楽天モバイルのビジネスモデル(5/7)
◆ 楽天モバイルの、この1年の赤字はどの位になるのだろうか。加入者が300万人になるとも思えないが、100万人としても2,900円×12×1000000=348億円の損失になる。楽天本体の営業利益が730億円くらいだったかな、楽天本体とモバイルは違うと言えば違うのだが、利益の半分を食い潰す。正確には食い潰すのではなく、売り上げを逃すのだから、損失としてはその原価分になる。
◆ ただ原価率が低いと言えないのは、ローミングに頼っているからだ。5Gバイトをフルに使われると、KDDIへの支払いは2千円を超えるという。他にも基地局への投資も必要だし、カネはいくらあっても足りない。楽天本体の利益も減少傾向なのだから未来がバラ色というわけではない。
◆ 移動体通信にしても固定通信にしても、初期投資額は莫大になる。それでも加入者数が増えれば安定的な収入になるので銀行は金を貸す。しかし過去にはいくつもの移動体通信会社が大手に吸収されてきた。EMなども頑張っていたのだが、エリア構築に限界を感じたと言われる。
◆ 黎明期には加入者増の期待が持てるわけだが今は違う。誰もが携帯電話を持つ世の中であり、客を奪い取ろうとすれば質を向上させるか料金を下げるかになる。そしてそのいずれを選んだとしても利益を削ることになる。
◆ 楽天カードは加入者に5千ポイントから8千ポイントをプレゼントしている。加入者獲得費用はこれだけで5千円〜8千円かかる。一方でドコモはd card加入者に余りお得な条件を出していない。しかし加入会員数は、楽天公表値だと昨年秋にドコモを抜いたとなる。ちなみに決済金額はd cardの5.3兆円に対して楽天カードは1兆円程度だそうだ。ばらまきに金を使い、その割に使って貰えないのでは収益が上がらない。
◆ 企業イメージなどもあるので楽天の会員集めは難しい。モバイル事業では、これに加えてエリアの狭さが問題だ。いくらローミングで使えるとは言っても、5Gバイト制限ではお得感も半減する。更に楽天エリア内でも月間300Gバイトが事実上のリミットとなると、商品名のUN-LIMITに偽りありである。KDDIローミングはBAND19(800MHz帯)のみで行われると言う事で、他の周波数帯は基本的には使われない。
◆ 来年の今頃に楽天モバイルはどんな展開をしているのか。ローミングエリアのデータ上限を2Gバイトから5Gバイトに上げたのは加入者数が予想より少なかったからだと言われる。この先加入者を増やすには、様々なキャンペーンが必要だ。一番効果的なのはスマートフォンの安売りだが、値引きは2万円に制限される。
◆ iPhoneをラインナップに加えたいのは山々だろうが、その為には台数のコミットが必要だ。更に現時点でiOS上ではRakutenLinkを動作させることが出来ない(おそらく、色々申請して公開許可を得る必要がある)のもネックになる。ただRakutenLinkに関しては、少なくとも通話だけであればIP電話アプリと同様なので実装出来る可能性はある。SMSをフックするとなるとiPhoneはAndroidと違って独自のものが存在しているので難しそうだ。
◆ ガイアの夜明けで楽天モバイル特集が組まれたそうだが、まるで大学のサークルのノリ、技術も経験も無い素人集団、観ていて不安が増大した、楽天の公用語が英語というのが嘘だとハッキリ分かったなど、辛辣なコメントが並んだ。
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