VC

過去の雑記置き場


アンプの歪みとIP3(12/1)
混変調歪みが重視された理由(12/2)
テスラはどこまで拡大するのか?(12/3)
有線LAN開放の危険性(12/4)
技能試験は来年5月から(12/5)
オーディオアンプとIMD(12/6)
マイクロコントローラ(12/7)
流動性は増しているのか(12/8)
野菜の価格と農業収入(12/9)
スマートウオッチ(12/10)
Amazon問題(12/11)
リニア新幹線問題(12/12)
中古車買い取り業者(12/13)
自動車とセキュリティ(12/14)
ムツゴロウさん(12/15)
日本の携帯電話料金は世界一安いのか(12/16)
老眼と近眼(12/17)
石炭火力発電所(12/18)
鉄道模型(12/19)
調整箇所(12/20)
NHK問題(12/21)
新しい塗装法(12/22)
BALMUDA Phone(12/23)
指紋認証を望む声(12/24)
UN-LIMITとpovo(12/25)
木製スマートフォン(12/26)
駐車スペースの使い方(12/27)
水道事業の民営化論(12/28)
修理する権利(12/29)
5Gとミリ波(12/30)
今年も一年ありがとうございました(12/31)


VC
今年も一年ありがとうございました(12/31)
◆ 夏の感染拡大から一転、秋口にはコロナ感染者数が激減した。しかし諸外国の例を見ると再び感染が広がる気配もあり、更には変異株による感染の拡大などもある。

◆ それでも経済活動は徐々に再開する訳だが、飲食店は連日満席というわけには行かないとも言う。コロナ禍に於ける会食や飲食制限で、外食や飲み会自体から離れる人が増えたのではないかと見る向きもある。

◆ これまでは会社の帰りに飲みに行くのが普通だったが、飲食店などの営業時間短縮でそうした外食の習慣自体がなくなってしまう。いったん外食しなくなると、その行動を再び変えるには何かインパクトが必要だ。

◆ 世界的な経済活動の回復もあり、秋口には原油価格が上がった。北国では暖房を灯油に頼っていることもあり、暖房費用増に悲鳴が上がる。ハウス農家も同様で、温室の温度管理用エネルギコストが上がる。

◆ 世界経済に取り残された日本は、そうした海外からの輸入物資の値上げに弱くなってしまった。ようするに貧乏な国になってしまったのだ。緩やかな景気回復が続いている続いていると言い続け、景気が回復基調だから増税するよとやってきた。岸田氏は総理になる前は増税は考えていないと明言したが、嘘だった。

◆ コロナ対策・対応でカネを使ったから、その分を取り返さなければいけないと増税論に拍車がかかる。給付金の配り方もゴタゴタが続いた。カネは国民に配るものではない、国民に収めさせるものだ論である。

◆ 今年は長雨があり、熱海では大きな災害が起きた。盛り土が一気に崩れて住宅を押し流した。盛り土を行った業者、現在の所有者が刑事でも民事でも訴えられることになった。

◆ 県や市に条例などはあるが、罰則規定のないものが殆どだ。行政は業者に注意をすることは出来るが、それ以上のことが出来ない。悪徳業者はそれを分かっているので、行政の言うことを聞かない。

◆ これはメガソーラでも同じで、条例やガイドラインを無視した工事を進める。危険な工事の進め方があったとしても、行政が工事を中止させるのは非常に大変だ。工事の非許可に対して事業者は行政を訴える。しかし結果として行政が勝ち、メガソーラ事業を抑止出来たのが伊東市の例である。

◆ この近くに出来るメガソーラーは、計画通りに行くと来年の今頃には工事が開始されているかも知れない。それ以前に、この別荘地にロッジ型ホテルが出来るはずだ。管理会社は利便性を強調するが、いかにも新興不動産屋の言い分であり騙しの臭いが漂っている。

◆ 良いことばかり言うが実際には何も良いことはないという、まあ孫さんの演説みたいなものだ。V字回復だと毎年言い続けるみたいな。メガソーラー工事に関する環境影響評価の審議会で、環境影響評価を行う日本気象協会は同じような事を言い、そのような返答は慎むべきだと座長に言われる一幕があった。

◆ こんな田舎の山の中にも変化が訪れる。それが良いことなのか悪いことなのかは、時が経って分かることだろう。良いにしろ悪いにしろ世の中とは変わっていくものだ。


5Gとミリ波(12/30)
◆ SUB-6では中々速度が出ない5Gなのだが、セル半径が小さく帯域の広いミリ波帯なら1Gbps以上を出すことが出来る。ただセル半径としては見通しで100m前後と、PHS並になる。100m以上でもリンクは可能だが速度が落ちる。

◆ フェーズアレイアンテナなどでビームフォーミングを行うと数百mまでサービス出来るそうだが、安定な通信となると中々難しい。移動機の送信出力は+23dBmまで可能だったかな。PAのデバイスとしてはルネサスから+15.5dBm出力のものが出ていたし、GaNを使った飽和出力+31dBm実用出力+23dBm(ACPR 35dBc・EVM3%)を実現するモジュールを発表していたのは米Qorvo社だ。

◆ 隣接チャネル漏洩電力などは、ミリ波帯ではそれ以外のバンドほど規格は厳しくはない。さすがに厳しい規格は現在の技術では実現しにくい。受信感度にしても、4GHz帯よりも13dB以上悪い。

◆ ミリ波となるとスマートフォンを手で持ったり、体に近づけたりしただけでかなり減衰する。スマートフォンケースなどでも減衰するし、金属製のケースに入れれば大きな影響がある。

◆ 基地局側はアンテナの位置や高さなども管理されているが、移動機は持って歩くものだから条件は大きく変化する。
数年後にはミリ波帯の無線部性能も上がってくるだろうが、ロジック部の微細配線化のように年々性能が向上するようなものでもない。

◆ 4GHz帯(3.7GHz/4.5GHz)に於ける送信出力は+5dBm/MHzだったかな。LTEより送信出力自体は低く抑えられるが、より多いゲインのアンテナが利用出来るので、空間に放出されるパワーとしてはLTEと同様になる。

◆ とは言っても障害物に弱いので、見通し外での通信は難しい。受信感度は帯域に反比例なので、受信感度も悪くなる。高速通信とはそう言うものなのだ。基地局の消費電力に管しても良く言われることだが、これはスマートフォン側でも同様だ。

◆ ミリ波帯の送受信モジュールの電力利用効率は高くはなく、バッテリーの電力消費量は自ずと大きくなる。これもデバイスの進化によって、今後は徐々に改善されるはずだ。

◆ 無線部性能は改善されても伝搬特性が変わるわけではない。そこに立たれるとオレのスマートフォンに5Gの電波が入ってこないんだよ、みたいな事が起きる。

◆ 来年のiPhoneはミリ波に対応するだろうか。今のところミリ波に対応しているのはAndroidスマートフォンの一部だけだ。Xperia1IIIは事業者モデルはミリ波対応を謳うが、SIMフリー版(国内版)はミリ波には対応しない。コストバランスとしても、電力利用効率にしても、まだまだなのだと思う。

◆ それでも日本全国でミリ波の恩恵があれば良いのだろうが、こればかりは将来的にも都市部だけになりそうだ。現状では5Gエリアエッジ問題が深刻で、5Gエリアでスマートフォンを使うのはストレスが溜まると言われる。

◆ ドコモではスマートフォンの設定で、5Gを切れば今まで通り使えますよと案内している。従来より5Gに接続しにくい(強電界の場合しか接続しない)設定を行っていると言うが、どうにも評判が悪い。


修理する権利(12/29)
◆ 修理する権利に関しては過去にも書いている。専用ツールやその仕様が分からなければ修理の出来ない自動車、テスラのように指定以外の工場に持ち込むことを禁じている車、更にはEVなどは安全性を盾にボンネットを開けることも出来ない車などなど。

◆ Appleも同様に利用者から修理する権利を奪おうとした。しかし反発が強まり、米国の一つの州では修理する権利が法的に認められることになった。これを受けてかどうかは分からないが、修理する権利が認められた以上修理費という利益が分散するのは致し方ないとAppleは考えた。

◆ 修理費はAppleに入らなくなるが、ならば修理用のパーツを売ろうというのが次の動きになる。販売台数の多いスマートフォンのパーツは、現在でも入手可能だ。サードパーティ製もあるし解体部品も流通している。

◆ 純正品に性能は劣るものの、価格の安いサードパーティ品はバッテリーやディスプレイが市場に出回っている。内部基板などコピーを作りにくいものに関しては、中古パーツが出回る。この辺りは自動車同様で、壊れたiPhoneから使える部品だけを取り出して売るというものだ。

◆ サードパーティ製や解体部品が流通するのは、純正部品の入手が難しかったことにも原因がある。そこでAppleはパーツの供給に乗り出す。修理による収入は減るが、パーツを売ればそれで利益が上がる。価格は高いのかも知れないが、純正部品で修理を行いたいとする少なくは無いはずだ。

◆ もちろんAppleに修理を頼むのが最も良いのだが、パーツさえ入手出来れば自分で直すという人もいる。アジア諸国でもそうだが、米国でも自分のものは自分で直すと考える人が多い。日本の場合は修理屋さんに持っていくケースが圧倒的だと思う。

◆ 米国で修理する権利云々と言われるのは、DIYの精神があるからなのだろう。ホームセンターにしても何にしても、それこそ何でも売っているみたいな店舗が多い。芝刈り機の修理でも車の修理でも、道具と場所があれば自分でやるみたいな感じだ。

◆ 都市部は別として、田舎の方だと自分でやらざるを得ない(出張人件費などが高い)事情もあると思う。これも以前に書いたことがあるが、別荘地に住む人は何でも自分でやっている。家の整備や補修から薪割りまで。

◆ そしてそうした作業というかメンテナンスなどが普通のことに感じられる。自分で家を直して凄いですねと言うのではなく、自分の家を自分で補修するのは普通でしょみたいな感じで。

◆ 日本の場合は無線機を勝手にいじってはいけないことになっているので、無線機器であるスマートフォンの修理が完全に自由かというとそうではない。ただ昔の機械と違って無線部分の性能を変えることが事実上出来ない。

◆ スマートフォンやWi-Fiルータ、無線LANやBluetooth内蔵のPC、無線マウスやワイヤレスイヤフォンも開けてはいけない。この辺りも、開けることによって無線部性能の特性を容易に変更出来る構造のものはダメ、開けても調整ヶ所すら無いような無線機に関しては、これをパラメタの変更が可能な無線機とは見なさないから開けても良いよ、みたいに変えていく必要があるのかも知れない。


水道事業の民営化論(12/28)
◆ 水道事業は民営化されるべきなのか、当然これには賛否両論がある。自治体サイドで見ると、水道設備の老朽化や人口の減少によって維持コストが増え続ける現状で、自治体による管理には限界があるとなる。ようするにカネがかかるから管理はしたくない論だ。

◆ 横浜のバス路線廃止の時にも書いたのだが、自治体が行うべき事業とは民間が収益性の面で進出しにくい部分であるはずだ。自治体の場合は収益率を考えずに住民サービスを行えるのだが、民間企業の場合は利益の確保が必要だからだ。

◆ しかし最近では逆になっている。横浜市営バスにしても、市バスは運用コストが高いから民間に任せるという。市バス運転士のコストは民間の実質4倍(給料が2倍で労働時間が半分)だと言われる。労働時間を長くしないのは、運転士が疲労するかららしい。

◆ 水道民営化の話として、自治体間の価格差がある。水道料金の安い所と高い所では8倍ほどの差がある。安いのは兵庫県の赤穂市で、月額(20m<sup>3</sup>使用)が853円、高いのは北海道の夕張市で6,841円になる。なお北海道は由仁町6,379円、羅臼町が6,360円と高い。

◆ では民営化するとどの位のコストになるかだが、これは人口密度によると言っても良いだろう。北海道の水道料金が高いのは、世帯あたりのインフラコスト負担率が高いからだと思われる。他にはダムの建設コスト負担分が上乗せされたりと、複雑な料金体系になっている。

◆ このダム代上乗せ分などは、民営化されるとどうなるのだろうとも思う。運営事業者から年間いくらみたいに固定費を取るとすると、では非水道用のダム代はどうなるのとなる。

