REハイブリッド(5/24)
◆ 最初に披露されたのは昨年のジュネーブショーだった。アウディのハイブリッドというかEVは12KWhのLi-ionバッテリと61馬力のモータを搭載している。と、ここまでは何ら珍しくもないEV構成なのだが、そのバッテリチャージ用に254ccのシングルロータロータリエンジンが搭載されている。運転回転数は5,000回転、出力は20馬力と控えめだ。なぜロータリエンジンなのか。ロータリエンジンはクランクセンターが高いのでモータや発電機と直結するには都合が良い。定速定負荷で回せばさほど燃費も悪くない。そして小さく軽くこの程度の大きさならば空冷でも動くだろう。シングルロータでも動力用としてではないのでドライバビリティの問題はない。
◆ と、そんな訳のショーモデルなのだが実用化に向けて開発が続いているという話を聞いた。ショーモデルであれば多少奇抜な組み合わせでも何でも出来るが市販モデルとなるとそうも行かない。というか世界でロータリエンジンを実用化したのはマツダしかない。多くのライセンスでがんじがらめ状態なのだが、そのがんじがらめなのはマツダとて同じ事になってしまった。鎖国したが故にロータリエンジンが阻害されてしまったのだ。エンジンの燃料に何が使われるのかは不明なのだが、ロータリエンジンは比較的低質な燃料でも回ってくれる。勿論水素でも回す事が出来る。つまりこのニュースは実用化に向けて動いているらしいという所が注目すべき点になる。
◆ ガソリンに灯油を混ぜた燃料で運転すると、そのままの空燃比ではノッキングが起きる。このあたりを適切に調整すれば(始動しにくいとは思うが)軽油も実用的な燃料として使う事が出来るはずだ。
自己着火のディーゼル的ロータリも考案された事があるが、2段圧縮など手間のかかる事を行わなければならないので現実的ではない。燃料がガソリンでも軽油でも灯油でも良いのだが、このロータリエンジンと発電機の重量は70kg程度と言われている。動弁機構もなければカムもないので低振動で低騒音だ。排気音がうるさいのでマフラー容量は確保する必要があるが、その程度である。5千回転で20馬力程度を出そうとすると、レシプロだと500cc程度が必要だろうか。単気筒の500ccエンジンだと振動面で不利になる。多気筒にするとコストと大きさがバカに出来なくなる。2サイクルエンジンが水平対向か何かで使えるとバランス的には調整出来そうだが排ガス的にダメかな。トヨタがバルブ付きの2サイクルエンジンを過去に研究していたが、何せバルブの開閉速度が4サイクルエンジンの2倍だから、厳しいよなぁ。
◆ ロータリエンジンは構成部品が少ないのでパーツ代としてはさほど高額ではないのだが、加工精度や加工技術、人手に頼る組み立てコストなどは高額になってしまう。それこそホンダが過去に作った楕円ピストンエンジンの、一体ピストンリングはどうなっているんだみたいな話がロータリにも当てはまる。組み立てや加工精度が悪いとエンジンとして成立しなくなってしまうからだ。加工精度を落としてと言うか余裕を取ると吹き抜けが増えてHCが多くなる。ドライバビリティ部分は発電用なので問題ないとしても、エンジンとしての効率が落ちるのはダメだろう。
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