熱帯魚を飼う(96)
■ '01/1/1
あけましておめでとう御座います。
本年も昨年同様よろしくお願いいたします。
年末は忙しくてなかなか水槽の管理が出来ず正月を迎えてしまった。
ここの所若干減っては来たが、シアノバクテリアは完全にはなくなっていない。
シアノバクテリアは底砂の上に繁殖すれば、通水性を阻害して貧酸素状況を簡単に作り出してしまう。
これはシアノバクテリア下の底砂を少し掘り返すと、鉛色に変色した部分が見られることで解る。
ライブロックに繁殖すれば表面の石灰藻を脱落させることになる。
コイツらは多かれ少なかれ水槽内に姿を見せているとは思うが、光を当てなければ繁殖はしない。
水中のリン酸値にも敏感だとは思うのだが、試薬反応レベル以下のウチの水槽でもシアノバクテリアが見られる。
シアノバクテリアはホースなどで簡単に吸い出せるのだが、私はこれを特に行わなかった。
たぶん吸い出した方が早く安定するとは思うが面倒なのでそのままにして置いたのだ。
それでも日数の経過と共に徐々に減っていき、危機的状況まで悪化せずに済んだ。
さて微量元素の話である。
微量元素添加量がなかなか決まらなかったのは既に報告の通りだが、本日ヨウ素レベルのみを測定してみた。
ちなみにヨウ素はTECH・Iを200cc程手動で入れた後、30cc/Dayで添加している。
その濃度は本日の段階で0.2ppm程度。
未だ足りないが、様子を見ながら添加量を調整していくつもりだ。
ストロンチウムも絶対的に添加量が足りない。
これも原液を60cc/Dayで入れながら濃度を確認し、上がってきたところで添加量を再調整しようと思っている。
もしかしてシアノバクテリアはヨウ素やストロンチウムを食っているのではないかと思うくらい濃度が上がらない。
対してマグネシウム濃度は上がりすぎたので添加は中止中だ。
カルシウムの方も濃度が高すぎるので、リアクタ動作時間の再調整を行った。
ただしリン酸濃度が高かったのでカルクワッサは使っている。
そのリン酸濃度はKENTの吸着剤のおかげで、1ppmから試薬反応レベル以下にまで下げることが出来た。
24時間ほどでこれだけ吸着できるのだからすごいものである。
ただし寿命が短いのでこまめにチェックしていないと、リン酸濃度急上昇の目にあうかも知れない。
他にはカニ退治を行った。
ミドリイシ謎の白化の原因が、もしかしたらカニではないかと思い始めて、5匹ほど退治したが未だ居る。
しかも怪しげなヤツはミドリイシからすぐに離れて逃げてしまうのだ。
水流変更も行った。
現在は4つの外部ポンプをWaveMasterProで制御しているが、その吹き出し口の向きを変えてみた。
最近は水流の向きをモータで制御する機器も売られているが、図体がデカイので水槽内に置きにくい。
水圧のエッジ、つまり水が出ているときと出ていないときの違いで少しずつ吐き出し口の向きを変えるような仕組みは出来ないものだろうか。
やはり設置の容易性と言うことで無電源にしたいところだ。
構造的にはラチェット的なもので実現可能だろうが、コケなどが付着することによる信頼性低下には気を遣わなければいけない。
ソハールに追い回されていたキイロハギだが、サンゴを若干増やした事による水槽内景の変化なのか、ここの所仲良く同居している。
一時はヒレの先端がボロボロになりかけていたキイロハギも何とか持ち直したようである。
今のところキイロハギは人口餌を食ってくれない。
以前居たものは冷凍イサザアミを食っていたのだが、今回はこれに見向きもしない。
幸いにしてライブロックに付いた小さなコケなどを食って、腹もさほどへこんでいないのだが今後どうなるのか。
水槽大型化から2ヶ月が経過しようとしているが、その状態は以前の90cm水槽に及ばない。
一つは微量元素量であり、これが決まらないことには安定とは言い難い。
生体に関しても、特にミドリイシなどの成長が未だ以前に及ばない感じである。
但し色が良く出ているのは照明の効果と言うことか。
■ '01/1/2
水質測定を行った。
Mg=1710ppm(SALIFERT)
Ca> 600ppm(SALIFERT)
Sr= ?ppm(SALIFERT)
PO4=0.10ppm(SeaChem)
I = 0.0ppm(SeaChem)
Fe < 0.1ppm(Seachem)
NO3< 0.1ppm(TETRA)
NO2< 0.1ppm(TETRA)
KH = 7 (TETRA)
pH = 8.0 (HORIBA)
マグネシウムの添加をしていないのに濃度が上がっている。
一体これは何だ?カルシウムも測定限界を超えた600ppm以上と出た。
ストロンチウムはカルシウム値が高すぎるので測定不能。
リン酸値は再び上昇へ。
水槽内で何事が起こっているのだろうか。
生体に異常は見られないものの、数値的に納得がいかない。
少々の換水を行ったところでどうなるという数値ではない。