◆ この別荘地は管理会社が水道施設を持っているわけだが、水道料金は3,800円位(20m<sup>3</sup>使用)だと思った。伊豆市の水道料金は2,650円なので私設水道の方が高額である。別荘地の水道設備の償却は終わっているので、本来であればもっと安くて良いはずだ。

◆ ただ別荘地再開発に伴うホテル化事業推進のためなのか、管理会社は井戸設備の更新を行った。ポンプ交換などを含めて古くなった設備の見直しを行った。設備の取り替え作業中は給水車によって給水タンクに水が補充されていた。平均すると毎日1t程度の水が運ばれたのではないかと思う。

◆ こうした設備の取り替えなどでは数百万円のコストがかかると思われ、現実的にはそれを数十世帯の水道料金でまかなう事になる。販売区画自体は400以上あるはずだが、家屋の建っている所でかつ利用が続いている世帯数は少ない。

◆ 水道事業を民営化する事によって人件費は大きく下がるに違いないが、過疎地域では設備コストの負担が重くなる。こうなると広域水道が良いのか、ローカル水道が良いのかという議論にもなる。以前に書いたが、昔の都営住宅にはその都営住宅用の井戸設備があった。自治体の水道を引いてくるコストよりも、自営水道の方が現実的だったのだろう。

◆ 伊豆半島など山の多い地域に水道管を張り巡らせるのは、水道管のメンテナンスの点でも大変だ。伊豆市では断水があちこちで起きるのだが、老朽化した水道管の破損などによるものだ。


駐車スペースの使い方(12/27)
◆ サービスエリアの長時間駐車と言うより、サービスエリアに住んでいる人がいる。いわゆるホームレスなのだが、サービスエリアに駐めた車の中で生活をする。こうした人たちが一定数居ると言うことで問題化する。

◆ 道の駅でも同じ事が起きている。道の駅に住み着く人もいれば、キャンプ場代わりに使う人もいる。駐車場内では火を使ってはいけない規定だが、コンロを使い料理をして食事を摂る人の姿も増えているそうだ。

◆ 道の駅をキャンプ場代わりにするのは、その場所が無料で使えることが大きいという。水もトイレもあり、夜になれば駐車車両が減る。昼間にワンボックスカーやキャンピングカーで乗り付けて、そのまま翌朝まで占有する。

◆ こうした車が少ない間は目立たないし余り迷惑感は無かったのだと思うが、最近は何台もの車がキャンプにやってくると言うことで問題になった。一部では駐車場の有料化みたいな話もあるそうなのだが、一般利用者の利便性や設備のコストを考えると難しい面もある。

◆ 営業時間外の駐車場封鎖などを行う所もあるそうだが、それより前に車を駐車場に入れている人たちには関係が無い。されに営業終了時に車を追い出そうとしても"居留守"を使うなどして居座る。

◆ 道の駅では夜間に水道の元栓を閉めるとか、トイレの封鎖をする所もあるそうだ。こうしたキャンパーによる害は駐車スペースの占有ばかりではなく、駐車場にゴミをそのまま残して立ち去るなど悪質だという。

◆ そもそもちゃんとキャンプ場でキャンプをする人たちではないので、マナーが良い悪いという以前の話だ。この手の人たちはキャンパーだけではなく、河川敷でゴルフの練習をする人もそうだし、立ち入り禁止場所で釣りをする人も同じだ。

◆ キャンプ場代わりに使う人がいる一方で、夜中に仮眠を取る人などもいて完全封鎖は難しいという話もある。
夜中に走っていて眠くなることはあるし、路上に駐めるのは(駐車禁止場所ではないとしても)気が引ける。そんな時に道の駅があれば、安心して駐められるのも事実だ。

◆ ようするに周りに迷惑がかからなければ良いのだが、迷惑野郎はそれが迷惑なのかどうかの判断が出来ない。そして迷惑野郎が増えると、アイツがやっているのだから俺もやる的に増殖してしまうのが厄介な所だ。

◆ キャンピングカーで道の駅に乗り付ける人が全部悪いわけではないし、悪い人はほんの一部に過ぎない。しかしイメージとして、キャンピングカーは悪だみたいに見られるのは正統派キャンパーとしても迷惑だろう。

◆ これも第一次大型SUVブームの時に、他人の畑などに車で入り込んであらしてしまうと言うのに似ている。にわかSUV乗りは畑を手軽なオフロードみたいに思ったに違いない。

◆ 何かがブームになれば、その分野の素人が大勢その事をし始めるわけなので常識だとかマナーだとかが通じなくなる。特に日本人は周りの人たちがやっていると自分もやるという、連鎖的行動が大好きと来ている。


木製スマートフォン(12/26)
◆ ドコモが2011年に発売したシャープ製のSH-08Cは筐体にヒノキの圧縮材を使った木製スマートフォンだ。話題性はあったし木目が綺麗ではあったが、沢山売れるようなものではなかった。

◆ スタイル的には左右非対称でデザインされた感じになっていて、もし当時ディスプレイの角を丸くするような事が出来たなら、全体のデザインバランスはより良くなったのかなと思う。

◆ こんなスマートフォンを思い出させるのが BALMUDAPhoneなわけで、SH-08Cに比較すると普通のものに見える。デザインとしてはiPhone3GだとかF-04J(らくらくホン)に近い感じがする。F-04J用のバルミューダ製ケースでも発売すれば、あえてスマートフォン本体を開発しなくても良かったのに。なんていうと怒られそうだけど。

◆ 寺尾氏は発表会の時もiPhoneについて語り、iPhoneがスタンダードになりすぎたと言っている。同社のホームページ内の文章にもiPhoneやジョブズ氏の名前は度々書かれており、ジョブズ氏には最大の敬意を表するとも書かれている。寺尾氏がApple、いやジョブズ氏を崇拝していた様子がうかがえる。

◆ BALMUDA Phoneに落胆の声という記事もあり、株価も急降下した。Twitterなどでもデザインや機能面を指摘する声が多かった。それでも4万円くらいだったら買っても良いという人もいたので、価格設定によってはある程度売れるものなのかも知れない。端を薄くしたためにバッテリー容量が数年前のスマートフォンレベルになってしまったのはマイナスだ。iPhone miniが売れていないことも、小型スマートフォンの否定につながった。

◆ BALMUDAファンはいち早く買ったと思うし、全ての人が否定しているわけではない。ただ現実問題として10万円という価格の他のスマートフォンと比較すれば高額すぎる。BALMUDA Phone発表少し前に話題になったPixel6が約7.5万円、CPUも速いしRAMも8GB/12GB乗っている。

◆ 寺尾氏は使い込むほどに味が出ると言っていて、経年劣化を実感出来るような特殊な塗装を施しているという。シボの部分が擦れてテカテカになっていくのか、それとも色合いが変わるのだろうか。

◆ ドコモの木製スマートフォンは、中古がわずかに流通するそうだが、価格が高いのだとか。LTE非対応なので実用的なものではないのだが、もしかすると今再度売り出したら売れるのかも知れない。

◆ スマートフォンの筐体としてはプラスチックかガラス系なのだが、自動車のパネルの工法を使えば木質感は作り上げられる。
BENZなどは木のような割れる素材は安全上使わず、薄くスライスした木版を樹脂などに接着してパネルを作っている。トヨタの使うプラスチック製の"木"もかなり良く出来ていて、ちょっと見にはホンモノと見分けが付かない。

◆ ただこうした分野は、今はスマートフォンケースが担っていると言っても良い。金属製やカーボン、TPUでもシリコンでも皮革でも、何でも手に入る。そうなるとスマートフォン本体は機能的でシンプルなデザインが好まれるわけだ。


UN-LIMITとpovo(12/25)
◆ UN-LIMITとpovo2.0を契約しているが、安定性という点でpovo2.0の方が信頼出来る。楽天モバイルは何かの拍子にSMSが受からなくなってしまう。最初はスマートフォン側がいけないのかと思ったのだが、そうでもないようなのだ。

◆ 二段階認証のSMSは楽天LINKではなく従来同様のSMSで受信される。スマートフォンはGALAXY A7の楽天モデル、楽天ではiPhoneで非着信が起きやすいとしているが、一方ではAndroidでも起きると言っている。楽天モバイルは2回線契約があるが、いずれもSMSが受からないことがある。もしかすると通話も受かっていないのかも知れないが、これは(着呼側では)判断しにくい。

◆ auも楽天モバイルも同じ基地局の800MHz帯を使う。この山の中には基地局が1つしかないので、それ以外の基地局に接続されることはない。基地局は別荘地内の土地だと思われる山の上に建っている。

◆ UN-LIMITは通話料無料、月間1GBまでのデータ使用料が無料なのでお得感はある。povoもデータは無料なのだが、速度が128kbpsに制限されている。ただ高速通信を使いたい時には、お金さえ払えばすぐに高速通信モードになるので不便はない。

◆ 楽天LINKを使った通話は無料なのだが、通話品質が良くない。10月/11月は結構電話を使う機会があったのだが、全てドコモ契約回線から発信した。遅延などがあってもかまわない(相手が理解してくれる)人宛なら楽天LINKによる通話も使うのだが、それ以外だとちょっと使いにくい。

◆ UN-LIMITはデータ使用量ゼロの月が続かない限り解約にはならないが、povo2.0は有料トッピングをたまに買わないと解約なのだそうだ。従って維持コストとしてはpovo2.0の方が高くなる。今のところpovo2.0のトッピングは1つしか買ったことがない。

◆ ドコモはゼロ円プランはやらないと言っていた。ゼロ円契約では当たり前だが赤字になるわけで、それは経営的に良くないのだそうだ。ソフトバンクも同様に、ネットワークの維持管理コストは全てのユーザにかかっていると言う。

◆ ソフトバンクがこれを言うかみたいな感じで笑ってしまうのだ、だって顧客獲得のために高額キャッシュバックを行っていたではないか。2回線目無料を、半ば無理矢理的に、頼まれもしないのに勝手に複数回線を契約させる事をやっていたではないか。

◆ 無理矢理くっつけた複数回線契約のために、いったん解約が始まると複数回線分が減っていくという酷い状態に陥った。無理矢理無料回線を付けても、それを喜ぶ人がいなかった経験から、無料回線に否定的なのかも知れない。

◆ しかしpovoに契約を取られはじめればソフトバンクにしてもドコモにしても、何かの対策を行うことになる。ahamoに契約を取られ気味だったauが、povo2.0によって巻き返したというのだから、ゼロ円プランの威力は大きい。

◆ ソフトバンクがゼロ円プランをやっても警戒されるだけだが、auがやった所にインパクトがあったわけだ。ゼロ円競争になれば価格勝負ではなくなるので、楽天モバイルにとっては厳しいかも知れない。


指紋認証を望む声(12/24)
◆ 日本のスマートフォンの於いては富士通が早くから指紋認証を採り入れていた。まだまだ指紋認証に馴染みのない時代でもあり、携帯電話をロックすること自体も一般的ではなかった時だった。

◆ しかしスマートフォン時代となると多くの情報がスマートフォンに集約されることになり、セキュリティ確保の重要性が問われるようになる。Androidスマートフォンはパターンロックや多桁数字(文字)列によるロック方式を採るがiPhoneは(iOS9以前)は4桁と少なかった。これによってパスコードの突破が出来てしまうなども話題になった。

◆ やがてAppleは指紋認証を実装することになる。これを機にAndroidスマートフォンも指紋認証が徐々に広まり、やがてはそれが当たり前になってくる。

◆ Appleは指紋認証に代わって顔認証を取り入れる。ToFセンサによって顔写真での認証突破を避ける。これにより誤認識率は1ppmに抑えられたとした。しかし現在はマスク着用時の認証可能化により、誤認識率が高まったと言われる。

◆ 指紋認証はAppleの発表では、誤認識率が10ppmと高く、セキュリティ面に問題があるとされた。しかしPC用のUSBインタフェース型指紋センサは、誤認識率1ppmを謳っている。スマートフォンの場合は指紋の一部のみで判断するために、どうしても誤認率が上がる傾向にある。

