安物VTRの中身
車載用に安物のVTRを購入した。
用途は長距離移動時に、チビを飽きさせないため。
DC12Vで使用できて再生専用のこの品,安売りで9,800円ってのを逃してしまって1.28万円が購入価格。
しかし1万円前後で売るとすると、工場出荷額は一体いくらなんだろう?小売りと流通が2千円ずつ儲けたら、残り6千円,部品原価がその半分だと、たった三千円で出来るというのか?
確かに中を見ると安っぽい。
基板は一枚で、ベークの片面だ。
メカなども全部基板と一体になって実装されている。
メーカ純正のカーステレオ(AM/FM)の工場出荷額が2〜3千円だと聞いたことがある。
高い部品はパネルやスイッチ関係だそうだ。
「お面」をケチると安い物が本当に安っぽくなるので、そこだけはケチれないとか。
そう言われてみると、このVTRのパネルは安っぽい。
必要最小限のスイッチと表示、スイッチの操作感もほめられたものじゃない。
一応スイッチとしての動作はするが(当たり前)タッチや音は、カーステレオに遠く及ばないのだ。
スペック的にはこんな感じ。
「S」でも「HiFi」でもない、フツーのVHSのようだ。
おまけに「ステレオ」でもない。
ちゃんと映って音が出るのか?心配だったが、TVに接続してみると問題なく動作する(笑)基板上を見るとRFユニット(TVに対して1CHか2CHへ電波で飛ばす)を付ける場所も用意されている。
機能的には、オートトラッキング調整やらヘッドクリーニング機構などが付いている。
トラッキング制御はよく分からないが、ヘッドクリーニングってのはヘッドにスポンジのローラが当たるだけ。
最低のコストでもカタログスペックを飾ることは出来るというわけだ。
特殊再生?として、早送りや巻き戻ししながらの再生もできる。
一時停止(ポーズ)も出来るが、これらの再生時には盛大なノイズが発生する。
ヘッドが2つしか付いていないから、まあ仕方ないと言えるのだが。
この辺りの再生に関しては、その昔のβの方が良かったと思う。
最近の高級機種では、一時停止時の画面ノイズは無に等しい。
早送りや巻き戻し時でさえわずかにノイズが入る程度だ。
ステレオ録音された音声を再生するとどうなるか?何のことはない,左右のチャネルがいっぺんに聞こえるだけだ。
普通のステレオ音声テープなら良いが、二カ国語で録音されていると二カ国語の音声が混じって聞こえてしまう。
映画などの吹き替えモノは、あらかじめ聞きたい側の音声トラックのみを生かすようにしてダビングしないと使えない。
録画も出来るタイプだと、安いと言っても2万円以上するのではないだろうか?(それでも安い)私が初めてVTRを買ったのは、世の中に「HiFi」が出始めた頃だった。
もちろんその頃はβ方式(ソニーの独自方式で現在は消滅)も存在していた。
β方式は画質は比較的良いとされたが、音の方がマトモではなかった。
そこでソニーは「HiFi」方式を開発して搭載したわけだ。
対するVHS陣営も、かなり無理して(確かテープの厚み方向に二重に記録する?)HiFi方式をスタートさせた。
その出始めの頃のモデルは30万円ほどしたのだった。
もちろんメディアも高くて、画質劣化の激しかった3倍モードを使用したものだ...この手の物は普及と共に値段は下がる..が、それにしても安くなったモンだ。
そう言えば音楽CDプレーヤも出始めてしばらくは10万円以上がフツーだったっけな。
録画時間的にはテープに及びそうにないが、DVD-RAMによるビデオレコーダも数年のうちには普及してくると思う。
現時点ではDVDプレーヤは10万円前後のプライスタグが付いているが、各社新製品は機能拡充とコスト削減が行われ始めてきた。