スキマーをオーバスキミングさせて微量元素を取り去るか。
いや、測定値がおかしいのは妨害イオンが増えているためか。
そうすると換水に頼るしかないのだが、1回に200リットルしか換えられない現状では効果は薄いだろうな。
ドレンから排水してしまえば全換水も不可能ではないが、逆に生体に与えるダメージや一時的であるにせよ大気中にサンゴを出しておくのは気が引ける。
だいたい大量換水しただけでサンゴは少なからずダメージを受ける。
比重や水温以外のイオン濃度が異なるために粘液を出したりするのだ。
しかし放っておくのも気になり過ぎなので、まずはサンプ槽を排水して200リットルを丸々換水、次にサンプ槽に新海水を注入しながらオーバフロー排水するやり方で200リットル換水した。
これでたぶん実質300リットル弱、つまり全容量の1/2程度が交換されたことになるか。
揚水ポンプを一旦止めたので、再起動時には汚れ(冷凍イサザアミだと思われるもの)が水中に舞った。
ミドリイシは粘液を出しているものもあるが大丈夫だろうか。
換水3時間後に再度水質を測ってみた。
リン酸値は0.05ppmまで下がっていた。
Caは584ppmで下がってはいるがまだまだ高め。
Mgは1500ppmで限界ギリギリか。
ストロンチウムは濃度ゼロなのか測れないのか解らないが、試薬には反応しなかった。
カルシウムリアクタを止めるとKHは下がってしまうのだろうか。
一つ気になるのはカルシウムリアクタの中のARMが過剰に溶けて、そこからマグネシウムが供給されているのではないかと言うこと。
リアクタの中も点検しなければいけないのだが、今日の所は時間切れ。
ちなみにpHがこれまでの8から7.8まで下がった。
通常は換水によってpHは上がる傾向にあるのだが、これもちょっと不思議。
毎日200リットル換水を1週間も繰り返せば水質は元に戻るに違いない。
サンゴ類のダメージはあるとは思うが、換水後1時間ほどで粘膜放出は治まった。
しかしイオン交換樹脂がそろそろ寿命だな。
最近は大量換水の際に旧水草水槽で使っていたイオン交換樹脂からのバルブを開けて一気に水を溜めているのだ。
人工海水を買ってきてもっと換水してみようかどうか迷うところである。
話は変わって水流である。
水流用ポンプは外付けのMD20-RZNで静圧重視型。
従って出水口を絞れば思いの外強力な水流が得られる。
しかし欲を言えば太い(φ20位)の出水口から勢いよく水が噴き出す程度のポンプも一台あると面白そうである。
確かにこれくらいのポンプで水流を作ると魚が泳ぎにくくなるかも知れないが、ライブロックなどの汚れを吹き飛ばしたりするには良いかな、と思ったりするのだ。
現在使っているポンプをMD30-RNかRZNに換えればこれも可能か。
消費電力は増えるが常時運転ではないから現実的である。
RZNなら揚程8mなので配管が少々細くても毎分15リットルは確保できるだろうし、RNでも揚程は3.8mあり毎分30リットル以上の流量が得られる。
とか言っているとまた砂を巻き上げたりして困ることにもなりかねないのだが。
■ '01/1/6
水質測定を行った。
Mg=1440ppm(SALIFERT)
Ca= 584ppm(SALIFERT)
Sr= 0ppm(SALIFERT)
PO4=0.05ppm(SeaChem)
I = 0.5ppm(SeaChem)
Fe < 0.1ppm(Seachem)
NO3< 0.1ppm(TETRA)
NO2< 0.1ppm(TETRA)
KH = 9 (TETRA)
pH = 8.6 (HORIBA)
マグネシウム濃度は下がった。
カルシウムも下がってはいるが未だ高め。
ヨウ素はTECH・Iの手動添加によって上げたのだが、相当量を入れてやっと0.5ppmである。
一体何がヨウ素を分解しているのか。
pHが高いのは、実はちょっとした実験を行ったため。
添加剤に塩化物が含まれていると仮定して、それをバランスさせるためと自分に言い聞かせて?水酸化ナトリウムを入れてみたのである。
結果としてpHが上がりっぱなしになった。
やはり塩化物イオンセンサとナトリウムイオンメータを手に入れるしかないか。
ミドリイシのいくつかが白化した。
で、近くにカニを発見。
カニが原因か否かは不明だが、普通のサンゴ共生カニはミドリイシの枝のスキマに済んでいる。
しかし発見したカニはさっさとライブロックのスキマに逃げてしまった。
怪しい..腹の減ったカニは猛烈な勢いでミドリイシを食うという話。
果たして。
超大型化したウミキノコを包丁で5分割した。
茎の部分だけのものと傘の部分を4分割したものに分けて水槽内に戻す。
茎を切ったら海水が大量に出てきた。
サボテンみたいである。
換水はその後行ってない。
実は忙しくて塩を買いに出られないのだ。
来週こそは..となんか毎週言っているような気がする。