◆ Pixel6は画面に指紋センサを付けている。これは外部にスイッチやセンサが不要なので便利なのだが、画面から指紋が採取出来るとか認証感度の問題が起きやすい。Pixel6でも指紋認証が遅いとか感度が悪い、非認識率が高いと言われる。

◆ 画面埋め込み型指紋センサにはいくつかの方式がある。画像センサで指紋を見る方式、タッチパネルの検出ピッチを非常に細かくしたようなもの、超音波方式などだ。指紋センサは(方式によっては)指紋の写真で突破出来る。また偽の指紋でも突破が出来る。

◆ Appleはセキュリティレベルが下がるから指紋センサは使わないと言っていたかな。その一方でセキュリティレベルよりも利便性を優先して欲しいという声は多い。毎年のように熱望されるのが、指紋センサの復活とUSB-Cの採用だ。

◆ 特にコロナ禍におけるマスク利用率の増大は、顔認証の利便性を損なう結果になった。これに対してAppleはマスクから鼻を出せば認証が可能になる変更を行った。

◆ Androidスマートフォンに顔認証機能実装モデルが少ないのは、Appleが採用しているのと同様な顔認証システムはコスト的にもスペース的にも実装しにくいこと、顔認証自体にアドバンテージがあるとは考えにくい事などからだ。

◆ 度々話題にしているJPは独自に顔認証を行うが、単に顔がそこにあれば良いので写真で突破出来る。むしろ登録時と同じ顔の写真があれば、それをスマートフォンに見せた方が、認識率が高くなる。顔を映すことが生体認証だと思っている時点でアレなのだが、所詮JPのやることはこの程度である。

◆ Apple自体もやめてしまったが、タッチ圧の検出機能を実装している時代があった。これもAndroid勢は真似をしなかった。優れた方式(技術的にもそうだしマーケット的にも)ならば多くのスマートフォンに広まるはずだ。


BALMUDA Phone(12/23)
◆ BALUMUDA Phoneは、寺尾氏自らニッチな市場を狙うと言った訳だが、競争の激しいこの世界に於いて生き続けるのは容易なことではない。Xperia Proなども言わばニッチな市場に向けた商品だと言えるし、PRO以外の高価格モデルに関しても、SONYは万人受けるする商品だとは言っていない。

◆ その理由の一つに価格がある。それは他の製品などにも見られる、松竹梅の商売にも共通するものがある。ハイエンド高価格商品はブランドイメージを高める効果がある。機能や性能或いはデザインは素晴らしいが、おいそれとは買えない価格だなと。ならば仕方がないからワンランク下のモデルで我慢しようとなる。

◆ BALUMIUD Phoneはバルミューダの知名度を上げるための話題作りだった、それ以上のものではないとまで言われる。デザイン優先と言いながらも機能部品の配置上の制約で背面の穴が中央に来なかったとか、狭い画面の中にインカメラを配置せざるを得なかった、指紋センサ(兼電源ボタン)と間違えてカメラを触りやすいなど、詰めの甘さが目立つ。

◆ 通常のスマートフォンとカメラの位置を逆にしてのは、左利きの人用に考えたものなのか、それともパーツレイアウト上の問題なのか。と思ったら、左手操作専用設計なのだそうだ。なお電源ボタンは指紋センサと共用だが、電源ONと動じに指紋認証は出来ず、一度指を離して再度指紋認証する必要がある。

◆ iPhone(3G)を意識したのか前面にはLEDがなく、不在着信などのインフォメーションを得るには画面を下にして置くしかない。しかしひっくり返しに置くと、その形状故に持ち上げにくくなる。使用感レポートが増えてくるに従って、実使用上の不便さも語られる。

◆ 小型故にバッテリー容量も少し前のiPhone並であり、5Gエリアに於いては急速にバッテリーが減っていくという。これに対してバルミューダは、常にスマートフォンを触っているような生活からの決別を示したいとも言っているそうだ。

◆ 自慢の独自アプリケーションに関しても、片手で持てるスマートフォンなのに片手での操作が難しいUIだとか、力を入れたという食べ物モードのカメラ機能も、ホワイトバランスがおかしな方向に行ってしまうバグがあった(その後改善された模様)。

◆ BALMUDA Phoneをスマートフォンとしての性能を見れば、3〜4万円台のミッドレンジで、1年後には新品未使用品が2万円でイオシスに並ぶとまで言われた。SoCにしてもメモリ搭載量やカメラなどにも特筆すべき点はない。従ってそれに10万円を払う人は限られ、BALUMUDAデザインに付加価値を感じる人だけが買う商品になるはずだ。

◆ バルミューダではスマートフォン販売による売上高を27億円程度と見込んでいるそうだが、それには数万台を売らなければならない。ソフトバンクモデルがあるので全てを自社販売する必要は無いが、ソフトバンクでは売る気のない価格を設定した。ソフトバンクにしても、十分な利益がなければ賭には出ない。

◆ BALUMUDA Phoneが成功すれば次期モデルも出てくるだろうし、失敗すれば一代限りとなる。サポートやOSバージョンアップなど、売りきりとは言いにくいスマートフォン市場で生き続けるのは大変だ。


新しい塗装法(12/22)
◆ 自動車にとって塗装は重要だ。見栄えは勿論のこと耐久性なども重視される。従来から輸入車の塗装は綺麗だと言われていた。細部の仕上げなどは雑な部分が見られる(メーカによる)のも事実なのだが、塗膜としての品質などは評価が高い。

◆ ただし環境問題が重視されはじめた頃、特に欧州車は水性塗料への転換を行ったために品質が悪化した。メッキに関しても同様で、綺麗で耐久性のあるメッキが事実上使えなくなった。しかしそれも今では改善され、油性塗料並みの品質になってきている。

◆ 日本車の塗装が弱いと言われた頃、メーカはコストの問題を挙げた。塗料は比較的高額なものであり、品質よりも価格重視の傾向があったという。ただしそれも時代と共に、主に塗装技術などで改善されてくる。

◆ 日産は開発に6年をかけたという、新たな塗装方法を使う。通常は下塗りに電着塗装を施し、その後スプレーで上塗りを重ねる。電着塗装は電気泳動を使ったもので、塗料をメッキするみたいな感じだ。
従って基本的には導電性のある金属などが対象になり、金属面と塗料で化学反応が起き塗装が行われるそうだ。従って塗膜が厚くなると(塗料が乗ると導電率が下がるので)付着が止まり、膜厚は100μm前後になるという。

◆ 電着塗装は自動車のボディごと塗装槽に沈めてしまうので、溶接の隙間などにも塗料が入り込み、耐久性が向上する。塗装槽に沈めない場合は表面だけの塗装になる。日産は電着塗装を廃して、金属部分と樹脂部分をまとめてスプレーで塗装する技術を開発した。

◆ 電着塗装に代わるものとして、日産は静電粉体塗装を採用した。静電粉体塗装は電着塗装を空気中で行うようなものなのだが、金属面と塗料面の結合のメカニズムは異なるそうだ。粉体塗装が終わると樹脂パーツと組み合わされて一体塗装が行われる。

◆ 従来は金属部分の塗料は160℃程度で焼き付け乾燥を行い、樹脂部分は85℃程度で処理を行っていたそうだ。だが低い温度で硬化乾燥が可能な塗料を開発することによって、金属部分と樹脂部分を一体でスプレー塗装が出来るようになった。

◆ 低温での効果を促進するために、塗料には硬化剤を混ぜているそうだ。樹脂部分と金属部分の一体塗装によって、金属部分も樹脂部分も殆ど同じ色に仕上げることが出来るという。工程を別にした場合は、色合わせに苦労するのだそうだ。

◆ 塗装をしてから組み立てる場合よりも、組み立ててから塗装を行った方が工程が簡単になる。組み立てや輸送時の傷などの心配も軽減される。ただし従来樹脂塗装はベースコートとクリアコートの2層が主流だったが、これは金属部分同様に3層塗装(金属部分は粉体塗装を含めると4層塗装)になる。この分のコストは嵩むのだろうが、品質は向上する。

◆ マツダは従来の5層塗装を4層としながら質感を高めている。また下塗りから上塗りまでを連続して行う(途中の乾燥工程を不要とする)技術を開発している。これは下塗りと上塗りの塗料同士が混ざらないような技術の開発によるものだそうだ。

◆ マツダの赤色が綺麗だという話を書いたことがあるが、元々はコンセプトカー用の13層の塗装から始まったそうだ。勿論市販車に13層塗装などは使えず、塗料そのものや塗装法などの研究で、市販車に使えるレベルにしていったという。


NHK問題(12/21)
◆ 参院予算委員会で、自民党の小野田紀美議員がNHKにスクランブル化を求めた。TV受像機保有率が減少したから今度はIP放送に課金するのは乱暴、世界中の人から金を取るつもりなのかと言った。高市議員もNHKには苦言を呈していて、今後こうした声が増えてくれば何かが変わるかも知れない。

◆ Twitterなどでは受信料を払わなくて良いのならTVを買うみたいなコメントが書かれたほか、民営化(民放化)が望ましいとか、第二NHKを作って競争を起こさせるべきだなどとも書かれていた。

◆ NHKの受信料は2,220円かな。多くの人は衛星放送料金を取られていると思われ、これは衛星放送付チューナ付きのTVが殆どだからだ。放送法ではTV受像機に関しては書かれているが、アンテナについては規定されていない。

◆ ただし受信設備との規定があり、アンテナは受信設備なのだからアンテナがない場合は受信設備そのものがないと判断されるという論もある。NHK的には受信設備はアンテナに非ずという事で攻める。CATVなどを使えばアンテナは要らないでしょうと。(スマートフォンはアンテナ(イヤフォン)を接続しないとワンセグは映らないものが多い)
◆ 2,220円はYモバイルの月額料金よりも高い。楽天モバイルなら20Gバイトまで使える。UQなら3Gバイトまでが990円なのだ。放送と通信を一緒にする事は出来ないが、家計支出に占める携帯電話料金が云々と言うのだから、受信料に関しても言及してほしいものである。

◆ 総務省(有識者会議)の資料ではTV放送そのものの維持が困難ではないかとの見解が示された。民放に関しては広告料収入の減少により放送システム全体の維持が難しくなる。資料の中で60代、70代の人は死ぬまでTVを見続けるが、30代、40代の人はそもそもTVを見ない層であると位置づける。

◆ これによってNHKの放送料収入は減少し、NHKの維持も困難になるとする。その一方で公共放送自体の維持は必要としており、ニュースなど一部の番組に限っては義務的受信料(全世帯課金の事)を、受信料金を大幅に減額した上で徴収し、それ以外の放送は選択的受信料(ペイパービューの事)で維持する提案だ。

◆ 携帯電話などに課金されるユニバーサルサービス料の総収入は年額約76億円、政党助成金は年額1人あたり250円で、総額は約300億円になる。政党助成金額は国際的に見ても高額であり、年額250円でも問題視する人がいる。また電話リレーサービス負担金として、電話利用者は月額1円を払っている。

◆ では全世帯課金時にいくら必要なのか。WOWOWが年間400億円程度、スカパーが1.4千億円程度の売上だ。これに対してNHKは年間6.7千億円もの受信料収入を得ている。義務的受信料で義務的放送を行えば、おそらく1千億円以下で維持管理が出来るだろう。そう考えれば月額は70円くらいとなり、反発も減るのではないか。

◆ ただし受益者負担ではなくなるので、これは税金と同じ扱いだ。独自に税金を取る自治体があるが、これと同じようなNHK税として見た方が良くなる。こうした事を踏まえてか総務省の資料でも、義務的放送部門とそれ以外に(NHK自体を)分離・分割するとの意見が出された。


調整箇所(12/20)
◆ 以前に半固定抵抗器が不良になった時のことを考慮して設計すべきかみたいなことを書いた。そもそも部品の不良を考慮するのならば、不良になりにくい部品を使った方が良いのではないかとも思った。

◆ ただ私は純粋な民生用機器の設計経験は余り多くはなく、調整しなければならない機器の設計も余り手がけていない。無線機にしても何にしても、設計が決まると調整箇所なしに全てが決まってしまう。

