)が使えないかな。
特にシークロンは内部に竜巻状の強い流れが出来るので、海水はかなり引っかき回されるはずである。
現在は2250改のカルシウムリアクタを使用しているが、これは容量が大きい為もあり性能的には十分ではないかと思っている。
水槽のpHも炭酸ガス添加/不添加で全く変動しない。
ちなみに炭酸ガスはADAのバブルカウンタで1秒/1泡辺りまで上げてもpH変化はない。
水の蒸発−>塩分濃度の上昇対策は、RO/DI水を電磁バルブでサンプ水槽に導く方法がいいと思っている。
塩分濃度を水位(フロートセンサ)で行うか、TDS換算で行うか、比重計にフォトインタラプタでもくっつけて自作するかは未定。
pHやORPモニタは米から個人輸入でコスト削減。
交換用センサが国内で手に入るメーカのものが安心だ。
価格はLCD表示のもの3台(pH,塩分濃度,ORP)の送料込みで約$400だった。
問題の硝酸塩低減だが、これは電気式の反硝化装置を(入手できれば)使ってみる予定だ。
内部はカーボンとチタンの電極から構成されているらしい。
価格的に見てもさほど複雑なものでは無さそうである。
チタン電極の寿命が5年と記されているので、やがては電極交換を行わなくてはいけないはず。
果たしてこれで硝酸塩濃度がどの程度まで下げられるのか。
説明にも「完全に除去は出来ない」と記されているが..一応ドライ&ウエット濾過を考えてはいるが、濾材を入れなければベルリンシステムに出来る。
ベルリンシステムそのものが良いと言うより、プロテインスキマを使うことが良いという人も居て今後の検討を要しそうである。
プロテインスキマで一体水槽水の何が取り除かれるから良いのか。
スキマーに溜まった水を分析(クロマトグラフィ?)でもすれば何かが解るのかもね。
プロテインスキマを使うと微量元素添加が必須になり、そうするとドジングポンプが欲しくなる。
これもUSから買えばたいして高いものではない。
高いのは高性能なプロテインスキマの方で、しかも100W級のポンプを使うというのだから電気代も気にしないと。
プロテインスキマを使用することによってハードコーラルの調子が上がったという報告は多い。
が、その一方でソフトコーラルは育たなくなったとレポートする向きもある。
従来濾過方式でも珊瑚などが消費する元素類は添加を要するだろうから、ドジングポンプも考えておこうと思う。
オーバフロー水槽自体だが、8mm厚で底面もガラス製のものが2.4万円ほどである。
予め指定すれば底面の穴位置や大きさも自由だと言うことなので、海水の方も水草の方もこれで行こうと思っている。
今使っているADAのウイルドグラスは半透明のシリコン接着なのだが、何件かの水槽扱い店に聞いたところ半透明シリコンは時間と共に黄ばみが出てくる(劣化する)そうである。
これが海水だからなのか否かは解らないし、照明に起因する(一般的に海水水槽では短波長の光を多く使う)のかも知れない。
そう言われてみると市販の(つまりメーカ製の)ガラス水槽も高価格品は殆どがブラックシリコン接着だ。
シリコンの劣化は水槽破壊事故に直結するだけに、「半透明シリコン接着も出来ますが、お勧めしませんよ」と異口同音に言われたのが心配になる。
問い合わせたところはいずれも海水魚或いは海水魚用品専門ショップであるだけに、半透明シリコン接着はダメなのかなと思った次第だ。
見栄え的には半透明シリコン接着の方が良いんだけどな。
アクリルの重合接着ならつなぎ目が殆ど分からないのだが、アクリルは傷の問題があるので敬遠したい。
特に海水水槽では石灰藻などが付着すると言うしね。
他にRO/DI水を溜めておくための溜め水水槽も必要になる。
RO水は1日で280リットル程度しか出来ない(水温が下がると更に減るため、プレヒータを付ける予定)ので貯槽は必須だ。
なお一般的水道水圧だと150リットル/日が良いところだとか。
ちなみに今住んでいる所の水圧は4Kg/cm2だ。
引っ越し先は少しだけ標高が高いので水圧は低いのだろうか。
ブースタポンプを使うのも大げさだし。
溜め水水槽には蓋がないとダメ(床下の湿気問題)なのだが、よくディスカウント店などで売っている蓋付きのプラスチックケースは使えるだろうか。
海水交換はオーバフローした分を捨てながら、溜め水水槽から本水槽へ水を入れる方法を考えている。
これだと新しい水も捨てられてしまう可能性があるが、溜め水水槽を2つ用意して濾過回路の中にこれを組み込んで交互に使う方式は総水量が多くなりすぎて、ヒータやクーラのパワーが無駄になると言うか足りなくなりそうなのでダメ。
