新しいカーナビを取り付ける
解体の部はこちら
今まで使用していたNVX-S1(ソニー)への不満が限界に達した。
エンジンをかけ直す度に地図のスケールは変わってしまうし、VICS情報処理の遅さと言ったら天下一品だ。
おまけにVICSを使用しているとリモコンのキーを操作してからアクションが起こるまでに、1秒ほどを要するという低レスポンス。
ソニーに文句を言うと「CPUパワーが足りないので仕方有りません,VICSを外せば良くなります」と来たモンだ。
おまけに、バグ修正ファームがどんどん出てくるのはよいが、こちらから交換に出向かないとソニーからは何も言ってこない。
こんな低レベルのユーザサポートでは将来が見えているというものだ。
そこで新型はソニーを止めたか?と言うと、皆様のご期待に反してソニー製品にした。
理由は二つ,まずはカーオーディオ類がソニー製のため、それらとのシステムを崩さずに使用できると言うこと。
そして大枚はたいて買ったVICSビーコンユニットが使い回せると言うこと。
全くソニーって会社はユーザに麻薬を打つような..商売するゼ!
さて、ナビを買うのは簡単だ。
カネさえ握って店に行けばいい。
ソニー製品を買うからと言って咎められることも、逮捕されることもない。
問題は取り付けだ。
これが結構面倒だ。
特に今回のモデルは最近流行の横長モニタ(やっぱり見にくい,何せ進行方向側の解像度が低いわけだから)なので取り付け場所を探さないといけない。
今まではどうやって付けていたか?と言うと、エアコンコントロールパネルを塞ぐ感じで何とかおさめていた。
実は助手席側エアバッグの開口部?に1cmほどかかっていて、エアバッグが開くとモニタが吹っ飛んで来るんじゃないかと思っていたのだ。
今回は横長モニタだから、明確にエアバッグのジャマをする。
そこで、小物入れの蓋を取ってそこに設置する事にした。
これが小物入れ。
ガソリンスタンドのカードや通行券を入れておくのに重宝している。
ここにはオプションで、いわゆるドライブコンピュータの類が格納されることになっている。
今時,はやらないけどね..この小物入れの蓋を取り外すとこうなる。
別に壊してしまったわけではない。
ちゃんとネジで外したのだ。
車を加工しなければならない場合は、なるべく部品単価の安い部分を壊すべきだ。
もちろん加工せずに取り付けられる場合はよいが、見栄えや取り付け性を考えた場合加工せねばならないこともあるだろう。
この部分にモニタを取り付けるとこんな感じだ。
両サイドに隙間が出来て格好悪い。
この蓋の部分の部品代を調べて、もし安いモノなら蓋をチョン切って、両端を塞ぐようにしたい。
以前モニタを付けていた場所は、丁度写真右側のエアコン吹き出し口の下の部分。
モニタを付けるのはこれで何とかなった。
面倒なのはトランクに置いたナビ本体と、モニタ制御部(助手席足下)間の配線だ。
ちなみに助手席足下の工事風景はこんな感じ。
足下に見えている箱がモニタの制御ユニット,内装はあちこち剥がされている。
また携帯電話(PDC)インタフェースや、音声認識装置のインタフェースもこの部分に収める。
以前はビーコンユニットもここに入れていたが、今回はトランクに入れることにした。
ちなみに従来の配線は使えず、専用変換ケーブル(3m)が必要な事に後で気が付くことになる。
トランクと車室内の間にはソフトトップの収容部分がある。
このわずか50cm程度の間の狭い空間(配線を通すためのトンネル)に線を通さなくてはいけない。
ロールバーを少し上げて作業中の図,リアシートは外して有る。
ソフトトップコントロールの油圧ラインや、そのバルブが見えているが写真正面辺りのところでトランクルームとつながったところがある。
ここに線を通すのに要した時間,およそ2時間..何せ引っかかってうまく通ってくれない。
いい加減イヤになって、思いっきり線を引っ張りたい衝動にかられるがここには車両側のハーネスも沢山通っている。
変な線をむしってしまったら厄介だ。
落ち着いて作業することにする。
ここで問題発生,ナビとTV制御部を結ぶ線の長さが3mしかないのだ。
いくら車室が狭いSLでも3mではギリギリだ。
もう一本線を買ってきて(4千円!)バラして20本半田付けすれば良いのだろうが、それも面倒だ。
(延長ケーブルや長い線は今のところ無い)結局は配線を通す場所に一等地?を与えて数センチ,曲がっている部分をショートカットして数センチ..と稼ぎ出し、何とか3mのケーブルでつないでしまった。
解体の部
こんな作業で数時間を要してしまったが、何とか取り付けには成功した。
最後にビーコンユニットを付けようとして問題が..何と,コネクタ形状が変わっているではないか。
ソニー,やってくれるじゃないか。
早速変換ケーブルを買いに行くも近所に在庫無し。
従って今のところビーコン無しのVICSになっている。