◆ ディスクリートで回路を組むにしても、半固定抵抗器やトリマコンデンサなどを使う機会は減った。モデル化などの都合で、試作段階では半固定抵抗やトリマを使ったとしても、製品化の時には固定抵抗や固定コンデンサに置き換える。

◆ これも部品のばらつきが少なくなった事や、シミュレーションモデルが正確になったことのお陰だ。高周波のパワーアンプなど、昔はいくつものトリマを調整して特性を追い込むみたいな事があった。

◆ こちらのトリマを回すとあちらの整合が狂い、あちらをいじると再びこちらが狂う。出力側の整合をいじると入力側も狂うし、その逆も起こる。なのでモデル化出来ていないトランジスタなどを使う時には、オートマチックチューナなどで最適点を見つけさせることもある。

◆ このトリマをこちらに回すとインピーダンスがこうなるはずだから、あっちのトリマは容量を増やす方向に、みたいな、スミスチャートを頭の中で描きながら、みたいな。

◆ まあ何度も調整していると感と経験値が上がり、交互に調整していたトリマを、最初に余計に回しておくことで総調整回数を減らしたりするようになる。トリマで調整するのは1GHz以下で、それ以上ではトリマがコンデンサだけではなくコイルにも見えて来るので使いにくくなる。

◆ 半固定抵抗も使わなくなった。これも回路が決まれば定数が決まってしまうからで、あえて調整しなければならない箇所が存在しない。調整ではなく使用上可変しなければならない部分は、今は殆どがディジタル処理になった。

◆ アマチュア無線用のパワーアンプなどは、周波数範囲が広いと調整を要するものがある。運用する周波数でベストに調整するみたいな感じだ。これはおそらく、マッチング回路のQが高い為に周波数範囲が狭くなるからだ。

◆ 何故Qが高くなるかというと、マッチング回路1段あたりのインピーダンス整合比が高いからだ。トランジスタのコレクタ側のインピーダンスが数Ωで、これを50Ωにあげなければいけない。帯域幅を広く取るのならば、2段とか3段の整合回路を使えば良い。ただコイルはロスが大きいので、そのコイルを何個も入れることは効率の低下を招く。

◆ 短波帯などではトランスによる整合回路もあって、この場合は共振しているわけではないので広帯域になる。広帯域でしかもインピーダンス返還比を高く取れるので、トランジスタ式の広帯域アンプなどによく使われる。

◆ ただ虚数分が多く見えてくる周波数帯だと、その値をマッチングさせなければいけないので少し使いにくい。簡単な回路構成で大電力を通せるという点では優れている。


鉄道模型(12/19)
◆ 鉄道模型と一言で表して良いのかどうかと思うような、レイアウトというか規模のものを作っている方も多い。鉄道そのものだけではなく景色を作るわけで、山並みがあったり町があったり、背景はプロジェクタで投影したり大型のモニタが置かれたりする。

◆ 鉄道自体も進化していて、線路の電圧を変えて速度を可変した頃とは違い、各電車にはディジタルモジュールが搭載されている。速度などはコントローラからディジタル信号により制御し、小型スピーカから走行音を出すことも出来る。

◆ これによって同じ線路に複数の車両を走らせることも出来るし、ポイントの切り替えなどによって別の区間に入る場合の制御も楽になる。モータ自体もブラシレス化が進み、走行音の低減や微速領域の自然さなどが追求される。

◆ レイアウトを組むために専用の部屋を用意するなんてのは初歩だそうで、広い場所が欲しくなって店舗用や商業ビルの一室を借りる人、古家を買って移り住み、部屋をつなげて大きなレイアウトを作る人もいるそうだ。

◆ どこかのホームページで見たのだが、古屋を改築して鉄道用のレイアウトを作っている方で、車両を整備したりする部屋と、メインのレイアウトのある部屋が分かれていた。しかし線路はつながっていて、電車をレールから外すことなくその部屋に移動させることが出来る。

◆ レイアウトの下は車両基地になっていて、メインのレイアウトまで緩やかな勾配で接続されている。メインのレイアウトも凄いが車両基地の線路の数が又凄い。車両基地はメインのレイアウトの下なので、夜が表現されている。

◆ ライトを点灯していくつかの車両が動き出す様子が動画で上がっていたのだが、これは凄いと思わせるような動きの自然さや雰囲気だった。車両から撮った動画もあったが、超小型の無線カメラでも仕込んであるのかな。撮影時だけ撮影用の車両を使うのかも知れないけど。

◆ 趣味の世界は無限なのだが、鉄道模型とレイアウトというのは凄いなと思う。鉄道車両自体も既製品そのままというわけではなく、窓にカーテンを付けたりと細かな部分が再現される。山などは発泡スチロールだとかウレタン樹脂で作られているようで、いわゆるジオラマ作品のような精密さがある。

◆ 町や駅や鉄橋など、相当細かい所まで再現されているのも凄い。それが完成して列車を走らせ、動画や静止画を撮り、そうすると又別のレイアウトに組み替えるというのだから、これも凄い。

◆ レールと車体間の接触抵抗などによって列車のライトがチカチカしたり、ディジタル制御ユニットからの音が途切れたりする事もあるそうだ。そこで電車にボタン電池を積むとか、線路を半田付けしてロングレール化するとか、色々苦労もあるらしい。

◆ 線路というと台座部分に枕木形状のものがあり金属のレールが乗っていて、両側にジョイントが付いているものを思い浮かべる。しかしレイアウトにまず枕木を設置してそこにレール(1本)を乗せ、枕木に専用のピンで留めていくというものもあるそうだ。


石炭火力発電所(12/18)
◆ 炭酸ガス排出量低減のためには石炭を燃やすべきではないという。確かに石炭は炭素が主成分なのだから、燃やせば二酸化炭素が出来る。しかし出力調節の容易な発電所として火力発電所は廃止が出来ない。

◆ 将来大出力の電子制御装置が実用化されれば、発電機の出力はいったん直流に変換されてバッテリーなり負荷装置なりで定電圧化され、それを交流に変換して送電すれば良い。しかし現状では商用電源の周波数を直接発生させる発電機を回している。

◆ 従って負荷が増大すると発電機の回転数が低下し、周波数が下がる。ある程度まで周波数が下がると、過負荷状態を検出して負荷を切り離す。大電力を使う工場などが停止したり操業を開始する際に(今はどうか分からないが)電力会社に通知をしたという。急激に負荷が上がると発電設備が大変なのだ。

◆ 日本は火力発電所の効率化にかけてはかなり進んだ技術を持っている。最新の発電所のエネルギ変換効率は48%だそうだ。ただし燃料の下処理などが必要なので、そうした付帯エネルギも含めればもう少し効率が下がる。

◆ こうした高効率発電所と、単に石炭を燃やして湯を沸かすみたいな設備を同列に比較することは出来ないのだが、現状では石炭が悪いとしか見られていない。世界の事情を見ると、平均的には効率が35%位である。

◆ ただLNG発電となると、その効率は一気に63%にまで上がる。LNGは水素分が多いので石炭を燃やすよりも炭酸ガス排出量は少ないが、たぶん熱量も少ないと思う。LNGは輸入に頼っていること、石炭に比較すると貯蔵性が良くないことなどもある。しかし熱効率や排出ガス、輸送の容易性などを見れば今後はLNGが主体となるのだろう。

◆ 水力発電は出力変更は不可能ではないが、出力を可変にする場合には電子的に(インバータを介して)行っているようだ。大出力のインバータが出来れば原発なども出力制御が可能になるわけで、メガソーラーなどでは100MW位のインバータ(複数台の並列運転)を使っているのだから不可能ではない。

◆ 余った電力をどうするかは問題で、余り具合によってEVへのチャージ価格を変えるなどすると需要のバランスが取れるかも知れない。夏場は午前中と夕方の電料が安いよね、みたいな感じで。
チャージスタンドに設定があって、電力料金がいくら以下になったら充電を開始します、みたいな。

◆ 電力不足解消のためのデマンドコントロールを行っていた地域もあるが、エネルギの効率的な利用を考えるのであれば、利用者側もそれに対応していく必要がある。家庭用の蓄電設備が安価になれば話は早いのだが、現状ではEV用のバッテリーより高額だ。

◆ 家庭用据え付け型の場合は温度管理なども楽になるので、普及が進めばコストは下がると思う。蓄電設備があればピークカットが出来るし、電量が余ったらそれで充電が出来る。

◆ 発電所や変電所に大容量のバッテリーを置くよりは、各家庭に分散して置いた方が効率的だ。最近ではバッテリーによるバッファを備えたソーラ発電所もある。電力会社から出力調整の要請を受けた場合に、売電電力が余るのでバッテリーにチャージする。それを夜間などに放出して売電料を稼ぐ。


老眼と近眼(12/17)
◆ 私は自動車運転免許を取って少ししてから眼鏡使用になり、それが数年前まで続いていた。しかし老眼化によって近視傾向が緩和されるのか?今は何とかギリギリで眼鏡使用を免れている。

◆ 老眼は遠くがよく見えるようになるのではなく、焦点距離調整機能が衰えるのだから、老眼によって視力が良くなるとも考えにくい。視力がよくなるというのは語弊があるけど。

◆ しかし実際にはギリギリ何とか見えているので、世間で言う所の視力が良くなったことに間違いはない。では実際によく見えるかというとこれは何とも言えない。老眼化によって最短合焦距離が長くなり、これによる不便の方が大きい。

◆ 何年か前に老眼化を感じ診て貰った時には、近眼の人は近くが見えにくくなることで老眼を感じやすいと言われた。しかし今はそう言う話ではなく、フォーカシング機能がおおいに衰えている。

◆ 近視傾向もあるので遠くはよく見えると言うことでもなく、見える範囲が限られているとでも言えば良いだろうか。固定焦点カメラのフォーカスが、無限遠ではなく中途半端な所で固定されているようなものだ。

◆ 老眼鏡という虫眼鏡があるのだが、そもそもフォーカシング機能が衰えているのだから老眼鏡は余り便利なものとは感じられない。オートフォーカスの老眼鏡でもあれば良いのだが、そうでない場合は近くは見えても遠くが見えなくなる。

◆ なので世の中には遠近両用メガネなるものが存在しているのだと思うが、私はそれを使ったことはない。遠くがまるで見えなくなるような虫眼鏡を使えば小さな字でも見ることが出来るが、当然近くにしかピントは合わない。

◆ やはりここはオートフォーカスが必要だ。オートフォーカスコンタクトレンズが最高だが、これが出来るまでには、まだ時間がかかるだろう。オートフォーカスメガネは10万円から40万円程度で販売されている。ただしオートフォーカスと言うよりも焦点距離の電気式切り替えと言った方が良いかもしれない。

◆ 需要が高まれば価格は劇的に下がってくるはずなのだが、駆動回路やバッテリーなどの問題もあって少々大型である。低消費電力化が可能になればバッテリーは小さくなり、TOFセンサなどの搭載でオートフォーカス化が実現する。小型カメラで眼球の動きを追跡すれば、更にフォーカス位置が明確になる。

◆ 問題は価格とマーケットの関係で、ここは中国市場が動き出さないとダメかも知れない。老人用の老眼対応と言うことではなく、子供の近視防止を謳えば売れるのではないか。近くのものばかり見ていると近視になると言われるが、この時に近くを見やすいように凸レンズを使用する。すると目のピント調整機能にかかる負荷が減少するので、近視化が防げるのではないか。

◆ 年寄りにカネは出さないが子供の目は守りたいと思う人は多いはずで、こうした部分で需要を掘り起こすことがオートフォーカスメガネの市場拡大に役立つはずだ。


日本の携帯電話料金は世界一安いのか(12/16)
◆ 決算の時にソフトバンクの宮川氏は、総務省は世界2位の安さだと言ったが通信品質などを考えれば世界一安いと思うと語った。確かにエリアカバレッジなどを見ると日本は優秀だとは思うのだが、それは平地の少ない国土や人口の集中など、日本という国の事情も鑑みた場合である。

◆ 一方で通信速度となると、世界の情勢は異なってきている。3Gの頃までは日本は優勢だった。しかしその後日本が足踏み状態の間に、世界の通信事情は大きく進化した。米国などでは1Gbps以下の通信速度では5Gと呼べないなどとも言われる時代なのだ。

