新規参入事業者と料金施策(3/10)
◆ 楽天モバイルが移動体通信事業に参入してMNO4社態勢になった。これまでにも様々な事業者が現れたが、やがて吸収合併という事になった。大手に立ち向かうのは大変なのだ。
◆ ソフトバンクは自力での移動体通信事業参入を計画したが、Vodafoneを高値で買収するという事になった。基盤のある事業者の買収で事業のスタートは早まるわけだが、それでもソフトバンクは苦しんだ。
◆ 料金プランも二転三転し、他社の料金を真似すると言いながらも完全な真似すら出来なかった。Vodafone買収から数ヶ月経った2007年にホワイトプランを発表し、網内定額と合わせて方向性が定まった感じがした。
◆ 網内定額はソフトバンク同士ならば(時間帯限定で)通話は無料という、ドコモやKDDIには無いプランだった。ソフトバンク同士というところがミソで、無料通話をしたい人同士がソフトバンクに加入する流れを作る事が出来た。
VodafoneのLOVE定額を拡張したような感じで、追加料金なども無しで準定額化した。
◆ これによりソフトバンクの加入者は増え、ドコモやKDDIも考えざるを得なくなったのである。確かにソフトバンクのエリアは狭かったし通話品質も悪かった。しかし人々はそれを踏まえた上で網内定額を望んだのである。
◆ 当時ドコモにはプッシュトークというシンプレックスのIP通話があった。シンプレックスなので使いにくく、通話時間制限もあったが通常の通話料金よりも安かった。しかしソフトバンクのホワイトプランならデュープレクス通話が網内無料なのである。
◆ 私もこの時期に2度目のソフトバンク契約を行っている。最初はiPhoneを貰った時だった。通話定額は有り難かったのだが、その品質は悪かった。音声圧縮レートが高かったし、エリア内でも混雑していると「お待ちください」表示になって電話はかけられなかった。
◆ 楽天モバイルは料金プランと1年間無料でスタートする。料金プランは使い放題で月額2,980円と安い。ドコモの場合だと月間1GB未満が2,980円である。いくつかの条件が揃えば1,980円となり、ドコモのサイトではこれを前面に出しているが小さな小さな字で注釈がいくつもある。
◆ それより凄いのが1年間無料だと個人的には思う。1年間限定とは言え無料なのだから申し込んで損はない。確かに新規加入料金の3,300円はかかるが、楽天モバイルの指定機種であれば楽天ポイントとして還付される。
◆ 楽天モバイルのエリア内であればデータは無制限に使える。楽天モバイルと契約したスマートフォンをテザリング設定にして、普段使っているスマートフォンのパケット代を節約する事も可能になる。
◆ 問題は1年後にどれだけの加入者が楽天を去るかだ。楽天モバイルを脅威と感じれば他の事業者は対抗策を考えてくるだろうし、楽天自身の魅力が月額2,980円総統に達しなければ加入者は一気に減少する。
◆ 無料期間だけ使われてその後カネを落としてくれないのでは商売にはならない。1年後には全国で使えるようにすると言っているが、果たして1年でどこまで出来るのか。主要都市をカバーするだけでも大変だし、都市間移動の経路もエリア化するのは更に大変だ。
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