一旦水を抜いて換水する方法だと、一時的にせよ無脊椎が水から出てしまうのでダメ。
循環させながら100リットルの新水を入れると、50リットルくらいは交換したことになるだろうか。
水草水槽用のDIと海水用のDIを分けたのは、海水用はRO水を処理するために寿命がかなり長いのではないかと思ったからだ。
それに繋ぎ変えるのも面倒だしね。
イオン交換樹脂再生は現在やっている方法(風呂水ポンプで再生液を強制循環させる)をもう少しスマートに組み直す予定だ。
なお水槽置き場から風呂場までの捨て水用配管は、床下を通して設置する事になっている。
さて、新年早々の壮大な?計画。
これが実現し機能するか否かは4月には解るはずである。
■ '00/1/3
現在の水槽の状態だが、pHは7.8前後で一応落ち着いたように見える。
これでもかなり低め。
が、ここに来てライブロックから色々な生物が出て来始めた。
カニは大小2匹を確認しているし、無脊椎はそれこそ沢山出てきた。
ウニも大小2匹は確実にいる。
超小型の巻き貝みたいなヤツも見つけた。
少なくともカニは無脊椎に害を与えるので捕獲しようと思うのだが、何せ素早いので手に負えない。
今のところはコケを食ってくれているから良いと言えばいいが..コケの方だが茶色のものは発生がおさまったように感じる。
これは良いことなのだが茶コケに代わって緑のコケがガラス面に着き始めてきた。
これは茶コケより固くて掃除しにくい。
90cm水槽の方は前回の水交換(フィルタ掃除)以来、液肥添加量を少な目にしているのでリン酸濃度は2ppm程である。
液肥を沢山与えて、コケが出る前に換水して..の方がオランダプラントには良いようだが、今の状態でも大丈夫そうである。
トニナも順調に丈を伸ばしている。
気になるのは水の濁りというか、茶色っぽくなっていることだ。
まるでピートを入れたときのような感じ。
で、効くかどうか分からないが活性炭パックを水槽に5個入れてみた。
■ '00/1/4
60cm水槽のpHは7.8で落ち着いた。
少々低めなのは仕方ないが、これ以下に下がらなくなったのでヨシとしよう。
■ '00/1/5
珊瑚が一つ溶けてしまった。
他の連中は元気なのに..プロテインスキマはようやく濃い色の液体が取れるようになってきた。
もっと泡を細かくして濃縮度を上げたいところだが、シークロンではこれが限界かも。
90cm水槽の方はpHが6.3(炭酸ガス添加停止時)まで下がった。
トニナも元気に生長している。
■ '00/1/6
60cm水槽の水質を調べたら硝酸塩が10ppmに達していた。
デニボールが効かなくなったのかな?それとも今朝から姿の見えないカクレクマノミの影響だろうか。
キイロハギもフレームエンゼルも元気なのに、カクレクマノミはこれまでに3匹(うち2匹は行方不明)も死亡している。
リン酸も0.5ppmと高い。
で、20リットルの換水を行った。
水を換えるとpHバッファが不足するためか、pHが下がりたがる。
仕方ないのでpHバッファの点滴開始。
■ '00/1/7
90cm水槽は液肥を控えた為もあり、リン酸は1ppm以下になり硝酸塩もゼロになっている。
それでもトニナは調子がいい。
オランダプラントは予想通り先端部が縮れて来た。
コイツはかなり栄養豊富な状態でないと大きく育たない。
60cm水槽の方はpHが7.8で落ち着いた。
が、イソギンの元気がない。
もしかしてヨウ素が不足しているのか。
ヨウ素はプロテインスキマですぐに濾し取られてしまうそうなのだが、残念ながらヨウ素が無いので添加できない。
水槽の件である。
あるショップで透明シリコン接着のオリジナル水槽を見つけた。
価格もさほど高いものではない。
そのショップの話だと耐久性も大丈夫だとは言うが..オリジナル水槽が安いのは「プロショップヒロ」で、90cm水槽が2万円ちょっとで買える。
が、新聞を見ると同ショップが火災で全焼したという記事。
ショップのオーナは熱帯魚好きが高じてショップを始めた女性だったかな。
新年早々大変である。
■ '00/1/8
プロテインスキマは水槽に手を入れたり、エサを入れたりすると泡が出なくなる。
これはこれで結構なことで、無脊椎用のエサが濾し取られずに済むと言うこと。
そのプロテインスキマだが、かなり黒い水が取れるようになってきた。
当初よりかなりエア量を絞った状態で、取れる水の濃縮度も上がっているように思える。
ショップなどのスキマを見ても薄茶色い水が沢山溜まっているものがあるが、これは明らかに調整不足だ。