◆ 料金低廉化で赤字が出ているとすれば、設備投資のペースが落ちるのかも知れない。しかし現状では楽天モバイルを除いては大きな黒字を計上している。
ソフトバンクは、これが5年10年と続くと中長期的には通信インフラ整備の在り方を見直す必要があるかもしれないとも語る。いや、ソフトバンク自身大きな利益を上げていてもドコモやauに追いついていないし。

◆ 結局の所料金低廉化の為にネットワーク投資が減ったんだよと理由づけたいのではないかと思う。料金値下げ反対派の石川氏も「このままでは6G時代も日本は世界に大きく出遅れることだろう。この危機感をなぜ総務省は理解できないのだろうか。」と語る。

◆ では料金低廉化が行われる前に日本の5Gは世界に先駆けていただろうか。答えは否である。ようするにカネがあろうとなかろうと、現状に於いて事業者にヤル気が無いのだから何も進まない。
それを見かねた国が、カネを出すからもっと整備しろと言い始めたくらいである。

◆ 大局的に見れば一つのサービスの価格を下げる云々ではなく、諸外国並みのGDP成長率が得られれば何の問題もないのだ。
石川氏は「宮川社長の指摘の通り、アメリカや韓国といった通信業界で強い国は、世界でも高めの料金プランを維持している。」とも書いているのだが、アメリカや韓国並みの経済成長率のない日本で、同じように移動体通信業界を成長させることは不可能なのだ。これは財務省の資料だが、この23ページにあるグラフを見ればすぐに分かる。

◆ これが大赤字の楽天モバイルの如くであれば話は別になるのだが、では大赤字の楽天モバイルが設備投資を凍結しているかと言えばそうではない。何故ならそこには競争があるからだ。料金低廉化が続いたので設備投資をやめますよとソフトバンクが言い出した所で、ドコモやKDDIの設備投資額が落ちなければ、ソフトバンクが更にシェアを落とすだけのことである。

◆ ドコモはゼロ円競争には参戦しないと言ったわけで、この点では明らかに料金が高い。
月間3GBのデータ使用量でpovoやLINEMOは990円だが、ドコモは4,565円である。ではソフトバンクやKDDIよりドコモの5Gエリアが圧倒的に広いかと言えばそんなことはない。

◆ ソフトバンクは5G基地局に於ける電力消費量にも触れている。これはリニア新幹線と同じような議論になってしまうのだが、電力利用効率の悪いものが本当に必要なのか、エネルギコストはどこから出るのかという話である。


ムツゴロウさん(12/15)
◆ ムツゴロウさんこと畑正憲氏が脚光を浴びたのはフジテレビのムツゴロウとゆかいな仲間たちでだ。視聴率が30%を超えるなど、人気番組となった。

◆ ムツゴロウ氏は1972年頃から北海道で動物を集め暮らしていたという。動物王国とは言っていたものの、一般公開はしていなかった。それが、ムツゴロウとゆかいな仲間たちで有名になった事から、中山晴男氏に声をかけられる事になる。

◆ ムツゴロウ氏はスタッフが賛成するのならばと言う事で、中山晴男氏らの計画に乗り、関東進出となる。この頃TV番組は放送開始から20年を過ぎようとしていた。ムツゴロウ氏曰く、体力の限界を感じる事も度々だったという。

◆ 番組などで海外に行きワニに食いつかれたり、ライオンに指を食われるなどもした。TV番組の常で、よりエキサイティング演出が欲しくなり、奥地へ奥地へと進む中では、強盗団に襲われるなどもしたという。

◆ 番組は放送開始から21年で終了する事になり、動物王国はいくつか場所を変えながら運営していた。しかしいずれもうまくは行かなかった。千葉県流山市への進出では採算性や付近からの反対の声などもあり頓挫、その後東京サマーランドの一施設として2004年に開園した。

◆ TV番組が継続していれば人気が出たのかも知れないし、もしかすると収益はあったのかも知れないが、スタッフへの給与未払いが発覚する。この事件により社長の中山晴男氏は逮捕されている。株式会社グローカル21は動物王国の閉園のプレスリリースを出す。開園からわずか2年だった。

◆ 動物王国の閉園により、動物たちの多くはスタッフに引き取られていったそうだ。痩せ細った馬を見たムツゴロウ氏は涙を流した。ムツゴロウ氏は馬を自分で引き取り、北海道に運び、元気な状態に戻したと当時の様子が語られている。

◆ 動物王国はムツゴロウ氏個人に押しつけられる格好となった。ムツゴロウ氏はグローカル21の役員となっていた。
ムツゴロウ氏は経営への介入を断ったそうだが、中山氏に押しきられたという。結局動物やスタッフ、更には未払い給料など3億円の借金を背負う事になった。

◆ しかし借金はこの時が初めてではないそうだ。ギャンブル好きだったムツゴロウ氏は、競馬で負け、マージャンで負けて借金を作った時代があったという。動物王国時代は収入も多かったわけだが、その収入の多くが競馬に消えたとも言われるが、マージャンに関しては日本プロ麻雀連盟の最高顧問の肩書きを持っている。

◆ たしかTV番組でも競馬について語っていて、馬を見ればそのレースで勝てるかどうかが分かるとか何とか。勝率は良かったようで、数十万円を握って競馬場に出かけ、数百万円を持って帰ると言う事も一度や二度ではなかったという。

◆ 今は北海道で静かに暮らしているそうだ。借金の返済も終わりYoutubeチャネルをもって活動している。動物は犬と猫が1匹だそうだ。ムツゴロウ氏死亡説が流れたのは心臓病で病院に運ばれた事があったからではないか。ドクターヘリで搬送されたそうだ。


自動車とセキュリティ(12/14)
◆ 日本車は盗みやすいという。スマートキーの電波中継器の使用や、CANに機器を割り込ませる事でエンジンを始動させる。比較的治安の良い日本に於いて、車両盗難問題への対策が軽視されている傾向がある。

◆ イモビライザが搭載されはじめた頃、トヨタもいち早くこれに対応したものの電線を1本切るだけで無効化出来る状態だった。過去のホンダエアバッグ問題同様に、○○を装備しましたと謳うためだけの装備と言えた。

◆ 時代と共にそのような事も少なくなるわけだが、セキュリティに対する根本的な考え方が諸外国と日本では異なっている。コンビニなどに出かけ、エンジンをかけっぱなしで買い物をする人が多い日本に於いて、セキュリティとは何なのかという、文化の影響かも知れない。

◆ BENZも今は変わっているかも知れないが、キーを使わずにドアを開けてしまうとロックがかかってしまい解除するには一定の操作が必要になるなどがあった。セキュリティアラームにもバッテリーが内蔵されていて、バッテリーを外した途端にアラームが鳴り響く。

◆ 他にもエンジン始動のロックがかかった状態の解除には本人確認が必要な、特別なコードが必要な車があったりもする。ただ車ごと積載車に積んで持っていく抑止にはならず、プロの窃盗団ともなればほんの数分で車を持って行ってしまう。

◆ 都内などではいかにもディーラの人間風な出で立ちの窃盗団が、それっぽい積載車に車を乗せて運んでいってしまうという。こうなると近くに人がいたとしても、何も不審に思わない。アラームが鳴ったとしても気にしない人の方が多いだろう。

◆ 何をやっても無駄だから適当で良いという話でもない。PCなどのセキュリティ対策同様で、突破に時間やカネのかかる方法を採ればそれ自体がセキュリティレベルを上げる。家のドアに付けるダミーのキーホールが売られているが、あれと同じだ。ドロボーがその家を見て複数の鍵穴が見えれば敬遠するみたいなものだ。

◆ アフターマーケットパーツとしてリレーアタック防止装置だとか、イモビカッター検出装置などがある。リレーアタック防止装置はリレーアタック防止装置を制御する鍵を持ち歩くとか、結構不格好だったりする。その他スマートキーに自動解錠をDisableにするスイッチが付いたものなどもある。

◆ それらでも防ぎにくいのがコードグラバーで、ようするに正規の鍵と同じコードを送受信する鍵を複製してしまう。スマートキーと自動車が無線通信している以上傍受が可能で、それによってキーコードを複製する。

◆ これなど無線区間をCDMAにするとか、双方向通信にして高度な暗号化を施せば済む話である。盗難被害が増えてくれば欧米の自動車メーカは対策を講じるだろう。

◆ 自分一人或いは数人でしか運転しない車であれば免許証による認証も可能だ。免許を近づけなければいけないという手間はあるが、盗難防止や無免許運転防止になる。他にもスマートフォン認証(一部のカーシェアサービス、レンタルサイクルでは行われている)だとか、指紋認証(自動車は指紋だらけなのでセキュリティレベルは低い)なども有効だろう。


中古車買い取り業者(12/13)
◆ 中古車買い取り業者と言えばガリバーが有名?だったが、評判悪化で縮小傾向だとか。ガリバーに査定を申し込むと電話攻勢に遭う。そのしつこさは相当なもので、他の店に売ってしまったよと言っても諦めない?という、何が何だか分からないような事になる。

◆ ガリバーに代わってシェアを伸ばしているのがビックモーターだ。ここも一括査定申し込みなどを行うと、ガリバー同様に自動応答で電話をいかけてくる仕組みだ。しつこいが、自分たちの欲しい車でないと分かると出張査定にも来ないという徹底ぶりだ。

◆ 車を売る分にはリスクは少ないが、買う場合のトラブルは良く聞く。車両価格自体は安いのだが、納車費用を高く取る。その多くは整備費などになるのだが、実際には殆ど整備が行われていない事もあるそうで、これでモメたみたいな記事があった。

◆ その方はどうしても欲しかったという古めの車を見つけて購入、整備はディーラに外注すると言う事で数十万円が必要だと言われたそうだ。しかし気に入った車に中々出会えないモデルのためもあり、整備は必要だからと思い納得した。しかし実際に車を受け取ってみると、整備されたとは思えないようなトラブルに見舞われる。

◆ 購入者は整備を担当したというディーラを訪れ、どういう事かと問いただす。ディーラは整備記録を見せ、こちらはこの位の整備が必要ですと言ったけれど、販売店さんにはオイル交換だけで良いと言われたとの事が発覚する。

◆ 結局ビック側と交渉し、ディーラ側とも話を付けて整備をして貰う事になったそうだが、ビック側の担当者は終始文句を言っていたのだとか。ビック側にしてみれば余計な出費(正しい出費なんだけど)が嵩んだと言う事なのだろう。

◆ 私がCLSを査定に持っていった時も、買い取り価格を最後まで言わなかった。営業?査定員?はいくらなら売りますかを繰り返すばかりで、全く話にならなかった。

◆ 査定にも何もなっていない、単なる時間の無駄だった。いや、グラブボックスを壊されたのでそれ以上の無駄だが、壊されている事に気づいたのは少し時間が経ってからだった。(グラブボックスなど余り開けないから)。おそらくロック解除の方法が分からず、無理矢理開けたのだろう。トランクリッドの締め方すら分かっていなかったので、輸入車になど接した事のない人間だったのだと思う。

◆ 今は評判などもネットで調べる事が出来るので、出来るだけ信頼性の高い業者から車を買った方が良い。安く買うなら個人売買か、あるいはビックなどでも良いかもしれないが、整備は自分でやる前提でないと幻滅する事になる。

◆ なおビックでは、契約後から納車までの間の車両の所有権は購買者と言う事になっていて、その間に盗難に遭ってもビックは保証してくれない。滅多にある事では無いとは言え、整備期間中に傷を付けたなどでのトラブルもあるそうで、この場合もビックは保証しないという。

◆ 店舗や担当者によっても異なるらしいので、全てが悪いと言う事ではないだろうし、他の店より少し高値で取って貰えたという話も聞く。


リニア新幹線問題(12/12)
◆ 静岡県を通過するほんのわずかな区間の工事が出来ない状態になって何年になるのか。トンネルを掘れば地下水はトンネルに出て流れてしまい、大井川の水量が減少する。しかしこれを阻止する有効な方法がない。

◆ 選挙の時には自民党議員も中央リニアのルート変更を口にしていたのだが、それは当選するまでの話だったりして。いずれにしても何らかの方法で水の確保を行わないと、工事はおろか話すら進まない。

