何故魚を飼うのか?
水槽を維持している人たちは何を目的に水槽を維持しているのか。
そして水槽をやめてしまっ
た人はなぜやめてしまったのか。
水槽をやめてしまう人たちの多くは水槽維持の手間が面倒になったり、大切にしていた魚が死
んでしまった事を機会とする事が多いのではないだろうか。
水槽の維持は確かに手間がかかる。
生き物を飼っている訳だから餌もやらなければいけないし
水も換えてやらなければいけない。
もっともこれは犬や猫を飼っているのでも同じ事で、犬だ
って餌もやらなければいけないし、散歩にもつれていかなければいけないし、トイレの掃除も
ある。
では水槽を維持している人たちは何が楽しいのか。
これも犬や猫を飼っているのとさほど変わ
らない理由だと思う。
犬と違うのは、魚は犬などより人間から遠いところにいると言うことだ。
犬は家畜として飼育され、しつけもできる。
が、魚はそうはいかない。
犬は自然の中で生きて
いけるが、熱帯魚は庭の池では生きてはいけない。
犬好きの人は犬と遊ぶのが好きなのだと思う。
でも熱帯魚と遊ぶわけには行かない。
だから犬
と熱帯魚は根本的に違うのだが、その飼うに至る根底みたいなものは同じなのではないだろう
か。
水槽の中に自然を作るというのは不可能だ。
自然の川や海で及ぶ魚の密度と水槽内の密度を比
較すれば納得できると思うが、観賞魚である以上は120cm水槽にネオンテトラ1匹って訳にもい
かない。
そこで水槽内の環境に気を使い、毎週のように水を換え、温度や照明を管理して維持するわけ
だが、これを面倒だと感じる人もいれば楽しい世話と感じる人もいると思う。
水換えの時には
魚の数を数えたり水草の生育状態をチェックしたり、新しい魚を入れたくなったり..と、こ
れもまた楽しい作業と言う人もいる。
私はと言えば水換えは日課のようなもので、水槽の水をホースでゴミと一緒に吸いだして新し
い水を入れる。
60cm水槽なら小型のバケツに2杯ほどの水換えだからさほど苦労はない。
水を入れるときはバケツから風呂水ポンプを使ってジャーッとやるだけのことだ。
90cm水槽の方は水の量が多いからバケツでは辛いが、そのために浄水器を入手した。
これなら
塩素中和も必要なく、水道の蛇口(湯と混合)からジャーッとやるだけで済む。
水槽を維持していくためにはメンテナンスも必要になる。
犬を風呂に入れたりするのと同じで、
水草をトリミングしたりコケを取ったりする。
ネイチャーアクアリウムと言う言葉があるが、
これは一つの作品ではないかと認識している。
作品だから制作過程があり、その後完成に至る。
完成した時点で作品制作の作業は終了するから、写真に撮ったりした後は別の作品に作り替え
る事も行うだろう。
したがってネイチャーアクアリウムは制作過程のメンテナンスを除くと、
その状態を維持するためのメンテナンスという概念はないのかも知れない。
そうではない、普通の?水草水槽は1年とか、長い人だと4年も5年もメンテナンスを繰り返
しながら維持している。
一般に底床の状態によって、1年もすると有茎類の成長が阻害されて
くるはずだ。
それを機会に底砂と水槽のの大がかりな掃除をして、或いは水草を植え替えたり
する事もあるだろう。
もしかすると大掃除の時に水草の配置や底砂の品種も変更するかも知れ
ない。
こうして水槽は、いや水槽維持は生活の一部になっていくのだと思う。
世の中には水換え不要を宣伝文句とした商品もある。
魚が排出したアンモニアなどは濾過バク
テリアによって硝酸塩に変化するが、これを窒素ガスに変化させて大気中に放出するというの
がこの手の商品である。
確かに脱窒が行われる嫌気性バクテリアの存在は認められているが、
果たしてこれらの商品がどの程度有効なのか私には分からないし、週に一回程度の水換えと掃
除をさほど苦痛とは思っていないので、この手の商品を買って試す気にもなれない。
熱帯魚を始めると水槽は増えるものである。
