アキュムレータ(9/13)
◆ アキュムレータと言ってもマイクロプロセッサのそれではない。車の部品の話である。
SLには自動車高調整装置が付いている。これは油圧でシリンダを動かして行うものであり、このシリンダがそのままショックアブソーバの役割も果たしている。
通常の車両のショックアブソーバに当たる部品は単純なシリンダであり、減衰力を発生させるオリフィスは電磁バルブと一体化したものになっているのだ。
この電磁バルブでオリフィスを制御する事によって減衰力を増減させている。
シリンダの油圧は高圧窒素ガスとダイアフラムによって構成される球にも導かれている。
この球がアキュムレータと称されるもので、ハイドロニューマチックサスペンションのシトロエンとシステム的には似通っているのだ。
◆ シトロエンのアキュムレータの耐久性が問題にされる事は多いが、ベンツのそれも消耗品と考えて良いだろう。但し寿命は数万キロはある。
このアキュムレータの窒素ガスは時間と共に抜けてしまう。ダイアフラムの分子の隙間から抜けるのだと思うが、こうなると交換しか手はない。
と言ってもさほど高価なものではないのが有り難い所か。
アキュムレータのガスが抜けると、まずバネ常数が上がったようになって乗り心地が堅くなる。
堅くなると言うより跳ねると言った方が良いだろうか。
ショックアブソーバとしての機能も失われて、振動の収まりが極度に悪くなる。
これは徐々に進行すると言うより、おかしいな?と思って数ヶ月後には最悪の状態になってしまうのだ。
アキュムレータの不良はハイドロオイルの量でも解ると言う事。
アキュムレータ内のガス圧が下がると、油圧でダイアフラムが押されて行く。つまりアキュムレータ内にハイドロオイルが沢山入る事になり、結果としてリザーバタンクの油量が減るのだ。
◆ SLもフロントのアキュムレータが寿命を迎えたようで、先日これを交換した。
ついでと言う事でリアも交換したが、こちらは未だ充分使える様態。
ちなみに走行距離は71,000Kmをわずかに超えた所である。
アキュムレータ交換後は(当たり前だが)それまでとは全く違った、快適な乗り心地になった。
ディーラ仕様のSLにはレベライザは付いていないだろうが、欧州仕様車にお乗りの方は要チェックである。
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