電池の価格(10/3)
◆ にわかに脚光を浴びる電気自動車だが、問題はそのコストだ。最も高額なのがバッテリで、現状ではkWhあたり十数万円と言われている。そうは言っても以前よりは価格が下がり、しかしそれはプリウスの功績ではなく中国の電動自転車市場だったという話もあるのだが、いずれにしても従来よりは安価になってきている。が、そんな価格ではまったくダメで、普及のためにはkWhあたり5千円以下を狙わなくてはならない。NEDOのロードマップを見ると2010年にkwhあたり10万円、2015年に3万円、2030年には5千円以下にしたいとなっている。そんなの可能なのかよと思わないでもないが、ここ最近で大きく値下がりしたフラットパネルテレビを見るとどうだろうか。
◆ プラズマテレビ出始めの頃、40インチ級で100万円が相場だった。それが今では売れ筋の30インチ級ならば10万円以下で普通に買える。先日買った22インチの液晶テレビは3万円台だったのだ。テレビ普及には1インチあたり1万円を切る必要があるとは良く言われるのだが、現状ではインチあたり3千円以下が普通に実現できている。勿論機能や性能によっても価格差はあるのだが、この5年ほどでこれだけ大きく価格が変わったものがあっただろうか。
◆ だからといってバッテリのコストが急激に下がるかどうかは分からない。ハードディスクやメモリのように年々性能が上がっていく可能性も高くはないし、量産効果がどこまで出せるのかもよく解らない。
Li-ion電池自体は携帯電話で使われるようになって価格は下がり性能は向上した。PDCの頃にLi系の電池が使われ始め、その扱いの難しさからNi-MHと大差ないのではないかと言われていた時代からは想像が出来ないくらいLi系電池の世界は広がった。今やパワー系では電動アシスト自転車にも使われているわけだしiMiEVやS400ハイブリッドも、そして日産から発売される予定のリーフもLi-ionバッテリ搭載だ。
◆ Li-ionは難しい電池ではあるがエネルギ密度からすれば現状でこれ以外は考えにくい。Li-ionキャパシタも各社増産体制に入っているが、こちらは蓄電用途と言うよりもバッファ的な感じかも知れない。以前ホンダが電気二重層コンデンサを使ったハイブリッドシステムを研究していたが、制御回路などが電池を使う場合に比較して複雑化するなど、またエネルギ密度自体もLi-ionバッテリに及ばないことから本命視はされていない。
◆ 電池は高いが他のものが安くなるのではないか。電気自動車の場合にはあり得る話だ。配管は配線へと変わり取り付け位置の自由度も増す。モータなどの特性にもよるが駆動系の単純化は図れるだろう。レイアウトにしても、2WDでも4WD自由に出来るしバッテリの搭載位置やパワートレーンの搭載位置もエンジン車よりもずっと自由度が高い。こうした作りやすさや設計しやすさが自動車としてのトータルコストを下げるのではないかという考え方もあり、パワートレーンその他の共通化もエンジン車より進み、さらにエンジン一基を開発するのに必要な数百億円というカネも節約できるとすると、製品に重畳されている開発費割合だって低減可能になるかも知れない。
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