ショップに行けば欲しい水草や欲しい魚が沢山居
て、それを買ってくるためには(混泳出来ないなどの理由で)水槽を追加しなければいけなく
なる。
或いは繁殖水槽だったり、或いは薬浴水槽だったりと、どんどん水槽は増える。
私も40cmからはじめて−>60cmを追加し−>繁殖用40cm規格水槽を追加して3本になった。
現在は90cmと60cm2本になっているが、本当は90cmと40cm(規格水槽より高さと奥行きが大き
い)で行きたかったところだ。
しかし魚の成長が意外に早かったこともあって、現在の2本に
なっている。
雑誌などを見ると6畳間に120cm水槽を4本とか、まるで水族館のようにしている人もいる。
大型水槽を維持する人の多くは海水魚や古代魚と呼ばれる大きな魚を飼っている。
海水魚は色
がキレイなので観賞用としては抜群だろう。
が、水道水で飼うわけには行かないので手間がか
かるのは事実である。
海水中では溶存酸素濃度も上がりにくいし、バクテリア繁殖も阻害され
るので大型の濾過層が必須だ。
もちろん飼育密度も上げるわけには行かない。
海水の基だって
買ってこなければいけないし、器具には塩が付くからメンテナンスの手間もかかる。
それを考
えても海水魚好きな人は海水魚を飼い続けている。
大型水槽や海水水槽に行くかどうかは、その人がどれだけの手間を水槽にかけられるかによる
のかも知れない。
逆に言うと、どれだけ好きか,だ。
だからといって小型水槽にネオンテトラを二匹しか入れていない人が熱帯魚嫌いかというとそ
んな事はない。
自分の出来る範囲で精一杯やることこそ趣味だと思うからだ。
よく質問されるのが、一体いくらくらいの予算で水槽が始められるのかと言うことがある。
熱帯魚は金がかかるといえるだろうか。
確かに水槽やフィルタなどの設備が必要で、いわゆる
水槽セットを買ったとしても1〜2万円の出費にはなる。
水を換えたり照明を点けたりヒータ
もあるのでランニングコストもかかるが、これなど犬の餌代に比較すれば安いものだ。
が、大抵の趣味がそうであるように、ステップアップを試みるとどんどんお金は消えていく。
60cm水槽はスケールメリットで価格は安いが、それ以外は極端に高くなる。
水草にしても家庭
園芸用の草花に比較すると高価だし、市場規模が小さいから何もかも割高だ。
よく言われることに、水槽を始めるなら20〜30万円の予算は必要というものがある。
初心
者なら器具に頼って安定した水槽を作ろう,って訳なのだろうが、これだけの金をかければか
なり本格的な大型水槽に手が届く。
60cm水槽なら(安売り店価格で)5万円をかけると、か
なり上等なシステムになると思う。
インテリア性を重視した水槽と照明器具(20W×2×2台)
と外部パワーフィルタと底砂を買っても3万円には届かない。
もちろん水槽セットの上部フィ
ルタで始めれば1万円くらいで全てが揃ってしまう。
が、やはり濾過能力は大切なので外部フ
ィルタをお勧めしたい。
器具の値段は販売店によって2倍くらいの開きがある。
機器購入の際には雑誌やインターネッ
ト上で価格を見比べてみると面白い。
買った機器でそのまま水槽を維持している分には上記のような金額で済むわけだが、大抵の趣
味がそうであるようにステップアップを試みたくなる。
例えば90cm水槽を導入しようとすれば
水槽と水槽台だけで(モノにもよるが)5〜6万円になる。
これに32W×3本×2台の照明を
付けて、炭酸ガスも入れて、大型パワーフィルタ..となると、更に10万円規模の出費だ。
もっと大型の、120cmや180cmの水槽になると、ガラス水槽だけで40万円位する。
アクリル製
は安いが、それで10万円では買えないかも。
この程度の規模になると濾過層も大型のものを
設置したくなるので、これのコストも必要だ。
水槽の大きさを横軸に取り金額を縦軸に取るとすると、グラフの縦軸(金額目盛り)は対数に
なると思えば分かりやすい。