水道事業の民営化論(12/28)
◆ 水道事業は民営化されるべきなのか、当然これには賛否両論がある。自治体サイドで見ると、水道設備の老朽化や人口の減少によって維持コストが増え続ける現状で、自治体による管理には限界があるとなる。ようするにカネがかかるから管理はしたくない論だ。
◆ 横浜のバス路線廃止の時にも書いたのだが、自治体が行うべき事業とは民間が収益性の面で進出しにくい部分であるはずだ。自治体の場合は収益率を考えずに住民サービスを行えるのだが、民間企業の場合は利益の確保が必要だからだ。
◆ しかし最近では逆になっている。横浜市営バスにしても、市バスは運用コストが高いから民間に任せるという。市バス運転士のコストは民間の実質4倍(給料が2倍で労働時間が半分)だと言われる。労働時間を長くしないのは、運転士が疲労するかららしい。
◆ 水道民営化の話として、自治体間の価格差がある。水道料金の安い所と高い所では8倍ほどの差がある。安いのは兵庫県の赤穂市で、月額(20m<sup>3</sup>使用)が853円、高いのは北海道の夕張市で6,841円になる。なお北海道は由仁町6,379円、羅臼町が6,360円と高い。
◆ では民営化するとどの位のコストになるかだが、これは人口密度によると言っても良いだろう。北海道の水道料金が高いのは、世帯あたりのインフラコスト負担率が高いからだと思われる。他にはダムの建設コスト負担分が上乗せされたりと、複雑な料金体系になっている。
◆ このダム代上乗せ分などは、民営化されるとどうなるのだろうとも思う。運営事業者から年間いくらみたいに固定費を取るとすると、では非水道用のダム代はどうなるのとなる。
◆ この別荘地は管理会社が水道施設を持っているわけだが、水道料金は3,800円位(20m<sup>3</sup>使用)だと思った。伊豆市の水道料金は2,650円なので私設水道の方が高額である。別荘地の水道設備の償却は終わっているので、本来であればもっと安くて良いはずだ。
◆ ただ別荘地再開発に伴うホテル化事業推進のためなのか、管理会社は井戸設備の更新を行った。ポンプ交換などを含めて古くなった設備の見直しを行った。設備の取り替え作業中は給水車によって給水タンクに水が補充されていた。平均すると毎日1t程度の水が運ばれたのではないかと思う。
◆ こうした設備の取り替えなどでは数百万円のコストがかかると思われ、現実的にはそれを数十世帯の水道料金でまかなう事になる。販売区画自体は400以上あるはずだが、家屋の建っている所でかつ利用が続いている世帯数は少ない。
◆ 水道事業を民営化する事によって人件費は大きく下がるに違いないが、過疎地域では設備コストの負担が重くなる。こうなると広域水道が良いのか、ローカル水道が良いのかという議論にもなる。以前に書いたが、昔の都営住宅にはその都営住宅用の井戸設備があった。自治体の水道を引いてくるコストよりも、自営水道の方が現実的だったのだろう。
◆ 伊豆半島など山の多い地域に水道管を張り巡らせるのは、水道管のメンテナンスの点でも大変だ。伊豆市では断水があちこちで起きるのだが、老朽化した水道管の破損などによるものだ。
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