スタンバイ電力を測る

エネルギ削減、炭酸ガス排出量削減が叫ばれる中でも家庭用電化製品にリモコン操作タイプが増えているのも事実である。
リモコンの信号を受信するためには受信部を動かしておく必要があり、そのため本体機能が動作していない場合でも電力を消費することになる。
もう一つはACアダプタ製品だ。
電取法の関係でACアダプタを使う機器も増えているが、コストを削減しようと思うと効率には目を瞑ることになる。
果たして家庭用電化製品のスタンバイ電力とはどの位なものなのだろうか。
今回は実効電力計(家庭用電源はACなので電流計で電流を測っても意味はない)をお借りすることが出来た。
精度は10Wまでが±2.5%、0.2Wを測定しても±10%の誤差と言うから家庭用機器のチェックには十分である。
さらに0.1Wを測定しようとすると誤差は増えるが、そもそも0.1Wのスタンバイ電力を実現できている機器があるのだろうか。
電力量計をお貸しいただけたNさんにこの場でお礼申し上げると共に、さっそくチェックを開始しよう。


まずは手元にあったPHS用のホームアンテナだ。
これはACアダプタタイプなので、まずは動作時の消費電力を測る。


1.2Wを消費している。
まあこんなものだろう。
本体を外してACアダプタだけの消費電力を測ると..

0.8Wも食っている。
果たして本体消費電力が(1.2-0.8で)0.4Wなのかどうかは測っていないが、ACアダプタの非効率さが目に見えたというわけだ。
次に2.2KWエアコンを測ってみた。
メーカは富士通ゼネラルの安物である。
これの非動作時電力は..

1.8Wだ。
ACアダプタに比較すれば多いが、リモコン受信部が動作しているのだからこんなものか。
PC関係ではアンプ内蔵スピーカを測定してみた。
これはスタンバイ云々ではなく動作時信号無出力時の電力である。
3.5Wなら許せるか?

自動的にスタンバイ状態になる17インチモニタ(ロジテック製)は意外に消費電力が少なく4.9
しか食っていない。
これもSYNC監視回路は動作しているはずだ。
電源のLEDも点いている。


電源と言えば電気スタンドがあった。
タッチスイッチで点消灯を行うものである。
これの消灯時消費電力は0.2Wだった。
回路自体が何ボルトで動作しているのか解らないが、0.2Wなら許容できる。


ちょっと驚いたのがNLXパソコンである。
電源スイッチを切っている状態であるにもかかわらず3.8
も消費しているではないか。
たぶんATXも同じだと思うが、キーボードやモデムによるパワーアップを行うための電力だろう。


そのNLXパソコン(K6-3/400MHz)の電源を入れると48Wを消費した。


Windowsが立ち上がってログイン待ちの状態では51Wになる。
小型だからと言って消費電力が少ないわけではない。


次はPHSである。
これもACアダプタタイプなので無駄な電力が多いんだろうな。
とりあえず動作時(PHS充電中)は1.5Wを食っている。


で、PHSを引っこ抜いても0.9Wの消費電力だ。
どうやらACアダプタはこの程度の電力消費が一般的なようである。


ACアダプタの傾向が解ったところで、海外製のものも試してみた。
水槽用として使っているアメリカ製のものである。
これは負荷/無負荷に関わらず0.9Wを消費している。
つまり機器本体の消費電力よりACアダプタの消費電力の方が大きいという..何とも情けない結果なのだ。


これによってACアダプタの消費電力は0.8W前後と言うことが解った。
少なくともウチには20個程度のACアダプタがコンセントに挿しっぱなしになっている。
って事は20W弱の電力を無駄にしている計算だ。
さて次はTVである。
29インチの東芝製は動作時に145Wを消費する。


リモコンで電源を切ってみると1.2Wに低下した。
この程度なら許せる範囲か。
何せACアダプタが何もしないで電力を消費しているのが解ったものだから、感覚が鈍ってきているかも知れない。