(3日後に入手した)ナビ本体だが、外観はさほど目新しいモノではない。
写真右側がCD-Drive,もちろんその下にもロジックは入っている。
左側がCPUとメモリ周り。
拡大するとこんな感じ。
フラッシュROMとRAMが並んでいる。
CPUはNECのRISCで周波数は、たぶん65MHz。
以前のモデルが68000系のワンチップだったが、CPUの処理能力自体は2倍と言ったところだろうか?(NVX-1は68HC000,NVX-S1は68HC020だ)ソニーの資料によると「実行速度は約4倍」だとの事だが、RISCとCISCを単純演算性能のみで比較することは出来ない。
たいていの場合は、CISCよりRISCの方が命令効率が悪くなり同じ処理を行う場合にも多くのインストラクションを実行しなければならないからだ。
しかし、スクロール速度などは体感的に5倍くらいにはなっているから、ソフトウエアアルゴリズムによる改善も大きいと言える。
もちろんその他にも画面のキャッシュメモリなど、ハード面でも従来機種とは大きく異なっている事は事実である。
さて、一旦取り付けた後ナビ本体を外して再度内部調査を行うことにする。
ああ..これで学習はパーだね..また30Km走らなきゃいけないのかと思うとイヤになる。
これがCD-Driveを外した図,写真左側がCD-Driveだ。
右側本体内部は3枚の基板で構成されている。
左側にある基板がRISC CPUの乗ったボードだ。
(どうやらこの小さい方の基板..RISC基板と呼ぶ..は音声認識ユニットらしい)CPUはNECのμPD705101GMってヤツ,俗にV831と呼ばれているものだ。
動作周波数は50MHz〜100MHzが保証範囲,ちなみにこの基板にはには65.53MHzの水晶が見える。
RISC CPU専用の水晶振動子のようだからクロックアップの可能性が有るかも知れない。
RISC基板上にはマスクROMが乗っている。
μPD23C32000Lは32Mビット容量だ。
これが4個並んでいるから、合計で16Mバイトと言うことになる。
ちなみにRISC基板ではない本体側にも(本体基板の上に二階建てで)μPD23c32000Lが2個乗っている。
(後述)RAMは(たぶん,品番からすると)EDO-DRAMが4チップ乗っている。
容量は不明。
フラッシュメモリは富士通製の29LV800BAと言うタイプが2個,本体基板上の二階建て基板にも同品番のものが2個乗っている。
容量はたぶん8Mビット品だと思うので、RISC部は2Mバイトの容量と言うことになる。
将来のバージョンアップがあるかどうか?知らないが、ソニー得意の「メモリ容量が足りないため..云々」にならなければよいが..RISC基板の裏側にもたっぷりデバイスが乗っている。
XILINXのFPGA(ゲート化が間に合わなかったのか?そんなに売れないと踏んだのか)やdt71V124(これは一体なんだ?)が6個も乗っている。
この基板は(どうやら)音声認識ユニットらしく、大量のROMは認識語句用の辞書ではないか?と思われる。
バラした当初はこの小さな基板の方がナビ制御部かと思ったが、姉妹モデルで音声認識非内蔵型のものは大きな基板一枚で構成されているとのこと。
解析を本体基板上に移そう。
こちら側にもRISC CPUが乗っている。
これがナビの制御を受け持つ方だと思われる。
クロック周波数は33MHzではないか?と思うが、V831は最低周波数が50MHzじゃ無かったっけ?RISC CPUに被さるようにして基板が二階建てになっていて、その基板には片面に32MビットのRO
が2個(ワードモードで使えるから2個で64ビット幅になる)と8MビットのフラッシュROM2個が乗っている。
つまりROMが4Mバイト,フラッシュが2Mバイトという事だ。
バージョンアップでメモリ容量が足りなくなったら、このメモリ基板を交換すれば良いと言うことだろうか?無理矢理スキャナに載せて撮ったのがこれ
専用ICらしきものは、SONYのCXD2933Qと書いてある。
写真上方に見える金属製の箱がGPSの受信部とFM VICS受信用チューナ,その横の小さい箱が(たぶん)圧電振動ジャイロではないだろうか?本体基板は(たぶん)4層,RISC基板の方は6層かも知れない。
ジャンパ線は数えられる程度(笑),何年間現用でいられるのか?分からないが、フラッシュROMの容量が意外と小さいのには驚いた。
本体基板の裏側は見ていないのだが、画面のキャッシュ(PCで言う仮想デスクトップってヤツ?)はかなり多く取られているらしい。
メモリは一体どこだ?スクロールしたときに、CDアクセスによって待たされるまではキャッシュに入った画像を表示していると考えられるし、地図スケールボタンを押しっぱなしにすると連続的にスケールが変わるのもこのキャッシュのおかげだろう。