◆ 工事以外に電力の問題がある。リニア鉄道は航空機よりもエネルギ効率が良いとJRは言うが、現行の新幹線より悪い。JR東海は現行新幹線の4倍程度のエネルギ消費量だとするのだが、計算の基準が明確になっていない。

◆ 一方で4倍どころではなく40倍ではないのかの声もあり、これに対してJR東海はピーク電力で考えても意味が無いと反論した。JR東海によれば、ピーク電力は大きいが旅客時間が短いので乗員あたりのエネルギは少なくて済むという。

◆ いずれにしても原発1基分の電力を必要とするのだから凄い。100万kWの電力だと一般家庭の20万世帯分くらいか。航空機で東京から大阪まで行くと、ケロシンは7キロリットルくらい使うそうだ。100万kWhは約860Gkalで、灯油7klの発熱量は約61GKalなので1桁以上違うけど。

◆ 日本全国の一般家庭の平均灯油使用量は年間172リットルだそうなので、40軒分くらいだ。一般家庭の年間電力消費量平均は4322kWhとあるのでリニアの食う電力は231軒分(いずれも環境省のデータ)になる。

◆ こう考えると航空機が得なのかリニアが得なのかよく分からない。JR東海はリニアに有利な計算をするだろうし、それは原発推進派が原発に有利な計算をするのと同じだ。炭酸ガス排出量にしても建設時や原料生産時のものを抜くとか、管理コスト(金額だけではない)や住民対応コストを抜くなどしている。

◆ 欧州では高速鉄道はエネルギ効率が悪いから乗らないという人たちが増えている。日本の場合は環境意識が余り高いとは言えないし、レジ袋を有料化して喜んでいる程度なのでレベルが低い。もっとも環境負荷が云々と言い出すとリニアは実現出来なくなり、利権団体がおおいに困る事になる。

◆ 話はエネルギ効率とは全く違うのだが、電車の運行は意外に大変だ。時間に遅れたりしてはいけないし、停車位置を間違えてもいけない。こうした制御は自動化が最も得意とする所なのだが、何故自動化しないのだろうか。労働組合の関係があるとか?
◆ 運転士を不要にするというのではなく、航空機のように自動制御が可能な所は自動化するという考え方で良いのではないのか。これによって運転士の労働環境は改善され、安全確認などに余裕が生まれるはずだ。自動車の自動運転よりも余程簡単なのに、現状では自動運転イコール無人電車みたいな方向に行こうとする傾向がある。

◆ ドアが閉まったら発車ボタンを押し、すると電車は自動的に加速していく。その線路の状態や勾配、天候や気温気圧などもは全て分かっているので、最適な方法で規定の速度まで制御する。何事もなければ次の停車駅に正確な時刻に到着し、正確な位置に停車する。発車が遅れれば、次の駅までに可能な限り遅れを取り戻す。


Amazon問題(12/11)
◆ Amazonの商品に関する問題がいくつか報じられていた。一つは正規の商品を発送しないケースだ。あとで送りますという紙切れを送り、Amazonのステータスを発送完了にした。発注者が紙切れを受け取った時点でAmazonのステータスは取引完了になる。

◆ これはAmazon発送品ではなく、出店者が直接発送するタイプの商品だ。発注者は出店者と連絡を取ろうとするも中々うまく行かず、結局はAmazonが返金処理を行ったというもの。

◆ この話は特別なものではなく、同じような被害が何件か起きていたようだ。もしかすると異なるショップ名を名乗った同一犯かも知れない。

◆ 海外発送品などだと発送元のショップに連絡を取る事も難しい。メールを出しても返事がなければそれでアウトになる。Aliexpressのような保証システムは無く、Amazon側でもこうしたケースを想定していない。

◆ もう一つは中抜きだ。これはいくつかの原因が考えられる。Amazonの倉庫に納入した時点で空箱だったか、正規のものを誰かが買って中身を抜いて返品したものが再度(いったんはショップに戻るはずだが)Amazonから発送されたか、考えにくい事ではあるが配送業者が中身を抜いたか。

◆ 記事を見るとAmazonは重さで管理をしているようだが、梱包材の重さに比較して品物本体が軽い場合は中身の有無が検出しにくい。microSDカードなども同様だ。小さくて軽くて高額なものは中抜き被害に遭いやすいと言える。

◆ Amazonは比較的親切で、返品対応なども良い。それを逆手にとって悪事を働こうとすれば簡単にできてしまう。microSDなどは正規品を購入して偽物を返品するなどだ。こうした事もあってAmazonは1度は返品に応じるが2度同じ事は行わない。

◆ しかし記事によれば交換品の箱も空だったそうだ。Amazonの倉庫にどの位の空箱があるのかは分からないが、空箱が見つからない限りAmazonは瑕疵を認めないかも知れない。

◆ 以前楽天で被害に遭った事がある。楽天では禁止されている事なのだが、そのショップはAという品物のページの中身を入れ替えてBを売り始めた。これに何のメリットがあるかというと、A商品に対するレビューが沢山書き込まれている"良いページ"なのだ。

◆ それを知らずに私は"再度購入"を行ったら別のものが配達されてきた。ショップに文句を言っても、商品ページも間違っていないし注文もそのページのその商品になっているから交換はしないという。確かにページを見れば別の商品になっているし、注文連絡も(よく見れば)別の商品名になっている。

◆ 最初のページがリポビタンBでそれをリポビタン8に入れ替えたみたいなものだ。ちょっと見ただけでは分からないが、よく見れば分かる。これを楽天に言った所で、楽天はショップと購入者の間には入らないので無意味だ。

◆ いずれにしても、こうした問題が大きくなると通販の信頼性が崩れていく。特にAmazonに関しては悪徳ショップが暗躍する傾向も見られるので注意しなければならない。


スマートウオッチ(12/10)
◆ 日本ではスマートウォッチの市場が余り大きくないという。一時期はAppleWatchの独壇場みたいな感じではあったが、安価な中華ものの進出で低価格製品にシフト気味だとか。

◆ ただし安価な中華ものは機能もそれなりで、脈拍測定や血圧測定、血中酸素濃度測定などは決まった値しか出ないものもある。スマートウオッチ背面では赤と青のLEDが光り、いかにも測っている風なのだが値は適当だ。猫の肉球に付けても同じような数値が出る。

◆ AppleWatchは日本人の腕にはいささか大きい。小型のものが41mmで大きい方が45mmだったかな。厚さは10.7mmで重さが30g〜47gとなっている。ちなみにLTE最軽量携帯を謳う京セラの携帯電話は47gである。

◆ AppleとしてはiPhoneシェアが大きい日本でもっとAppleWatchを売りたいのだろうが、中々一般には広まっていかない。従来言われたバッテリーの持ちに関しては、24時間使用後の残量が3割前後はあると言う事なので、毎日充電すれば特に不便は無いはずだ。

◆ スポーツなどをしている方は管理のためにスマートウォッチなりスマートリストバンドなりを使う人が多いが、それらの人は重さを気にする。時計機能はなくても良いから軽い方が良いという人もいるだろうし、重くても多機能のものを選ぶ人がいるかも知れない。

◆ 私自身腕時計を使わない人間なのでスマートウォッチにも余り興味は無い。腕時計を使っていた頃も、邪魔だし重いと思っていたくらいで小型軽量薄型のものを選んでいた。

◆ その後電卓などにも時計機能が搭載されるようになり、携帯電話を持つ頃には腕時計は使わなくなった。時間を気にする職業の方は仕事上腕時計が必要になるが、私の場合はそうではなかった。

◆ ドコモもリストバンドを出していたが、今は発売していないというか管理アプリのサービス終了だそうなので、実質的な使い道はなくなるのかも知れない。発売されていた当時から評判が良くなかったのはドコモ製品の常であり、まあ、商品企画がダメなんだろうな。

◆ AppleWatchは価格が高くて大きくて重いから売れないと言われる。一時期は機能が物足りないとも言われていたのだが、これに関してはバッテリーの連続動作時間も含めて改善傾向にある。

◆ 大きさが拡大傾向なのは大画面スマートフォンの流れだろうか。欧米では大型ディスプレイが好まれるのかも知れないのだが、日本人にはいささか大きい。それでも買うなら大きい方が良い、操作性が良い、文字が見やすいという人もいる。この辺りはスマートフォン同様で、小型軽量を好む人もいれば大画面のものが良いという人もいる。

◆ スマートウォッチにしても腕にはめて持ち歩くから重さや大きさが気になるわけで、ポケットに入れておくのなら気にならない重さだ。ただし脈拍数などはセンシング出来なくなるけれど。だったらスマートウォッチに無線接続出来る小型軽量のリストバンドを…


野菜の価格と農業収入(12/9)
◆ コロナ感染などもあり外国人の雇用が減少した。農家では農業実習生名目で安価な労働力を得ていた。
ほうれん草などのハウス栽培では作業員1人あたり5百万円ほどの売上になるのだそうで、作業員が不足すれば出荷額が減る。

◆ これに対して(裁判所の支払い命令を無視して海外逃亡した)ひろゆき氏は、年俸400万円で日本人を雇えば良いとした。粗利でもない売上額で5百万円しかないのに、4百万円の報酬が払えるわけがない。だが氏はこれを正論だとか論破だとか言って自画自賛したとか何とか。

◆ 現状では安い賃金の労働力をアテにするわけだが、本来であれば収益向上策を採らなければならない。そうは言ってもハウス栽培のコストとして重くのしかかるエネルギコストが、日本では下げる事が出来ない。

◆ もう一つは自動化の推進による収穫効率の改善なのだが、葉物野菜の多くは(日本では)人手によって収穫をするそうだ。ハウスの規模などにもよるのだろうが、自動化が難しい分野だそうだ。

◆ ただし自動化が出来ないわけではなく、自動化に適する規模の栽培が行われていれば、高額な自動機の導入も出来るのだとか。結局の所農家の規模が小さいので、設備投資が出来ず、常に人間の労働力に頼る事になる。

◆ これは価格競争的にもメリットがないし、農家自体の収入も増えていかない。最近になって水耕栽培に関しては自動化が進んできたと言うが、培養液監視システムなど非常に高額なのだ。

◆ ある程度の知識のある人であれば自分で作り上げる事が出来ようが、農業を営む人は農業が専門であって栽培装置には疎い。ハウス栽培ではなく田畑の監視システムも実証実験などがされているのだが、コスト面で折り合わないという。

◆ 自動化システムの価格が下がらないのは需要が少ないからだ。今後数年すると中国から安価なシステムが輸入出来るようになってくるかも知れない。国内需要だけでは中々商売にならない日本に於いて、新規開発のコストは重くのしかかる。開発費の償却分を含めれば売価が高くなってしまい、優れたシステムだったとしても沢山は売れなくなる。

◆ 作物を作るには手間がかかる。水や土の状態、台風の被害を受ける事もあれば動物に食べられてしまう事もある。せっかく作った野菜が、価格の暴落で収穫コストも出ないなんて事もある。

◆ 十分な収益率があれば価格変動に対する余裕も出来るのだろうが、現状では中々厳しい。以前にも書いたが補助金という名の単なるバラマキでは食糧自給率は上がらない。効率化に対する補助やサポートを充実させる事が必要だ。

◆ ただJA自体の体質も問題で、結局の所金融業者になってしまっているのだから、本来の目的とは少し違ってきている。民間の力が大きくならないと何も変わらないと思うし、何も変わらない方が居心地が良いと思っている年寄り連中がいる限り、改革は難しいのだろうなとも思う。


流動性は増しているのか(12/8)
◆ 総務省は流動性を何とか増やしたいと、様々な規制などを作る。だがiPhoneの安売りが規制された事による流動性の低下は大きく、解約料の低廉化などを行ってもなかなか思うようには行かなかった。

◆ しかし楽天モバイルやpovo2.0によって利用者の移動は多くなっているようだ。KDDIの解約率は第二四半期で0.74%だそうで、これは上昇傾向だという。ソフトバンクは最も解約の少ないスマートフォンに限っても第一四半期に1.01%まで上昇した。第二四半期には0.91%に低下しているが、これはYモバイルの頑張りなのだろうか。