非効率なのは松下のビデオである。
何と10.3Wも食っているではないか。
おそらくパネルの蛍光表示管関係が大食いなのだと思うが、これはいただけない。


写真が逆さまなのではない。
三菱のエアコンを測っているところである。
これも1.5Wなので許容範囲か。
ちなみに2.8KWのものである。
富士通製よりスタンバイ電力は少ないが、その差は微々たるもの。


電子レンジも食っている。
時計表示の為だけに2.7Wは無駄ではないか。
こんなに食わせるなら時計なんか外した方が良い。
とにかく蛍光表示管は大食いで困る。


私が普段使っているPC関係を測ってみた。
動作時消費電力は79Wと大食いである。
CPUはCeleron333A改375MHzだ。
HDDは1台だがCD-Driveは2台付いている。
としても大食いだ。


で、使わないときにはWindowsのスタンバイモードにしている。
これでHDDのモータは止まり電源のファンも回転数を落とす。
だから消費電力も減っているに違いないと思ったら大間違いだった。
何と56Wも食うではないか。
今日からはこまめに電源を切ることにしよう。
(でもWindowsの立ち上がりの遅さには泣けるよね)

液晶モニタはスタンバイ時に2.9W、これなら許そうかな。
しかしTVよりスタンバイ電力が多いから許しちゃいけないか。
でも17インチモニタよりは少ないし..

その液晶モニタでTVを見ると44Wを消費する。
画面輝度を上げているためか?もっと画面を暗くしても差し支えないが、何故かでフォルトでは最大輝度になっている。
余談だがこの液晶モニタで見るTV画面は凄くキレイである。


その証拠にPCが面表示時には26.1Wに減少した。
PC画面表示時には(まぶしいので)輝度を下げているのだ。


驚いたのがスイッチング電源タイプの携帯電話(P208)充電器だ。
何とアイドル電力がゼロではないか!メーカもやれば出来るんじゃないの?たぶん小型軽量化のためにスイッチング電源を使わざるを得なくて、その副産物としてアイドル電力が減らせたのだと思う。
携帯電話を買い換えて余った充電器は、トランス方式のACアダプタに代えて使おう。


リブレット(100)は動作時に10.6Wを消費する。
これも液晶バックライトが食っているに違いない。


で、電源を落としても1.2W食うが、これを食わせておかないと5日ほどでバッテリが無くなってしまう。
一体どこにそんな電力が必要なのか。
電源設計にもう少し気を使っていただきたいものである。


この他にも常時動いている空気清浄機とかTAとかハブとか、家の中には電気を食っているものが沢山ある。
まあ動作していて電気を食っているのはある意味仕方ないが、それにしてもトータル電力はかなり多くなっているはずだ。
ちなみに常時動作している水槽用のポンプは43Wを食っていた。
カタログ消費電力は60Wなのだが、負荷の具合かそれより少ない。
同じように計算上は130Wになる海水水槽用のポンプ3個は実際には107Wしか食っていなかった。
水槽関係の照明はメタルハライドランプを使用している。
これは放電管であり、発光効率自体は蛍光灯に劣るのかも知れないが、配光設計自由度が高いために照度としては蛍光灯を上回る。
まずは150Wのメタハラの消費電力である。
ちなみにカタログ値は180Wだ。


測定モードを切り替えると以下のように色々な表示が表れる。




見たくない表示だ...



メタハラは70Wタイプも使用している。
こちらの消費電力は86Wである。




どうやらアクアリストってヤツはかなり炭酸ガス排出量を増やしているようだ。
照明器具はタイマ制御で点灯時間は8時間程度だが、ポンプは24時間稼働だしな..それでも消費電力低減努力はしているのだが、少なくとも犬を飼うよりはエネルギを使っている事になる。
ちなみに今回お借りした電力量計に関して私に問い合わせいただいてもお答えできませんので悪しからず。