◆ ソフトバンクにはLINEMOがあるのだが、LINEモバイル(MVNO)のイメージが色濃いためか加入者が少ない。LINEモバイル(MVNO)の加入者が95万人前後だったそうで、現行のLINEMO(ラインモバイルMVNO契約者数を含む)契約者数が100万ちょっとだという。

◆ ソフトバンクはLINEMO推進よりもYモバイルを伸ばしたいという。Yモバイルの方が利益率が良い事、知名度があり営業をかけやすい事などがその理由だ。LINEMOがLINEモバイル(MVNO)のイメージから抜け出すまでにはもう少し時間がかかりそうだ。

◆ KDDIはpovo2.0によって解約率が下がったという。0円で維持出来るとなれば、予備的に維持しておこうとする人も多くなる。最近ではソフトバンクよりもKDDIの方が楽天モバイルを意識している感じがするのが面白い。

◆ こうなると低価格プランを持たないドコモは厳しい状態ではないかと思う。エコノミーMVNOと言ったって所詮MVNOでありサブブランドですらない。ドコモの解約者をMVNOで受け止めるのは一つの方法ではあるが、事業者としての本質ではない。

◆ 解約率が上昇すれば株主からも突き上げを食らう可能性があり、動きの遅いドコモの経営方針に対しての不満も増えるだろう。そもそもはahamoによって料金低廉化が起き始めたわけだが、そのドコモに対してKDDIは素早く、楽天モバイル対抗策も打ち出した。

◆ ソフトバンクはPayPay推進加速中なのだが、これが面倒というか邪魔というか、何が何でもPayPayに連携させようとする面倒さがある。楽天のように楽天IDから始まる連携の場合は、楽天モバイル側が従となる。しかしソフトバンクの場合はそうではないので、無理矢理感が否めない。

◆ PayPay連携を行うと一部サービスではSMS認証が必須になり、ログインが面倒になると言われている。こうした所の改善などは必要だが、寄せ集めのシステムなのでどうにも綺麗にまとまっていない感じがする。

◆ 寄せ集めの話ではないのだが、富士通やシャープ製のスマートフォンは独自機能というか独自の操作体系があってよく分からない。富士通製はメニューの表示が異なっていたし、シャープ製の(たぶん2016年頃のスマートフォン)も分かりづらかった。このシャープ製はau版だったのだが、auからの宣伝や通知は通知エリアから消せなかった。全て消去を押しても残っていた。たぶんそのアプリの設定か何かを行わないと通知が消えない仕組みなのだろうが、こうしたAndroidスタンダードに反する事をやりたがるのが国内メーカだ。


マイクロコントローラ(12/7)
◆ 昔はワンチップマイコンなどと言ったが、今は何と呼ぶのだろう。例えばPICとかArduinoなどを。入出力切り替え可能なGPIOもあるし、タイマやADCも内蔵されている。どれも使いやすく高機能だ。

◆ 初期の頃のワンチップマイコンは、ゲート数の節約のためにIOは4bitとか8bit単位でしか入出力を切り替えられなかったり、出力を読み返せないポートがあったりした。タイマーなどにしてもプリスケーラが共通だったり、タイマーのモード切替に制限があったりした。

◆ 現在のデバイスでも制限はあるが、それらは相当自由度が高い。実効速度も速いしメモリの量など余り気にしなくても済む。昔のマイコンだとRAMが少ないものが多かったので、Flagなどをバイト単位で使うなどは考えられなかった。1bitごとにメモリを使っていき、なのでandを取ったりorを取ったりする必要があった。

◆ 多くのRAMやROM容量があり、豊富なハードウエアを搭載したワンチップマイコンは便利なのだが、ソフト屋さんからするとハードウエアの制御が難解だとなる。確かにタイマーなどにしても色々なモードがあるわけだし、いわゆるペリフェラル部分の設定だけで大変だ。

◆ ハードウエアの分かっている人にとっては何でもない設定も、それが分からない場合は、それを理解する事からはじめなければいけない。データシートにタイミングチャートが描かれていたとして、なんでソフト屋がここまで見なきゃいけないのと思う人は少なくないかも。

◆ ハード屋が仕様を書いて、イニシャライズ手順まで仕様書にすれば問題はないわけだが、ハード屋が書くのはポートの割り当て表だとかADC/DACのフルスケールだけみたいな事になるとソフト屋の負担は増大する。

◆ ソフト屋というかファーム屋の場合は、仕様書と回路図からソフトを書いて行くみたいな人が多かったのだが、今はもっと分業化されているだろうか。ハード屋ほどではないけれど、ファームを書く人は多少はハードウエアも理解し、オシロなりロジアナを使ってデバッグをしたものだ。

◆ ディジタル通信に於けるモデムのソフトウエア評価など、モデムの感度を測らなければいけない。Eb/No計測なんかがそれで、信号発振器とノイズゼネレータを使って感度計測をする。ソフトウエアモデムの場合は、バグがなければ理論感度に近づく訳で、エラーレートというか感度の計測がデバッグみたいな感じだ。

◆ こうしたスタティックなテストの他に、信号にフェージングを重畳したテストだとか、信号の中心周波数をシフトさせたテストなども行う。難しいテストはハード屋さんが行うが、いわゆるデバッグ的なテストはファーム屋さんがやっていた。

◆ なのでファーム屋さんは信号発生器も使えたしレベル計やエラーレートテスターやスペアナも使えた。特性が出ないと、それがハードに起因するのかソフトのバグなのかはいつも問題になる。自分が正しい事を証明するためには、信頼のおける測定データを作らなければいけない。

◆ 処理速度の速いワンチップマイコンならモデムなどはソフトで実現出来るわけだし、多少バグがあってもそれなりに動いてしまうので、性能評価は重要になる。


オーディオアンプとIMD(12/6)
◆ 混変調歪みに関しては以前に書いたが、非線形なものであれば必ず相互変調は発生する。パッシブなものでも同様で、高周波に於いては同軸コネクタでもIMDは起きる。

◆ オーディオアンプも然りなのだが、何故かオーディオアンプでは3次歪みの話が余り出てこない。アンプのリニアリティを見るには3次歪みを測るのが分かりやすいのに。

◆ オーディオアンプの場合は歪率にしてもパーセントオーダで表す。0.01%とか。0.01%だと1/10000なのだから(電力比で)40dBcになる。無線系のアンプの二次歪みだと50dBc以下には普通に出来るし、広帯域アンプデバイスだと-60dBc以下のものもある。アンプの段数(増幅率)や帯域もあるのだが、数字としてみると特性が素晴らしいというものでもない。

◆ 真空管アンプはリニアリティが良いのだが、IMDを測るとどの位なのだろう。
NFBをかければ歪みは減ってくるし、小信号段にOPampを使っているようなアンプであれば、歪みは管理されている。

◆ 問題はパワー段で、スピーカのインピーダンスが低いので色々な所の寄生抵抗などが影響してくるはずだ。DC結合でない場合はコンデンサも入る。オーディオ系の人に言わせると、音は歪みで変わるわけではないのだとか。いや、変わると思うけど。

◆ とその前に、そもそも3次混変調歪みをどれほどの人が理解しているかという話である。無線屋さんであれば知っているわけで、無線機の仕様にも2信号3次歪みに関して書かれている。だが、オーディオ屋さんはどうだろう。

◆ こちらのページを見ても高調波ひずみの話しか出てこない。DENONの仕様にもIMDの項目は無い。オーディオの世界だとアンプのリニアリティは語らないのが普通なのか。オーディオ屋さんが良く言うではないか、数字に表れない部分に音の本質が隠されているとか何とか。

◆ 2信号3次歪みを測るのはさほど難しい事ではない。オーディオゼネレータが2台とスペクトラムアナライザやFFTアナライザがあれば良い。周波数が低いのでPCを使ったFFTでも分かると思う。

◆ 3次歪みはどこでも発生するので、2台のオーディオゼネレータの出力を合成しただけでIMが起きているかも知れない。オーディオゼネレータの出力がもう一台のオーディオゼネレータに入り込み、それぞれのオーディオゼネレータの出力アンプを歪ませる。

◆ オーディオミキサで合成するにしても、そのミキサが歪みを発生する。従ってオーディオアンプに入るまでの信号は、十分に歪みが少ない事を確認しなくてはいけない。

◆ 出力の増大に伴う非線形歪みであれば、出力を小さくする事で歪みが少なくなる。しかしデバイスそのものや回路構成或いは部品による歪みの場合は、出力を下げても歪みが改善されにくい。

◆ プリアンプへの入力を小さくして、プリアンプでゲインを稼いだ方が良いのか(S/Nは悪くなるが歪みは減る方向)、或いはその逆が良いのか。この辺りも無線機では厳密にレベルチャートが書かれる。


技能試験は来年5月から(12/5)
◆ 75歳以上の高齢者で過去3年以内に違反のあった人は、免許更新時に技能検定を受けなければならなくなる。試験は免許有効期限の半年前から何回でもチャレンジ出来るが、試験に合格しないと免許を失う事になる。

◆ 試験は制限速度を守れるか、一時停止が出来るか、右左折が出来るか、信号が守れるかが試される。あまり過激な試験は出来ないとしても、急ブレーキがかけられるかとか(反応速度)もテストした方が良いかもしれない。

◆ このテストに合格出来ない人は免許の更新が出来なくても仕方が無いだろう。試験に合格できないことで、自分の衰えを感じる事が出来れば良いわけだが、老人によっては俺は悪くない、試験が悪いんだとか言い出しそうである。

◆ 試験に合格出来ない場合は自動車の運転免許は失うが、原付の免許が交付されるなどはするとの事だ。免許が貰えたから又車に乗るなんて勘違い老人がいなければ良いけれど。

◆ 免許停止処分になると講習を受けて期間短縮が出来るわけだが、その講習を受けに車で来る人が一定数いるというのだから、何が起こるか分からない。免許証にはRF IDが付いているのだから、それを読み込んでエンジンがかかるくらいの事をしないとダメなのではないか。

◆ 免許認証システムがあれば盗難被害もかなり抑制出来る。もっとも静岡県は車のエンジンをかけっぱなしで車を離れるのが普通のようなので(ドアロックはするのかも知れないが)、盗難被害は多いかも。

◆ 横断歩道に人がいたら必ず止まるという面で静岡県の運転者は歩行者に優しいわけだが、アイドリングを続けるのは環境には優しくない。夏などは冷房をかけっぱなしで車を離れるのが一般的?なようで、スーパーの駐車場などにはエンジンをかけた車が何台も止まっている。

◆ エンジンをかけっぱなしでコンビニに入ったら、その隙に車を盗まれた的な事件がたまに報道されるが、そんなもの盗んでくださいと言っているようなものだ。盗難車が事故を起こせば被害者は面倒な事になるわけで、車を離れる時にはエンジンを停止させてドアにはロックをかけましょうと、当たり前の事を教えなければいけない。

◆ 高速道路を低速で追い越し車線を走ってはいけませんなども教えなければいけない。TVの報道番組などでは、わざと追い越し車線を制限速度以下で走り、左から抜いていった車を煽りだ危険運転だと騒ぎ立てる。これはYoutube動画などでも同じで、危険な状況を作り出すために努力している。

◆ 訳も分からず追い越し車線を走り続ける人もかなり多いが、煽らせ屋的なものは積極的に取り締まられるべきだ。TV番組や動画があるのだから、それを元に摘発していく事は必要である。

◆ 以前にTwitterに投稿されていたが、首都高速走行中に前車が進路を(自分が走っている車線に)変更して来てブレーキを踏んだのだそうだ。そこでその人は進路を変えてその車を追い越した。すると夕方のニュースで、後ろから煽ったあげく急な進路変更で追い越していった危険な車として、前車を避けた車が悪い風に報じられた。


有線LAN開放の危険性(12/4)
◆ 以前にも少し書いたが、有線LANを開放すると、そこに何を接続されるか分からない危険がつきまとう。固定IPアドレスに設定された機器が接続され、そのIPアドレスが他の機器で使われていると問題が起きる。そのアドレスがルータやスイッチのものなら問題はより大きくなる。

◆ こうした事に対処するためには、ネットワークを細かくルータやスイッチで分割するしかない。有線LANが開放された会議室などでも、ネットワーク管理者が意図しない機器が接続され、ネットワーク全体に障害が生じる事もある。

◆ ホテルなどでも有線LANが使える所があるが、一般客の宿泊する所となれば何が接続されるか分からない。HUBを使わずにルータで分離していれば良いが、そうでないと何が起こるか分からない。

◆ 固定IPアドレスの機器を接続してアドレスがぶつかるとか、DHCP機能付きのルータを接続してアドレスを振り出してしまうとか。無線LANでもある程度の危険はあるが、有線LANよりは対策がしやすいとも言える。

◆ ホテルに有線LANしかないと、スマートフォンを使いたい人は無線LANのAPをつなぎたくなるだろう。専用小型のものもあるが、ルータ自体に固定IPが振られていたり無線LAN用のAPだけではなくルータモードが搭載されていると間違いが起きやすくなる。

◆ 比較的安全なのは有線LAN側からルータにアクセス出来ないようになっている製品だ。無線側からルータにアクセスする分には、独自のネットワークになるので有線側に影響は与えない。

◆ 無線側で有線LAN側とは別のネットワークアドレスを使い、有線側がUnnumberedになっているとか、ルータがDHCPサーバからアドレスを貰う設定に固定されていれば安全性は高い。

◆ 無線LANのAP専用製品がどの位あるか分からないが、ルータにも使えますと謳った方が多機能である事をアピール出来、製品の付加価値が上がる。所詮ソフトウエアだけの話なので、メーカとしてもルータを謳いたいのだろう。

◆ 海外のホテルなどは歴史が長いためか、何をつないでも大丈夫(っぽい)構成になっている。一部のルータにも同じような機能があるが、PCを接続してブラウザを開くとまず設定のページが表示されるみたいな感じだ。

◆ ブラウザがどのIPアドレスにアクセスしようとしても、設定が完了するまでは特定のページしか表示されない。有料の場合は、そのページで課金設定などが完了すると通常の接続になる。

◆ ホテルなどの各部屋にWi-FiのAPを設置するのは、LANケーブルのポートを設けるより少しコストがかかる。ただしネットワークの安全性などを考えれば、今後は無線LANが主流になるだろう。各部屋から電波が漏れなければ良いのだが、実際はそうではないのでどのSSIDにアクセスするんだみたいな混乱は起きる。

◆ SSIDが部屋番号になっているなど、工夫はされているが、そもそもWPSボタン的機能でしか接続した事の無い人にSSIDが云々とかパスワードがどうのと言ってすんなり話が通じるものかどうか。


テスラはどこまで拡大するのか?(12/3)
◆ 2年前テスラの時価総額が急速に上昇し、トヨタに次ぐ金額になったと報じられた。そして2020年の6月にはトヨタと並び、7月にはトヨタを超えた。

◆ その後もテスラの時価増額は急速に上昇し、トヨタの4倍を超えるまでになっている。トヨタとの比較と言えば、ソフトバンクの孫さんは2017年にトヨタに次いで2番目に1兆円を超えたと言った。創業31年目の出来事である。

◆ テスタの設立は2003年なので、わずか18年しか経っていない。ちなみにテスラの営業利益は200億ドル(2020年)かな。ちなみに2019年の営業利益はマイナスだったので、まさにV字回復と言えるのかも知れない。

◆ そんなテスラなのだが日本では余り売れていない。トヨタがハイブリッドこそ最高の技術だと言っている関係もあり、EV化が遅れている。世界各国で内燃機関動力車を禁じる決定がなされる中、日本の場合はトヨタの意向を重視してハイブリッド車OKの決定となった。

◆ EV化が遅れているのでインフラ整備も遅れている。豊田社長は、インフラなど整備したって誰も使わないから無駄だと言い放つ。自動車産業は日本の主要産業の一つなのに、平成不況に突入してからと言うもの海外メーカの後塵を拝するかのようになってしまっている。

◆ 景気の良い頃であれば、新技術をいち早く取り入れて製品化し、それの評判が悪ければ又新しい物を作り出すという好サイクルになっていたのに。トヨタがEVに反対の姿勢なのでという事でも無いのだろうが、商用車などの導入では海外メーカ製が選ばれるというかそれしか選べない。

◆ テスラの好調はエネルギコストの高騰も助けになっている。化石燃料価格はどんどんあがるみたいな噂が、ガソリンに対する危機感を煽ったのだとか。この点は日本でも同じでガソリン価格が上がると車が売れなくなり、車を使う人が減る。ガソリン価格が180円を超えると、給油しに来る車ががっくり減るとはガソリンスタンド経営者の弁だ。

◆ 2008年のガソリン価格高騰時にはガソリン販売量が減少し、自動車から原付などに乗り換える、或いは自転車に乗る人が増えた。2008年当時のガソリン価格は185円を超えた。今年の9月30日に英国のガソリン価格が224円になったと報じられた。

◆ 現時点でEV用の電力に特別な税金がかけられていないから良いが、これにガソリン並課税が行われると一気にエネルギコストが上がる。走行距離課税の話も出ているが、自動車関連の課税強化は運行コストに直接影響するので物流コストが上がる。

◆ 2008年当時日本トラック協会は燃料サーチャージに関して国交相のガイドラインを案内している。昨年などは燃料費がかなり安かったわけだが、こういう時はマイナスになるのかな。

◆ いずれにしてもテスラの成長はまだまだ続く。テスラの車両を売却すると、前所有者が購入したオプション類を無効にしてしまう。オプション装備を買うと言うよりも使う権利だけを記名で借りたみたいな考え方だろうか。この辺りが日本では中々馴染めない部分でもあり、今後テスラのシェアが上がるかどうかは何とも言えない。


混変調歪みが重視された理由(12/2)
◆ 帯域外に強い電波があったとしても、それは帯域外なのだからフィルタなどでレベルを落とす事が出来る。しかし帯域内或いは隣接に強い電波があると、それはフィルタでは落とせないので、受信機を飽和させてしまう。

◆ 混信から逃れるのは受信機の帯域制限フィルタなのだが、一般的にこのフィルタはIF段に入っている。それ以前の高周波増幅器だとかミキサーには帯域内の妨害信号がどんどん入ってくる。この妨害信号に対する耐性がIP3なのだ。

◆ 1980年頃、日本のアマチュア無線人口は米国を抜き、130万人にもなったのだそうだ。狭い国土と過密都市、そこに沢山の無線局があれば隣接妨害を受ける。自分は51MHzで交信していて、隣の家の人は52MHzを使ったとしても、同じ50MHz帯という帯域内に強い局が居るので妨害を受けてしまう。しかしIP3の高い受信機であれば妨害は受けにくくなる。

◆ 現在のアマチュア無線局数は40万程度だそうだ。随分減って、町中でアンテナを見かける事も少なくなった。と言う事は、隣接局がいなくなった事でもある。だったらIP3の追求は不要なんじゃないのと思わないでもない。

◆ IP3を上げようとすると、自ずと高周波増幅器やミキサーのゲインを下げたくなる。ゲインが1であればOIP3=IIP3になるからだ。しかしそれでは感度が稼げない。メーカによっては感度よりもIP3だみたいな事も言っている。確かに短波帯では空間雑音が多いので、雑音レベルより感度を上げた所で何の役にも立たないのは事実だ。

◆ 感度にしますか?IP3にしますかみたいなつまみ(高周波ゲイン調整)があれば良い話ではあるのだが、ゲイン調整を高周波増幅器で行うのは余りお利口ではない。
高周波増幅器に入る手前にアッテネータを入れるのが正しい。

◆ この辺りはスペアナを使う人なら感覚的に分かると思う。スペアナに過大入力を入れると、スペアナ自身がスプリアスを発生してそれが表示されてしまう。なので適性入力を守らなければいけない。スペアナの画面に表示されているスペクトルのパワーだけではなく、スペアナの端子に入ってくる全てのパワーの総計を考える必要がある。

◆ ノイズの測定が面倒なのは、ノイズは広帯域に渡ってパワーがあるからだ。単位バンド幅あたりのエネルギは小さくても、総量としては大きなパワーになり、スペアナを歪ませてしまう。

◆ ただIP3が無駄に高かったとしても、それは余剰性能なのだから困るわけではない。
それこそIP3の高い無線機を2台並べておけば、同じバンド内で2人が同じ部屋から同時に通信を行っても支障が無いかも知れない。

◆ その+40dBmを謳うiCOMの無線機は120万円だったかな。台数も余り出ないだろうからどうしても価格は上がってしまう。
IF以降はディジタル処理になっているが、ディジタル部を飽和させないために、物理フィルタがたくさん入っている。

◆ iCOMによるとダイナミックレンジは110dBだそうで、だったら16bitとか20bitのADC一発で良いんじゃないの?みたいな。


アンプの歪みとIP3(12/1)
◆ アマチュア無線用の無線機の話ついでというわけでもないのだが、各社の最高級トランシーバでの宣伝文句は高いIP3のようだ。iCOMもKENWOODもIP3が+40dBmだと謳っている。ではIP3とは何か?
◆ リニアな増幅器は入力と出力が常に1:1で増減する。入力が小さくなれば出力も小さくなるし、入力が大きくなればそれに比例して出力も大きくなる。しかしものには限度というものがあるので、入力をどんどん大きくして行くとやがて出力は飽和する。飽和すると言う事は凄く歪んでいる状態で、その歪みの状態を表す一つのものがインターセプトポイント(IP)だ。

◆ 3次歪みに対するインターセプトポイントがIP3で、これが一般的によく使われる。歪みの無い状態では歪みがないのだから3次歪みも発生していない。しかし入力と出力が比例しなくなる、つまり飽和が近づいてくると歪みが起き始める。

◆ 一般的な高調波ひずみ、入力周波数の整数倍の周波数になるものは2次歪みという。1KHzを入れたら2KHzとか3KHzの成分も出て来ちゃったというのは2次歪みだ。3次歪みは2信号で考える。
◆ 1kHzと1.2KHzの信号をアンプに入れる。歪みがなければ入力周波数そのものだけが出力に現れる。しかし2信号3次歪みが発生すると、出力には1KHzと1.2KHzの他に、800Hzと1.4KHzも現れる。これが3次の歪みだ。
そして3次の歪みのレベルは入力レベルが上がると3倍で増えていく。入力が1dB増えると信号成分は1dB増えるが、3次混変調ひずみは3dB増える。

◆ 入出力が1:1なのに対して3次の歪みは1:3で増えていく。入力をどんどん大きくしていくと歪み成分は3倍で増えていき、やがて信号成分のレベルを超えてしまう。と言っても実際には飽和が先に来るので、信号成分を歪み成分が超える事は出来ない。インターセプトポイントとは、信号成分の出力レベルと歪み成分のレベルが同じになった点、実際には同じになる前に飽和してしまうので、つまり仮想のポイントなのだ。

◆ これが出力のIP3なのでOIP3などと書く。アマチュア無線用のトランシーバを見るとIP3が+40dBmですよとは書かれているのだが、それがどこのレベルなのかが分からない。例えばアンテナ入力から測った、つまり受信機としてのIIP3が+40dBですよとなると、高周波増幅器のゲインとミキサーのゲインがそれに加算されたものがミキサーの出力になる。

◆ ちなみにIP3が厳しいのはミキサーで、高周波増幅器よりも数倍設計が難しい。もしも高周波増幅器とミキサーのゲインが合計20dBあったとすると、IIP3=+40dBmはOIP3=+60dBmということになる。(実際は非線形部分があるので計算通りには行かないけれど)
◆ ミキサーの出力がIP3が+60dBmとなると、少なくともそのミキサーは出力が+50dBm位までは信号を出せる能力を持っていなければならない。+50dBmとは100Wである。
つまり受信機のアンテナ端子に1Wの送信機を接続すると、ミキサーの出力として100W出てきますよと言う性能だ。

◆ IP3と飽和出力という関係の無いものを一緒に語っているが、OIP3が+60dBmとすると1dBゲインコンプレッションが+48dBm位になり、+50dBm位から明確に飽和する特性になるためだ。IP3が〜というよりも飽和出力で語った方が分かりやすいでしょ。